2012年04月30日

潔く柔く (完) 全13巻

【潔く柔く】 全13巻  /いくえみ 綾

瀬戸カンナと春田一恵(ハルタ)は、同じ団地に住む幼馴染み。カンナは誰もが振り向く美少女で、ハルタもイケメン男子で女子からの人気も高かった。同じ東高校に入学、同じクラスになる。ハルタはカンナに「離れられない運命」と告げる。
カンナにうっかりぶつかったボールが縁で、ふたりは、真山稔邦(としくに)と川口朝美の幼馴染みと仲良くなる。4人で連む日々が続き、マヤはカンナに、朝美はハルタに恋をする。
ハルタはずっとカンナに想いを寄せていて、祭りの夜、カンナに「行く」とメールした時に事故に遭う。カンナはマヤと会っていた。ハルタの死を境に皆が変わっていく。
赤沢禄(ろく)は、小学生の遠足で、つきまとっていた柿之内希実(のぞみ)とともに車に跳ねられ、希実は亡くなる。
失った人への想いをそれぞれが抱え、そこに関わる人々との関係をゆるやかに描くオムニバス作品。

13巻番外編は、「誰かが私にキスをした」。
原作は、ガブリエル・ゼヴィン。映画のコミカライズ。
インターナショナルスクールに通う宿世直美(すくせ)は、学校の階段から落ちて過去4年分の記憶を失くす。目が覚めて最初に会ったのは三輪佑司。

集英社、Cookie。

メインはカンナと禄。
大事な人を失った、残された人々の苦しみ、それが物語を繋いでる。リンクしている人物たちが入れ替わり主役になって話が進む。

うわー、やられた!
途中まで、よくわからなくて「すっごい評判良いのに、なんだかなー。私にはわからない面白さなのかな」と疑念を持ちながら読み進めていた。止めないで良かった。
まるで、ヴィム・ヴェンダースの映画のようだよ。アート過ぎて最初は眠くて、それでも頑張って観ていると、後半30分で面白い展開に畳みかけてきて、一気に伏線回収、最初と全部繋がって、納得して大感激し、もう一度観直したくなる、あんな感じですよ。
時系列に沿っていないのと、最初は人物相関図を頭に入れて整理するのに手一杯なのだ。

一言で言えないけど、敢えて言ってしまうと「人に歴史有り」。
神様とまではいかなくても、例えば仏教では如来とか、菩薩まではいかなくても、天部あたりで俯瞰な眼で私たちの世界を観てくれると、こんなふうに人々は細く緩やかに繋がっていて、まるで触手のように浸食したり、色が溶け合うように影響し合っているんだろうなと感じる。そんな人々の人生の一遍を、絶妙な織り成し方でタペストリーのように繋げていく。「生きている」って、こういうことなんだろうと感じる。

ジグソーパズルの断片を、遠いところから埋めていって、少し絵が見えてくると、恋愛が軸になっていると気づく。
しかしそういう感じがほとんどしないのだ。生き方というか、存在そのもの。掘り下げるというより、奥深くが吐露される感覚。読後、かなり自分を持て余してしまう、そんなふうにじわじわとくる。うまく感想が書けない。

飾りがない素のままの女子たちが描かれる。なんか女子校みたい。
4巻で、笹塚一恵の「人を救うことなんてできやしないけど、自分くらいなら救える。あたしはせめて、あたしのことを救おう」に、すとんと落ちた。9巻、朝美が家庭教師をしている小学生の瑠璃がかなり大人で、可愛い。

たゆたゆと繋がっていた話が、カンナと禄が出逢ってから、一気に面白くなる。ここがヴェンダース的残りの30分になる。
カンナと禄のその後も是非に読んでみたい。

生きるって想像力だ。心の、潔く柔い人になりたい。
ノック終わってから、またしみじみ読みたい。さすがの大御所。ベテランならではの秀逸な作品と思う。こんなのが読みたかった。
                         2012/4/08、4/30UP

《こんなふうにおススメ》
小説的なんです。
これを漫画、しかも連載で綴る技量に感服。さすがとしか言いようがない。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:いくえみ綾
posted by zakuro at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月29日

コスプレ刑事 (完) 全06巻

【コスプレ刑事(デカ)】 全06巻  /堂本 奈央

桜谷署交通課の婦人警官、東立夏(あずまりっか)は、無鉄砲に自身の正義感基準で何にでも首をツッコみ突進していく、まだまだ子供な19歳。ダサい制服をカスタマイズしミニスカにして、真っ直ぐ気質の男勝りな美女。
先輩同僚の東大出セレブで妹系な森宮愛とパトロール中に、「警官のコスプレ」と間違えられ通報されて。駆けつけたのは、同じ署の刑事課の、熱血男で正義漢な高屋大輔と、理性と知性派の樹英嗣(いつきえいじ)。
二人に呆れられ、気を取り直し入ったトイレで立夏は、強姦され茫然自失状態の女子高生長谷川真由を保護する。被害届は出されていないが、立夏は悔しくて、ルームメイトで同僚、警務課の藤民子のセクシー服を借り、単独おとり捜査に出かけてしまう。
元甲子園球児で情熱的な大輔と、東大エリート頭脳明晰でクールに落ち着いた英嗣、大輔と知り合いで立夏を通報したインテリアデザイナーの小西悠貴(ゆき)も交え、勢い一直線の立夏をハラハラ見守る、立夏のハーレム状態の恋の行く末……。

小学館のCheese!
さすがのCheese! エロい。
グラマラスな立夏のきわどいコスプレを楽しむ作品。

話の回し方は、この作品がこの作家さんとの初の出会いなら苦手だったかも。
BL作品でよく知られている作家さん。
前にもどこかで書いたけど、初期設定の縛りがこの作品にも影響してしまった。BLはそもそも障害が多い恋なので、割合に早めに主人公たちは恋人になる。そこから先の難関を手に手を取って乗り越えるのだ。少女漫画は、カップルになるまでがキモ。
つまりBL設定だと「君に届け」は単巻終了作品だよ。
だからBL作家さんが一般に入ってくると、そのあたりのじれじれ感情がうまくまとまらず読者の感情移入まで引き出せないのかも。
大輔も英嗣も自覚早すぎなんだよ、気持ち育ててー! とツッコミをなんども入れる。
しかし、受(BLでの女役)の心情描写で定評のあるこの作家さん。ウブな立夏のじれじれは上手い。
でも読者としては、三人のイケメン気分で立夏を見ちゃう。立夏として彼らのカッコ良さに感情移入できないのが悲しい。
一般漫画の構成力って、難しいんだなー。

そして話もただいま若干迷走中。本来のこの作家さんの持ち味に戻っただけ?


先日、遡って、えのもと椿さんの初めての単行本を読んで、「高校生でこれだけ描けて、なんで少女漫画でなくBLだったんだろう?」と素朴な疑問から調べたら、別名の堂本奈央さんとして今や一般漫画家としても活躍していることを知った。おっそ(←と、自分にツッコミ入れたい)。

両ジャンルにわたる方々は三つに分かれる気がする。

アニメ化された「おとめ妖怪ざくろ」の星野リリィさんや、かなりの注目度で売れっ子作家の水城せとなさんに今市子さん、実写映画化された「大奥」のよしながふみさんのように、BLと一般の別け隔てなく活躍中(BLジャンルで修行や実験を繰り返して一般で花開かせる、みたいな)の方々。
確信犯的にその道から進んで売れた中村明日美子さんやヤマシタトモコさん、びっけさん、山中ヒコさんらはますます注目どころ。
BL作品の内容も良いのでこれは言い過ぎですが、BLジャンルを踏み台的にも使って成功した気もする。

そして第二のパターンは、ドラマ化された「マイガール」「ほしのこえ」の佐原ミズさん(BLは夢花李)、「リストランテ・パラディーゾ」(フジテレビ系でアニメ化)のオノ・ナツメさん(BLはbasso)、「セキレイ」(アニメ化)の極楽院櫻子子さん(BLではさくらあしか、一部極楽院名義もあり)や坂井久仁江さん(BLは国枝彩香)、松山花子さん(BLは九州男児)、つだみきよさん(BLは蔵王大志)のように「別名使い分けの方々」もいる。
絵を見れば一目瞭然だけど、あえて別名にしてそれぞれに侵食させていない。

また、三つめのタイプがいる。
できるだけBLも描いているのを隠したいように見受けられる人で、積極的に公表しない、例えば「サマーウォーズ」の杉基イクラさん(BLはくおん摩緒)、榎本ナリコさん(BLは野火ノビタ)、佐々倉コウさん(BLはヤマダサクラコ)らだ。
プロフすら隠していて、この堂本奈央さんも実はえのもと椿としてかなり売れっ子作家さんだとは、wikipediaには載っていない。

こんなふうにそれぞれの立ち位置で、どう漫画家としてあるか、彼女たちの思いが透けて見えて面白い。

両ジャンルで活躍は他にもたくさんいらっしゃいますが、多すぎて割愛。
もしかしてここらへんの事情も知らないと、すでに少女漫画を語るには社会現象的にも偏ってしまうのかも。男子もBLを読んでみたらいいと思う。


それで、この作品について。
えのもと作品は、王道の丁寧な作りの作風から始まって、マーケットに沿った萌え系の作風に変わっていった。えぐいほどそこが巧みだったので、「自分の持ち味と強みをよく理解している、頭の良い作家さんなんだろうなー」との印象が強かった。
なので、少女漫画家として、に興味があった。

タイトルからしていかにも。
場所は渋谷設定だけど、あんまり活かされていない。
少女漫画好みの読者にはどうかなと感じる絵だけど、萌えツボ押す手腕は健在。
根っからのBLファンは、大輔と英嗣、悠貴の絡みのほうが楽しいかも。テンポも良くなるし、主役の立夏周辺よりもスムーズに話が進む。ここらへんは作家さんの計算な気が。ってか、そっちのほうが安心して読んでいられるのが怖いよ。

でも、本編の合間にあるおまけ漫画のほうが面白いってどうよ。
キャンディーポリスの話みたいなのが一番面白いのもどうなのよ。

立夏の空気読まないバカ素直さは、かつての自分と重なって痛かった。こういう揶揄できないほどの正義って、実はもっともタチが悪いんだよね。正しいことには人は文句つけられないから。
そのテーマに、正反対の性格の悠貴のモノローグが興味深かった。
水城せとなさんがこういう描写、巧いよね。

1巻後書きに知り合いが出てきてすごいビビった。
                         2011/1/20

《こんなふうにおススメ》
少女漫画しか読んでいない人には読みにくいかも。これからの展開に期待。

6巻/
人助けから、知らずに賭けプロレスに出る羽目になった立夏は、試合の途中、衆人環視の中で脱がされそうになる。樹が駆けつけコトを納め、叱られながらも気持ちを確認、付き合うことになって。いよいよ処女喪失? まだまだお子様な立夏は、刑事になる夢を咎められ、駄々をこねたまま樹の元を飛び出してしまう。
樹が誘った温泉旅行で、痴漢事件を見事に解決した立夏を樹が見直し、結ばれるが、まだまだ波瀾万丈なふたり、という完結。

最後は駆け足。
まあ、好きな作家さんだから、読者目線も甘々な感想。立夏が可愛くて良かったねという。
ラストの巻はもうエッチなシーンのてんこ盛りで、最近のティーンズラブコミックスの過激さを思う……しかし、ストーリーは心に残りそうにない。
                         2012/3/20、4/29UP

【コミックス】

ラベル:堂本奈央
posted by zakuro at 03:46| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月28日

モノノ怪 (完) 全02巻

【モノノ怪】 全02巻  /蜷川 ヤエコ

武家の坂井家。当主の娘、真央が輿入れの日、薬売りが屋敷を通りかかる。真央は財政傾いた坂井家を助けるために、塩野の家に嫁ぐのだ。女中の加世は好奇心旺盛で、薬売りを屋敷に入れる。鼠ばかりがやたら多い屋敷。真央が屋敷を出ようとするとそのまま頓死してしまう。薬売りが疑われるが、次々と怪しいことが起きて……。

ヤングガンガン。

フジテレビ、ノイタミナ枠で放映された「モノノ怪」(2007年7月〜9月)の前作「怪 〜ayakashi〜」(2006年1月〜3月)の中の一作、「化猫」をコミカライズ。

アニメは本当に美しく出来ていて、クリムトの絵を眺めているように幸せだった。あんな風な金使いをアニメで観られるとは思わなかった。
情緒たっぷりで、日本の美しさ満載で、日本人に生まれて良かったとさえ思えた。
この漫画作品も、その情感美しさを生かした素晴らしい絵とデザイン、この作品特有の独特の世界観でとても楽しめる。
アニメから観た方が入り込みやすい。

この作家さんの他の作品も是非読んでみたい。
特筆すべきは、猫の描写。可愛すぎて悶えた。

ブルーレイ欲しい。限定版のDVDは高値がついていて、もはや伝説と化している。
                         2011/8/11、4/28UP

《こんなふうにおススメ》
不可思議な物語をのぞき込みたいかたに。

この作品に触れたのは、まだ生まれたばかりの「ニコニコ動画」で、こんなMAD動画を観たからです。
編集、ホントに素晴らしいですよね。感動しまくりで、実は秋葉原で、ジャパニーズコンテンツに興味いっぱいの頭の固いおじさま方へのプレゼンに使わせてもらいました(すみません、汗)。「○ィズ○ーなんて、メじゃないですな」と、皆さま感心しきり。
もう5年も経つのか〜。しみじみ。



オリジナルニコニコ動画はこちらから →

【コミックセット】


【コミックス】


              こちらは、伝説になっている限定バージョンDVD。
【ブルーレイ】       すごい価格!欲しいけどムリ!
    
ラベル:蜷川ヤエコ
posted by zakuro at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月27日

に【蜷川ヤエコ】

【蜷川 ヤエコ】 にながわ やえこ

モノノ怪
ラベル:蜷川ヤエコ
posted by zakuro at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家別【な行】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月26日

コンシェルジュ (完) 全21巻

【コンシェルジュ】 全21巻  /藤栄 道彦(原作/いしぜき ひでゆき)

川口涼子22歳。就職活動が全滅で浪人を覚悟した時、ホテル大手のクインシーグループに滑り込む。就職先は東京の汐留にある「クインシーホテル・トウキョー」。
駆け出しのコンシェルジュになった涼子と、先代オーナーがNYから日本に連れ戻し、考えだすとあちこちにぶつかるチーフコンシェルジュの最上拝(もがみはい)との奮闘記。
そこに支配人の笠井信男や、現オーナー社長の松岡俊一郎らが絡む。
経験値の詰まった“魔法の手帳”と思い遣りでお客様を虜にし、そこからそれぞれが学び次のステージへと上がっていく感動物語。

読み切りで、1話ごとに感動のコンシェルジュの“魔法”がある。
日本ではまだまだ知られにくいコンシェルジュの仕事もとてもよくわかる。
連載が始まった当時はまだ汐留にホテルはなかったから、パークホテルやコンラッドがモデルというわけでもなさそう。
リッツ・カールトンやフォーシーズンズからも引き抜きがあった設定の最上は世界一級レベルの一流のコンシェルジュと言える。
名コンシェルジュの多桃子さんのファンな私はこの作品を読むのがずっと楽しみだった。カラダがいくつもあるのなら、こういう仕事をしてみたいと憧れる。

コンシェルジュとは、サービスの魔法使い。
究極のサービスを提供するコンシェルジュはお客様の要望にはNoとは言わない。そして提供したサービスが、その相手への想い出作りになっていく、それがコンシェルジュの最大の仕事かもしれない。それは相手に対しての愛情の深さとも比例する。
人が感動する場所に居合わせるのは泣けてくる。人との関係をなくして、人は生きられない。それがこの作品のテーマ。
こういう作品がもっとヒットして欲しいと思う。

かつて仕事で関わったホテルが掲載されていた。愛情をもってその仕事をしていたことも憶いだせた。当時、一緒に仕事をしたホテルマンからこの作品を勧められたのだが、漫画を読む習慣を持っていなくて……残念。

作品はできれば等身大の普通のコンシェルジュの姿を描いて欲しい。一時、だんだん大掛かりなあり得なさそうな話になって残念な気持ちがしたが、やがて日常にありそうな話に戻ってほっとした。漫画だからドラマチックに派手にならないといけないのかもしれない、けれど地味でもじんわりくる作品を目指して欲しいと勝手な希望。

ユニフォームの話は現場のコンシェルジュから聞くのに近くて泣けてきた。
頭ごなしのエコロジストを巷ではエゴロジストと呼んだりするけど、思い込みだけの無農薬信者に一糸報いていて、自論を持つならとことん調べなければと思わせる。表面的な知識だけの無知って怖いなあ。

社長の松岡はどんどん人間味が出てきて、こういうオーナーならと思わせるところが良い。
女優の貴梨花はキャラは好きだけど出し過ぎ。話の展開に困った時にうまく立ち回るキャラとして定着しているが、売れっ子ならあんな暇はないはず。マネージャーが一度も出てこないのも不自然。
個人的に小姫の恋を応援したい。涼子の成長には涙。

