2011年01月09日

百鬼夜行抄 19巻まで

【百鬼夜行抄】 19巻まで  /今 市子

飯嶋律の祖父は、飯嶋蝸牛のペンネームを持つ怪奇幻想小説家だった。まるで見てきたように、その世界を描いていたのだ。
幼い律は、祖父が怪しいモノたちと交流していたことを知っていた。律もその能力を引き継いでいたからだ。
律は幼い頃は魔除けのために、言い伝えを守り女の子の姿で育つ。
一度死んだ父には、祖父の呼び出した妖魔の青嵐が取り憑き、祖父の遺言で律の命を守っている。
その翌年、祖父が亡くなり、それから12年。律も16歳になって。
高校生の律と妖魔との物語。
律が助けたカラス天狗の尾白と尾黒は、律を若と呼び従っている。
そして同じ能力を持つ従姉妹の司も絡んで、話は進んでいく。

10巻までは、高校生だった律が、浪人して大学に入ってしばらくするまで。

ドラマにもなった作品。
参った、正直、こんなに面白いとは思わなかった。
もっと早く読めば良かった。

民俗学的要素たっぷりで蟲師の雰囲気。
京極夏彦ファンもこれは好きそう。

一話ごとでも楽しい。
絵とストーリーはばっちりマッチしているし、いやはやすごい、どれだけ深い作家なのだろう、今市子って。
漫画というより壮大な小説を読んでいるよう。言葉がない。もう何を言っても、私の言葉で軽くなってしまう。自分の表現能力の貧困さに嘆きたい。

全体の構成も秀逸。
ここでネタバレせずにこっちに持っていくのか! とか、この人物にこの台詞を言わせるんだ、とか、唸る箇所が多い。
私は焦るタイプだから、こんなの作れないだろうなとまで思ってしまう。
台詞のひとつひとつも上手いのだ。奥行きがとにかく深い。

人間は、突き詰めると哀しく切なくて、情に振り回されて生きていくモノなのだ。
それを物の怪を通して描くところは、夏目友人帳にも近いが、こちらはずっと大人の話に思える。
まだまだ続いてくれそうで嬉しい。途中で読み終わるのがもったいなくなってしまった。
この作品、もっと評価されていいと思う。

老婆から預かった丸太が予言し、司がそれに取り込まれていく話で、律が平静に自分の立ち位置を客観視していて、しかも己がぶれていかないのに感嘆。
どんな大人の男になるのだろうと、楽しみになってしまった。

尾白と尾黒は悶えるくらい可愛く見えてきた。
とくにわくわくしている姿!

なんだかもったいなくて、ゆっくり読むことにした。
じわじわくる余韻を大事にしたくなったのだ。なので、途中経過で感想。
ノックが終わったら、また読み直したいなぁ。
                         2009/3/10

《こんなふうにおススメ》
感嘆すべき作品だと思う。広くお勧めしたい。上手い。
この作家さん、ほんとにすごいですね。

                         2009/3/12UP

11〜12巻/

11巻は、律の、失踪していた伯父が、26年振りに発見される。この伯父、開はもっとも律に似ているのだ。

12巻は、律が抱える司への想いの本音が出る。

映画「プロヴァンスの贈りもの」で、「フランスの貴族の半分は、いとこ同士が恋愛関係よ」との台詞がある。
いとこ設定好きな作者にお伝えしたい。

山の神と、里(人間)に境界があるのが、この作家の設定。
それは、作者のサンカへのリスペクトもあるのだろう。
なるほどなー。私には、この山の概念が、実体になっているのだけど。
鬼の感覚、その周辺の概念は一緒。

開伯父さん、カッコいい。
律が中年になるとこうなるのだろう、みたいな感じ。

ここまでの巻で、律は21歳か22歳。
せめて、30歳くらいまでは連載をして欲しい。切実。
                         2009/3/15、3/18UP

13〜14巻/
13巻は、三郎のこの世の命が短くなってきた話で、続く14巻はそれに対して反魂術を試みる晶。

黄泉平坂がでてくる。
「黄泉」は単独だと読みが「よみ」なのだが、ここでの読み方は「よみひらさか」ではなく「よもつひらさか」。編集者の間違いだと思う。
黄泉平坂は、イザナギがイザナミの追っ手から三日三晩逃げ駆け下りた坂で、あの世とこの世の境目である。
この坂上に立つ桃ノ木が、宇宙を覆う枝振りで、ここから桃が「どんぶらこっこ」と流れ落ち、川に洗濯にきたお婆さんに拾われるのだ。

黄とは本来特別な意味を持つもので、改めて黄色の泉ってすごいと感じる。
神道では、黄色は高貴な色(仏教では紫)。暦は「黄詠み」だったのだ。
黄とは、時であり、アカシックレコードだったのかも知れない。
黄泉の国は、天津祝詞では「根の国底の国」なのだが、それは彼岸というよりも、聖域なのかもしれないと改めて感じた。

すっかりこの話にはまっている。
                         2009/3/20、4/14UP

15巻/図書館の幽霊画。鬼の面。多重人格。赤い糸が見える娘。血天井。
16巻/箱庭の行く末。渡し舟。病み枝。
17巻/子狐。花見と見合い。盆の行事。佐久間ゼミと黄金伝説。不運の家のネズミと糸巻き。
18巻/雨戸仙人。人身御供。三人法師。冬至は一陽来復。
19巻/青嵐のボランティア。身代わり地蔵。赤将軍。着物の由来。

もったいなくてずっと残していた。正月に気分なので読み出す。

なんでこんな入り組んだ箱根細工のように話が作れるんだろう。見事。
毎回大変だと思う。すごすぎる。もっと評価されていい。

15巻、鬼の面の、「他人に自分を見る」は納得。それで自分の見る世界が出来ている。
18巻、日本古来の言い伝えや行事は大事にしようと思った。
19巻、青嵐が消えてしまうのかとショックを受ける。良かった〜。

話が濃すぎて一話ずつじっくり読む作品。飛ばし読みは無理。
                         2011/1/09、UPも。

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タグ:今市子
posted by zakuro at 00:30| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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