2009年11月10日

御石神落とし(完) 全08巻

【御石神(みしゃぐち/みしゃくじ)落とし】 全08巻  /増田 剛(原作/永久保 貴一

白泉大学社会学部の神成豪(かんなりたけし)。民俗学研究会の課題で、石神(性神、ミシャクジ/ミシャグチ)を調べるためにある県に向かう。
小さな村に降り立ち、御石神の祭りに参加する。ご神体に茅輪を投げるのだ。豪が投げた輪はご神体にすっぽりはまり七五三縄が切れる。50年ぶりに御石神様が降り立ったと村は大騒ぎ。豪の左手は開かず、御石神様が落ちないと元には戻らないという。豪の民俗学的性豪勇記。
6巻に「悪魔ッコ」

ヤングアニマル増刊「嵐」。
豪が向かった先はもちろん長野県諏訪市。出雲や諏訪を調べていてどうせ読むなら関連の漫画にしようと「IZUMO」を手にして見事に予想を裏切られてがっかりし、こちらで口直し。エッチ系らしいと知っていたので本来の目的は期待しないで手にするが、民俗学や歴史に詳しい原作者で、もしかしたら面白いんじゃないかと思ってもいた。
いや、しかし。期待を裏切らなかった、面白い。ベースはひたすらやりまくりの話で誰にでも勧められる訳ではないけど、だんだんとセックス教本になっていくのでそれもどうかと思うけど、日本のトンデモ風俗伝承(でもちゃんと事実)がエンタテイメントになって語られている。性文化史として良くできている。これらは「まつりごと」なんだよなー。

「永久保教授の御石神講義」がかなり為になって面白い。何度も感嘆した。
御石神は縄文時代からのもっとも古い神様かもしれない、それには素直に頷ける。
読むにつれて、だんだんとフィールドワークに人生をかけた多くの先人たちの労力に頭が下がる思いになる。
この原作者さんの他の作品も読みたくなった。

「日本ってすごい」が正直な感想。
曾祖父の茂介の人生を追体験する「先祖返り編」は興味深かった。大人から若者にきちんと引き継がれる性教育が廃れたのは残念に思う。
「子どもを産むのは本当に気持ち良くて」の言葉に感動して泣きそうになった。

吉原編は、「JIN -仁-」を読んだ後だったので理解が深まる。
料金体制も詳しく書かれていて唸る。
大見世の花魁の客で週に一度通えば最低でも今のレートに換算して月に1,500万から2千万はかかる。上客ともなればこの3倍は軽く、上限なし。そうなると水揚げっていくらかかったんだろうか。ちなみに大見世の花魁の身請けは1億円相当になるらしい。うーむ。
旦那衆ってどれだけ金持ちだったんだ。今みたいな税金制度ではないから、年商200億円の大店なら使い放題だったのかも。
一方、河岸店の値段はかけそぱ3倍分。誰にでも門戸を開いていた吉原なんだな。

いろいろ興味が広がって嬉しい悲鳴。いいなー、豪。こんなにいろんな時代を見られて。
できれば全話民俗学的見地からの構成だと嬉しかったけど、普通に現代の性の悩みを入れるのは漫画作品としてのメリハリなんだろう。
ここら辺のエッチ漫画は「おしとね天繕」っぽいんだけど、御石神だけでなく川崎のかなまら祭りなど、他の神事の説明もされていて侮れないのだ。

とはいえ、真面目に現代の社会制度と性に向き合っていて好感が持てる。かなりいろんなことを考えさせられる。
今の社会に至った極端さは、敗戦後に欧米の影響によりキリスト教的考えが入ってきたからだと思う。でもそれがあったからこそ、日本のHIV罹患の増加がまだまだ緩やかなんだとは思うけど。
作中では資本主義を根付かせるため、とあってかなり納得がいった。
轟教授にはついていきたい。

ところどころ男の願望も見て取れる。美幸が正妻で他の女子は妾的構造。

作画の方も読みやすくて、しかも豪のルックスもちょっとヘタレ系で敵を作らないので感心。
後半、作者の思いの強いスローセックス提唱になっていくのは、やりすぎな気もする。
                         2009/11/07

《こんなふうにおススメ》
かなり面白くて、周囲に勧めまくり。……引かれている。たしかにやりまくり漫画だもんなー。
ただ今「カルラ舞う!」読書中。

【コミックセット】


【コミックス】


posted by zakuro at 23:58| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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