2012年05月05日

ナナとカオル 08巻まで

【ナナとカオル】 08巻まで  /甘詰 留太

杉村薫と千草奈々は、同級生でお隣さん同士。ナナ、カオルと呼び合う、幼い頃は仲良しのふたりだったが、高校生になってからは疎遠に。
親同士は仲が良く、母子家庭の杉村母は写真家、千草母は警察関係の仕事。
ナナは美しく育ち、高身長でプロポーションも抜群。成績優秀の優等生で友だちも多い、生徒会副会長。
カオルの方は、チビでオタク、キモムラと呼ばれて蔑まれていた。モテない仲間たちと日々エロ話に興じているが、ナナにはずっと好意を持っていた。
ある日、カオルの趣味に呆れ果てた母親が深く考えずに、「それらを」預けた先が、ナナ。ナナが中を開けてみると、本皮のボンテージが出てくる。カオルはSMオタクだったのだ。
好奇心からそれを着てみるナナ。それは自分のために誂えたようにぴったりで。
「カオルは、私を妄想しているのか?」 そう思い当たったナナだが、嫌悪感より興奮する自分に戸惑いを覚える。
うっかり鍵がかかって脱げなくなった衣装を、外してもらいに勇気を出してカオルの部屋に行く。カオルは驚くが、ナナの好奇心も見抜く。
疲れ果てて眠ったナナだが、翌日のテストでずっとスランプだった成績が上がり、「息抜き」できたことを知る。
それからふたりの秘密の「息抜き」が始まっていく。

借りてあった本にあって、なんとなく手にしたのだが……。成人系? と思ったが、ヤングアニマル。
なので、こうして感想にする。
この作品がヒットしていると聞いていて、ちょっと気になっていた。
帯には「エロいよ……」 これが全体のキャッチコピーらしい。

昔なら、まだまだ漫画を読みなれていない頃なら、手にしてちょっと開いても読まなかったと思う。でも、開いただけじゃ、得られるモノが少ないことがわかってきた最近。
そして、まだまだ読み慣れていないんだなと感じるのは(現在、読書量2100冊)、まだまだ作家さんの名前だけじゃ作品の傾向がわからないこと。
何冊乱読したら、全体像が視えてくるのだろう?

ソフトSM作品らしい。
なにより感心したのが、作者がSMを「愛している」こと。全体に愛が広がっているのだ。
それが「面白い!」と思える要因。

話は至ってシンプルで、「息抜きしたくなる」ナナのタイミングを見計らって、カオルがいろいろ仕掛けていく。その繰り返し。
その度にだんだんとハードルが高くなる。
でも、カオルには「ナナを傷つけない」信念があり、自分の趣味よりもナナ優先がある。
ナナにはベースに「安全パイのカオル」があって、安心し切っている部分と、カオルの愛情に甘えている節がある。

SM行為を続けていく中で、自分の中にある欲求に目覚めていくナナの描写が上手い。
こういう行為がかえって、人間の中に潜む素直な欲望をあぶり出すというのが、正直目からウロコだった。ただの変態行為じゃなかったんだなー。
例えばナナを縛り上げるカオルが、ひとつひとつナナの状態を確認しながら進む。それは縄を「創る」作業から儀式的なものがあって、これはひとつの美学なんだと思った。
今まではあまり理解出来ず、ある種の嗜好かと漠然と感じていたのだが、かつて文壇、芸術系の人たちが多くはまっていったのもわかる気がした。
縛る行為が、痛みを分散させて、再び痛みを通して肉体を再確認し、そこに神経を行き届かせて、生きるということを実感していく。また精神的にも、ネガティブなところから、それをポジティブに変換させていく様など、確かに文学に通じていく。

一言で言えば、「面白い」
誰にもおススメできる内容ではないけど、良く出来ている作品。
ただの変態漫画じゃないです、かなり佳作。

たまに学園生活も挟んであってカオルの優しさの描写もあり、メリハリも効いている。
続きも読んでいくと思う。
でも、さすがに自分では体験したいって思わないなー。
                         2009/6/09、6/22UP

《こんなふうにおススメ》
正直、面白かったです。
前だったら、この面白さはわからなかったかもしれない。

3巻/
文化祭。館涼子(たちりょうこ)登場。三人での息抜き。

今回も読み応えあり。人を人たらしめているのは言葉を使うから。それを奪う、口枷は精神と肉体を拘束する。なるほど。
不器用なナナに、けっこう大人で優しいカオル。文化祭の話は好き。エッチな話ばかりじゃなく、こういう描き込みが性格の特徴を浮き彫りにして厚みが出る。
気持ちいいことは正しいって、すごい。
                         2010/5/15、5/18UP
4巻/
露出の多い水着編。
SMショップの橘を助けて、開口器を勧められるナナ。
追試でカオルはナナ先生に教わる。いよいよお尻叩き。

追いついた。3巻は息抜き巻だったんだな(どんな息抜き)。
ナナとカオルのSMがどんどんエスカレートしていく。SMとは信頼。それは理解した。
真面目な完璧主義者ほどはまりやすいと聞いたけど、それもよくよく描けていて納得。
じわじわとプロセスを描くところがエロいんだな。エロさ健在。
                         2010/5/31、6/01UP
5〜7巻/
5巻。スパンキング。大晦日に涼子はカオルの部屋に押しかけ、道具の手入れや準備に余念がないことを知る。ナナとカオルのそれぞれのお互いへの想い。カオルは凉子に頼まれて練習。初詣でばったり。ナナの嫉妬と、矢神先輩の疑惑。
6巻。ナナの嫉妬。座薬騒動。
7巻。全身拘束具。

館涼子がうざくてダメ。そのぶんナナが可愛く見えるのは仕様なのかも。咬ませ犬として秀逸。

SMってセックスの代替行為じゃないんだなー。深い。
実写映画化、アニメ化も。なんかすごい……。
                         2012/2/20、3/19UP

サイドストーリーの「ナナとカオル Black Label」も既刊。

8巻/
肉の塊と化した大好きなナナを踏みたい、カオルの欲望。
連絡が取れないナナを探して、周囲は走り回る。ナナの重圧を知っているカオルは皆に説教してしまい……。その手前、恥ずかしくなったカオルのやる気。少しずつ変化が始まる。
陸上大会。涼子vsナナ。

気づきと成長の著しい巻。
Mとして、日々のプレッシャーが強すぎる、逃避できないからこその一時逃避、その願望の強さ。鎧を脱ぎ捨てることでの自己再確認。
Sには、コンプレックスも切り離せなくて、屈辱を味あわせることで自らの無力さを確認する二重の自己確認。
SM行為から浮かび上がる、それぞれの本心を自己確認していく心理描写が深くて唸った。

カオルの捨て身は男らしいけど、周囲には理解しづらい。
なんか、この作品も創作なんだけど、奇異で好奇な視線の先を超えたリアルがある。
                         2012/5/02、5/05UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:甘詰留太
posted by zakuro at 00:21| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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