グロリアの朝霧花織の考え方は私に近くて、もうひとつ考えさせられたこと。
どこまでサービスするか、やって差し上げられるか。信念や領分を越えてまでするのか? お客様に合わせたサービスの質とは? 
ここは今の私のレベルではとても難しい。この答えはまだまだ個人的に考えていきたいと思った。
読めば読む程「おもてなし」の難しさがわかる。そこまで踏み込んでいるのは嬉しいし、この作品に敬意をはらいたい。

ちなみに涼子はコスプレ要員なのが笑える。
以前ならスカート短すぎ!って怒ってたけど、これも漫画に必要な萌え要素なんだろうと今は笑っていられる。少しは成長したのかなぁ(苦笑)。
                         2008/8/24、8/26UP

《こんなふうにおススメ》
仕事をしているすべての人へ。
今後の産業を支えていくのはサービス業と言われて久しいけれど、サービス業についてはっきりヴィジョンを持っている人は少ないと思う。おもてなしの心とは何か、学ぶのに参考になる作品。

13〜16巻/
13巻。クレーマー。ロボットは人を超えられるか。古代エジプトの王様をおもてなし。目利き。
14巻。武闘家の意地。父娘将棋勝負。涼子たちは休暇で北海道旅行。経験とは。
15巻。プロポーズ。珍味三昧。神戸と交換研修。客を楽しませようということ。
16巻。そば打ち。わかる人にわかってもらう仕事。家庭の味。お菓子作り。

新刊まで追いつけていない。
忠犬型のMじゃないとコンシェルジュって勤まらないよね、そう思うようになった。
ここに描かれるのは人。人と人。家族や仲間。そこに感動がある。
少しあざとさが出てきたのは残念。ここはコンシェルジュが口出すところじゃないんじゃない? と、やり過ぎ感も否めないが、そこは漫画ってコトで。
小姫さん、ほんとすごすぎ。
                         2010/7/19、7/20UP

17〜21巻/
17巻。雨月物語。フェアレディZ。誇大広告とサンプル。拡張自我。目利き貧乏。
18巻。漫画家を目指す。ビオトープ。ホテル・サンライズヒル・ニューヨークとの提携。生マグロの競り。涼子はNYで一年間の研修要員に。新しい地での奮闘。
19巻。ホテル・サンライズヒル・ニューヨークで奮闘する涼子。ジェイク・ジョンソン。格差のある国。詐欺師。部下の信頼。
20巻。当たり屋とスタントマン。キャラ弁。婚活パーティー。
21巻。完全なる芸術作品。恩人の真の姿。心理士の企業アドバイザー、九音響也登場。アメリカ大統領のために。最上の娘、優菜は生きていた。

毎回それなりにまとまっていて良く出来た作品と、今更ながらに感心。学ぶこと、多い。読後の自分にも影響を与えてくれる。仕事のヒントももらった、感謝。
よくありがちな、善は正義というテーマでなく、癖のあるキャラたちが悩み惑い、時には嘘さえ吐く。そんなふうに、答えのでないコトを抱える姿が良かった。
ルーティンの生活を愚痴った客に「舞台の役者は何回も同じ演技をしてその都度感動させる」と言った台詞に感動する。人生に価値を見いだせるかは、 見る人の心ひとつ。

「すべてのお客様に同じようにのめり込み、同じ愛情を注ぎ、失敗したら深く後悔し傷つき、なおかつ他の仕事に影響出さない」
理想だけど、痛みは降り積もりそう。そんなキャパがあったらこんなにも悩まない。

なんだか現実にいる人を彷彿させるキャラは、大丈夫なのかドキドキする。
ドロシー気になる。
日本人の作るお弁当の芸術はよくわかる。
NY編は、日本人のきめ細やかさが出る。そしていろんな階層の人々がいるアメリカだからこそのやり方も理解できて興味深い。ディズニーの成功の理由がよくよくわかる。
大統領の孫娘のくだりは、究極のコンシェルジュ像で感動。良い作品だったと思えた。

急に風呂敷を畳んだ感じと、そして続シリーズは原作者が原案になっているので、大人の事情なんだろう。
続シリーズは、九音響也が主役。
                         2012/4/21、4/26UP

【コミックセット】


【コミックス】

posted by zakuro at 00:18| Comment(1) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月25日

僕と彼女の××× (完) 全08巻

【僕と彼女の×××(ぼくとかのじょのペケ3つ)】 全08巻  /森永 あい

誰もが振り返る絶世の美少女、その実はがさつで下品で乱暴で、誰からも敬遠されている女子高生、桃井菜々子。クラスメイトの上原あきらは、見た目はカッコ良いが、気弱で地味で大人しいともっぱらの評判。泣き虫で繊細で几帳面なあきらは、そんな凶暴な菜々子の性格・人格を知りながらも、運命の人と憧れ、恋していた。
ある日、学校を休んだ菜々子にプリントを持って行ったあきらは、菜々子の祖父でマッドサイエンティストの萬造に人体実験されてしまう。実験は失敗し、あきらと菜々子は中味が入れ替わってしまう羽目に。
男らしくなり頼りがいのある青年になったあきら、儚げで優しい美少女になった菜々子を注目し始める友人たち。菜々子の親友の椎名真琴は、そんなあきらを好きになってしまい、ふたりはつきあい始める。あきらの親友、千本木進之介は菜々子を口説き。本物の上原あきらの恋の行方は。

「ぼくとかのじょのペケ3つ」と読む。
月刊ステンシルから月刊コミックブレイド。さらに月刊コミックブレイドアヴァルスに移籍。
巻数は8巻だが、2001年2月からの10年の連載期間。ファンの方、お疲れ様です。
番外編がWebコミックになって2012年6月からスタートとのこと。

TSもののラブコメディ。
このテーマは古くからあって、映画では小林聡美が主演の「転校生」、漫画作品では弓月光が懐かしい。最近はわりと多く描かれていて、ひとつのジャンルになっている。

たいていの作品は入れ替わったことで、はちゃめちゃな事件になる顛末だが、今作は外見と中身が一致して実は周囲はHAPPYとなる……上原あきらの気持ちを除いて。早く元の身体に戻って、本物の桃井菜々子と恋愛したいのは、あきらだけ。と、いうもの。

今までTSって“ファンタジー”として面白いのかと思っていたけど、アイディンティティに直結する、ジェンダーフリーならではの深いテーマなんだな〜と感慨深かった。
見た目と中身。それがばらばらになっても、個として認め、受け入れられるか(受け入れてもらえるか)。何をもって自分自身とするのか。何をもって好きで、何をもってダメなのか、などなど。男女入れ替わったら、ホルモンバランスで性質は変わっていくのかとか(性同一性障害から性転換治療になると、ホルモン投与していくわけで、そうなると多少なりとも人格に影響は出ると体験した人から聞いた)。人は何をもって人を好きと認識するのだろう?
そして「大奥」でも描かれるように、男女逆転することで見えてくる思い込みがパラダイムシフトする。

さすがに10年間の連載なので、絵は若干変わっているものの、テンションはそのままで楽しさもぶれない。すごい。キャラも古くなっていない! 読みやすいしホントに楽しい。

内容とは逸れるけど、面白くて大好きな作家さん。表紙は変わらずに「変」で安心。
女の子は可愛らしいし、とくに執念深い鬼畜系男子(でも根は優しい)を描かせたら天下一品だと思う。今回は千本木が担っていた。きっと作者はドMと思う。
                         2012/3/10、UPは全巻一緒。

8巻/
遊園地でスコップも無事に救出。あきら(中味)の千本木への気持ち。あきらは桃井に、本当はずっと好きだったことを告白。今の姿のままで暮らすことを決めるが、スコップ拡大の際にまた入れ替わってしまい。椎名にバレるが、前の入れ替わりまでは気づかれず。嬉しい反面、千本木の顔がチラつく。

ラスト巻。そっかー、どんなふうな終わり方か気になっていたけど。ラストは連載と、単行本では違っていたらしい。連載分を読んでみたかった。番外編で結着つけるんだと思う。
                         2012/3/25、4/25UP

《こんなふうにおススメ》
ラブコメ読んで笑いたいときに。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:森永あい
posted by zakuro at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

当て屋の椿 06巻まで

【当て屋の椿】 06巻まで  /川下 寛次

江戸。絵師の鳳仙(ほうせん)は本業の絵では食べていけず春画を描いて生計を立てている。しかし、その仕事を通して女の業を知ってしまい、以来女が苦手。
春画の手本に、売れっ子歌舞伎役者の瑠璃丸と愛人の悦をデッサンしていた日、帰途の悦が惨殺される。
鳳仙はあられもなく泣く悦の父親を見て、失った彼女の耳を取り戻そうと、同じ長屋にいると聞いた何でもさがす当て屋の女を訪ねる。
しれっと屈託がない娘、しかし理屈が好きで頭の切れる椿は男嫌い。そんな椿と鳳仙に、椿の幼馴染みの吉原の巫女と呼ばれる篝(かがり)、女医の竜胆(りんどう)らも協力してのお色気ミステリー。

ヤングアニマル。
書店で平積みになっていたので気になっていた。開いたらお色気系。

絵はキレイで、女の子は可愛いし、絵では嫌われない。ヘタレ男に、活きのいいツンデレ女もお約束。
お色気系ではありながら、話の骨組みはしっかり作ってあって面白いし、読みやすい。設定に反映される考え方には共感できないけど、世界観は面白いと感じる。

最初の話は短編だった作品。まとまって良くできている。
かなりグロいので苦手な人は要注意。

ただ個人的には、萎えることも。
着物で巨乳を見せるのは遊女だ。帯の結び方も。着物の描き方は最低だけど、お色気が先にたつ作品なので仕方ない。まあ、それだけでHPが半分になる。

椿は可愛いけど、品がなさ過ぎ。お転婆を超えている。
それがクリアできれば、かなり好きな作品に入ったと感じるほど、面白いのに。

篝は今でいうAV女優的な萌えなのかな。
「現(うつつ)は面倒くさい」は同意。
いろいろ言ってはいるが、続きが待ち遠しい。
                         2009/9/22

《こんなふうにおススメ》
着物は好きなのでこだわりますけど、それを除けば面白いです。
エログロ、嫌いな人は要注意。

3巻/
男子禁制の尼寺で笹百合が妊娠。椿はまんまと入り込みその秘密を暴く。

この掲載誌でしか扱えない話だと思った。エログロ健在。だから表現出来ることもある。表現出来得る場所の価値を最大限に活かす。そういった立ち位置の理解って大事なんだな。

人ゆえの哀れ。実感する。
「尼寺に潜む怪物」は泣きそうになった。

登場人物の表情がさすが。
メインはみな花の名。
面白さは加速。着物云々も気にならなくなってきた。これからも楽しみ。
                         2010/2/25、3/01UP

4巻/
長屋に鳳仙を訪ねてきた深山(みやま)。糧のために生きるとは。“八方睨みの猫”を描くよう依頼され、養蚕業の家に滞在する。女中の薺(なずな)の姿が消え、椿がやってくる。

エログロスプラッタ、しかも人間の闇と哀しみも描いてえぐい。それらのどれもが苦手なのにこの作品は毎回期待しちゃう。この恐怖は幼い頃に楳図かずおを初めて読んだ時に感じたのと同じモノだ。面白いんだけど、読後感は少し鬱。
ほんと絵上手いなぁ〜。
この作家さんの描く女性はどこか幼さが残って、男性に逆らわなそうな感じ。そこがまた良いんだろうなー。ツボというか。さすがだ。
保食神が蚕の起源神で、鼠の天敵の猫を敬うのは納得。
ラストに泣けた。このまま巻ごとに話が完結で進んでほしい。
                         2010/8/31、9/01UP

5巻/
虎が雨に走る夢。ツキと呪い。神隠しの山。

ちょっと回りくどい描き方は否めないけど、絵も素晴らしいし面白い。うーん、お色気系でなければ、もっといろんな人に薦めたいのに。
                         2012/4/06、UPは6巻と。

6巻/
茜の過去。猫と、死者に殺された小姓。薄衣の女。

「神の棲む山」は今まででもっとも切なかった。たたらの話。手を打って理解したことが多い。「土壌掬い」だったのか。
死の臭いの付きまとうこの神話にはずっと興味がある。出雲から来た金屋子神は、諏訪や東北で知られるけど、たたら場には必ず登場する。編集されてしまってわかりにくい神様でもある。諏訪の上社の御頭祭で75の鹿の頭(今は複製で45頭)を供えるが、これは75柱下った神様と代わりと言われる説があるし、ヤコブと親族75人からイスラエルの親和性を語られることもある。そんなことも滲んでいて面白かった。
私には面白いけど、心情的なものも含めてわかりにくい話ではある。この辺りは漫画では「新・変幻退魔夜行 カルラ舞う!」に詳しい。

だんだんと禅問答みたくなってきた。
一時の欲望が運命を狂わせる。不条理。この作品は「人間とは愚かなのだ」と突きつけてきて苦しい。何をもって幸せというのか、最近そんなことばかり考える。

女医の竜胆の話に頷く、体調不安の私がいる。
ホントに面白いんですよ、もっと読まれて良い。まとめて読まないとわかりにくい。
                         2012/4/10、4/24UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:川下寛次
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2012年04月23日

聖☆おにいさん 07巻まで

【聖(セイント)☆おにいさん】 07巻まで  /中村 光

世紀末を無事に越えられた、ブッダとイエス。
ただ今下界は日本の東京郊外、立川にてアパートをシェアして休暇中。
ふたりの、お上りさん的にはしゃぎまくる、ふんわりした日常をコミカルに描く。

モーニングスーパー増刊。モーニング・ツー。

原宿駅の広告にどデカく、これ、あるんですよ、今。前から気になっていたし、手元に届いたので読む。それにしても……この作者が、この作風で、女性だったなんて。読み終わってから知ってびっくり。

いいよね、神様が休暇出来る程の平和って。それって日本の平和ボケに限定だけどね。ふたりは「相方」とお互いに呼びあう程の仲良し。これじゃ、宗教戦争は起こらない。アラーも入れてあげたいが、偶像がないので難しいのだろう。
ずいぶんロング・バケーションですね。あ、神様時間だからいいのか。

Tシャツの文字は毎回楽しみ。

出来れば、イエス・キリストと仏陀の生涯に詳しい程面白いけど、知らなくても充分笑えるし、もはや入門篇に良いかもしれない。万民にオススメ(布教)。

ヨハネの首を欲しがったのは、サロメ。オペラにも戯曲にもなっている。

爆笑したもの、羅列する。若干ネタバレになるので、読んだ方のみ、お願いします。

手塚治虫の「ブッダ」に号泣するブッダ。
「天界が動くレベルの恐怖」と言い表されたジェットコースター。
「偶像崇拝禁止すれば良かった」等身大“自分”フィギュアな仏像が福引きで当たったブッダ。
ブログのコメントに返事をするイエスに、素性を知らないはずのファンが「神降臨」。
神社の秋祭りに神輿を担ぐブッダとイエス。
神様、仏様も病院行くんだー。
秋葉原で喧嘩するふたりの後ろにバベルの塔(言語から、人間が分裂するきっかけになった場所)。
天然のファンタが湧く奇跡に「私の赤血球はぶどう味ならなんでも良いのか?」と疑問を持つイエス。
大天使が四馬鹿カルテットに見えて可愛すぎるとこ。
アララト山のTシャツ。
「悟りは開いておいたほうが、絶対、就職に有利だと思う!」

これからもずっと応援しています。
                         2009/4/30

《こんな人におススメ》
癒され、お腹から笑える。
布教活動したい。
                         2009/5/01UP

4巻/
スケートとヴァレンタイン。ブッダの誕生日。映画を観に行く。お盆。漫画喫茶でオンラインゲーム。リンゴ狩り。

今までの中でもっとも面白く感じたのは、漫画を読み慣れたせい? もちろん普通の人も楽しめるけど、けっこう漫画読みのための本かも知れない。

ブッダの好きなゲームはDSにほんとにあるんですね。
今回の爆笑。
世界を7日で作れるお父さんがネットできないネタ。
安息日のイエスの台詞。「ネトゲなんて非生産的なことが労働に入ると思うのかい?」
ネトゲの回は笑いっぱなしだった。
                         2009/12/22、12/25UP

5巻/
頼もしすぎるアナンダ。自転車を手に入れる。お正月、そして地元消防団のボランティア。イースター。渋谷編。

仏教クラスタの方々にも人気と最近知った。
相変わらず爆笑できる。少なくとも「ブッダ」だけは読んでおいた方が良い。面白さ8割増しだから。なんでこんなの描けるんだろう。
109ネタにほんとに笑った。
                         2010/5/23、5/24UP

6〜7巻/
6巻。親知らずを患うイエス。カラオケ。あの世ツアー。海水浴。極楽の伝統スポーツ「ショムジョ」。ブッダ、コミックス単行本に。ハロウィン。
7巻。帰省。つくもん。ブッダの同窓会。非実在神仏問題。子どもの日。お中元。台風の日の過ごし方。

