2009年11月25日

散歩もの

【散歩もの】 全01巻  /谷口 ジロー(原作/久住昌之)

短編集。自称散歩の天才、上野原が、のんきな迷子を気取る。

・「エジソン電球」
盗まれた自転車を探しに出た序でに寄った雑貨屋で見つけたもの。

・「品川の雪駄」
会議の後に寄った品川の古い商店街で雪駄を手に入れる。

・「古絵本」
旧友に会った日、懐かしい道で出会った古本屋。青春の思い出と童話の切なさが蘇る。

・「ヒッピー祭り」
会社の部下に頼まれて届け物したところは、まるでウッドストックだった。

・「真夜中のゴーヤ」
友の家で飲んだ夜、歩いて自宅に帰る道すがらに思うこと。

・「犬と軟球」
仕事先の犬と散歩に出て、子どもの頃を思い出す。

・「ハーモニカ横町」
久しぶりに地元の商店街を歩き回る。

・「目白のかき餅」
川上宗薫好きな外国からの客をホテルまで送る。川上の遺作は闘病記で、彼が望んだのは散歩だった。駅まで歩く道すがらに妻とばったり会う。

通販生活で連載。買えるものが入っていることが条件だったと後書きにある。

当たり前に誰にでもありそうな日常の切り取り。
モノに拘る文学作品は多いが、何気ないモノの発見で特にそれを大仰に捉えないのは、「孤独のグルメ」にも通じる。いちいち騒ぐのはみっともない気質は確かにフランス人好みなのかも。
私はミーハーで騒ぎたい方。でもここでのあれこれは、確かにわざわざ人に言うほどでもない体験ばかり。みんな同じだね、とほくそ笑むのが楽しい。

朝倉摂氏が童話の挿絵をされていたとは気づかなかった。
最近の童話はポジティブらしい。友人の作家がぼやいていた。童話から不条理や切なさを学んでいったのに。

最後の話はしんみりした。
後書きから、中野に住みたくなった。

この世界は、ツイッターともっとも遠い場所。あの短い押しつけのコミュニケーションに辟易する今、この世界観はほっとして安心する。
                         2009/11/23

《こんなふうにおススメ》
人の日記をうっかり開いて読んでいる気分。
忘れていた子どもの頃の宝物を見つけた気分は、映画の「アメリ」を観た時の感覚に近い。


posted by zakuro at 00:01| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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