立て続けに自殺者や事故死者を出しているマンモス団地。遺書、動機もなく、ましてノイローゼでもなく……。事件の解決になる糸口は見つからず警察もお手上げ状態。丁寧に調査していった部長の山川はあることに気づく。そして山川も……。
本庁から山川の同期だった岡村が後任で赴任してくる。同時期に小学生の悦子が一家で引っ越ししてきて。
巨大団地で起きる超能力対決。
アクションデラックス。日本SF大賞受賞。
私にとっての初大友作品。これだけは幾度の引っ越しでも売らずに手元に残していた。
初版は1983年。それから30年近く私のそばにこの一冊(&「AKIRA」)はいるわけだ。
その頃すでに作者は時代の寵児。それから全部の作品を読破したが、改めてみてみるとそんなに多作な作家さんではない。
代表作は「AKIRA」。
最近では実写映画「蟲師」の監督など他分野での活躍でも知られている。
この作品、ストーリーよりも圧倒的に緻密な絵に惹かれたのが最初。とにかく衝撃だった。
そして内容の不条理さ。それは生活の中に埋もれていて、じわじわと内部から浸食する気持ち悪さなのだ。決してオカルトではなく、どちらかといえば乾いている。
何度再読したかわからない。ほとんど暗記している。大事すぎてなかなか感想が書けなかった。
このノックを始めてからは再読していない。4,000冊読んだ後に読み直しても震えるくらい面白い。うーむ。
映画を観ているよう。奇想天外の話でも、自分もその中に吸い込まれている。
余計な感情表現もないのに、痛みがひしひし伝わる。
絵だけではなく、構成もお話も立体的なのだ。
悦子の逞しさに救われる。この子を育てた母は偉大だ。
彼女が大人になってからの物語を読みたい。
2010/8/15
《こんなふうにおススメ》
日本の漫画を代表する一冊といっても過言ではない。
ラベル:大友克洋