イエスとブッダ、二千年越しのバカンスとはいえ、このニートぶりを本気で羨ましいと思う自分に注意。
作者の聖典の読み込みの深さに唸るばかり。大学で教えられるレベルなのでは。
ラファエルさんのあの世ツアーに大爆笑した。諸行無常な「ショムジョ」。鳩サブレー好きな創造主って。鳥山ロードに笑えた自分は、もう知らないジャンルですとは言えない。
こんなに面白くてもこれがアニメや映画化されないのは、宗教ネタという大人の事情なのだろうな。だからなのか、容赦ない奔放さ。
                         2012/2/29、4/23UP
【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:中村光
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2012年04月22日

87CLOCKERS 01巻まで

【87CLOCKERS(エイティセブン・クロッカーズ)】 01巻まで  /二ノ宮 知子

特別に夢もない一ノ瀬奏(かなで)は、英孝音楽大学に通う暢気でぼうーっとした音大生。金持ちのお坊ちゃまで生まれたせいか、ヴァイオリンさえ弾いていれば楽しい日々。自ら草食系と自覚し競争は避けて通りたい、音楽コンクールで入賞し音楽で身を立てたい同級生らとは一線を画す。仲間からも相手にされなくなり、就活にも乗り遅れる。
通学途中のアパート前で、真冬に裸足で立つ女性を見かけ……その日から美しい彼女を気にかける。中村ハナが彼氏でもなく貢ぐ男は、高いクロック周波数を競うオーバークロックで頂点に立つ、世界に知られた通称ミケだった。DV疑惑からハナに近づくが、オーバークロックに巻き込まれる奏。何とかハナを今の暮らしから脱却させたい想いが生まれ、頂点に挑む羽目になる。
秋葉原に通ううちに知り合った六本木のキャバ嬢ジュリア、中学生のもっちん……。奏はオーバークロッカーになれるのか。

新創刊した、月刊青年誌「ジャンプ改」。女性も楽しめるがコンセプトの雑誌らしい。
のだめカンタービレ」後の連載作品。

連載を読んで、オーバークロックという「パソコンのF1」と呼ばれる世界があることを知り、ホントに驚いた。奏の、「これにいったい何の意味が」に共感。
昔の、すぐに時計がまわっちゃうパソコンに比べたら、今の普及マシンはそれなりに速くて、普通の使い道ではあまりストレスは無い。ジュリアの店の客の言う通りなのだ。それでもオーバークロックしたら、相応の感動があるのかな。ゲーマーだったらこの世界もっとわかるかも。
インターネット以前のパソコン通信している時代を思い出す。懐かしい。マイパソコンを持つ人が少なくて、みんな親切にしてくれたなぁ。

この一年近く偶然にも、オーバークロックに詳しい人々に会う機会があって、いくつか質問。「女性で、BTO(自作パソコン)もしないのに、珍しいよね」と面白がられた。
聞けば聞くほどマニアックな世界。表向き電気屋さんだけど、実はオーバークロッカーに窒素とか売っているのが仕事のメインとおっしゃる方は、「マザーボードはママレモンで洗っちゃうのが一番だよね」とか怖そうなことニコニコしながら言ってらしたし。なんかディープだった。
漫画って侮れない、世界を広げてくれます。

変な人々が面白おかしい二ノ宮ワールド健在。
今回は巻き込まれ型主人公。読者も同じようにすでに引き込まれている。今後も楽しみ。

ハナの目利きはすごい。「パーツのぱ」で働いた方が良いのに。
空冷、水冷、窒素……熱を持つCPUをいかに冷やすかが肝。新しいハードディスクを購入した私も、この夏の暑さをどう防ぐか悩みどころ。人に当たらないパソコン周りだけ冷やす強力クーラーがあったら良いのに。
BTOはしてみたい。
関係ないけど、この作家さんの手書き文字、味があって大好きです。
                         2012/4/20、4/22UP

《こんな人におススメ》
知らない世界に好奇心のある方に。

【コミックス】

ラベル:二ノ宮知子
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2012年04月21日

真夜中のジュエルシリーズ (完) 全04巻

【真夜中のジュエルシリーズ】 全04巻  /麻見 雅

01 真夜中のジュエル
02 もっとハート(トランプ)真夜中のジュエル
03 もっともっとハート(トランプ)真夜中のジュエル
04 永遠のジュエル

人気宝石デザイナーの父が幸福を呼ぶと言われるラピスラズリで、娘の西園寺るりのために製作したジュエリー「人魚の瞳」。
宝石泥棒怪盗クロウが世間を騒がせる中、るりは窓から侵入したひとりの美少年に鉢合わせる。クロウにいきなりファーストキスを奪われて。女心と宝石は、自分に盗まれるためにあると言ってのけるクロウに腹を立てるが、るりはいつの間にか恋に落ちる。

01 短編。「くちづけは甘い薔薇の傷跡」
具合の悪かった美織は彫り師の羅韋(らい)にぶつかり、濡れた服の着替えを借りる。タトゥーを彫る仕事ぶりに魅せられるが処女は彫らないと拒絶される。
「Kissよりやさしいミステリー」
ミステリー研究部の千夏。親友のまゆ香が殺される。クラスメイトの真辺と調べているうちに、まゆ香のやっていたことを知る。
02 短編。「美少年のオシゴト」
亜美の父のブランドの新商品、香水のモデルに選ばれたのは幼馴染みで泣き虫だった凪。すっかりセクシーになった凪との再会に驚く亜美に、父はマネージャーを任命。
「悪戯にふたり」
探偵の父を事故で亡くした奈月に、探偵事務所で雇って欲しいと神崎巡が訪ねてくる。そこに謎の手紙が。
03 短編。「ルーズの伝言」
工藤由花は世界史教師の片桐に会う口実として、ルーズソックスを履く。
04 短編。「かけ×おちっ」
平野沙絵は玉の輿を狙って東堂家のパーティーに参加する。貢は理想の人で。
「うたかた恋人魚」
人魚のまりんはサーフボードにあたって気絶。人間の流希に恋をして魔女に薬を貰う。

言わずと知られた小学館「少女コミック」。
ティーンエイジャーのちょっぴりエッチなコミック。この作品は短編が人気になってシリーズ化された模様。

クロウにすべてを捧げてしまったお嬢様の西園寺るり。るり曰くの「エロ怪盗、やり逃げ」、あちこちでやりまくりなS男クロウに、大胆剛気にも「振り向かせてやる」と自信たっぷりな少女。会いたくて、クロウの予告した場所に自ら出向いたり仕掛けては、抱かれるというお話。
処女に薬飲ませてやっちゃったり、ティーンエイジコミックスの方が表現えぐくてびっくりします。

女子高生なのに貢いじゃう系のるりがいろいろと残念なんだけど、なーんも考えていない無邪気ともいえる女の子は可愛らしくて、無責任な男子はカッコ良く描かれている。私には最低男にしか見えないけど。
キャラは描き分け出来ていなくて皆一緒。
たくさんのジュエリーが楽しい。カラーで見たかった。

モデルも出来て、イケメンクラスメイトには夢中になられ、豊かな国の王子様にも一目惚れされる可愛らしく美しい主人公。
犯罪や汚れを背負った世界に巻き込まれてもまったく傷つくことなく、何をしても許されてキレイなままの女の子の、エッチな妄想世界が満載。
一般的にはちゃぶ台返しものな、この脳内世界が、ほんとに外に漏れないで欲しいと願う。世の中をこういうものだと勘違いして、無謀に行動に起こして取り返しのつかない人生にしてもらいたくないのだ。
もうすっかり大人な私は、まだ育ち盛りで価値観や信念の軸を形成している途中の少女たちがこれを読んだ時に、ファンタジーの世界として現実と区別して楽しんで、感化されないで欲しいなと感じる。タブーに惹かれる背徳感は、善悪区別つけて現実化させないで、「認識のずれ」をここから育てないでと、お母さん的に密かに心配してしまうのです。

クロウの正体とオチは拍子抜けだけど、ファンタジーとしては気楽に読めるとっても楽しいものなので、大人がニマニマして楽しむ作品なのかもね。
希望としては続編が描かれて、アクアマリンが有栖川と結婚するような「カレカノ」を期待。
                         2012/4/20、4/21UP

《こんな方におススメ》
自分がしっかり出来ている方に。

【コミックス】

ラベル:麻見雅
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2012年04月19日

モテキ (完) 全04巻+01巻

【モテキ】 全04巻+01巻  /久保 ミツロウ

藤本幸世(ゆきよ)29歳。派遣社員。突然のモテ期到来か?
元派遣先の同僚土井亜紀とは音楽の趣味が合う。照明助手の中柴いつかとは旨いモノ好きの友だち。かつては一番好きだった小宮山夏樹。地元の同級生で元ヤンの林田尚子らに囲まれ、幸世は本物の恋愛に辿り着けるのか?

イブニング。ヤングマガジンに掲載された「リンダリンダ」が1巻に収録。これが連載のきっかけになる。ただ今話題の作品。
女性作家。「トッキュー」の作家さんだったんだ。面影はあるけど。こちらは大人の絵になり洗練された感じ。

中表紙は確認しないともったいないほど笑える。
うーむ、話題だけある。ぐるぐるしてる自嘲漫画なんだけど、笑いの入れ方とか、キャラの特化させ方とか上手い、さすがだ。

思い出し恥ずかしさに殺されかけること、あるある。こういう時、みなさんどうしているんですか? 私は布団の中で叫びます。
独りよがりの自己完結、藤本のぐるぐるしちゃってネガティブ思考は「あ〜あ」と思う。そういうのって自分にも多々経験あるから。とくに若い時は仕事であったよなぁー。
それをこんなふうに客観的に見せつけられるのって「うわぁ!」って身体中掻きむしりたくなる。作者さん、上手いなぁ。痛くてしょっぱい自分がそこにいる。
藤本も素直にダメなとこ見せちゃえばいいのに。

それにしても、ちょっと誘うコトなんていくらでもある。こんなに意識されちゃったら、女子としてはたまらない。軽く誘えなくなるよね。

藤本にツッコみたいとこはたくさんあるんだけど、林田が代弁してくれる。良いこと言うなぁ。気持ちよかった。

山形の旅館、最高。美味しいモノに出会って柏手打つっていいな、真似しないけど。
いつかの理屈には爆笑した。
どっかで見たことのあるタイムマシンに笑った。
長崎の佐世保の眼鏡岩、見てみたい。
これ読んでると、やたらラーメン食べたくなる。
SM判断、妙に納得。

後書きはかなり楽しみになっている。
                         2010/1/30

《こんなふうにおススメ》
読んでいると感情移入し過ぎちゃう。体力必要です。
                         2010/1/31UP

3〜4巻/
亜紀のアプローチと、いつかの天然。藤本は決められず。
オム先生との修羅場。藤本は実家に。そして島田に夏樹。藤本幸世の選択は。
3巻短編に「モテキ in school days」藤本の高校時代。

あー。まとめて読めば良かった、これ。そんな面白さ。今からもっとオススメです。
ドラマになるそうですね。

ネームの秀逸さに唸る。ほんとに素晴らしい。ここまで内面落とし込まれているのはなんとも。
とにもかくにも、だ。恋愛というモノに世の中は夢を持ちすぎているのだよ、それをばっさりと斬ってくれる。これはすごいことではなかろうか。ここに恋愛の現実がある。
若い時に是非に読みたかったよ。

そしてヘタレ男子藤本を超えるキャラはいるのだろうか?「ヘタコイ」のこまじいが漢どころかヒーローに見えるぞ。
被害妄想が周囲に与える罪をここまで描いたのはすごいよ。

私は土井亜紀が好き。
ラストも良かった、読めて良かった。
この作家さんの他の作品、めちゃ読みたい。なので読む。
                         2010/5/21、5/23UP

4.5巻/
ガールズサイド。中柴いつかのその後。藤本に失恋して次に進むいつか。
他はインタビューと対談。対談は、江口寿史。映画とドラマ監督の大根仁、藤本役の俳優、森山未來と。設定集も。

久々のモテキ。ドラマ化に映画化、すごい人気でした。
作者が女性だと未だに疑問に思うくらいの漢なお話。面白かった。
とくに江口寿史との対談は読み応えあり。薦められている作品、どれも読んでみたい。
                         2012/1/30、4/19UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:久保ミツロウ
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2012年04月18日

銀の匙 Silver Spoon 03巻まで

【銀の匙 Silver Spoon】 03巻まで  /荒川 弘

北海道の大蝦夷農業高校、酪農科学科に入学した八軒勇吾(はちけんゆうご)は、その広大な土地で早々に迷子になる。
札幌の進学校から嫌気がさして、全寮制の農業高校へ。自分の夢を持てず、繊細で人に振り回されがちなハチは、クラスのマドンナで乗馬部の御影アキ、実家は鶏舎経営でハチに数学を教わる常盤恵次、野球部でアキの幼馴染みの駒場一郎、獣医を目指す相川進之介、大喰らいで農場経営の壮大なプランを持つ策士の稲田多摩子らとともに、学園生活を送り成長していく。

週刊少年サンデー。荒川弘が初の週刊連載、しかもサンデーにて。
ほぼ、ノンフィクション。

中勘助の「銀の匙」が、高校生頃からの一番の愛読書なので、まずタイトルに感動。

ケルト言い伝えなんかで知られる言葉だけど。ここでのタイトルは、「食べることに困らないありがたさ」的な意味なのかな。2巻までは言及されず。

荒川作品は、ほんとに大人がかっこいい。尊敬って、口で言うことじゃない気がする。

北海道、スケールアウトし過ぎ。大きさ尺度が壊れてる。
農業高校、体力あり過ぎ。そして半端ない。学校まるごと自給自足可能。「百姓貴族」にあったけど、北海道は自給率200%。
夏休み編は実践農業。

感動しまくるハチは、読者のそのまま。私たちの投影。
「百姓貴族」でも感じたけど、農業って容赦ない。可愛がって名前までつけた仔豚がベーコンになる。そこに私たちの生活が成り立っている。感情移入の危うさ。センチメンタルな感傷は、人間のエゴだと感じる。ここに出てくる人たちの、諦めているのでなく手放している感覚がほんとにすごい。
「夢を持つということは、同時に現実と闘うことになるのを、覚悟すること」
農家さん、漁師さん、関わる人々に感謝いっぱい。ありがたし。

答えはひとつじゃない。ほんとに一番常識と思われていることは、北海道農業の非常識。逆も真。
これも国民の教科書にしたらいいよ。そして10代に一年くらい農業留学義務づけが良いのかも。

工業の方も、ステキな生徒たち。
校長先生、可愛らしすぎ。
牛小屋日記はやっぱり爆笑。
卵かけご飯は魔力ありすぎだよね〜。究極食材でのピザ作りすげー。みんなで作っていくのも楽しい。
是非とも「もやしもん」とコラボしてほしい。空腹時に注意な作品。
                         2012/1/31、3/05UP

《こんなふうにおススメ》
日本国民の必読書。生きる基本に向き合う作品。

おめでとうございます。「マンガ大賞2012」受賞。
                         2012/3/23

なんと、3巻の限定版は、「燕三条製の銀のスプーン」つきですよ!!
ほしい! ここの銀製グラスでビールを飲めば泡立ちも味も違うというし、iPodの鏡面磨きもここ。世界に知られる燕三条。宮内庁御用達のスプーンを作るとこ、ですよ。
とはいえ、薄めの銀メッキだろうけど、良いんです、気分です。
そして、なんといっても、牛マーク付きだそうです。正直、ポチッとしてしまいました。
 ↓                       2012/4/13UP


買ってしまいました、こんな感じ。嬉しい。かなりしっかりしてて素晴らしい出来です。磨きやすそう。
想像より大きかったです。裏には蝦夷ノーの印。愛用します。
   saji.jpg

3巻/
多摩子の農場で牛の出産に立ち会った八軒。
兄の慎吾が御影農場にやってくる。慎吾は東大を辞めて放浪中。
八軒は搾乳中、パイプを繋ぎ忘れて牛乳をダメにしてしまう。バイト料は貰えないと落ち込むが。
新学期。お祭りバトル。いよいよ豚丼は食肉に。八軒の決心。

「賢いヤツは自分の成長のために金を遣う。金の遣い方で男の価値はわかる」というおばあちゃんに唸る。
生前のヴェルサーチのお金遣いに、マドンナがコメントを寄せていた記事を読んだことがある。同じコトを言っていて、お金って稼ぐより、遣う方が難しいんだと知った。究極。

「価値観の凝り固まった群れに異物が入ると、群れは進化する」その通りだ。
と畜場の話までちゃんとやるところがすごい。甘くない。その上に私たちの生活が成り立っている。   
                         2012/4/18、UPも

【コミックス】

ラベル:荒川弘
posted by zakuro at 12:00| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月17日

超訳百人一首 うた恋い。 01巻まで

【超訳百人一首 うた恋い。】 01巻まで  /杉田 圭

文暦二年。嵯峨野、小倉山。
宇都宮頼綱が、親戚の藤原定家に、小倉山荘の襖を飾る色紙形を依頼する。ひとり一首、百人一首。
31音にこめられた千年に渡る想い。その百人一首の恋物語を、ひとつずつ丁寧に読み解き、楽しく美しく切なく解き明かした秀作。
第1巻の超訳、爆笑できます。

メディアファクトリー、描き下ろし。
この夏にアニメ化決定。月刊コミックジーンで、スピンオフのパロディ4コマ「うた変。」の連載も始まる。

まずは、一言。素晴らしい!

