2008年09月11日

ほしのこえ

【ほしのこえ】 全01巻  /佐原 ミズ(原作/新海誠)

宇宙戦士として選ばれた中学生の長峰ミカコと、クラスメイトの寺尾ノボルとの、宇宙と地球でやり取りする携帯メールでの遠距離純愛。
離れて行く物質的距離で、メールが届くのがどんどん時間がかかり何年もを隔てる。僅かな想い出をよすがに、二人の大人になるまでの切ない物語。

アニメ素人だった新海誠の作品で、コンテストでグランプリに。その原作の漫画化を佐原ミズが描いた。少年系にして良いのか迷ったけど、アフタヌーンで連載だったのでこちらに。
大好きな佐原ミズが、伝説の短編アニメを漫画化している。
新海誠のアニメは景色が悶えるくらいに素敵なんだけど、佐原ミズの描くヒトコマヒトコマもいつも映画のようで、漫画化されたこの作品も、新海監督の世界観に色付けして、これまた唸ってしまうのだ。
ハイスピードのような演出はたまに泣けてきたりする。泣かせる漫画はこの作家! って感じ。
繊細で儚くて、掌の上でふっと消えゆく雪の結晶のような表現なのだ。
特別に表情が動くわけではないのに、感情が伝わってくる。
好きな作家ベスト10に入る人だと思うので、これからも楽しみにしていきたい。
しかもこの作品、原作者がいるせいか、いつもの作品の気合いの入れ方とはまた違う。素晴らしかった。

オリジナルエピソードも多く含まれていて、アニメよりも深く入り込めて良い。
ラストは原作と違っている。それも嬉しかった。

原作に関しては、セカイ系の代表作と言われている。
舞台は宇宙戦争だけど、物語はすべてノボルとミカコの二人のセカイだけで回っている。
セカイ系自体はそもそも梶井基次郎だってそうだったのだ。新しいわけではないけれど、デジタルな手法で、独特なアナログ感覚で切り取ったことがすごい。

『秒速5センチメートル』にもみられるけど、新海誠のテーマは離れている物理的空間と、精神的距離から生まれる日々の拘泥。これって文通なのだ。かつては「待つ時間」の中にもドラマがあった。時間と距離が物語を育んでくれていたのだ。
現代においても根本は変わらない。それを憶いださせてくれて、そこがやはり秀逸。
そして視聴者は「現在」の心の空虚感、空白感に共鳴するのかもしれない。
欲を言えば、別なテーマも見てみたい。
                         2008/9/10

《こんなふうにおススメ》
新海誠の世界観を壊したくないという理由で未読であれば、是非、おススメ。
設定は一緒ですが、また違う作品になっています。「希望」があって嬉しい。
でも、それがこんなに良いとは思わなかった。新海監督が絶賛したのも理解。
泣けます。



posted by zakuro at 13:07| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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