2008年08月20日

彼は花園で夢を見る

【彼は花園で夢を見る】 全01巻  /よしなが ふみ

旅先で世話になった男爵家に居候することになるファルハットと、男爵の物語。
楽師をしながら、自分を拾ってくれた兄のように慕う人と旅を続けている。
一夜の宿を借りるため、美しい花園が広がる男爵の屋敷に世話になる。そこに住んでいたのは因縁の娘だった。

この作品はBLに入るのか悩んだけど、世の中カテゴリーは少女系になっていたのでこちらに。BLに理解がなければ、そのまま問題なく読める作品。

よしなが作品を語ることって、私にはできないだろうなと思う。どこをどう切り取っても結局は芯から外れてしまいそうだし、くるっと丸ごと包んで述べるには、まだまだ人生を掘り下げていないからだ。どこを通しても自分をさらけ出してしまう。それが“痛み”になるのかも。
かえって、好きか嫌いかで話す人に真実がある気がしてくる。でも、ノックなので書かねばならない辛さ。

一言でいえば、切ない作品だった。
日本にいるとついすべての人は平等だと思ってしまうけど、海外に長く滞在するとその薄っぺらさがみえてくる。人は存在においては平等な権利はあるけど、環境においては不平等だからだ。
それをそのまま受け取ると、この切なさは当たり前になってくる。「仕方ないよね、それが人生だもん」みたいな。諦めではなくクールに割り切れる。そこに生まれた自分が仕方ない。そこでチャンスがあるのならアメリカにでも行って一旗あげるか、という発想になってくる。
この作品だけでなく、よしなが作品にはそんな不条理がいっぱい出てくるんだけど、それは海外文学では繰り返し書かれてきたことではあって、それに切なさを感じる自分の甘さを突きつけられるし、それで良し!としてしまうには、まだまだ青い使命感が邪魔をする。
まあ、何にせよ、考えさせられるのです。
なんか、パール・S・バックの『大地』を小学生の時に読んだショック感を憶いだすんですよね。だから読後感は疲れる。
                         2007/10(感想は2008/8/19)

《こんなふうにおススメ》
よしなが作品を読んだ後って、「もやもやするよね」とよく言われる感想ですが、それがこんな思いからなのかな、と。なので、好きかキライかどちらかに分かれる作家さん。
私は好きな方なんですけど。
まだまだ何にもわかっていなかった時(今もそうだけど)、中学生くらいでめちゃくちゃ背伸びして読んだフランス文学の感覚を憶いだす。でその頃の、体感覚が一気に蘇るんですよね。カラダにしみ込むって怖い。



ラベル:よしながふみ
posted by zakuro at 00:00| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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