ニコニコ動画で活躍の絵師「cdm」として、歴史系MAD動画制作で人気を博した作者のデビュー作。ファン待望のプロデビュー。
ニコ動がきっかけでのデビューなんて、そういう時代なんだなーと感無量。そんな背景も最初は知らないで、手に取って、「とっても面白いよ、歴史もわかる」と友人に勧めた。ほんとに面白かったのだ。

完成度が高い。内容も深い。絵も美しい。実力派の作家さん。
友人に「歴史詳しいでしょ? 『竹取物語』が語られた背景を教えて」と、尋ねられ、藤原家の興亡を6時間かけて話したのだった。そして一緒に渡したのがこれ。

藤原定家が小倉百人一首を編纂したところから物語は始まり、百人一首それぞれの歌が作られた背景と和歌の意味、主に恋物語が綴られる。
頼綱の「たかが身内の依頼で、内輪向けのアンソロジー」に爆笑した。そうだよねー、そうなんだよね〜。
そういう歴史的世界観をとっても大切にしながら、でも高みに上げすぎないで愛でている、そんな杉田さん自身を愛おしく感じてしまう。
みんな、これ、読んだ方が良いですよ。読みやすくてわかりやすいです。

デビュー作と思えない、解釈も(そうともとれるよねー、も含めて)、コンテもプロットも、あまりにも達者で、一気にファン。
優秀で策略家の多い藤原氏族の中でも、生粋の文化人で風雅な人と後世でも評判の定家が、この作品では可愛すぎるのだ。
事始の最初の運びには正直泣けた。そして笑える、楽しい。
ちはやふる」ファンにもお勧めしたい。競技カルタで知っている和歌が、どんな意味を持っているのか、一緒に楽しめます。意味がわかると、もっと感慨に耽れます。第1巻の最初の一首が、在原業平朝臣の「ちはやぶる〜」です。この作品、かなちゃんの座右の銘になっているかもしれない。

今の子どもたちって羨ましい。こんなのあったら、もっと昔も勉強してたよ。
読後はほっこり優しい気持ちになれる、人を愛したくなる。超オススメ。
まだまだ続巻出ています。
                         2011/8/10、2012/4/17UP

《こんなふうにおススメ》
気楽に読んで。こういう作品が、文化や学問の敷居を低くしてくれ、楽しませてくれると感じる。期待。

【コミックス】


【DVD特装版】


うた変。 ↓

ラベル:杉田圭
posted by zakuro at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月16日

す【杉田圭】

【杉田 圭】 すぎた けい

超訳百人一首 うた恋い。
ラベル:杉田圭
posted by zakuro at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家別【さ行】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月15日

大奥 07巻まで

【大奥】 07巻まで  /よしなが ふみ

逆転大奥。
時は江戸時代。将軍家光の世に、赤面疱瘡と呼ばれる流行病が若い男子の命を奪っていく。
100年弱の月日をかけて男子の数は、女子と5:1の割合に減ってしまう。女子は子どもを産む為に高いお金を出して子種を買う。将軍も、世の大役もほとんど女が司るようになっていく。
そんな時代を作り出したのは何か? 将軍吉宗は謎と歴史の真実に迫ろうとしていく。

メロディ。

すごいすごいすごい。とにかくすごい。
こんな作家と同時代を生きていられることが嬉しい。圧倒的だ。言葉がない。
心の憂い、生きること、今でなければ理解できない本質が描かれている。何度も読み、じっくり向かい合いたい。

春日局に脅迫されて還俗させられた有巧(ありこと)が、家光の境遇に同情して彼女に執着していくまでの様は圧巻。
じっくり描けていて感じ入った。すばらしい力量。

男女が逆転しているのだが、基本は歴史で語られていることに忠実。それがまた面白さに拍車をかける。

将軍吉宗の台詞。「その『しっくりこない』という我らの感じ方そのものに、事の本質があるのやもしれん」
そのまま、本居宣長の世界だ。………。
                         2008/6/28

《こんなふうにおススメ》
覚悟もなくうっかり読み出しちゃいました。いつの間にか引きずられてしまった。
よしなが作品では一番好きです。作者の代表作になるのでは。
生きるって辛いけど、誰でも一度は死を考えたことはあると思うけど、でも、やっぱり人を誰かを好きにならずにはいられない。そんな気分が残ります。
男性に読んでいただけるとまた嬉しい。
                         2008/8/24UP

4巻/
有巧と家光から、家綱、綱吉に将軍も変わっていく。

男女が変わるというだけで、これだけ歴史の見方が変わってしまうのか。
ジェンダー論にはそれほど興味はなくても、そんなふうに感じる。
牧野成貞の悲劇は、歴史として語られているものはもっと悲しく感じるのが、ここでは綱吉の女のエゴが表に出てくる。
男女が逆転しただけなのに、これだけ受ける印象が違うのかと驚く。どれだけ多くの思い込みで物事を見ているのか思い知らされる。
それを狙って描いているのであれば、この作家はすごい、恐ろしいくらいだ。

そもそも大奥は、徳川幕府の将軍システムを円滑に保存させるべく出来た腑抜けた仕組みだが、イメージとしては時代と運命に翻弄された可哀想な女性たちだったのだ、今までは。
しかし、こういう見せ方が出来たからこそ、違った見方が出来ていく。
そして、思う。あらゆることがパラダイムシフト可能なのではないか?
それに気づかせてくれた貴重な作品。
                         2009/3/05、3/09UP

5巻/
実写映画が決定。
京の貧乏な公家の出の継仁は右衛門佐(えもんのすけ)と名を改め、後に大奥総取締になる。対峙する桂昌院は柳沢出羽守吉保に大典侍(おおすけ)を連れてこさせ、綱吉の側室とする。しかし右衛門佐と大典侍は京からの旧知の仲だった。ふたりの幕府に対する策略とは。そこに世継ぎの松姫が急逝し。大典侍の増長ぶりに右衛門佐は京からまたひとり新典侍を呼び寄せる。右衛門佐の側近、秋本の秘密。なかなか世継ぎに恵まれずの、生類憐れみの令。赤穂浪士。そして幼き吉宗。

猛者たちの化かし合い。時代の駒である切なさ。
緊張の糸は切れず、変わらず壮絶。綱吉の赤穂浪士の採決は、創作とわかっていてもこうきたかと唸る。
                         2010/2/25、2/27UP

6巻/
綱吉と右衛門佐。
綱吉は姪の綱豊(家宣)を世継ぎに指名する。紀州藩主の綱教の死と、それを継いだ妹の頼職(よりもと)も急逝、吉宗が後を継ぐ。
家宣と側付きの間部詮房(まなべあきふさ)、そして左京。

ここまで人を描けるモノなんだなぁ。切ない。
                         2010/9/04、UPも。

7巻/
尾張家四代当主、徳川吉通の頓死。月光院と江島。紀州と尾州の次期将軍争い。柏木の戦略。江島、計られる。
没日録を読み終わる吉宗。吉宗の改革。

歴史上の江島は、山村屋の生島新五郎に入れあげるとされているが、こちらの江島は清い。歴史とは、多くの切なさと阿鼻叫喚で作られている気がした。
それにしても、ここに出てくる吉宗くらいさばさばしてみたい。
                         2012/1/30、4/15UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:よしながふみ
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2012年04月14日

Real Clothes -リアル・クローズ- (完) 全13巻

【Real Clothes -リアル・クローズ-】 全13巻  /槇村 さとる

新宿の大手百貨店「越前屋」のリビングふとん売り場に勤める天野絹恵、27歳。大学の時から9年のつきあいの恋人、自動車ディーラー営業の山内達也ともうまくいっているし、日々は充実していて仕事にも満足している。
その真面目な仕事ぶりで、営業3部婦人服売り場に移動になる。転部先は多くが憧れる花形部署のエリートコース。絹恵を推薦したのは婦人服の統括部長に就任したばかりの伝説の神保美姫。神保はまったく新しい婦人服売り場を作る使命を負っていた。神保のサポートにやり手カリスマエリートバイヤーの田淵優作がつく。田淵からは「自分を知らない小太りのサル」と罵倒される。
相談相手の先輩社員の林、はっきりした性格の契約社員佐々木凌(りょう)、アシスタントバイヤーで絹恵のチームのニコラら、仲間たちと切磋琢磨していく。学生時代のトラウマから洋服嫌い、オシャレ嫌いになっていた絹恵の覚醒。自分の幸せとは何か。恋と仕事の成長物語。

集英社「You」。ドラマにもなった作品。観ていない。

基本ストーリーは、この作家さんの独壇場である自分探しが軸。
過去の発表作と画しているのは、仕事の内容に踏み込んでいる点。そこは面白い。これが青年誌だったら、もっと細部の葛藤まで描かれるのだろうけど、片側だけの、天野絹恵のみが語り部でもったいない。工場とか、下請けとか、もっと見たかったな。
個人的好みとしては、働く女性の物語として「働きマン」は秀逸だった。こちらも良く調べていてリアルなんだけど、読者が諭され、説教される感覚にされるのが否めない。

前を向いて元気な時に読む作品。そうでないと「もっと頑張んなきゃいけない」呪文が発動して、読んでいて苦しくなってくる。面白くても楽しくないのが、最近の槇村作品。
例えば、双葉公彦のブランドの行方はどうなった? 成果は余り描かれない。もっと進めと次へと、実りを手にする前にお尻を叩かれてしまうのだ。中途半端な気がしてモヤモヤする。ストーリー的に、双葉公彦話のそれ以降の始末はついている。

洋服に詳しくなるし、自分のスタイルというものを考えさせられる。服を愛すとは、自分を知ること。セルフプロデュース。すごい服にも自然にしていられる自分。
お直しの技術の知識は持ちたいと思った! パンツスタイル、キレイに見せたいよね。女に生まれたことにあぐらをかいてはダメって、効いた。体脂肪計、買うことを決心した。
幸せの形は人それぞれ。でも見た目が良いのはプラスではある。

読み応えがあるのが、9巻最初くらいまで。特に1、2巻はわくわくした。それが後に失速していく。
ネームもストーリー運びも、見事なんだけど、手慣れた感じでバサバサ進ませられる。絵は5巻くらいから、ベテラン作家さんが「慣れ」で流して描いている感じで荒くなる、とっても残念。
特に後半は魅力がない手抜きでがっかり。確かに作品は内容が伝われば良いのだけど、エンタテイメントとして読者をがっかりさせちゃいけない。プロとして。
キャラがどの作品も同じ。実は表面的記号分けのみで、全員が作者の代弁者だと言うことに今気づいた。深みがある人物像にならないから、結論が似てしまうのだ。
相手を理解する振りして、話を聞きながらも、最初から答えを用意している感じ。
素晴らしいベテラン作家さんだからこその、気になり方なのだ。新人さんだと手放しに褒める。これから伸びていく伸び代だから。
12巻から最終巻に持って行くクライマックスの作り方は絶妙。さすがの大御所。

26話扉の編んだ花、可愛い。
「仕事は筋肉。サボったら心も体もどんどん世界についていけなくなる」って台詞、最近聞いたなぁ、どこかで。
小西まみの宇宙、すごい。夢を現実化させる手法として知られているが、彼女のように軸があるのがすごい。
物事を通す「電波」は「感動」とか「愛してる」「好き」ってコト。
猿屋さんの尾行、笑った。
槇村さんて、アネモネ好き。私も1番好きな花。あちこちに描かれてる。それにしても、最近の少女漫画、花で飾られるコマ、少なくなりましたね。
                         2011/8/30、UPは全巻一緒。

13巻/
絹恵は田渕に答えようとするが、返事は一ヶ月後と先延ばしされる。美姫に会い、絹恵が婦人服に行った本当の理由を聞かされる。吉永の妊娠。リアル・クローズ展開へ。田渕は中国へ。

ラスト。
最近、絵を描くことが好きなんだろうなと思う作家さんを集中して読んでいたので、こう愛がない殴り書きみたいなのが悲しくなる。でも、お話のクロージングは上手いなあ〜、やっぱりさすが大御所。
                         2012/3/29、4/14UP

《こんなふうにおススメ》
漫画を読まない方々で、向上心の固まりの女子に。カツマーなら良さそうです。

【コミックセット】

【コミックス】

ラベル:槇村さとる
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2012年04月13日

乙嫁語り 03巻まで

【乙嫁語り】 03巻まで  /森 薫

19世紀、中央アジア。カスピ海周辺の地方都市。
山を越えて遠くの村から嫁いできたのは、8歳年上の娘だった。アミル・ハルガル20歳。花婿はカルルク・エイホン12歳。
シルクロードの遊牧民と定住民が織りなす物語。

隔月刊の「Fellows!」にて連載。
とにかく絵が見事。素晴らしすぎる。正直、感動して泣きそうになった。
細工や装飾の見事さといったら! このテンションでずっと描かれるのですか? と心配になってしまうくらい。
良い仕事だなー。読んでいる人に頑張ろうって気持ちまで起こさせる。作品に作家さんの愛情が、随所に滲みだしてきて、幸せになる。
すっかり絵は洗練されてきていて、これを観ていると「エマ」では極力初巻からのイメージを崩さないよう努力されていたとわかる。

実は先月に発売になった後、盛り上がりも一段落していたし、ゆっくりUPする予定だったのだ、しかしこれをみてしまったからには! →「コミックナタリー 森薫特集」 観て〜〜!
動画で、絵を描かれている作業が観られるんですよ!! 絵心のない私ですら、大興奮。
すぐに感想UPしたくなってしまったのだ。(基本的に何をUPするかは半月前には決めているので番狂わせだけど嬉しい)

話の素晴らしさはもう安心して読んでいられるので楽しくて仕方ない。
アミルは可愛らしいし、カルルクは末頼もしい。まだまだ幼いカルルクだけどしっかり妻を守っていこうとしているし、カルルクが風邪をひいただけで狼狽えるアミルも可愛らしいのだ。
良い夫婦になっていくんだろうなと微笑ましい。
カルルクはどんな男に成長するんだろう。ショタ嫌いなのに、うーん、とても嬉しいのがここにいます。

次巻が出るのはまだまだ先の様子。
楽しみに待ちたい。
                         2009/11/23

《こんなふうにおススメ》
これがどんな作品に育つのか、正座して期待。
次巻まで一年か……。

2巻/
アミル、友だちができる。パミルはしっかりもので、婚期を逃しがち。
アミルの実家から、アミルを連れ戻そうと伯父たちがやってくる。町総出でアミルを守る。そしてカルルクなりの男らしさも。そしてアミルの心の変化。
布支度。イギリス人の居候、スミスの旅が始まる。

絵の素晴らしさは言うまでもなし。
なごなごしていた話がダイナミックにもなってきた。アミル実家の横暴さに、町の人たちが立ち上がる連帯は頼もしい。
嫁心がつくって言葉があるのか調べちゃった。ちなみになさそう。意味はなんとなくわかる。里心の反対語。

布支度は読み応えあり。もう異世界に飛ばされる。感化されやすいから刺繍したくなる。
スミスは、参与観察法で研究。次巻からはスミスの話とのこと。
                         2010/6/16、UPも

3巻/スミスの旅。
待ち合わせ場所に案内人がおらず、探している間に馬と荷物を盗まれる。同じ場所で盗難に遭ったタラスのパオに世話になる。老いた義母と暮らすタラスは、兄弟5人に嫁いだ女だった。スミスはタラスの義母に、タラスを貰ってくれるよう頼まれる。断り切れず、こっそり旅に出るのだが、スパイ嫌疑で捕らわれたりするうちに決心。しかし事態は二転三転。スミスはアリとアンカラに向かう。「パリヤさんはお年頃」も収録。

秀逸さに心が解ける。文化の違いでの考え方が表現されている巻。スミスさんの存在、大きい。私たちの現代的な感覚からの違和感をそのまま肩代わりしてくれ、理解が深まる。
表紙絵に驚く。100年前の「南部菱刺し前かけ」(青森南部の昔のエプロンですね)の刺し子刺繍の衣装にそっくりで、思わず展覧会で声を上げてしまった。文様の流れを追うだけでも、民族や文化に触れるなぁ。楽しい。いつかそんな研究したい。
買い食い、めちゃ楽しそう。食べ物美味しそうな作品は大好き。
                         2012/3/11、4/13UP


ラベル:森薫
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2012年04月12日

坂道のアポロン 08巻まで

【坂道のアポロン】 08巻まで  /小玉 ユキ

船乗りで家を空けることの多い父を持つ西見薫。1966年、初夏。高校一年の始めに、横須賀から親戚のいる長崎に身を寄せることになり、長い坂道の上にある東高に転校する。薫は転校ばかりでそのたびにストレスを抱えていた。
後ろの席の川渕千太郎は喧嘩っ早く、クラスはおろか他校生徒からも恐れられている硬派だった。薫は初日にパニックを起こしそうになり屋上に向かうが、そこに先客、サボっていた千太郎がいた。千太郎と幼馴染みのクラス委員をしている迎律子(むかえ りつこ)は面倒見が良く、薫は一目惚れする。
縁が出来て、誘われて寄った律子の家はレコード屋で、秘密の地下室はジャズの練習場になっていた。薫がピアノを弾くと知り、律子は地下室に連れて行く。そこには学校をサボってドラムを叩く千太郎がいた。魅せられ、薫もジャズにのめり込んでいく。
三人で海で遊んだ時に知り合ったひとつ年上のお嬢様、深堀百合香に千太郎は恋をする。
千とボン、リッコを巡る青春と恋に友情、そしてジャズの物語。

