2009年06月12日

夕凪の街 桜の国

【夕凪の街 桜の国】 全01巻  /こうの 史代

「夕凪の街」
広島の原爆投下から10年。
被爆した平野皆実(みなみ)は多くの家族を亡くす。それでも懸命に生きながら、幸せな気分に浸ることには罪悪感をおぼえていた。

「桜の国」
小学5年生の石川七波(ななみ)は、野球が好きな闊達な少女。
弟の凪生(なぎお)の見舞いに、お向かいで仲良しの利根東子(とうこ)と出かける。その日の出来事。

二部は、彼らが大人になって。
凪生は研修医。東子は看護師になって、同じ病院で働いている。
偶然にも七波と東子は17年ぶりに再会、ボケた兆候を感じていた七波の父を尾行し、ふたりで広島に向かう。

泣いた。
日本に住む人なら読むべき作品。広島出身の作者。
Weekly漫画アクション。

Yahoo!で漫画特集をやるのはよくあるのだが、そこで「衝撃の作品」とあった。
手持ちにもあったし、表紙だけでは衝撃的に見えないホノボノ系。気になり読み出す。
そしてこの作品は、2007年に実写で映画化もされている。

シンプルな言葉で心を抉ってくる。
街の人たちは過去を言葉にしない。
「いまだにわけがわからないのだ。わかっているのは『死ねばいい』と誰かに思われたこと。思われたのに、生き延びているということ。そして一番怖いのは、あれ以来、本当にそう思われても仕方のない人間に、自分がなってしまったことに、自分で時々気づいてしまうことだ」

死体だらけ、呻く人々だらけの中で、家族を捜しながら、多くの人々を見殺しにしなくてはならなかった罪悪感。
自分が死なずに残された意味を考え続ける皆実。
そして、心の奥底から「忘れてしまえば済む」と囁きが聴こえる。
死に際に皆実は思う。
「嬉しい? 十年経ったけど、原爆を落とした人は私を見て、『やった! またひとり殺せた』と、ちゃんと思うてくれとる?」

この目線は、広島で育った人しか描けないのではないか。描く権利がないのではないか。
そんなことを言えば、作者に怒られるかもしれないが。
もちろんこの作家さんが繊細で誠実な目を持っているのが一番だが、やはりその土地について書けるのはその土地の者が最適なのだ。

「桜の国」は、読んでいる途中で気づいた。
七波の父が旭で、石川家に養子に行った皆実の弟だ。

そして現代に至っても、まだ戦争は終わってないのだと気づかされる。

胸がいっぱい。
この作品を作って世に送ってくださって、ありがとうございます。
                         2009/6/01

UP追記>
昨日、「MR.MORNING ミスターモーニング」をUPして、原爆繋がりでこれを上げたくなりました。
戦争を知らない世代だけど、感じられることはまだまだある。

《こんなふうにおススメ》
この一冊に詰まっているものは、かなり重い。
でも、とても大事な宝物。



ラベル:こうの史代
posted by zakuro at 00:16| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。