2009年12月21日

天上の虹 21巻まで

【天上の虹】 21巻まで  /里中 満智子

第41代天皇、「大倭根子天之廣野日女尊(おほやまとねこあめのひろのひめのみこと)」、「高天原廣野姫天皇(たかまのはらひろのひめのすめらみこと)」こと、女帝であった持統天皇の生涯を描いた物語。
その生まれから、天武天皇の正妻として、また自身が立った皇(すめら)としての政治、その周辺の人々をドラマチックに仕立てている。

悪役として書かれることの多い、う野讚良(うののさらら)だが、この作品はひとりの女性として、自立と苦難、そして恋愛を通して、生き方を浮き彫りにしていく。とても好感が持てる。
多くの謎を秘める古代史、特に今の日本のベースになったこの時代を知るには、わかりやすい作品。おススメ。
天武天皇の時代に天皇という言葉が生まれ、その後、律令(国家が定める法律)が出来、今の日本という仕組みが形成され出したのがこの時代である。

作者は、記紀(日本書紀と古事記)からストーリーを構築しているが、作品内にもあるように、発掘などで新しい発見があるたびにその整合性を苦労されているに違いない。
近年、諸説、多い。例えば小林惠子さんの説では、実は持統は高市皇子であり、男性であった……などもあるが、私自身は「それはないだろう?」と小林派と議論を戦わせたことがある。韓国も偽書が多いらしく、それを元に考えていっては大きく間違ってしまうと思うのだ。

今となっては、記紀編纂の際と、後の桓武天皇の時代に燃やされた数多くのそれ以前の文献の存在に思い馳せるのだが、私以上に歴史学者は残念な気分なのだろうな。
しかし、長屋王の痕跡(「親王」の表記)が、大阪のダイエーの敷地内から出てきたりすると、実際にはもっと複雑だったのだろうと思える。記紀とは、唐に対しての外交書だったからだ。真実とは違うところにあるのかもしれない。
伝えられる歴史とは、いつの時代でも、どの国でも、勝者のみの歴史である。

それらを全て理解し、踏まえた上で、研究に研究を重ねてこの作品を世に送り出していく作者に最大の敬意を払いたいと思う。
もっと注目されて良い佳作。
                         2007/10

《こんなふうにおススメ》
日本の古代史の輪郭をなぞるのに、とてもおススメ。天皇家の血筋に関心も持てるし、何が謎なのか、よくわかる。
まずは、これを読んで、ざっとその歴史観を身につけ、専門書に移るとわかりやすいと思う。
                         2009/1/21UP

17〜21巻/
珂瑠皇子を巡っての思惑。高市皇子の急死。皇太子争い。そして珂瑠皇子が指名される。弓削と紀皇女の恋。忍壁皇子と記紀編纂。持統譲位、太政大臣へ。文武天皇誕生。氷高皇女と新田部皇子の恋。長屋王と吉備皇女の結婚。宮子の出産。

今は全編描き下ろしのこの作品、新刊が出たのでまとめ読み。

持統も年老いて、周囲も次々に亡くなっていく。恋愛模様を中心に政治やそれぞれの想いが語られていくのだが、夢を持つ若いキャラがいなくなってきていて読んでいて辛い。氷高でさえ立場に翻弄されているように見えてしまう。
それでも最後まで付き合いたい。持統の生涯をどこまで描く予定なのか。

大津の息子が多氏の養子になっていたのが面白い。多氏族は古代史においても謎が多い呪術的な側面もある家系。
史(ふひと)と三千代の策略が怖すぎる。どうしても、どんな書物を読めば読むほど、藤原氏族に肩入れできなくなっていくのはどうしたものか。
                         2009/12/18
                         2009/12/21UP

【コミックセット】


【コミックス】

タグ:里中満智子
posted by zakuro at 00:00| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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