短編。
第1巻「種男」
仕事に追われ乾いた女、志田。いつもの店で飲んで仕事の愚痴でくだを巻き、帰りに売れ残りの妙な植物をもらい、翌朝、その植物の奇妙な実から男が出てくる。
第2巻「インターチェンジ」
高速道路の出口を10回ループすると、忘れたい想い出をキレイさっぱり忘れられるという。
第3巻「バグズコンチェルト」
羽虫が恋をした相手は野球部のエース。
第4巻「エレベーター・チャイルド」
エレガの仕事中に一人乗った老人。やがてエレベーターは空を突き抜け宇宙に飛び出す。老人はどんどん若くなり、どこかで見たことのある子どもになっていた。
第5巻「天井娘」
床から音がする日々。文句を言いに言ったら、天井に張り付いている娘がいた。
第6巻「夜警」
ショッピングモールの夜警、柳瀬。仕事中に女性に出逢う。さっきあったマネキンはすでになく。

小学館「月刊flowers」。
「このマンガがすごい! 2009」オンナ編で1位になっていたので知っていたけど、はっきりいって表紙買い。1巻の線の細めのメガネ男子が好みだっただけという。それがこんなにも当たりだったなんて……感激して泣けた。
男性にも読みやすいと思う。オススメ。
この春からアニメにもなる。

66年という年は、ビートルズが来日して、武道館で6月30日より3日間公演をしている。そして68年からは学生運動が盛んになって、70年安保闘争に入っていく。
桂木淳一が東京の生活で挫折する背景と、雑踏から切り離されたような地方でジャズにのめり込む千とボンがいて、それを百合香が結んでいる。
そしてオイルショックと高度成長期を迎える、そんな時代。

繊細な薫、大胆でバンカラな千太郎、面倒見の良い律子、それぞれに個性的で、仲良し三人に共通しているのは誠実で正直で優しいところ。
出てくる人物の胸の痛み、迷い、悩みが直に伝わってくるようで、切なく苦しく、そして優しい。がっつり感情移入できて共感できる。

昨年夏には、YouTubeで音を探してBGMにして、何度も繰り返して読んでいた。

絵の構成は見事。映画のワンシーンのようだったり、何気ないシーンでも気になるところが多くて、ここぞというところで感激させてもくれる。
行間という言葉を感じる漫画作品はなかなか出逢えない。次のコマへの移行が、絶妙にフェイドインしていったり、よく漫画に見られる、一拍、景色のコマを入れて場面転換とかのお約束なんか超えちゃって、雰囲気を壊さない丁寧さがあって、ホントにホッとする。
小雨降る休みの日に、ミルクティーで身体を温めながら、隣家の庭に咲く早咲きの木蓮を眺めている、そんな揺蕩う幸せな午後を想い出した。

短編はflowers増刊の「凜花」。これら短編の不思議な世界観も面白い。
どの短編にも外れなしってスゴくないですか? シュールでどれも傑作なのは特筆すべき。

「波の上のアポロン」は私も見たいです……。
8巻は区切りの巻。9巻は大学生編に入り、そして完結、最終巻。
                         2012/1/30、4/12UP

《こんなふうにおススメ》
どなたにでもオススメできる青春物語。ドラマや映画にもなりそう。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:小玉ユキ
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こ【小玉ユキ】

【小玉 ユキ】 こだま ゆき

坂道のアポロン
ラベル:小玉ユキ
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2012年04月11日

ぬらりひょんの孫 21巻まで

【ぬらりひょんの孫】 21巻まで  /椎橋 寛

関東平野にある浮世絵町。妖怪が集う奴良(ぬら)一家は、妖怪総本山として奴良組72団体、構成妖怪一万匹の大所帯だった。
妖怪の総大将、そして魑魅魍魎の主である“ぬらりひょん”を祖父に持つ奴良リクオは、その一家の三代目を望んでいた。それまでリクオは妖怪は「カッコいい」と思っていたが、小学校で「妖怪は人間に迷惑をかけ嫌われる存在」と知ってからは悩む。クラスメイトの家長カナ(いえなが)に「それなら、彼らの上に立てる立派な人になればいい」と言われるのだが。
その帰りの、カナたちが乗ったバスが事故に遭う。リクオはいじけていて乗らなかったのだ。「妖怪は人間に畏れられる存在」として反対する木魚達磨を押切って、リクオは人間を辞めると宣言、変化する。そして妖怪を引き連れて、カナたちを助けに行く。
しかしリクオのその血は1/4のクォーター。人間に近かったのだ。一日の1/4しか妖怪の姿になれないリクオ。4年経って、中学生になってもまだ三代目は襲名出来ずにいた……。リクオの変化はあれ以来起こらず。
リクオを守るため、クラスメイトに化けた妖怪たち。及川氷麗(つらら)として通う雪女ら。陰陽師一家の花開院ゆら(けいかいん)も転校してくる。

週刊少年ジャンプ。
巻数はいっているのに、手元に一冊しかなかった。残念。
絵が何とも魅力的。ぞくぞくした。

ここでいう「畏れ」は、「特別な存在として畏れ敬われる」に近い意味合い。「畏」とは、「鬼」が「ト(ムチ)」を持つという象形文字らしい。こういう設定はわくわくする。
覚醒したリクオ、カッコ良すぎ。
カラス天狗、めちゃ好き、かわいい。
妖怪一家をヤクザの仕組みと同じような設定にしたのがわかりやすくて面白い。
早く次も読みたい。
                         2009/6/28、6/30UP

《こんなふうにおススメ》
一冊しか読んでないのに、偉そうに言えないが、楽しい。
                         2009/6/30
20巻時点。ジャンプ史上に残る作品になっていると思う。
                         2012/3/17

2巻/
カナとゆらが窮鼠に捕らわれ、覚醒したリクオが助けに行く。
GWに妖怪修行に出た清十字怪奇探偵団。場所は清継の別荘のある捩眼山(ねじれめやま)。そこは牛鬼組の山だった。

ツッコミたいところはあるのだけど、いやはや面白い。バトルも臨場感がある。
妖怪の特性よく調べているなぁ。早く巻数、追いつくことに決めた。
                         2009/9/28、10/03UP

3〜8巻/
3巻。牛鬼の本心と過去。鏡の妖怪に襲われるカナ、そして誕生日。奴良組本拠地浮世絵町の危機。リクオは組を引き継ぐ決心を詩、若頭襲名。四国の妖怪が奴良組を潰そうとする。
4巻。四国八十八鬼夜行、隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)玉章(たまずき)が奴良組に挑む。犬神。
5巻から6巻。四国との決着。妖怪脳に依頼のあった邪魅退治。
7巻から8巻。花開院ゆらの兄たちが奴良町に殴り込み。ゆらは京都に。祢々切丸の過去。リクオの祖父と珱姫(ようひめ)の出会いとなれそめ。羽衣狐の復活。リクオは修行のため遠野へ。

やっとまとめて読めた。感想もまとめて。
妖怪モノとしても調べこんでいるし好きな作品。禹歩が出てきたのにはちょっと驚く。
構成の妙で台詞を読ませるシーンがあって、これ失敗しやすいのに上手かった。
最新刊の8巻はロマンス。面白かった! ぬらりひょんのじいちゃん、若い姿がとにかく格好良くて惚れる。
納豆が目玉オヤジみたいで鬼太郎が読みたくなってきた。
リクオはたぶん自分を好きと言い切るカナには違和感、デリカシーのある女子はこんな言い方はしない。いくら中学生であってもだ。
コーラに薄荷飴入れてる子ども、いると思う。私が小学生なら間違いなくやる。
                         2009/12/07、12/12UP

9巻/
遠野修行編。かまいたちのイタクがリクオの指導係に。畏を武器にする訓練が始まる。
羽衣狐京都侵攻計画。花開院陰陽師と羽衣狐擁する妖怪との闘い。リクオは遠野の仲間を引き連れていざ京都へ。

柳田好きなので新章は楽しい。宝船、カワイ楽しい。
今年アニメ放映決定。なんかジャンプらしくなってきちゃったなー。微妙にちょっとだけ残念。
ツッコミどころは満載だけど楽しさと面白さが勝る。でもひとつだけ。九尾は「NARUTO」と被らないの?
                         2010/2/06、2/09UP

10巻/
花開院陰陽師、ゆらの義兄たち、秋房と竜二の戦い。秋房は羽衣狐に操られていた。ゆらは秘術破軍を召還、十三代目が現れる。陰陽師は一旦退き、羽衣狐は最後の結界を落とすのか?
リクオは戦略要塞「宝船」で京都に向かう。船中で奴良組と遠野、激突。京の門番、白蔵主(はくぞうず)とリクオの対決。宝船、京都に不時着。

物語は違うんだけど別な意味で進行はリボーンぽくなってきたなー。ジャンプらしいといったらそうなんだけど、ちょっとなー。話は面白いんですけど。
リクオ格好良くなったなぁ。
                         2010/3/31、4/07UP

11巻/
宝船、鴨川に突っ込む。リクオたち京都に。白蔵主に伏目稲荷に向かえと言われ。
天邪鬼の淡島vs京妖怪二十七面千手百足。リクオは十三代秀元、ゆらと合流。そして土蜘蛛。

淡島の名が面白いなと思っていたら、そんなオチか。でもなんで遠野? と、疑問はあるけど。
4コマ楽しい。
                         2010/7/04、7/05UP

12〜14巻/
12巻。土蜘蛛に氷麗を人質にされる。牛鬼との修行。百鬼夜行の真の強さとは。羽衣狐は鵺を産む準備を始める。首無と京妖怪茨木童子。首無と毛倡妓の過去。

13巻。奴良組と花開院が組んで。しょうけらと青田坊。鞍馬の天狗たちに襲われるリクオ。鏖地蔵(みなごろしじぞう)の思惑。リクオは父、鯉伴(りはん)の業である鬼纏(まとい)を身につける。土蜘蛛の千年ぶりの本気。

14巻。羽衣狐と会うぬらりひょん。リクオは百鬼夜行で弐條城へ。羽衣狐が産む鵺とは……。羽衣狐と安倍晴明の真意。羅城門の鬼童丸。

危機に入ると修行のパターンはジャンプって感じ。他にないのかな。受け入れることで強さを得るのは、今の「BLEACH」と同じ展開。ここまで重なっていいの?
でも、バトルの間に奴良組のそれぞれの過去が語られ、百鬼夜行に入るまでの理由が出てくるのは面白い。

しょうけらって、三尸のことなんだー、興味深い。道教の話をキリスト教に置き換えてるのはめちゃくちゃだけど、それを含めて楽しめた。
夏に遠野に行ったので、遠野妖怪は嬉しく感じる。
蘆屋道満と安倍晴明の立ち位置が、通説とひっくり返っているのも面白い。
鯉伴もカッコ良すぎ。これでぬらりひょん三代お目見え。ジャンプらしくなってきたなぁ。
                         2011/2/17、2/27UP

15〜20巻/
15巻。黒田坊を鬼纏(まと)うリクオ。vs鬼童丸。羽衣狐、鵺を産む。vs羽衣狐。番外編の浮世絵中奇譚も。
16巻。晴明(鵺)誕生。山ン本五郎左衛門とは。奴良組、全面抗争に向けて、リクオが三代目襲名。晴明が地獄から戻るまでの準備に入る。つらら組。正月。切裂とおりゃんせ。
17巻。中学生リクオ編。切裂とおりゃんせが続き、人喰い村。地下鉄の少女。百物語組。
18巻。江戸時代。遊び人と名高い鯉伴編。山ン本五郎左衛門の生み出す妖怪たち。
19巻。妖怪と化した山ン本。山ン本の身体から生まれた百物語組。鯉伴と黒田坊の杯。件が産まれる。件の予言はリクオの殺害。人間の憎悪がリクオを襲う。都内で命をかけた鬼ごっこ、奴良組vs百物語組。
20巻。前巻から続く。リクオの正体を知る同級生たち。リクオの変化。渋谷は地獄絵図に。

久しぶりのまとめ読みは途中で止められなかった。充実感たっぷり。クライマックスに向かってる。
今後残っていく作品になったんだなぁと感無量。そういう意味では漫画読み新参の私は、こんなリアルな伴走をしたことがなかったのだ。
勢いづいている巻が続く。絵、ほんと見応えがあるし。お話も。シリアスとコメディのメリハリも楽しい。
箸休めのお話も楽しかった。日本の妖怪は生活に密着しすぎて面白い。そしてこれらの話も実は今後の伏線なのも上手くて唸る。怪談や都市伝説の出来方って納得できるものがある。
最初はツッコミどころ多かったけど、今は感心するほど調べてあると思う。小ネタもピリリ。わかる人にはわかるような。

鯉伴はそーとー強い半妖だったんだな。鯉伴編を読みながら、木綿着物が欲しくなって困った。
いよいよリクオの正念場が始まる。面白すぎるよ。
カナはいつヒロインになれるのか、ずっと待ち遠しかった。清継団の頼もしさ。
                         2012/3/10、3/17UP

21巻/
百物語組の面の皮、玉三郎の目的はリクオの母、若菜。圓潮は妖怪青行燈を語る。清継たちの後方支援。安倍晴明の子孫、御門院家(ごかどいん)。

奴良組vs百物語組編は一区切り。少年漫画らしい印象で終わった。
                         2012/4/07、4/11UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:椎橋寛
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2012年04月09日

ノノノノ (完) 全13巻

【ノノノノ】 全13巻  /岡本 倫

野々宮悠太の名前で、高校に性別を偽り入学、ハイジャンプでオリンピックを目指す。その正体は、野々宮ノノ。女子はジャンパーの選手にはなれない。双子の兄の名前で、北海道から長野に越してきたのだった。
長野のウィンタースポーツの盛んなこの高校には、同級生に同じジャンパーの全国大会日本一の天津暁、フィギュアでメダリストの興梠(こうろぎ)みかげもいた。
彼らにスポーツ雑誌の編集者の与田らが絡み、オリンピックを目指す。

やばい、久々にキタ。最初の3ページで鳥肌が立つというヤツです。きっと面白い、その予感。与田みたいなことを言うけど。そう感じて、裏切られなかった。

絵がたまに怖い。
野々宮の性格がイマイチ確定しきれていないのだけど、そんなことも忘れるくらい面白い。
スキー競技は面白いし、それ以外のエピソードも楽しい。

コウロギ、いいヤツだなー。可愛い。
獅子舞のところは、ちょっとうるっときた。
コウロギの試合も描いて欲しい。
この高校の女子の制服、どんなコスプレだと思った。
そらさんも優しい。

コマにもう少し溜めがあると良いのに。特にクライマックスのところで、2カットくらい余分に描かれていると、もっとドラマティックになる。
それって編集者の力量? でも、それを上回るくらい、今後の展開が楽しみ。

連載、気になる。今でさえ、連載追っているのが増えているのに、これ以上はもう怖い。でもね、やっちゃいましたよ。最新まで読んじゃいました。連載。だって、野々宮の怪我、気になっちゃったんだもん。
ネタバレだけど、6巻は暗いぞ。でも、現在進行中の7巻の半ばまで読めて良かった。そのあたりの流れは秀逸。
                         2009/3/30

《こんなふうにおススメ》
スポーツ競技の闇の部分も描かれていて、かえって好感が持てる。
これからどんな展開になるんだろう。とっても楽しみ。

6巻/
ノノ、まさかの大転倒で救急車で運ばれる。このままだと悠太の正体がノノだとバレてしまうと焦った岸谷。気絶したままのノノ。
父、由良悠介とノノが抱えてきた壮絶な過去の回想篇。怪我の後遺症を抱えながら、金メダルを目指して飛んだ父。大失敗のジャンプで、日本全国からの非難が集中する。その父は悠太を通して世間に復讐しようと考える。しかし、才能は妹のノノに出て……。由良一家が崩壊していく様を描く。

連載を追っているので、この巻は辛すぎて読み直しには時間がかかった。不幸な一家をじっくりと描いた、とにかく辛い一冊。
でも、なぜノノが悠太の名を語るようになったか、男になってジャンパーとして生きていくのか、それが語られるとても大事な巻でもある。
実際に、こんな話はあるのだと思う。
モーグルの上村愛子選手が、高校生の美少女で持ち上げられた後、金メダルの里谷選手の陰に隠れるようになって、非常に辛い時期を送ったことをインタビューで読んだことがある。決して失敗したわけではないのに、それだけ精神的ダメージを受けるのだ。
甲子園の選手も、自責の念だけでなく、周囲の扱いで引っ越しを余儀なくされることも聞く。
自分で努力しないで、周囲に期待しているだけな人ほど、そういう仕打ちをするよね……。
読み応えのある作品で、これからも期待。
                         2009/6/10、6/27UP

