2010年06月02日

百舌谷さん逆上する 04巻まで

【百舌谷さん逆上する】 04巻まで  /篠房 六郎

東京から5年2組に転校してきた、金髪碧眼少女百舌谷小音(もずやこと)。彼女は百万人にひとりしか発症しない極めて稀な「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」通称「ツンデレ」の持ち主だった。
最初は小音の障害を面白がっていたクラスメイトだが、異常なキレ方で問題行動を起こした小音を皆が無視することで事態は収まる。
樺島番太郎はクラスのガキ大将的存在竜田揚介(ようすけ)に虐められ使いパシリにされていたが、小音に気に入られる。理由は見た目も能力も決して小音の心を揺り動かすことがないから、だった。
竜田はクラスの連中が相手にしなくなっても小音を構う。やがて事件は起き竜田が血だらけで倒れている横に、皆は小音を見た。

月刊アフタヌーン。「こすヨメγ2009」で1位の作品。
なんか大昔にはじめて「時計仕掛けのオレンジ」と「未来世紀ブラジル」の二本立てを中野の名画座で観た後と同じ気分になった。うわーっ。

まず最初にかなり余計なツッコミ入れておく。
障害≠病気だ。ここで双極性障害となっているのでこれは病気ではない。病気は治る定義だが、障害は治らない。遺伝子そのものに影響していたり、生まれつきの何かが原因であることが多く、現代においては症状を抑える処置があれば良い方なモノ、それを障害という。
作中で作者自身が病気としているのは残念だが、一応ここで書いておきたかったのは、障害も治るとの誤解を受けて、現在「治す努力をしていない」と多くの障害者が苦しい差別を受けているからだ。一応記しておく。

さて。オタクに詳しい作者さんの話題の作品。かなり濃い。かなりの爆笑もの。
ツンデレというキーワードをど真ん中に置いただけで、こんなに明後日な展開になるんだ、ウロコだったなー。しかも特筆すべき点は、ツンデレとサディズムをしっかり線引きしているところ。
とはいえ、こんな障害があったらホントに大変。このツンデレの手に負えなさはひたすら同情する(本人はもちろん周囲にも)。
百舌谷小音は頭のキレすぎる(ふたつの意味で)小学生だ。その大人びた口調に共感させられたり、考えさせられたり。上手いなぁー。
「正真正銘のツンデレ」には笑った。

かなり面白いんだけど2巻で少し飽きてくる。ゲテモノ喰いは最初は盛りあがるが続かないのと同じ。緩急って難しい。
でも、3巻では急展開で“やられる”と噂だったのでひたすら頑張って読む。そして違うベクトルに入ってまんまと泣かされた。正直大泣きした。「バカが見るわね」と後ろ指差されてもいいくらい、感じ入ってしまった。

番太郎は見上げた男だ。こういう男と一緒になったら幸せだろうなー。
そして個人的には番太郎の婆ちゃんみたいになりたい。
仔犬の登場では爆笑した。
ドMの師匠にはひたすらやられた。ただお姉ちゃんにぶっ叩かれるだけで7千円って……。あるのかも。ドMの魂深すぎる。この師匠のストラップかフィギュア欲しい。
美沙緒さん、愛の人だ。
後書きとカバー裏最高。

作家さん、ものすっごく内省して、日記やノートに書き込んでいるんだろうな。そこまでしないとこの作品は生まれない気がする。
一見記号的テーマでそこには自分がなさそうなのに、どっぷりとした自己投影が続いていく中、独りよがりになりそうな話をぎりぎりエンタテイメントのエッジに乗せているのはすごいと思う。
失踪日記」と対極にあって、失踪は自叙伝に近いのに突き放したところが身に迫り、この作品と比べると感慨深かった。

この作品、映像で観たいけど、地上波で放映は出来ないよなー。OVAではマニアックすぎて採算取れないし。でも観たい、そういう同志は多いはず。
ファンド作って、一定数のユーザーに達したら制作の仕組みが出来たら良いのに。
                         2010/3/06、3/10UP

《こんなふうにおススメ》
マシンガンスピードで押されまくって、気づいたら落とし穴の居心地にやられる。
新刊読みたい。

4巻/
竜田揚介はオタクな兄にツンデレに萌えを告白。揚介側から見た入院話。
そして黒頭巾。樺島番太郎とのタイマン勝負。樺島はかっこいい男を目指し、揚介は小音を喜ばそうと努力を始める。
そして運動会。クラスはチアをすることに。千鶴の受難。しかし意外な方向に。

このテンポはほんと好き。
ばあちゃん、かっこいい。こんなこと言える年寄りになりたい。
今回は男子がかっこいい、愛おしい。頑張れ、みんな。
指先から出る煙! なつい!
チアリーディング、笑った、倒れそうになった。すでにこの作品を愛してる。
                         2010/5/11


ラベル:篠房六郎
posted by zakuro at 00:00| Comment(2) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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