2008年07月21日

ヤサシイワタシ(完) 全02巻

【ヤサシイワタシ】 全02巻  /ひぐち アサ

写真部の弥恵は相手によって言動が変わったり、常識的なことを忘れたりする。それは故意ではなくバランスが悪く、自己モラルの枠組みが壊れているのだ。
テニスを怪我で挫折した後輩の芹生と、なんとなくつき合うようになるが。
苦い青春の時期の、超えなきゃならない自己の壁と向き合った作品。

この弥恵の存在は賛否両論だったというけど、こういう人はいる。ムカつきながらでも学習しておいた方が良い。
同族嫌悪で語られるのもわかる、私もそういうところあったかもと思うし。
だけど、うまい。気持ちがコロコロ変わって安定しないところ、どこか被害者意識があって突っかかって自分を持て余すところなど、それらの内面を客観的に捉えている。奥が深い。
そばにそういう不安定な人がいたんだろうか。一度、巻き込まれてみて、それを憎んで、また捉え直して考えて、赦さないと、これは描けないと思えた。
その人を客観的に見て、なおかつ、その人の思考の基準を捉えないと、このタイトルは思いつかないよね(正直、良く理解しているすごい題だと思うもの。苦笑)。
DVの本質も見えているし。まあ、DVについてはまだまだあるけど、そこを掘り下げたら横道に逸れたのかもしれない。

ひぐちさん、絵もまだ拙い頃なのに、下着の描き方がやたらと凝っていて笑った。なんかわかる。他が丁寧なのに、下着がすごく古い感覚で描かれていたりすると、なんか萎えるんだよね、この作者は世の中の流れをわかっていない、というような。
絵はどんどんうまくなっていく。描いていく、見られるって大事だとわかる。

2巻後半の弓為の台詞はかなりきた、考えさせられた。その行動力と思い込みの強さに嫉妬する人間はいるんだな。力もないのに、偉そうにしてるなってところなんだろう。
最初から諦めがつくような才能を持っている相手なのなら、別物に考えられるのだけど。
弥恵が痛いめにあうことは、自分は行動しなくて良かった言い訳にできる。弥恵のような存在は、8割がたの人間にとっては一番成功されたくない人間なのかもしれない。

夢を見るのは、責任が伴う。時にはとても焦るけど、その吐け口として他者を妬んだり、一人でささくれたりすることは違う。真っ直ぐに夢を見て、ちゃんと努力して粘っていけば、開けることは、今の私にはわかっている。それに気づいただけでも嬉しいと思えた。
きつい物語だったけど、何度か読み直したい。この作品あっての『おお振り』なのかと思うと、考えさせられる。
                         2008/3/16

《こんな時におススメ》生きていくこと、自分のことについてめちゃくちゃ考えたい時に。


タグ:ひぐちアサ
posted by zakuro at 23:39| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。