2009年06月21日

僕の初恋をキミに捧ぐ(完) 全12巻

【僕の初恋をキミに捧ぐ】 全12巻  /青木 琴美

垣野内逞(かきのうちたくま)は心臓病で入退院を繰り返している。8歳の時、主治医の娘、種田繭(たねだまゆ)がいつも病室に遊びに来て、ふたりは恋に落ちた。
繭は両親が話しているのを盗み聞きして、逞が20歳まで生きられないことを知ってしまう。でも繭はそれを否定したくて、夜中に逞と四葉のクローバーを探しにいく。どうしても見つからず泣いていると、何も知らない逞に慰められる。そこで繭は将来は逞のお嫁さんになると誓う。
12歳、小学校の修学旅行先で診てもらった医師の不用意な言葉で、逞は自分の寿命を知ってしまう。しかしもっとショックだったのは繭がその事実を知っていたことだった。
繭を悲しませたくない一心で、逞は繭から離れることを決意、中学受験をして中高一貫の全寮制校に入学する。しかし繭も負けてはいず、逞に内緒で紫堂学園に入学していた。しかも学年トップの成績で。
学園には生徒会長で寮長の鈴谷昴(すずやこう)、そしてその弟の律は逞と同室になる。
小学生、中学生と経て、高校生から、逞と繭の試練の恋の物語。
10巻には番外編の「もっと生きたい」子どもの頃のふたりの話。オカルトでちょっと怖い。

7巻短篇/「ほしいものが、あるんだ〜卒業式前に」
図書委員長の拓実先輩は、ぶっきらぼうで無愛想で近寄り難い。福山と廊下でぶつかった拍子に唇が重なってしまう。先輩は「責任を取って結婚しろ」と言うが。

8巻短篇/「メールの返事くらいくれよ」
水野景子はクラスで接点のない橋本達彦からメールが突然来て驚く。それがほんとに橋本からなのか確信もない。その時から橋本が気になってしまう。
橋本くんは、矢野立芳(はるか)の従兄弟。

11巻短篇/「彼は行けもしない甲子園を目指す」
地味でブスで成績も悪い佐藤珠美に告白して振られた、モテる水澤ヒカル。佐藤が自分に好意をいだいているのだと勘違いしたのだ。佐藤は野球部のマネージャーでヒカルをスカウトする。
ヒカルのユニフォーム、格好良すぎ。

12巻の番外編に「僕は妹に恋をする〜矢野くんのワンダフル・デイ」
矢野立芳の頼と郁の兄妹に振り回されている日々。

少女コミック。話題作。
この秋に実写で映画になる。

恋愛をテーマにしているんだけど、それに隠れるように大事なモノを描いている。
脳死は生命の死なのか。
最近は死を美化する小説などが多かったので、この挑戦は嬉しい。若い子たちにはイノチを大事にしましょう、なんて言われても、正直ピンと来ないかもだけど、こういう漫画なら感じ取り方が多いと思う。
私が繭だったらどうするだろう? 難しい。
どんなに想像してもリアルの前には儚いもので、その気持ちなんてきっとわからないと思う。

前作の「僕は妹に恋をする」でタブーな恋愛の後、恋愛だけではない物語を作りたかったのかも知れない。その姿勢がまずすごい。
生きていきたいという想いがひしひし伝わってくる。

恋愛漫画としては……恋する想い、キモチがそのまま詰まっている。
感覚から感情から、ひとつひとつを伝える為に、話が作られていると言っても過言でない。

キメのシーンが上手いんだな。印象に残る絵。
ひとつひとつ大げさなんだけど、全体がものすごく計算されていて、隙がない。
溜めとか、ライバルを出すタイミングとか、絶妙。ちょっとしたところが悶える程に上手いのだ。すごすぎる。

ドラマチックに、「男子が女子のことを好きで好きで堪らない、しかもそれを命がけで」という、女の子が最大限に望む設定をきちんとやっている。ドキドキさせたまま、読者を煽ったまま進んでいく。
改めて上手い作家さんだと思った。

作者が男子キャラにめちゃくちゃ感情移入しているのがわかる。
すでにキャラと疑似恋愛していて、それがそのまま読者に伝わるのだろう。女子キャラに自己投影しやすいのだ。

個人的には好みじゃないのだけど(絵も、女性の顔の半分が目で埋まっているのがイヤ)、それでも上手いものは上手い。

性に目覚める年頃の読者に合わせて、内容も沿っている。
親が子どもに読ませたくないのもわかるけど、やっぱりこういうのも子どものうちから読んでおいた方が良いよね。

とても真面目な作家さんと思う。話をかなりしっかり作り込んで、絵も最初からイメージして、描いている気がする。
そういう姿勢は尊敬。
読みやすい。
できれば全巻終了してから一気読みがこの作家さんの作品の読み方としておススメ。なかなか進まないので、これ連載だとめちゃくちゃきつい。
最終巻は爆泣した。

年齢的に親の立場も考えちゃうけど、自分の子どもが繭でも逞でもきつい。
幸せなカタチに導いてあげられるのか、人間力が試される。

「僕は妹に恋をする」のスピンオフでもあるので、逞たちの二年後輩に結城頼が出てくる。
一文字の名前、好きなのかな。そんなキャラが他の作品にも多い。
すでに代表作のある作家さんですが、まだまだ本命はこれからな気がする。

ツッコミを入れさせていただけるのなら、亡くなってから2年目が、三回忌です。
それと中学生なのに、ホストに見えるのはこれいかに。

短篇もそうだけど切り込むようなタイトルばかり。

ちょっとネタバレだけど、ラストは夢オチに見えてかなり……。
理由は、繭のミニスカート、夜に家族で陸橋? なところ。

「僕は妹に恋をする」はあまり好きじゃなかったけど、これは秀逸。
読み応えがあった。
                         2009/6/19

《こんなふうにおススメ》
面白いです。見せ方(魅せ方)が上手すぎる。
他の少女漫画とは、傾向がだぶらないのもすごいです。



ラベル:青木琴美
posted by zakuro at 01:57| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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