2012年04月26日

コンシェルジュ (完) 全21巻

【コンシェルジュ】 全21巻  /藤栄 道彦(原作/いしぜき ひでゆき)

川口涼子22歳。就職活動が全滅で浪人を覚悟した時、ホテル大手のクインシーグループに滑り込む。就職先は東京の汐留にある「クインシーホテル・トウキョー」。
駆け出しのコンシェルジュになった涼子と、先代オーナーがNYから日本に連れ戻し、考えだすとあちこちにぶつかるチーフコンシェルジュの最上拝(もがみはい)との奮闘記。
そこに支配人の笠井信男や、現オーナー社長の松岡俊一郎らが絡む。
経験値の詰まった“魔法の手帳”と思い遣りでお客様を虜にし、そこからそれぞれが学び次のステージへと上がっていく感動物語。

読み切りで、1話ごとに感動のコンシェルジュの“魔法”がある。
日本ではまだまだ知られにくいコンシェルジュの仕事もとてもよくわかる。
連載が始まった当時はまだ汐留にホテルはなかったから、パークホテルやコンラッドがモデルというわけでもなさそう。
リッツ・カールトンやフォーシーズンズからも引き抜きがあった設定の最上は世界一級レベルの一流のコンシェルジュと言える。
名コンシェルジュの多桃子さんのファンな私はこの作品を読むのがずっと楽しみだった。カラダがいくつもあるのなら、こういう仕事をしてみたいと憧れる。

コンシェルジュとは、サービスの魔法使い。
究極のサービスを提供するコンシェルジュはお客様の要望にはNoとは言わない。そして提供したサービスが、その相手への想い出作りになっていく、それがコンシェルジュの最大の仕事かもしれない。それは相手に対しての愛情の深さとも比例する。
人が感動する場所に居合わせるのは泣けてくる。人との関係をなくして、人は生きられない。それがこの作品のテーマ。
こういう作品がもっとヒットして欲しいと思う。

かつて仕事で関わったホテルが掲載されていた。愛情をもってその仕事をしていたことも憶いだせた。当時、一緒に仕事をしたホテルマンからこの作品を勧められたのだが、漫画を読む習慣を持っていなくて……残念。

作品はできれば等身大の普通のコンシェルジュの姿を描いて欲しい。一時、だんだん大掛かりなあり得なさそうな話になって残念な気持ちがしたが、やがて日常にありそうな話に戻ってほっとした。漫画だからドラマチックに派手にならないといけないのかもしれない、けれど地味でもじんわりくる作品を目指して欲しいと勝手な希望。

ユニフォームの話は現場のコンシェルジュから聞くのに近くて泣けてきた。
頭ごなしのエコロジストを巷ではエゴロジストと呼んだりするけど、思い込みだけの無農薬信者に一糸報いていて、自論を持つならとことん調べなければと思わせる。表面的な知識だけの無知って怖いなあ。

社長の松岡はどんどん人間味が出てきて、こういうオーナーならと思わせるところが良い。
女優の貴梨花はキャラは好きだけど出し過ぎ。話の展開に困った時にうまく立ち回るキャラとして定着しているが、売れっ子ならあんな暇はないはず。マネージャーが一度も出てこないのも不自然。
個人的に小姫の恋を応援したい。涼子の成長には涙。

グロリアの朝霧花織の考え方は私に近くて、もうひとつ考えさせられたこと。
どこまでサービスするか、やって差し上げられるか。信念や領分を越えてまでするのか? お客様に合わせたサービスの質とは? 
ここは今の私のレベルではとても難しい。この答えはまだまだ個人的に考えていきたいと思った。
読めば読む程「おもてなし」の難しさがわかる。そこまで踏み込んでいるのは嬉しいし、この作品に敬意をはらいたい。

ちなみに涼子はコスプレ要員なのが笑える。
以前ならスカート短すぎ!って怒ってたけど、これも漫画に必要な萌え要素なんだろうと今は笑っていられる。少しは成長したのかなぁ(苦笑)。
                         2008/8/24、8/26UP

《こんなふうにおススメ》
仕事をしているすべての人へ。
今後の産業を支えていくのはサービス業と言われて久しいけれど、サービス業についてはっきりヴィジョンを持っている人は少ないと思う。おもてなしの心とは何か、学ぶのに参考になる作品。

13〜16巻/
13巻。クレーマー。ロボットは人を超えられるか。古代エジプトの王様をおもてなし。目利き。
14巻。武闘家の意地。父娘将棋勝負。涼子たちは休暇で北海道旅行。経験とは。
15巻。プロポーズ。珍味三昧。神戸と交換研修。客を楽しませようということ。
16巻。そば打ち。わかる人にわかってもらう仕事。家庭の味。お菓子作り。

新刊まで追いつけていない。
忠犬型のMじゃないとコンシェルジュって勤まらないよね、そう思うようになった。
ここに描かれるのは人。人と人。家族や仲間。そこに感動がある。
少しあざとさが出てきたのは残念。ここはコンシェルジュが口出すところじゃないんじゃない? と、やり過ぎ感も否めないが、そこは漫画ってコトで。
小姫さん、ほんとすごすぎ。
                         2010/7/19、7/20UP

17〜21巻/
17巻。雨月物語。フェアレディZ。誇大広告とサンプル。拡張自我。目利き貧乏。
18巻。漫画家を目指す。ビオトープ。ホテル・サンライズヒル・ニューヨークとの提携。生マグロの競り。涼子はNYで一年間の研修要員に。新しい地での奮闘。
19巻。ホテル・サンライズヒル・ニューヨークで奮闘する涼子。ジェイク・ジョンソン。格差のある国。詐欺師。部下の信頼。
20巻。当たり屋とスタントマン。キャラ弁。婚活パーティー。
21巻。完全なる芸術作品。恩人の真の姿。心理士の企業アドバイザー、九音響也登場。アメリカ大統領のために。最上の娘、優菜は生きていた。

毎回それなりにまとまっていて良く出来た作品と、今更ながらに感心。学ぶこと、多い。読後の自分にも影響を与えてくれる。仕事のヒントももらった、感謝。
よくありがちな、善は正義というテーマでなく、癖のあるキャラたちが悩み惑い、時には嘘さえ吐く。そんなふうに、答えのでないコトを抱える姿が良かった。
ルーティンの生活を愚痴った客に「舞台の役者は何回も同じ演技をしてその都度感動させる」と言った台詞に感動する。人生に価値を見いだせるかは、 見る人の心ひとつ。

「すべてのお客様に同じようにのめり込み、同じ愛情を注ぎ、失敗したら深く後悔し傷つき、なおかつ他の仕事に影響出さない」
理想だけど、痛みは降り積もりそう。そんなキャパがあったらこんなにも悩まない。

なんだか現実にいる人を彷彿させるキャラは、大丈夫なのかドキドキする。
ドロシー気になる。
日本人の作るお弁当の芸術はよくわかる。
NY編は、日本人のきめ細やかさが出る。そしていろんな階層の人々がいるアメリカだからこそのやり方も理解できて興味深い。ディズニーの成功の理由がよくよくわかる。
大統領の孫娘のくだりは、究極のコンシェルジュ像で感動。良い作品だったと思えた。

急に風呂敷を畳んだ感じと、そして続シリーズは原作者が原案になっているので、大人の事情なんだろう。
続シリーズは、九音響也が主役。
                         2012/4/21、4/26UP

【コミックセット】


【コミックス】

posted by zakuro at 00:18| Comment(1) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今。続編がでてますよ。生きててよかった。
すごくりょうしょですコンシェルジュ。
Posted by にせ at 2013年04月12日 06:13
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。