2011年02月22日

惑星のさみだれ (完) 全10巻

【惑星(ほし)のさみだれ】 全10巻  /水上 悟志

騎士の一人として世界を滅亡から救うために力を貸して欲しいと頼まれた、大学生の雨宮夕日(あまみやゆうひ)。相手は人間の言葉を話すトカゲでノイ=クレザント卿と名乗り夕日の従者だという。戦う相手は“魔法使い”のアニムス。この惑星を砕くビスケットハンマーを阻止するのがミッション。
突然の出来事に夕日は、ただの学生が地球侵略者に勝てるわけがないと相手にしないのだが、そこを魔法使いの泥人形に襲われる。それを助けてくれたのはなんとお隣さんの女子高生朝比奈さみだれ。トカゲ曰く、彼女が護られるべきプリンセスアニマ、“お姫さま”だと言う。さみだれの姉氷雨(ひさめ)は雨宮の大学の助教授で、極度のシスコン。そしてさみだれ自身も心に魔王がいて野望を抱えていた。
「私のものになりなさい」 夕日はさみだれに忠誠を誓い、トカゲの騎士となる。
犬の騎士、東雲半月(しののめはんげつ)。カラスの騎士、東雲三日月。馬の騎士、南雲宗一朗。蛇の騎士、白道八宵(はくどうやよい)。黒猫の騎士、風巻豹(しまきひょう)。亀の騎士、月代雪待(つきしろゆきまち)。亀の騎士、星川昴。ネズミの騎士、日下部太朗。カマキリの騎士、宙野花子(そらの)。フクロウの騎士、茜太陽。カジキマグロの騎士、秋谷稲近(いなちか)。一癖も二癖もある騎士たちが向かう惑星救済物語。

少年画報社のヤングキングアワーズ。
長いこと「惑星(わくせい)のさきみだれ」と読んでいて、勝手になんでか海の萌え漫画だと思い込んでいた。
同じように「ハチワンダイバー」もバトル漫画だと思い込んでいて、知り合いに「何言ってんですか、将棋漫画ですよ」と驚かれ、こっちもえらく驚愕してしまった。
何かのきっかけに脳に誤ってインプットされているんだね。糸井重里ふうに言うと「聞きまつがい」「覚えまつがい」なのだが、それはそれで面白いので放っておこう。

さて、「こすヨメγ2010」にて2位の座を獲得した作品。昨年も入ってた。
そんなに面白いんだー、読まねば、と手をつける。

で、内容。
なんだろう、この爽快感は。痒いところに手が届いた感じ。安心して楽しんでいられる。それってすごいよな。
「ありえないよねー、こんなこと」って展開にちゃんと主人公がツッコミ入れてくれるし、夕日がさみだれに巻き込まれる流れに違和感を感じないで楽しめる。「よくある巻き込まれ型のお話の主人公は、相手にペース握られるからダメなんだな」 こんな真理を言っていたにも関わらず、だ。
出版社希望の記号は取り入れているのに、お約束的な不文律はどんどんぶっ飛ばしてくれる。本来のちゃんと漫画を描きたい作家さんの夢を担ってる気がする。
コメディじゃないのに軽く笑いもあって、漫才みたいに絶妙なテンポ。
巻が進むにつれて正直、こんな話になると思わなかった。揺さぶられる。
なるほどなー、漫画読みってこういう作品選ぶんだ。面白い。でも、この面白さって実はマニアックなんじゃなかろうか。
話がカバーする範囲も広い。バトルファンタジーかと思いきや、ディープな内面も扱って深く潜るように見せかけて、軽妙に本筋に上手く絡めていく。そうなんだよね、一見普通っぽかったり、良い人そうでも、実は誰でも深いところに歪みはある。そしてそれは優しく、温かかったりする。人の感情はとても複雑で薄っぺらくない。そこが愛おしいのだ。その内面をあえて台詞として描かずに、みっちりストーリーの中に組み込む手腕。なんでこんなふうに描けるんだろう。
人を喰ったような台詞もなんとも。気怠い毒に心地良く浸食されていくような感じ。うぅむ。この用意周到なプロットには唸るしかない。
この作家さん、相当な漫画読みなのではないだろうか? そして“視える”人なんじゃないか?(わかる人だけわかればいい)
これは漫画読みでないと面白さは半減かも。タイミングといい、笑いのツボといい。本来は脇役キャラの特徴を持った夕日が主役にくることで、心地良い歪みまで起きる。いやー、巻数を重ねれば重ねるほどはまる。こういう作品を読んでかないと漫画読みの醍醐味ってないよなーと思うくらい。そろそろ丁寧に作品を選んで読んでいってもいいのかもしれない(ただ今3,070冊)。

放課後保健室」を思い出した。この作品から笑いを外すと「放課後〜」になる。これに笑いがつくこと自体が神作品だよ。「ぼくらの」のイメージもある。

トカゲのノイさん最高。真っ当なツッコミが爆笑もの。ノイさんのぬいぐるみ、ほしー。
さみだれ、すげー。
「答えは、全知が語る事実ではない。心が語る真実だ」 唸った。
2巻のラストと、師匠の言葉に泣けた。巻が進むにつれて泣けて泣けて仕方ない。
主力メンバーが死んでいくのは、ほんとに心が痛む。感情移入を充分にしちゃっているし。でもこの気持ちを抱えることが大事なんだよなー。
なんでみんな日本人で、同じ町内会(くらいの範囲の狭さ)なんだろうとか、ツッコミどころはあるけど、面白いから別にいいや。

8巻、ちょうどクライマックス。このタイミングで追いつけてラッキーだった。
                         2010/1/10、1/12UP

《こんなふうにおススメ》
いろんな作品に不平不満の漫画読みさんへ。

9巻/
アニムスとアニマの過去。ビスケットハンマーの真実。はじまりとは。ラストバトル。

次巻で終わりだそう。変に先延ばししないのも好感。
それにしてもすごい作品。エゴによる哀しい話だったとは。さみだれの強さは超エゴなのか、それとも完全放下なのか。
良い言葉だ。「道は確信が創る」
夕日が過去の自分を拾いながら走るシーン、思わず泣けた。
次巻は心して向き合いたい。
                         2010/6/21、6/22UP

10巻/
隠しボス戦。黒龍(インビジブル)出現。そして終わりに。

まさか…そうくるとは。
こんな愛もあるんだな。もう泣く。涙しかない。私も、声あげて泣きたいよ、太陽〜。

この作品に出会えて良かった。好きだー!
タイトルの意味、いろんな伏線も回収してくれ、作者の読者への愛も感じた。

完結記念特別小冊子にも爆泣した(感動的意味で)。皆さんの萌えツボが納得で嬉しい。
白道姐さん、愛され過ぎ。おがきちかさんの、本編かと思ったっ!
                         2010/11/10

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ラベル:水上悟志
posted by zakuro at 17:36| Comment(2) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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