2008年08月22日

西洋骨董洋菓子店(完) 全04巻

【西洋骨董洋菓子店】 全04巻  /よしなが ふみ

ある日突然、会社員だった橘圭一郎は思うところあって仕事を辞め、主を探していた骨董品の店をケーキ屋にする。
縁あって、魔性のゲイだけど最高のケーキ職人の小野裕介、網膜剥離で夢から離脱した元世界チャンププロボクサーのケーキ好き神田エイジが橘の元で働く。後に財閥の家系である橘の世話係だった小早川千影も仲間入りして。
橘は小野が人生でたった一度高校時代に振られた男。エイジは小野を神のように崇拝している。

カテゴライズは一応レディース系。
現在フジテレビでアニメ放映中。椎名桔平、ジャニーズの滝沢くんでかつてドラマにも。

ああ、ヤバい、めちゃめちゃケーキが美味そう。
よしなが作品はお腹空いている時は毒になる。とくにこの作品はダイエット中の人は要注意。橘のケーキやアフタヌーンティーの説明はもはや神の領域。食べた過ぎる(日本語になっていない)。
しかも作者のケーキやデザートに対する想いが絵のリアルさになって読者を直撃する……。見ているだけで幸せになってくる。重ねて言うがダイエット中は読んではいけない作品である。
ショートケーキって日本独特のお菓子なんだ。なるほど納得。そういえば他の国で見かけたことってなかった。初めて気づいた。
クリスマスのお惣菜のシーンは悶える。フランスやスペインのバールや総菜屋に行きたい……パリも良いけど、プロバンスからマルセイユ辺り、南の方の。
実際にイイ男たちのケーキ屋があったら流行るだろうなー。美味しくて使っているアンティークな食器も高価な本物で……。

内容の方は伏線が張られまくっているんだけど、お菓子の美味しそうな表現に見蕩れてまったりしてしまう。
なんでも出来るくせに打たれ弱い橘や、いつでも捨て身な小野などの話に気を取られているうちに、物語の展開を忘れてしまいそうになる。
立ち位置を橘に絞って言えば、その打たれ弱さやなんでも器用にこなすけどうまくいかない(達成しない)理由が、幼少時の誘拐事件にあったのではないかと感じたのかもしれない。橘の自分探し、小野の自分を大事にしていく感覚を取り戻す話と言えるかも。

誰でも取り返しのつかないことをした記憶はあって、やり直したくて足掻くことがある。
やり直せれば良いけれど、そういうものばかりでもない。それでも明日は誰にでもやってくる。

大きく不満を言わせてもらうなら、サイドストーリーが同人誌にあって、それを読まなければ全部の本当の流れと各人物の心情がわからないということ。このコミックスだけでは語れないのだ。
もちろんハードな表現があって、一般商業誌ではそれを表現できなかったのだろうけれど、それってどうなんだろうと疑問を感じる。
                         2007/8(感想は2008/8/20)

                    →同人誌はこちら 西洋骨董洋菓子店同人誌

《こんなふうにおススメ》
一番最初に読んだよしなが作品。でも、煙にまかれたような気分になった。他の作品を読みまくって戻ってみると、納得したり理解する箇所が増える。
いつものような斬りつけてくる表現はほとんどなく、オブラートに包んであるのだが、やっぱり痛みは透けて視える。初見だとそれに気づかない。上手い。
よしなが作品を一通り巡ったら、また読みたい作品かもしれない。
同人誌は手に入りにくいけど、この作品のファンなら全部目を通してみたいところ。小野が中心で、実際の4人の心情はもっとドロドロしていたという話。





ラベル:よしながふみ
posted by zakuro at 00:00| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。