2010年01月29日

ソラニン (完) 全02巻

【ソラニン】 全02巻  /浅野 いにお

秋田出身、OA機器メーカーで地味にOLをしている井上芽衣子24歳は、大学時代の軽音サークルで知り合い付き合って6年め、新聞社の下請けの会社でイラストを描くバイトをしながらバンド活動をする種田成男と一緒に暮らして1年。
閉塞感のある日々は重く芽衣子にのし掛かる。愚痴った日、種田の一言で会社に辞表を出す。「きっとどーにかなるさ」
翌日辞表を出した芽衣子は、貯蓄を切り崩す生活になる。
種田のバンド仲間の山田と加藤の視点も入った若さゆえの群像劇。

週刊ヤングサンデー。全2巻。
今年、宮崎あおいと高良健吾のダブル主演で映画化。
評判は良くて気になっていた。手元には1冊のみで読もうかどうかだいぶ迷った。読んでから、UPするのも迷った。1巻の終わり方から話の本気は2巻なんだと感じてる。

1巻のみの感想。
絵の丁寧さ、読みやすい構成、間のある構図、リアルな会話に、日常に潜むユーモアはとても好き。

内容は真剣に向き合った日記のよう。若いなぁー。かつての自分がここにいるよ。懐かしい感じ。がむしゃらだったなーと思い出す。そしてかなりしょっぱかった。でもひたすら頑張ってたなぁ。なつい。
先日も若い女の子のリアルな生活相談を受けて、なんかここ数日自分の棚卸しをしている気分だ。
ふたりのなれそめが香港映画の「ラヴソング」を思い起こさせて、切ない気持ちになった。淡々と綴られるのもこの作品と重なった。ちなみにこの映画は傑作。オススメ。

芽衣子の、通勤の満員電車の中での「みんな消えてなくなってしまえ」 よくわかる。今はそんな生活をしていないけど、かつてはそれが毎日だった。

リアルにこの世代の子たちが読んだらきっとガツンとくる気がする。感受性の強い子はシンクロしちゃうと思う。
私はもうそこはずっと遠い昔だ。
若さと未熟さゆえに悩んでもがいて苦しんでから、それを越えて落ち着いて、今度は次の勝負が始まっているので、逆に懐かしいほのぼのした気持ちになる。ただの世代の違いだ。
客観的に読んでしまった。

ちょっと違和感感じたのは、芽衣子が断りを入れた時。しかしこれが大きな伏線になった。でも、できれば心情的に納得させる振りは欲しかった。

早く続き読みたい、中途半端に手を出したことに少し後悔。
                         2010/1/04

《こんなふうにおススメ》
自分に迷いのある若い人にオススメ。 2010/1/07UP
と、書いたけど、青春まっただ中の人には、ただ前に向かって進んで欲しい。
挫折して行き場のない人向けなのかも。

2巻/
種田の回想と死。種田の父が上京。芽衣子はそれがきっかけで種田の忘れ形見のギターを手に取る。

2巻めは大感動かもと楽しみだったが、案外冷めてしまった。セカチューみたいだ。若さ故の独りよがりが出過ぎてしまった。ここは物語の構成というより、作者の思考が先行かないと、なんだと思う。理屈の羅列がきつい。
種田の死から後はファンタジーになってしまった。このくらいにしておこう。
でも話の中のちょっとちょっとの笑いは楽しい。アフロのPAの人の髪型がハートで最高。
川の土手で芽衣子がギターを弾くシーンは好き。隣の子どもは種田なんだろう。
最後の終わり方は好き。

若いなぁ。昔を思い出す。
「俺がいつかメジャーになったら、お前たちを武道館の最前列に並ばせてやるぜ!」と居酒屋で叫んだ友だちが、今や東京ドームを満員にさせている。今では「まださ、呼ばれてないよね」と笑い話だ。
友だちたちは軒並みメジャーになって音楽シーンを塗り替えた。自分の周囲が少し変わっていたのかもしれないけど。今はその子どもたち、10代の子たちがデビューし出してきている。
そういう立ち位置に身を置いていた方が珍しいんだとは思うけど、それが私の現実だった。

音楽だけじゃない、いろんな分野に散らばって一線で活躍している彼らを見ていると、どんな職業もそれに「成る」なら迷わないことだと今はわかる。
「成れなかったらどうしよう、ムリかも」と思った時点で夢は遠くなる。

そこら辺の迷いを美化してモラトリアムを特別扱いして自分を納得させるのは、わかった振りして説教して自分では達成しない大人と同レベルなんじゃなかろうか?
それこそ種田が嫌っているような、平穏無事に満足するってそれはそれで良いと思うし、自分としては嫌じゃない。それも幸せなのだ。

今、周囲に集う年若い友だちや子どもたちに、この作品を渡して感想を聞いたら、みな不思議そうな顔をしそうだ。
クビを傾げながら「なんで、『好きだから音楽やりたい』じゃダメなの? やりたいことに理由が必要なの?」と尋ねてきそうだ。私も彼らには勧めないと思う。
夢の実現ってそんなに難しくない、もっとシンプルだ。
                         2010/1/28


ラベル:浅野いにお
posted by zakuro at 18:56| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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