7巻/
ノノは退院。天津と岸谷は決定、残るは一席のインターハイの座。皇帝とノノが争う。
“ノリコ”はルックスの怖さを指摘、イメチェンした皇帝。皇帝には皇帝の事情があって。いよいよインハイ。長野予選。

ずっと憎まれ役だった皇帝が一気にいい人になる巻。表紙も皇帝。
だいたいノノは自分の立場をわかっていなさすぎ。ノリコになる時間があったら自分のこと考えろって言いたい。別に女の子の姿観たいわけじゃない。
なんかパターン化しちゃってて、せっかく面白いのに残念。
                         2009/8/22、8/29UP

8巻/
ノノはジャンプを恐怖に感じ、皇帝との勝負に差が開く。天津の応援に耳を傾けるが、兄の亡霊もそばに出て。でも兄が語ってくれたのは。
天津の駆け引き。精神戦。皇帝とノノ、どちらがインターハイの切符を手にするのか。
天津は全日本ジュニアに招聘される。

恐怖を克服するノノ。自分の立ち位置を再確認する。
天津、凄すぎ。もうこの発想はプロレベル。これで一気に皇帝との勝負が面白くなる。
ところで、スポ根だけじゃなくエロいところも入れるのはニーズに合わせてだろうけど、女子読者はキモいと思いがちの方向。男子の妄想全開なんだよなー。爽やかエッチな感じに転換希望。岸谷、合掌。
                         2009/11/25、11/28UP

9巻/
ノノの奥信高校のライバル校のひとつ、北海道の雪野高校に現時点では最強と呼ばれる高校生の赫(てらし)が海外から戻ってくる。
ノノは誕生日の晩に、極悪非道な火野に脅されてレイプされそうになる。助けにきた岸谷は火野に刺されて。
ノノへの嫉妬が募る普通科の生徒にリンチされそうになったノノを助けたクラスメイトの佐藤健。

由維の「私には?」に笑った。久々にこの作品で笑った。
ノノに「ばか?」と聞きたい。
普通のスポーツ漫画にしてもらえないかな。もう読むの挫折しそう。ノノのヌードもエロいシーンももういいよ。表紙に騙されて買いそうな人がいて気の毒。
                         2010/1/21、1/23UP

10巻/
新潟、守門高(すもんこう)。コーチの元オリンピック選手の下里の下で不正な試合。ベテラン槇野慎二は?
岩手からは、遠野実業の伊東賢一。秋田の月山商業の禰宜田に鷲坂。北海道雪野高校、赫、真岡。インハイに向けてライバル手揃う。
開幕。
天津は世界に飛び立ち、コンチネンタルカップで優勝。

少しは面白さが戻ってきているんだけど、もうノルマのように惰性で読んでいる自分がいる。サービスシーンも嬉しくない…。
スポーツというより、TSもの好きな人に。
ツッコミどころ満載だけど、まあいいや…。岸谷フラグが気になる。
                         2010/4/25、4/29UP

11〜13巻/
11巻。インターハイ。悪天候の中、ジャンプすることになったノノ。しかし買収された審判は他の選手も不利にしていく。不正と実力。
12巻。一位の棄権。尻屋と赫。ノノの会心のジャンプ。岸谷の怪我。
13巻。死を覚悟した岸谷。ノノは日本代表のひとりに。

各登場人物のトラウマもテーマになっているのか、そちらをメインに描いているのだけど、作家さんのキャラの心情の掘り下げがわりと表面的で予測できちゃうので、読者が感情移入できるほど伝わってこない。キャラみんなが根本の性質に個性なく、同じ思考の回路なんだもん。金太郎飴みたいな。

気持ち悪さと不愉快なシーンが、あえてスポーツをテーマにした作品に描かれるから辛い。
まあ、でも、いつから「スポーツ=爽やか」になったんですかね、その内なる思い込みにも疑問はあるけど、そんなシーンに合うテーマで描いていただけると嬉しいです。

こんなにスタートと読後のイメージが変わった作品は稀。
特に、キャラたちが楽しそうにジャンプスキーしていないところが残念。プロじゃないんだから、高校生なんだから「好きだからやる」って気持ちを大事にして欲しい。12巻で、 ジャンプが好きと自覚したノノがいて少し救われた。
パスポートの性別とかツッコミどころは多いけども気づかなかったことにする。
                         2012/3/31、4/09UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:岡本倫
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2012年04月08日

海月姫 09巻まで

【海月姫】 09巻まで  /東村 アキコ

倉下月海(つきみ)18歳。幼い時に水族館で亡き母と観たクラゲに魅せられ、クラゲオタクとなる。
イラストレーターを目指し上京したが、おしゃれ人間には目が眩み、渋谷などは危険地帯。しかし同じような腐女子仲間のみが住む、男子天敵の共同アパート天水館(あまみずかん、通称尼〜ズ)で楽しく暮らしている。
日課になっている近所の熱帯魚のペットショップにクララと名付けたタコクラゲに会いに行くと、相性の悪いミズクラゲと同じ水槽にされていた。このままではクララが死んでしまうと慌てるが、イケメン店員に声をかけられない。通りがかった姫のような美少女が啖呵をきり、クララを助けてくれる。水槽と共にアパートに持ち帰った月海についてきて居座った美少女はそのまま月海の部屋で寝こけてしまう。おどおどしつつ、朝起きて月海の見たモノは……。なんと“彼女”は女装男子だったのだ。
イケメンで、政治家の父と兄を持ち、そして総理大臣の甥でもある鯉渕蔵之介。蔵之介の兄の修への月海の気持ち、月海をキレイにしながらときめく蔵之介を中心に、尼〜ズの面々である、着物ヲタで管理人の娘千絵子、三国志ヲタまやや、鉄道ヲタばんば、枯れ専ジジ、BL漫画家で引き籠もりの目白先生らが、活躍の奇想天外物語。

Kissに連載。アニメ化も決定。
とにかく面白い、オススメと巷の評判ではあったけど……。

なんでこんなに可笑しいんだろう。そして、この抜け感、テンポ。すげー。笑えて仕方ない。久々に解けて笑ったなぁ〜。
なんか、かっこいいのだ、新しい感じなのだ、上手く言えないのだけど(←いいのか、それで)。
KISSは「のだめ」も初期はそうだったが、シュールな笑いで真面目に描いたりする。

もう、期待感いっぱい。
萌えって偉大だ。
話題の作品はほんとにちゃんと読むべきなんだなー、納得しました。その発想かっ! と、わくわくするラブストーリー(なんですよね?)。
俺様なのに情の深い蔵之介は可愛すぎるっ! すっかりファン。
兄ちゃんの初心さにもはまってしまう。

クラゲ、はまるとすごそう。
オタクの描き方は秀逸。ここでいう腐女子は、BL限らず、オタク全般を表している。

総理大臣、おちゃめすぎ、楽しい。
目白先生、見てみたい。

ああ、新刊まで早く追いつきたい。
男子にもかなりオススメ。
マニアックな後書き、実話自伝マンガにも笑える。
                         2010/9/10、9/11UP

《こんなふうにおススメ》
いや、もうね、やられました。今年の一押しかも。みんなに薦めています。
アニメも面白そう。

4〜5巻/
蔵之介は天水館を救うため、月海と千絵子を急き立て、クラゲをモチーフにしたドレスを作らせる。
大学の演劇サークルの衣装25人分を作り、ブランド「ゼリーフィッシュ」を立ち上げる。
月海は修への想いを石化、蔵之介はそんな月海に苛つき、自分の気持ちをカテゴライズできない。

我慢できずに本屋に走った。
楽しすぎる。めちゃくちゃ感情移入しちゃう。笑えて切ない!

蔵子可愛いなぁ。蔵之介を全面応援。どうなるのかほんとに楽しみ。

登場人物の素直さは、すっと胸にしみる安心さ。癒される。
変わっていても変態でも悪役でも、自分に正直な、根が真っ直ぐな人たちばかり。それがこの作家さんそのものなのだと感じる。
                         2010/9/12、9/21UP

6巻/
天水館に再開発の影が色濃くなっていく。追い込まれた尼〜ずたちは本気になる。修は月海のBeforeが一致。
ノムさん登場。まやや様のデビュー。蔵之介の策略。

なんでこんなに笑えるんだろう。ツボるジェネレーションもどんぴしゃりなんだよね。いちいちチェック入れたいとこ満載。大人のラブコメだ。なんでこんな絵が描けるんだろう、尊敬。KISS偉い。あとがきも必見。
ググったら作者さんが美人で驚く。ファンだーと騒いていた私に、友人が教えてくれた、東村さんの元旦那さんの元奥様が「性別が、ない!両性具有の物語」の新井祥さんだということ。なんかいろいろと深い。
                         2010/12/01、2011/2/11UP

7巻/
天水館でのファションショー。蔵之介の全国マスコミカミングアウト。そして母リナの願い。修と月海は接近。

クライマックスの巻でもある。ホント好きだ。愛している。最高、もうどうしよう。読んでてそんな独り言連発。
蔵之介になりたい。
いつのまにかアフロに逆らえない花森さんの晴れ舞台。参りました。予想斜め行き過ぎ。
パスタ食べる兄弟に泣いた。ありがとう!(アリスの谷村新司風に)
                         2011/4/23、4/25UP

※追記 5/07
もうもう、蔵之介のパスタが美味しそうで、悶えて作りました。レシピです。
【蔵之介のスパゲティレシピ】
基本、簡単カルボナーラですね。
材料は、スパゲティ(ソース絡めやすい細いのを推奨)、卵三個、牛乳、バター、チーズ、オリーブオイル、塩、胡椒です。
これで少なめ2人前。大人なら卵4〜5個使っちゃってください。
チーズは、蔵之介はこれ、使ってた。 こちらはママが使ってたやつ。
↓                  ↓
         

1 - お鍋にお湯たっぷり沸かす。パスタを茹で始める。
2 - 卵を卵黄のみ取り出し、良くかき混ぜておく。卵白入れちゃダメ!ここ大事!
3 - 大きめフライパンに、オリーブオイルを大さじ3つほど。
オイルを温めた後、バターを大さじ2つほど。牛乳を150mlくらい入れてよくかき混ぜる。私はこのあたり目分量です。たぶん蔵之介も量っているとは思えない。多めに塩、胡椒。胡椒は粗挽き黒胡椒を曳いたら美味しい。
沸騰して焦げ付かないように気をつけて混ぜながら、チーズをお好みで。かなり入れたほうが美味しいです。
4 - 茹で上がったパスタを手早くフライパンへ。大急ぎで良くかき混ぜる。
溶いた卵黄を入れて、すぐに火を止め、手早く混ぜ、皿に。完成。

私は最初のオリーブオイルの時にキノコ類を炒めてコクを出します。白ワインで風味を出してからバターです。チーズはコク重視でクリームチーズ。これもイケます。
一般のカルボナーラは、オイル使わずベーコン炒めて、以下同文。

蔵ママは、とにかく簡単に作らせてみたのでしょうね。素晴らしい。ごちそうさまでした。

8巻/
蔵之介はインド人に製作交渉。チームは崩壊しそうになるが、蔵之介は奔走する。修の手助け。

兄ちゃん、いいなー。萌える。
ほんとに好きな作品なんですが、ヲタ友以外には評判は普通。なんでですかね、もったいない。
あとがきにも笑った。
                         2011/10/30、2012/2/07UP

9巻/
再開発反対デモに参加を決めた天水館面々。修に花森の高度な恋愛指南。蔵之介は、服に興味のないメンバーで、高価なオシャレドレスを作る矛盾に気づく。デモ参加を渋っていた蔵之介だったが、皆に服の楽しさを知ってもらおうと、コスプレ協力を始める。デモ。月海の恋の自覚。花森は修と月海のデートを設定。ふたりのデートに蔵之介は荒れる。

花森さん笑った。ラストまで、お弁当でも笑かしてくれる。もう主役でいいよ。フルーツタルトホールはその通りと思います。
蔵之介って、作者そのものかも。性別も超えて自由にオシャレを楽しむところ。その蔵之介、この巻は切なかった。オシャレしないと人生もったいないと考えさせられた。
                         2012/3/30、4/08UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:東村アキコ
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2012年04月07日

月の夜星の朝 35ans 05巻まで

【月の夜星の朝 35ans】 05巻まで  /本田 恵子

りぼんで絶大なる人気を誇った少女漫画「月の夜 星の朝」の25年ぶりの続編。

幼い頃に出逢って結婚の約束を交わした梁川りおと坂本遼太郎は、年頃になって再会し試練を越えて結ばれる。
22歳で結婚し、遼太郎はNBAで活躍するバスケットボール選手に。ふたりはアメリカに渡るが遼太郎は怪我で引退。流産をきっかけに写真にのめり込んだりおは、世界的フォトグラファーの九頭竜正彦に見初められアシスタントとして単身渡伊。
5年後、りおの元に遼太郎から離婚届が届く。慌てて帰国するりお。
35歳になったふたり。物語はそこから始まる。

遼太郎は埼玉県小花野高校の教師でバスケ部顧問に。
森村靖彦は泰西商事の人事課長でエリートコース。
製薬会社OLの浜田麻衣とは腐れ縁の恋人同士。
未亡人の小鹿まゆみはプロダクション会社を経営。
杉田聖子は人気歌手。
義妹の伊吹はバイク好きの夫と息子に囲まれ幸せに暮らしている。

離婚後の傷心のりおに小鹿が、日本バスケ界の期待の星、青木周平の写真集の仕事を依頼する。
青木の指名で、遼太郎が彼のトレーナーに。
もう顔を合わせたくなかったりおだったが。青木、遼太郎の同僚教師の山口詩文、アメリカから日本に長期取材でやってきた新聞記者のミランダらを巻き込んでの恋の行方。

創美社発行、集英社発売、office YOU。

まず、作品を取り巻く概要について。
賛否両論(否ばかりとも……)のこの作品。個人的には、どの作品の続編が作られようがそれぞれで有りではの意見だけど、この作品に関してはどうなんだろうかと感じた。
元々、砂糖菓子のように甘くコーティングされた恋に恋する物語。80年代の王道。
遼太郎が当時ちょっと悪っぽく見せていても範囲内の可愛らしいもんで、とにかく女の子のあこがれの夢を満載した少女漫画だったのだ。それを懐かしい甘い想い出として持っている読者もいると思う。
それを敢えて、読者の層がその年代になったといえ、残酷に侵してしまって良いのだろうか? むちゃくちゃ非現実だった世界観を、こちら側のリアルに置き換えて良いのだろうか?
この作品の特別なファンでなかったとはいえ(親友が夢中になっていたけど)、その疑問が根強い。
火曜とか木曜の22時台にやるような、しかも安っぽいドラマのようなお話になっている。違うキャラでやったら成立したのだろうか?
読中、独立した作品なら割り切れてそれなりに面白かったのにと感じた。

今が90年代だったらまだ有りだと思う設定で、団塊ジュニア世代のふたりはこう考えるだろうか? と考え込むこともしばしば。
2,000年を越えて、ますます価値観が変化している。今の30代はけっこう保守的、お金にもきっちり厳しいです。ここでの設定は40代後半以降の人たちがしていたスタイル。それってバブル経験してきた作家さんの年代なんだろうな。マーケティングって大事だ。

つい、「この作品のファンって、こういうのを読みたいのかなぁ?」と疑問がよぎる。元々はファンタジーなのに、リアルに描こうと考える作者自身がそれに没頭しすぎて、読者がすっかり冷めてしまうのだ。
最近の槇村さとるさんにもそういう傾向がある。いろいろと経験してきた大人の上目線で、読者を諭そうとか、教えようとかするからなのかな。

大人な話なのに、キャラクターが相手の気持ちを考えず強引に周囲を巻き込んで話を進める。それに萎えた。これも作家さんの性格なのかも。
これって子どもの世界にのみ許される手法。10代が主役の、社会に馴染まない子どもがメインの、少女漫画だから笑って許してもらえる設定なのだ。それが大人な世界にも描かれていて、げんなりした。
配慮だらけでにっちもさっちもいかなくなるのが、大人の不器用さで面白みになる。臆病さはどのキャラにもあるけど、肝心なところが強引みたいな。
愛すべきキャラたちが、空気の読めない大人たちになっていて、悲しかった。

この作品が漫画読みしててもまったく話題にならないのは、「読者も成長しているんだ。バカにするな」ってことなのかな。

内容について。
パターンは前作と一緒。波乱から安定、またトラブル。

りおに感情移入できない。まず、こんなに苦しむくらい好きな夫なのに、流産のトラウマだとかいろんな理由があるにせよ、師が厳しすぎるにしても、
「なぜりおは5年間一度も日本に帰らなかったのか。もしくは遼太郎に会いに来てもらうよう頼まなかったのか」。
何度も約束反故にされてそりゃ遼太郎もぶち切れるよね。離婚の覚悟しても仕事したかったと考えに普通に至ってしまう。

「自分は人を愛せない欠陥人間」と自虐するりおも、元々の作品に対して失礼な気がする。
りおの、自分は良い子でありたい性格は、真面目とは違う。相手への愛情を、身勝手に相手へのプレッシャーとして押しつける感情。それなのに、自分は愛し方を知らないと劣等感に酔うのはうんざりだった。(相手を高みに上げすぎて、それに酔いながら自分を成長させる「失恋ショコラティエ」の爽太の性格も似ているけど、自分のキモさを自覚し、客観的に観ているところで「たしなみ」がある。今の作品だよなと、あちらは感心)
そんなあれこれを放置のまま、また恋愛モード。
ぶれぶれな遼太郎にも共感できない。矛盾が多く、こんなに子どもっぽく執着する性格ならば、離婚時に揉めるはず。遼太郎は浮気する人じゃないと設定させるため、離婚させたのかなと穿って読んでしまう。
別な作品にして分けたらホント良かったのに。
そして35歳らしからぬ、りおの子どもっぽい行動。キャラたちが20代半ば設定ならまだ共感できそう。
海外生活長いと誰でもわりとさばさばしていくんだけどな。ロンドンとNYに長年住む妹を日頃見ていてそう感じた。
35歳からの遅い自立。主婦が自分の足で立ち上がることを自覚して頑張る姿としてなら、納得。でも、読者は、空回りの悪循環を読み続けたいわけじゃない。

火サス的にドキドキするのが、結婚決まった森村と麻衣ちゃんに絡む北岡瑞季。猟奇的で怖い。見どころ。でも、尻つぼみ。
周平のアメリカ行きと怪我の違和感は、もうファンタジー。

15話の扉絵の帯の結び、この夏の浴衣で着たい。

いろいろ書いたけど一番気になったこと。
絵って描かないと下手になっていくんだなととても怖いことに気づく。絵がとても上手い作家さんと、感心した記憶がある。巻を重ねていくとまとまってきて落ち着いた。ベテラン作家さんでもなんだ、びっくり。
いや、何事も日々こなしてないとそうなのかも。我が身を振り返らせた。大きな学び。
手書き文字の美しさには感動。
                         2012/3/20、4/07UP

《こんなふうにおススメ》
「残念な、やっちゃったパターン」として、周囲に勧めている最近。いいのか?


