2010年07月09日

はいからさんが通る (完) 全08巻

【はいからさんが通る】 (完) 全08巻(7巻 + 番外編)  /大和 和紀

大正7年。花村紅緒、男やもめで帝国陸軍少佐の父に育てられたお転婆なじゃじゃ馬娘、怖いもの知らずの無鉄砲、でも恋を夢見るお年頃の17歳。未来の歌舞伎女形の隣人の幼馴染み、藤枝蘭丸にも子どもっぽい無邪気さと微笑ましがられる始末。
女学校に慣れない自転車で登校中、こけて帝国陸軍少尉、伊集院忍に笑われる。ひっぱたいて呆れられ、心中悪態をついた紅緒だったが。その日、父の部下として来宅したその人、ハンサムで将来を期待される好青年伊集院忍こそ、先々代から約束の紅緒の許婚だったのだ。自分の運命は己が切り開く、そう息巻いている紅緒がそれを良しとするわけはない。しかしまだ封建的な時代。しかもクラスメイトで親友の、華族のお嬢様北小路環の想い人でもあったのだ。
戦争に大地震、刻々と変わる波乱な時代の中、紅緒の生き様と、恋を描く。

7巻に番外編の「はいからさんがこけた」学生時代の紅緒のパラレル。
「鷺草物語」鬼島森吾を追って満州に向かった環。鬼島の生い立ち。

番外編の巻(新版では8巻)は、蘭丸の恋。冬星、出張先のパリで紅緒そっくりの少年ベールを助ける。
「杏奈と祭りばやし」戦争に行って戻ってきて知恵遅れのようになってしまったドラこと山崎虎吉。施設送りの小さな女の子を杏奈と名付け育てる。

週刊少女フレンド。名作。子どもの頃に読んだ作品。

やんちゃな女の子が好き勝手に生きながらも、王子様と幸せになる物語。
女の子も自由に自分らしく生きて良いと語りかけた最初の頃の作品かもしれない。
紅緒の明るさ、素直さ、率直さがこの時代の新しい風と相成って、周囲に受け入れられ時代を変えていく。

1巻の奥付、初版が1975年だった。作者の20代前半の作品。
35年も前のなのに、ちっとも古くない、すごい。子どもの頃はよくわからなかったけど、ほんとに良く出来ているなぁ。
下らない子どもが好きそうなギャグをところどころ入れるのは当時のやり方だけど、作品を重く暗くしないために今でも王道としてやっているものは多くある。
小学生の頃に友だちから借りて夢中になって、紅緒と同じ編み上げブーツが欲しくて仕方なかったのを想い出した。懐かしい〜!

ウーマンリブの先駆け、ハイカラと呼ばれる女生徒たちは青鞜を読み耽る。母たる学びを教育する女教師に「バチあたりな思想かぶれ」と叱られるのはさもありなん。
読み方は年齢とともに変わる。たびたび紅緒の酒乱ぶりが描かれるけど、作家さんが酒豪なのだろうな。まだこの作品が描かれた時代は外でお酒を飲む女性は珍しかった。
それこそ思想的に革新を気取る女子がそんな振る舞いをしていた安保時代の後のこと。正社員にはなれない女性が、少しずつ自己主張を始めた時代。

紅緒のはちゃめちゃっぷりは子どもの頃は楽しくて爽快だったんだけど、今はやり過ぎ感が気になって感情移入が出来ない。自分で責任取れない暴れ方だからなんだよね。
ここはすっかり大人というか、親目線。歳取ったなと思う。

全体によくよく練られた、行き当たりばったりではないお話作り。心情の変化を絶妙にストーリーに絡めて無理がない。大御所の力量、さすがだ。
欲をいえば、時代の説明だけでなくリアルな人物が登場しても良かった気がする。例えば伊藤野枝とか尾竹紅吉とか。時代設定として語られる背景に命が宿ると感じた。

紅緒のお父さん、サリーちゃんの父に似てる。
蘭丸は女装男子、しかもメイド服が可愛すぎる。男の娘のハシリだったんだね〜。良い猿回し的存在。描きやすかっただろうな。

少女漫画の王道という感じ。
女の子が運命と定められた相手に反発、でも結局は彼しかいない……王道だよねー。後年の多くの作品に影響を与えたと思う。
今は同じ話をもっと心情掘り下げて読みたい気分。もちろんこのままでも面白い。

新版表記は8巻まで。旧版は7巻と番外編。
だらだら巻が続く最近の作品について、考えさせられた。
                         2010/7/08

《こんなふうにおススメ》
今でも少女漫画を代表する作品。

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posted by zakuro at 16:40| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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