2009年11月05日

孤独のグルメ

【孤独のグルメ】 全01巻  /谷口 ジロー(原作/久住昌之)

輸入雑貨の貿易商を個人で営む井之頭五郎。とにかく食べることが好き。
酒は飲めないが煙草は嗜む甘党。彼が入った店と食事を綴る日記のような作品。

この作家さんが、手塚治虫浦沢直樹と並んで、ヨーロッパとくにフランスの漫画愛好家、日本を愛する文化人に愛されていることを知り興味を持つ。ジャポンコントニュを語るなら外せないらしい。
周囲のオタク友はまったくこの作家を知らず、長年のつきあいの雑学帝王である友人のグラフィックデザイナーは詳しかった。「ジャン・ジローに影響受けてるんだよ」
その話を聞いただけで、西欧が期待している文化としての漫画と、日本のオタク文化の漫画がいかにずれているかを感じた。
日本の文化人がもっと真剣にこのジャンルに入ってきたら良いのに。すると人気漫画のランキングがすっかり変わるだろう。

この作品は、扶桑社の「月刊PANjA」にて連載。その後「SPA!」にて読み切りを掲載。

面白い〜〜。
食べ物系はかなり好きなのでそれもあるが、中味はB級、いやいやC級に近いマニアックな食材が多い。行き当たりばったりに入った店なので基準もない。
もちろんそういう店に隠れた一品があるのはわかる。決してグルメ雑誌には載らないそういう店に嗅覚が働く人も多い。
しかし驚いたのは、最初が山谷の豚肉炒めライスだったこと。東京に住む人はその街が日雇い労働者たちの住まいと知っている。近隣の子どもたちは親から入るのを禁止される。
下町育ちでなかったので物心ついてから知ったその場所を地図で調べてもよくわからず、吉原と並んで地図には載らない不可思議な場所なのだ。
一話がそれで、これは覚悟を決めて読めとの挑戦状かとわくわくした。

お腹が空いている時に読むのは危険。あーわかるーとか、いいなーとか、感情が揺さぶられるのが嬉しい。
主人公のどこにも馴染まぬ異邦人的な目線も人気のひとつなんだろう。
原作者の後書きにもあるが、食べることが現代社会にまみれて歪んだ自分の癒しというのは理解できる。

有り体な日常の中に、赤瀬川源平的に食事が語られて楽しい。
ヨーロッパ的オタクってこの辺なんだよね。ダダやバタイユ、エロティシズムもいろいろやってきちゃって、今更萌えも何もないのだ。
文化としての漫画も読みたくなってきたなー。
                         2009/11/03

追記: 名前だけは記憶していた原作者の久住昌之氏の履歴に、赤瀬川源平氏に師事とありました。泉昌之がこの方とは目ウロコ。

《こんなふうにおススメ》
漫画を読み慣れていなくても読みやすいしわかりやすい。
最近の、オタク系に偏った作品の中で、ほっとする一冊。



posted by zakuro at 17:29| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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