ラベル:本田恵子
posted by zakuro at 02:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月06日

もやしもん 11巻まで

【もやしもん】 11巻まで  /石川 雅之

種麹(たねこうじ)屋の次男で跡を継ぐ予定の沢木惣右衛門直保(さわき・そうえもん・ただやす)は、ウィルスや細菌などの、いわゆる「菌」が肉眼で見える特殊体質。
幼馴染みで親友、酒蔵元の一人息子の結城蛍(けい)とともに東京の農大に入学。東京に出たかったが、農大でなければ進学を許されなかったのだ。
祖父の伝言で樹慶蔵教授に会うが、なかなかの変人で……。院生の長谷川遥、ゼミ生の武藤葵らとも出会い、二年で酒を密造していた美里薫、川浜拓馬、新入生の及川葉月が樹の元に集まる。その菌が見える才能が活かされていく。……? 活かされていないという評判も。

種麹は「もやし」とも呼ばれるそう。もやしもんは、種麹屋ということか。

単行本の紙は古紙100%。
そしてインクは大豆インクを使用といった地球に優しい漫画。

のだめカンタービレ」を読んでいて知った漫画。のだめのカレーに菌が蔓延してたのだ。
『のだめ』だけでなくあちこちに出張している。それがスタイルの漫画ってなんか新しいのかも?(笑)。遊んでいるよなー。縛りを超えて、これって楽しい。
ちなみにアニメでは、視聴率は「のだめ」を抜いている。(UP時の記録。その後、またのだめ2期が追い抜きました)

デフォルメされた菌たちがめちゃくちゃかわいい。正直こんなに面白いとは思わなかった。かもされた。
農大のあれこれも面白いし、菌の世界もすごい。かなり勉強になる。
酵素ジュースとか酵母などを作ってたけど、あまり仕組みを理解してなかったかもしれない。興味を駆り立てられる。

まったり進んで、行き当たりばったりのように見えるが、伏線が細かく貼られていて構成が上手い。
読者に負担をかけずに世界観に誘ってくれる。さすが。

樹教授の語りだしたら止まらないのも最高。
キャラのゆるい感じもいい。
ナウシカのコスプレ、大爆笑だった。
宏岡亜矢のプライドの話は良かった。
樹教授みたいな人がそばにいたら大変そう(苦笑)。どれだけ臭い発酵食品と出逢えるんだろう? それって好奇心が満たされるけど、究極の選択でもある。
川浜のジュゴンにはやられたなぁー。キモ可愛すぎる。
結城蛍も謎。なんでこうなんか謎。それが楽しい。蛍の、店のぶっ壊し方は、小布施のセーラさんを彷彿させた。彼女もハンマーで酒蔵ぶっ壊したもんな。
これからもこの作品が楽しみ。
                         2008/1/02

6巻/
親の勝手な意思で結婚させられるためにパリに拉致された長谷川遥を追って、沢木、美里、川浜がパリに乗り込む。それにまつわるワインの話。

菌たちが集まって「ワインこえーよ」(笑)。同感。知れば知る程難しいよ、ワイン。
目玉オヤジオリゼ、ストラップでほしい! こういうデフォルメ最高。
うっわぁー、沢木と蛍……可能性は考えていたけど、まさか期待通りだったとは……。この関係、早く続きが読みたい。
                         2008/9/07

《こんなふうにおススメ》
周囲でも話題になります。「面白いよねー」と。
新感覚コミックだと思う。とってもおススメ。
                         2008/9/07

7巻/
日本に戻ってきて、醤油と味噌造りを始める樹ゼミとその同好会(?)メンバー。
沖縄から金城おじいと孫娘も来て。
蛍が日吉酒店を改装。

うっかり連載を追い出しちゃって、単行本は焼き直しだからテンション上がらないかも……と考えてた私が悪うございました。柱言葉のツッコミ最高。やっぱ面白いー。

樹教授がみなを固まらせた時、シルエットになって、沢木の肩のオリゼーも固まってたのに笑った。
醤油も味噌も深いなあ。日本人で良かった。
蛍が消えてしまった理由は、“通路”を通って近道したからなんだな。蛍、次巻も期待。
ブフ・ブルギニョン食べたい。作り方は割と難しくなさそう。だからこそ、コツがいるのかもしれない。
                         2008/12/31

UP追記>
2008年の最後を飾るのを何にしようか悩みました。
コミックにかもされた一年ということで、やはりここはこの作品で。
また来年もよろしくお願いいたします。
                         2008/12/31UP

8巻/
待っていました! のビール編。
武藤葵がかのうファームの加納はなに挑む。
「ビールとは何か?」を探求していくうち、武藤は大事なことに気づく。

ちょうどビールを勉強し出して、フェスとかブルワリーにも見学に行っちゃってて、だからこの時の連載は教科書のようでしたよ。
これに関して冷静にいられない自分がいる。
酵母がぽこぽこいって、ビールが育つ感じはまさに「愛すべき」なのだ。

樹教授のおっしゃるとおり、「選択に幅があるのは、実に豊かだ」
武藤は漢だな。さすがはミス農大だ。

オクトーバーフェストのシーンは泣けた、号泣した。
連載時、私のビールの師匠、ビアテイスターに電話して泣くほどだった。
知っているブルワリー、まだまだ小さくて出荷量もままならないけど、頑張って美味しいビールを作っているところの旗が、いっせいにたなびくんだもの。これが泣かずにいられようか。

最近のビアフェスの話題も、このもやしもんの話が多いと聞く。
日本の地ビールって、今やホントにすごいんですよ? みんな、飲んでみて〜〜。
これでもっと評価されるといい。

ビールは「笑顔がもっとも似合う飲み物」なのだ。
ちなみに私の好みは、今はヴァイツェンとランビック派です。
ウルケルの生、飲んでみたいぜ。

もう一回大学に行き直せるなら、農学部に入りたい。
及川葉月は、「純潔のマリア」に似過ぎ。
                         2009/7/27、7/29UP

9巻/
新章。多様性な巻。
お茶。そして自給率のこと。農、酵素、医学と菌。たくあん作り。長谷川遥の金持ちっぷり検証。いよいよ日本酒作り。そしてマリーを迎えに。

まさにお茶は芸術だよね〜。
祝100話。
家庭内の食品廃棄をなんとかできないか、これは常に考えている。私はこの10年近くは無駄にしていない。意識的に自炊している。何においても無知ではいけない。
もやしもん読んで農大受験した高校生は、もう卒業しているかも。
                         2010/7/06、7/07UP

10巻/
マリーの救援。長谷川遥、プライベートジェットで向かった先は。沢木を追う蛍。蛍の本心。愛なのか。長谷川、ニューオリンズに行き先を決める。沢木の決意。そして沢木の兄直継。おまけ漫画も絶好調。

蛍とマリー、ふたりゴスの可愛さを愛でる巻。
親のすね、太すぎ!!
どこの国に来ているのかわからないのがとくに楽しかった。旅情感いっぱい。全編これでもいいくらい楽しい。妹尾河童読んでる気分になった。描写の細かさも匹敵。少女漫画ですらこんなに衣装は描き込まないよ。
樹先生、ほんと好きです。こんな大人になりたいです。長谷川も友情の人。そして正論。自分の思考、見直したくなった。蛍のツッコミも好き。
沢木のセリフに、そーだよね、味噌って天才と思った。食べ物って文化ですよね〜。発酵バンザイ。
                         2011/8/10、2012/2/15UP

11巻/
クリスマス、武藤はミス農大位査問会にかけられる。ミス農大落とし開催・美里はトトカルチョ。刺客を放つ。新キャラ西野。ミス農大は? 日本酒作りも並行。

この巻自体がすでにお祭り巻。ただ皆のプロポーションや可愛さを愛でる巻。
日本酒に本格的に入っていく。蛍、活躍。←いろんな意味で。
                         2012/3/30、4/06UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:石川雅之
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2012年04月05日

失恋ショコラティエ 04巻まで

【失恋ショコラティエ】 04巻まで  /水城 せとな

小動爽太(こゆるぎそうた)は高校に入ってすぐにひとつ先輩の高橋紗絵子(サエコ)に恋をする。サエコは学年トップのいい男は必ずモノにする、決して美人ではないのに男を惹きつける話題の女だった。
爽太はサエコに尽くしまくり、恋をしてから5年後のクリスマスの一週間前からやっと付き合い出す。とはいえキス止まり。サエコの無類のスイート好きと、実家が代官山のケーキ屋ということもあり、店の厨房と製菓学校で鍛えた腕で、ヴァレンタインにサエコに本命チョコを渡す。ところがサエコは、爽太とは付き合っているつもりはなく、元彼のサヤに戻っていると言い放つ。
爽太は傷心のまま、渡仏。有名店に採用を申し出る。そして5年後。
天才ショコラティエとして凱旋帰国、爽太の前に現れたサエコが爽太にお願いしたのは……。

flower増刊、凛花。あー、濃い雑誌。
あの、渡瀬悠宇がBL描いているんだから。

内容も参った。濃い。この作家さんのことだから覚悟はしていたのだけど。
コミックナタリーの上位で、プロのお薦めというのがわかる。

「こういうタチの悪い女っているよね」
女が一番嫌いなタイプの女、それがサエコなのだ。だけど、うまく説明できない。高飛車、傲慢、悪女なわけではない。形にはっきりわかるイヤさ加減ではないのだ。見た目も中味も一見は良い子、周囲だって受け入れている、だけど一番の親友と聞かれたら名前を挙げたくない、きっといつかは裏切る、そんな匂いを持つ女なのだ。
そういう女には、じわじわと浸食されてくるような独特の“気持ち悪さ”がある。その浸食を男は好む。
この気持ち悪い何かに、はっきり名前をつれてくれた水城せとなという人をリスペクトする。「空気のよめないイノセントさ(純真無垢さ)」
それは相手を傷つけようとする悪意より、タチが悪い。

物語は、そんな女に青春を振り回された爽太が、まだまだ執着し、逆転劇を図ろうとする。
爽太に想いを寄せながら冷静に状況分析する薫子は、読者の気持ちにもっとも寄り添う。
普段はオタクでちゃらちゃらしているんだけど、友人として爽太に的確なアドバイスをするオリヴィエ。
爽太のサエコに対する執着は異常にも感じるけど、ここまで蔑ろにされても好きでいるのは、羨ましい気持ちもある。
この作品、「復讐物語」と語られることが多いけど、私にはひとりの男の「成長物語」にみえる。

それにしても序章、前振りの一巻だけでこんなに濃いとは。
なんて“人の裏”を浮き彫りにする作者なんだろう。芥川龍之介か、水城せとなか。決して言い過ぎではない気がする。
                         2009/12/10

《こんなふうにおススメ》
2巻は昨日出たばかり。早く読みたくてじれじれする。
男性にオススメかも。女のずるさが視えてくる。
                         2009/12/11UP

2巻/
ライバル六道誠之助登場。爽太はサエコに見合う敷居高めな男をひたすら目指すが……ショコラティエ相手で初めての嫉妬をする爽太。ライバル店を偵察に行く。
まつりの恋、オリヴィエの恋。
六道のバースディで知り合ったモデルの加藤えれなと片想い友だちになった爽太。

改めてカメラワークが絶妙だと気づく。普通ならしないような不安定なコマの構成。見事。
大人相手のエンタテイメント、夢を売る商売の基本も語られる。やられた。
台詞の巧みさは他に例をみない。やばい、ほんとに面白い。いきなりまたレベル上がった?
作中の作者自らのツッコミが男前だ。
パリ旅行に行くなら是非一読してをオススメ。
                         2010/3/21、4/02UP

3〜4巻/
3巻。爽太はえれなと一緒のところをサエコに見られる。その甲斐あってか、サエコに元カレ認定され舞い上がる。オリヴィエはまつりに告白。サエコの“買い物”に付き合うことになった爽太。薫子を誘ったのは。
4巻。薫子は関谷と食事を仕切り直し。六道の誤解。まつりは男と別れ、とりあえず付き合ってみる提案のオリヴィエを受け入れる。サエコは閉じていく。

恋ってすごい。これ読んでいるとそう思う、それが一番羨ましい。
私もゴッドマザー女塾入りたいよ。

爽太の恋は、自分を成長させる。「誰かに認められたくて努力する自分」
同じことを「月の夜星の朝 35ans」でも言っているんだけど、本作は相手に押しつけがましくないのだ。たしなみ、大事ですね。まぁ、爽太の場合は言えないところ大なわけなんですが。
だから読者がイラッとしない。このすごすぎる設定にやっと気づいた。

えれなと爽太の会話は面白いけど、わからないところ多々。でもこのふたりのシーンは大好物なんだよね。
チョコが美味しそうで困る。
                        2012/3/30、4/05UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:水城せとな
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2012年04月04日

BLACK BIRD 15巻まで

【BLACK BIRD(ブラック・バード)】 15巻まで  /桜小路 かのこ

“見える”体質の原田実沙緒(みさお)。
幼い頃、同じ体質の烏水匡(うすいきょう)に「迎えに来る」と言われたまま、別れを経験する。
その匡と16歳の誕生日の前日に再会。妖に襲われたところを助けられる。
そして教えられた自分の運命、実沙緒は100年に一度生まれる特殊な人間で、妖がその血を飲めば寿命が延び、喰らえば不老不死に、嫁にすれば一族が繁栄するというのだ。それは16歳をもって解禁で、匡は実沙緒を嫁にするため迎えに来た妖、天狗一族の当主だった。
そして匡は実沙緒の学校に教師として赴任する。
妖狐の葛葉修平(くずのは)も実沙緒にプロポーズしてきて。

Betsucomi(ベツコミ)。
表紙が妙にエロかったので、気になって読む。どんな理由だ。
表紙の実沙緒がいつも泣いているのは、お約束らしい。

面白い。さすが、ベツコミ。
少女漫画に匂わせるエロさが絶妙。なまじはっきり描かれるより余韻が残りますよね。

「葛葉、おまえはこのクラスじゃないだろう」に笑った。
八大天狗が面白い。前鬼もそのひとりだったんだ!

