2009年06月29日

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- (完) 全28巻

【るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】 全28巻  /和月 伸宏

明治11年、東京下町。神谷活心流の師範代である神谷薫と、人斬り抜刀斎騒ぎで知り合った、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)を継承する流浪人(るろうに)の緋村剣心(ひむらけんしん)。
剣心は維新時に活躍した志士だが、その後わけあって流浪人になる。薫に乞われ、そのまま神谷家に居候することに。
その実、剣心とは、緋村抜刀斎としてかつての維新時に名を轟かせた男であった。しかし人を活かす道にと殺人剣を捨て、刃が逆にある逆刃刀を帯刀し、目の前にいる守るべき人たちのため、挑んでくる相手を倒していく。
士族の身分があったが両親が亡くなりヤクザに拾われていた少年、明神弥彦(みょうじんやひこ)も剣心に救われて神谷活心流の門下生になり、赤報隊で尊敬する人を失い喧嘩屋に成り果てていた相楽佐之助らも加わる。
史実も入れて創作された壮大なファンタジー。

6巻には作者の読切デビュー作、「戦国の三日月」
北方の国の剣術指南役でめっぽう強い比古清十郎、南雲国の戦いの中で弱虫な百姓の一心太を助ける。ふたりには同じ名を持つ想い人がいた。

最終巻に短篇「メテオ・ストライク」
正義感はやたら強いがからきし弱い中学生の信矢(しんや)。ある日、登校中に隕石が頭に当たって、脳までのめり込んでしまう。
幼馴染みの智歩(ちほ)は、それにより超人的な力を持った信矢に複雑な感情を持つ。

完全版には、コミックス版に収録されなかった後日談が二作。
「弥彦の逆刃刀」
剣心から逆刃刀を継承した弥彦。神谷道場から依頼され越後まで一ヶ月の出稽古に出たが、そこで逆賊が道場の娘を人質に立て篭っていた。

「春に桜」
明治16年。剣心と薫の親子を中心に、花見の同窓会。

週刊少年ジャンプ。
ドラゴンボール」が終了して、ジャンプ暗黒時代と呼ばれた、週刊少年マガジンに売上げを越された時期に、ジャンプの看板を背負っていた作品。
90年代半ばから、5年間の連載。
かつて漫画には一切触れたことのなかった私でさえも、この作品名は知っていた。

めちゃくちゃ面白すぎる。面白すぎて、途中他の作品に手が出せない程だった。
仕事していても、続きが気になって仕方なかったのは、漫画では初めて。
読書量2100冊を越えて、やっとかつての名作たちに手を伸ばし出したところという感じか。
もしかして、その後の「NARUTO -ナルト-」や「銀魂」「BLEACH」など、帯刀モノがヒットしたのは、この作品があったお陰なのでしょうか?

当初剣心のモデルは幕末四大人斬りのひとり、河上彦斎(かわかみげんさい)だったという。佐久間象山を暗殺した人物で知られる。
小柄(150cmほど)で色白で女性的だったらしい。剣心の身長は158cm。

個人的な話をすれば、この時代のことは大筋しか知識がない。幕末から明治維新まで、なるほどなと気づかされることが多かった。
「もしも」の仮定がいくつか作中にあって考えることもあった。
私の友人たちに、作中にも登場する維新志士の子孫が何人かいるので、彼らに出会えている今、ありがたいと思うとともに、歴史の動きひとつで出会えなかった人物もいるのだなと感じる。140年くらい前だとまだまだ近しいのだ。それもあってあえて今までこの時代に触れてこなかったのだが、今はこの時代に魅せられる人たちが多いのもわかる気がする。
この国をどうしていったら良いのか、皆が本気で考えた最後の時代なのかもしれない。今はこんな熱い想いを持っていても、活かせる場所はないからだ。

面白すぎて、わくわくする。
まず、この作品の読みどころとしては、作者がとにかく勉強されていること。歴史はもちろん、人物、または風俗や民俗学的なこと、神話などが絶妙に盛り込まれていて、勉強したというよりも、今までの好きなことが大成したというべきなのかも。
それらが雑学的にところどころ登場して面白い。
“ひょっとこ”が火男で、出雲の製鉄と関係があった説は初めて知ったし(作中では、「火男をひょっとこと読む」との表記のみだが、火を吹く敵方が登場する)、赤空の最後の刀が奉納されていたのは白山神社で、そのご祭神は菊理姫なのは知られているところ。菊理姫は調停、調和の神。上手い。
登場人物は作家さんの故郷の神社などから名前を貰っているのも多いのだそう。
ちなみにまったくの余談だが弥彦神社の狛犬は、建築家の伊東忠太のデザインで知られている。本殿の再建もそうらしいのだが、狛犬が有名。明治神宮、築地本願寺や神田明神の本殿もこの方。
全部を書ききれないが、そういった部分も楽しみに華を添えた。

着物の描き方がわりかしキレイなのが嬉しい。女性の胸元あたりは萎えるけど、でも少年誌だし仕方ないのかも(これも次第に改善されて、美しい着付けになっていく)。

京都編は読み応えもあったが、内容が重量すぎて読書しててもパワーが要る。描く方も大変だったと思う。一言で言うと壮絶。
泣けたところは、鯨波兵庫との闘いでひとりでも向かう弥彦の勇気。子どもが未来を夢見るのって、やっぱ良いですね。
剣心、どれだけ薫を好きすぎる……。
剣路はよつばに似ててかわいすぎ。

そして絵、上手い。楽しい。
絵も手抜き感は一切なく、話も最後の方の佐之助の家族の話で一瞬テンションが落ちるが、これも伏線になり、盛り上がったまま進む。
絵はどんどん線がキレイになっていく。元々上手かったのが益々ってホントにすごい。

なんで女子に人気があったのか、だんだんとわかってくる自分がイヤ。
そういう見方もできるようになっちゃったんだなー、自分。
優男の主人公って大事なんですね。でも、妄想はしていない。
中性的な剣心が、どんなに強くても遠い存在に見せない、それも大きな人気のひとつだったのだろう。

コミックス版を読んでから、念のため、完全版も読む。
コミックス版は作者のキャラへの想い、その設定や生まれた理由などのコネタが面白く必見。
また完全版はカラーが生きているのが嬉しい。

その後の番外編が収められているのは、完全版のみ。
両方を観られた方が楽しいが、一気に世界観を読みたいなら完全版、ディープにその背景や物語にのめり込みたいならコミックス版をオススメします。

最後に一言、この作品に出会えて良かったです。
ありがとうございます。
                         2009/6/28

《こんなふうにおススメ》
アニメにもなり、映画にもなり。
90年代を代表する作品。
読むべし。

【コミックセット】


【コミックス】


【完全版】
後日談も収録。

ラベル:和月伸宏
posted by zakuro at 00:16| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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