忠信との決着の前に、実沙緒が早いとこ……しちゃえば、みんな苦しまないで済むという話じゃないのか? と、最初はツッコんだが、物語を盛り上げるための見所と、その後の伏線だった。

押し入れで実沙緒のハンカチ握っている権助を見て、ファンになった私は変態。
3巻の中表紙が、絞りの着物で凝っててびっくり。

タイトルは、匡たち種族のことだったのか。

6巻の後描きに、感激とともに爆笑した。
水城 せとなさんの意見はもっともだと思う。
                         2009/9/02、9/11UP

《こんなふうにおススメ》
何気に手にして、期待以上の面白さで感動でした。
正直、連載を追いたい気分。

9巻/
とうとう結ばれたふたり。匡の呪いは解ける。実沙緒はまったく変わらず、匡はそのことが他の妖たちに狙われるままと考える。
妖にとって仙果はエサでしかなく、実沙緒を愛した匡が異端なのだと実沙緒は教えられる。実沙緒の血を所望する里からの申し出を断った匡に対し「当主は仙果を独り占めする」と鬱憤が積もる。学校で実沙緒は襲われ、天狗たちは内情に詳しいスパイを疑う。人間が妖に操られていることで、実沙緒は自分を責め追い詰められていく。
そして匡の父親が姿を現す。

「祝合体」の熨斗紙に爆笑した。
実沙緒がちょっとうざい。
エロさが生きる作品だなー。ほんとに面白い。
                         2010/3/08、3/15UP

10〜14巻/
10巻。匡の両親の真実。祥の生存。鵺の全滅。天狗の郷に。
11巻。仙果の血を無心する里人。かえでと祥の策略。実沙緒の失った記憶。反魂香。
12巻。匡たちの出陣。伯耆の謀反。前鬼捕らわれる。実験に使われた里人たち。
13巻。実沙緒、祥の元に飛ばされる。
14巻。兄弟の対決。実沙緒、戻る。番外編もまとめて。

10巻の都条例ネタに爆笑。ホント、むかつきますよね。

全開な感じ。エロさも。
かなり実沙緒がうざいけど、お話が楽しく気楽に読めて嬉しいです。
乙女ゲーム系な脚本健在。
                         2011/12/01、2012/1/26UP

15巻/
実沙緒の体質変化。妖を祓う力。実沙緒の妊娠。鵺に襲われる屋敷。捉えたひとりが仙果録の結末を知っていた。子が産み落とされると仙果は死ぬ。

そろそろ終わりに向かっていると感じる最終章。引っ張ったなー。なんだかなー。
相変わらず、実沙緒に感情移入出来ない。
                         2012/3/30、4/04UP

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【コミックス】

ラベル:桜小路かのこ
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2012年04月03日

宇宙兄弟 17巻まで

【宇宙兄弟】 17巻まで  /小山 宙哉

2024年。31歳の南波六太(なんばむつた)は、自動車開発メーカーで自動車設計の仕事に従事していたが、上司に弟の悪口を言われキレてしまい、頭突きを喰らわせてクビに遭う。
三歳年下の弟、日々人(ひびと)は、日本の期待を一身に背負う宇宙飛行士。兄のリストラを知った日々人は、母に頼んでこっそり宇宙航空研究開発機構JAXAの、宇宙飛行士選抜試験に兄の履歴書を送ってもらう。2006年夏にふたりで遊んで遭遇したUFOの想い出。「ふたりで宇宙飛行士になる」その約束を弟は忘れていなかった。
面接の出来の悪さと、前職場での評判をJAXAに知られ諦めふて腐れていたが、ヒビトに呼ばれ渡米したヒューストンでの隣人オジー・スミスがムッタの背中を押す。
ドーハの悲劇生まれのムッタと、野茂がメジャーリーグでノーヒットノーラン達成した日生まれのヒビト。
「兄とは常に弟の一歩先を行ってなければならない」
身軽で芯の太い弟にコンプレックスを抱き、少しでも兄貴風を吹かせたいムッタの宇宙飛行士になる道のりと、ヒビトの初の日本人月面着陸宇宙飛行士から苦難を描く、兄弟の絆の物語。
マイペースな父母、宇宙飛行士選抜試験受験ですぐに親友になった同じ歳の真壁ケンジ、医師で難病の研究をISSで行いたい伊東せりか、幼い頃からの南波兄弟を知っていて密かに応援しているJAXAの星加正、ふたりの宇宙への夢をサポートし続けた天文学者のシャロン博士ら、多数、魅力的な仲間が彼らを囲む。

モーニング。
ヒューマンストーリー。アニメも始まり、なかなか楽しめる。実写映画はGWより公開。月のシーンはどんな感じなのだろう?

ずっと積んであった。漫画読みには出たばかりの時から話題になっていたし、こすヨメでも。マンガ大賞はずっと二位で、とにかくあちこちで評価されまくっている作品。読んでみて、それだけのことはあった。

話の内容では、「ふたつのスピカ」が宇宙飛行士を目指す作品として、この作品のように訓練プロセスが丁寧に描かれ、似ている。でも好みとしては、こちらかな。ふたつのスピカはゆるやかなたゆたゆファンタジーでそれもなかなか素晴らしいのだが、個人的には熱い方が楽しく好き。

大胆で明るく誰からも好かれる弟に、神経質なところもあるけど信頼をゆっくり得ていく癖のある兄。ヒーロー然としたヒビトだけだと、読者は自分との距離を取って客観的な目線で読むけど、身近に感じるムッタが主役で、感情移入しやすい。とてもドジなイメージがあるけど、ムッタは記憶力も観察力も知恵も天才的。この性格で得をしている。その実、優秀な兄弟なのだ。
追うより、追われる方がしんどい。兄としての矜持が邪魔して出遅れたムッタが、ヒビトを追うことで加速する。男兄弟のドライさと信頼を垣間見る。

読みやすいし、楽しい。エンターテイメントだな〜と感心。
BAKUMAN」で“シリアスな笑い”って言われるんだけど、この作品を読むまでよくわからなかった。ムッタが真面目にやればやるほど、笑えてくる。
緊張を伴う命がけの重要なミッションを遂行する任務の適任者は、ブラックユーモアのセンスがないとダメと聞いたことがある。命がけの状況でのリラックス、それがないと集中して“楽しめない”からと言う。まさにムッタは適任。
作品も、擬音とかユーモアが溢れていて楽しい。遊び心満載。絵にも最近多用されるデフォルメは一切ない。
全体的に「笑いと涙と感動のバランス」が素晴らしいのだ。

どんなに努力しても、宇宙飛行士になれても、アサイン(任命)されるわけではない。チケットがみんなに行き渡るわけではないのだ。
支える側の人たちにも、相当の能力が必要。
チキンな私は絶対に安全なら、宇宙に行ってみたい。

ISSが通る瞬間に間に合うよう走るムッタに泣けてきた。
日々人、打ち上げでは号泣できる。すごいリアル。わくわくする。胸が躍る。

17巻までの好きなシーン。
星加がわざわざムッタに会いに来て、子ども溢れる公園で合格を告げるシーン。子どもの頃からの夢が、(目指す側と、見守る側という)立場は違っても双方にあり、胸が詰まった。
そして、正式に宇宙飛行士に決まった写真を、JAXAに飾る13巻。ムッタやヒビトより、心情が星加の立場の年齢に私が近いのかもしれない。
ヒビトが助かった時の、ムッタの表情も秀逸。
密かに今後も期待したいのは、ロスにお住まいのカールくん。

スラムダンク」を読んで漫画家になった人って多いんだなー。影響が随所に。他にも、浦沢直樹鳥山明大友克洋小林まこと……らしき影響があちこちと。
笑いと涙と感動のバランスを持つ作品はなかなか出逢えない。この先人たちはそれを持っている。
スラムダンクは、まだ最初の頃に読んだので面白さって理解できなかった。ノック終わったら、また読んでみたい。

誰にでもお勧めできる秀逸な作品。折れそうなときに何度も読みたい。勇気をもらえる。
                         2012/3/31、4/03UP

《こんなふうにおススメ》
話題作は早めに読まないといかんなぁ〜と実感。
でも、じれじれも辛いので、ちょうどいろいろと楽しい今追いつくのはオススメです。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:小山宙哉
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こ【小山宙哉】

【小山 宙哉】 こやま ちゅうや

宇宙兄弟
ラベル:小山宙哉
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2012年04月02日

となりの怪物くん 09巻まで

【となりの怪物くん】 09巻まで  /ろびこ

「となりの席の吉田くんは、入学初日に流血事件を起こして以来、一度も学校に来ていない」
ガリ勉優等生の水谷雫には夢がある。将来は年収1千万超えのキャリアウーマンになるべく、勉学以外の興味がないクールな性格。
幻の新入生で話題の男、吉田春に、担任教師から賄賂を貰ってプリントを届けに行くが、妙に気に入られ友だち認定されてしまう。ハルは他者との距離感を計るのが下手で、学校や仲間に憧れる、実はまっすぐな青年だった。
そんなハルに、初めて感情を揺さぶられる想いをする雫。勉強さえしていれば満たされた。今は不安で胸が苦しい。
「シズクがいるんなら、学校に行ってみてもいい」
中学時代も登校拒否児、しかも成績は学年トップ、奇行青年ハルと、面倒事は嫌いでかたくななシズクのぶきっちょなすれ違いラブストーリー&不器用な仲間たちの青春物語。

デザート。
正直、新しいと感じた。
特に、最初の一コマ。インパクト大で、カミュの「異邦人」の出だし、「きょう、ママンが死んだ」の名文を想い出したよ。

なんというか、不思議な感覚をたくさん持った作品。どうやらこれはこの作家さんの個性らしく、「当たりだったなー」と感慨深い。
感想書くにあたって、ブログを拝見したら、中高時代にクラスにたまーに存在する、飛び抜けて面白い(よしもと系の意味ではなく、存在そのものが)感覚がちょっと変わった子を思いだした。私は昔から、こういう人に憧れてならなかった。文章も詩のようで歌のようで、ほっこりする。
無機質のようで血が通っている感覚と、デジタル絵がしっくりきて本当に楽しい。絵や漫画を描くことがとっても好きで楽しい気持ち、随所から伝わってくる。

絵も可愛いし、男子カッコイイ! 群像画がとくにステキ。
一気にファン。

シズクがくねくね甘えた系女子でなく、空気の読める男前でスカッとする。でも話全体がういういで、ホント共感できるのだ。
そして特筆すべきは恋愛関係が相手におもねらず対等なコト。「男女って対等だよね」とか、存在や生き方や在り方をぐねぐね検証したり確認したりするわけでなく、当然のように対等。苦もなくするっとそんなふうにキャラが存在していて、それが前提になっている。
嬉しいことで、作家さんにトラウマがないのだ、そういった時代の。
当たり前の話なのだが、90年代まではこれがなかなか手に入らず、そういった部分がテーマになってきた。そんなことさっさと乗り越えて次に行っちゃってる、2010年代の作品と思った。もはや戦後ではないんだなー。感動。そこが「新しい」のだ。差別は教育しちゃあかん、ということ、初めて実感した気すらした。

ストーリー展開も、なんというか「その発想はなかった」みたいな。ぶっ飛びっぱなしなんだけど、計算じゃないんだよね。そこがなんともすごい。
今までの多くの作品は、本音の一言が言えなくて、ぐるぐると逡巡し、それが挙げ句は周囲を巻き込む事件に発展してしまう。そのあれこれの中で主役たちは手探りでお互いの気持ちを探して恋愛成就するのが王道パターン。
しかし、この作品のキャラクターは、ためらいなく思ったことを口にする。その言葉に傷つくことさえ言葉に代え、相手の個性も受け入れる。違いを容認する。
その中で、好きという気持ちが重なるところを模索していく。恋愛は、自分ひとりが正解でもダメだということに重きを置いている。お互い好きでも噛み合わない、そんな恋愛のズレたところからスタートさせる。大人だー。
もしかして、今の子たちはうんとスタートが大人なのではと、考えさせられた。

ここに出てくる感覚は今のティーンエイジャーの抱えている悩みや気持ちなのかも。欲しいものは何でも手に入って、取り立てて口に出すまでの悩みはない。でも空虚に冷えている胸の内。ホントに欲しいのは何なのか、わからない拠り所のない気持ち。

出てくるキャラがどの子も立っていて面白おかしい。
可愛すぎてモテまくることにうんざりしている夏目あさ子、野球部で明るい人気者で唯一常識的でまともなササヤン佐々原宗平、隣のクラスの委員長の大島千づる、海明学院に通う方向音痴でプライドの高い優等生ヤマケンこと山口賢二らが、ふたりに関わっていく。

お約束のイベントだって満載なのに、方向が違っているだけで新しく感じる。とにかく楽しい。

目次下が特に好き。途中で入る四コマやおまけ漫画がなんともラブ。
ササヤンのハルに借りってなんだろう? ちらっと出たけど、これでスルーになるのかな?
大島さんの「どうせ死ぬなら前のめり」に共感。

2010年代作品、登場しましたね、と言いたい。この作品はファンとして向かいたい。
                         2012/1/30、UPは9巻と一緒。

9巻/
高二の夏休み。キャンプ。そこに優山の姿が。雫は付き合うということについて考える。祭り。ハルの事情。

この巻の夏目が割と良い。ササヤンが良いのはいつものコト。
だんだん家の問題が表面化してくる。そしてハルの特殊さも。
                         2012/3/30、4/02UP

《こんなふうにおススメ》
本文にも書きましたが、ようやく、「2010年代作品」がこういうのですね、と言えるもの。
時代が浮き出て面白い。注目。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:ろびこ
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ろ【ろびこ】

【ろびこ】 ろびこ

となりの怪物くん
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2012年04月01日

高杉さん家のおべんとう 05巻まで

【高杉さん家のおべんとう】 05巻まで  /柳原 望

高杉温巳(はるみ)31歳男性。地理学の博士号は取ったがどこにも採用されず、折しも不況の波。大学に残りながら中学校講師のバイト生活。
叔母の美哉とは年が近かったために姉弟のように育ったが、温巳が高三の時、両親が事故死、美哉もやがて姿を消す。
音沙汰なかった温巳の元に、美哉の死亡が伝えられ、遺言により一人娘の中学一年生、久留里(くるり)の未成年後見人に指名される。
温巳には従姉妹にあたる久留里との日々を食生活目線から描く。
温巳の同級生香山玲子の娘なつ希は、久留里のクラスメイト。中学で人気の丸宮光(みつる)は久留里に片想い。

短編は、大学の特別研究員小坂りいなさんの「小坂さんのある日」。

コミックフラッパー。
面白いよと数人の口コミで手にする。一般大衆的には話題になっていないのに、良いと聞くと心が騒ぐよね。
いやいや、ほんと面白い、想像以上。

人間関係に疎い温巳がフィールドワークから得た経験で、まだ幼い久留里を理解していこうとするところ。
食漫画としてパターン化される話の作り方でなく、人物を浮き彫りにしながらネタにも凝っているのが素晴らしい。

弁当というフックだけで、絆や家族、生き方も語られる。弁当、深すぎ。
小坂さんの「あんなに小さい空間なのに、地平線に見える時がある」に納得。小坂さん、ファンです。
弁当作りは「ほんの少し未来をしつらえる作業」にもじんときた。

そして地理学にも興味! フンボルトさんってどんな人なんだろう。

なんとも掘り出し物に当たった気分だ。
「小さな達成感の積み重ねが人間を強くする」何度も頷く。
人を「記述」する。そのくらい大事に人に向き合いたい。そして「記述とは自分の無力さをかみしめて挑む作業」。

無口で凝り性な久留里も可愛すぎ。
舞台は名古屋か?
かなりオススメ作品。
                         2010/5/10

《こんな人におススメ》
オタク気質の人にもツボ。考えたい時にも。

2巻/
温巳、めでたく助教。キノコ狩り。久留里に名で呼ばれたい。クリスマスに初詣。久留里は二年生に。お泊まり、フィールドワークに子どもたちも。味噌汁。

キノコって取り方(採取ではないそう)があるんだなー。そして山の問題。
行事は家族あってのものだ。温巳のプランの裏目っぷりがリアルで笑った。
タケノコご飯レシピ、どれも試したい。嬉しい時の瞬発力は大事だ。
フィールドワークが仕事だけあって、出先がリアルでこれも楽しみ。こういう作品がヒットして欲しい。後書きも要確認。
                         2010/6/23、UPも

3〜4巻/
3巻。滝打たれ巡検。温巳を嫌うゼミ生の丸山兄の元の理由。美哉の戸籍。温巳は動揺する。学会。串原ヘボ祭り。
4巻。もてなす意味。東京に巡検。デザート。場所の記憶や想い。水泳リベンジ。温巳は久留里を連れラオスに。

読み応えあって毎回面白い。
猿投七滝で滝に打たれているんですが、ここ実際にあるとこ。行ってみたい。
子どもたちの方がめちゃくちゃ大人で笑う。
久留里の猫化かわいい。
出てくるレシピは弁当になるかが基準。そうめん、弁当になるんだー、びっくり。
学校の先生も、今はメンデルの法則、教えにくいだろうなー。温巳の講義は大人な私でもびびる。じっくり聞くととても面白いんだけど。そしてそこに興味がある人なら、もっと楽しめる作品。
ラオス編は、こんな旅はなかなかできないから正直羨ましかった。
                        2012/3/18、UPは5巻と。

5巻/
温巳の著作出版会議。S女子大講師公募。キャラ弁と進路。丸宮の卒論。久留里の修学旅行。高校入試。中学卒業。御手洗先生定年謝恩会。

学術書出す経緯わかって、なるほど興味深い。
ゆかり、買いに行こう。すんき、気になる。サツマイモのリンゴジュース煮は定番になりそう。
なんか、久留里さんがもう高校生って信じられない気持ち。

元々は「花とゆめ」で少女漫画描いていた作家さんらしい。十数冊入手。
でも、これが一番面白い感じがする。なんというか、地理学がお弁当に生かされている。
                         2012/3/30、4/01UP


ラベル:柳原望
posted by zakuro at 00:02| Comment(2) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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