2010年02月10日

ヨコハマ買い出し紀行 (完) 全14巻

【ヨコハマ買い出し紀行】 全14巻  /芦奈野 ひとし

近未来の神奈川あたり。温暖化が進むにつれて土地は砂漠化、土地は海の底にだいぶ埋没してしまっている。地図を辿ってもそこが通れる道とは限らない。
西の岬のコーヒー屋、展望台のような景観が自慢のアルファ。店と同じ名、緑の髪を持つ初瀬野アルファはロボットで、ふらっと旅に出てしまった主人の帰りをひたすら待ち続ける。たまにスクーターで買い出しに横浜まで出かけるが、今は横浜と名付けられた丘の上に街がある。
ガソリンスタンドのおじさんと孫のタカヒロ、町内会の皆、入江に棲む子どもにしか姿を見せないミサゴ、ムサシノ運送宅配便の鷹津ココネ、旅人でトビカマス使いのアヤセ、医者であり科学者の子海石(こうみいし)先生、タカヒロの幼馴染みで元気な真月(マッキ)、絵描きの丸子、飛行機乗りのナイらとの交流を通し、気候の変化で失ってしまったばかりではなく、不便だからこそのゆったりとした時間が流れる世界を手に入れた人々の暮らしを描く。

アフタヌーン。連載は94年から12年。始まりはバブルが弾けてまもない頃。こちらもゆったり流れている。
癒し漫画と聞いて手にする。癒されたい。
知っていたのはそれだけなので、設定にはちょっとびっくり。この世界の延長線上の未来の話なのだと思う。都会がすっかり田舎の風情で道も大きくうねっていたり。復興できないほど何か大きな災害かが世界レベルで起こったように予測してしまうのだが、そんなことは最初は描かれない。行間の奥にしまわれて、ひたすらたうたうと流れる日常に特化する。
地球を襲った災害については4巻くらいに少し描かれる。大高潮が起きる何かがあったことだけは確か。でもそれだけしか描かれなかった。
風景は大正時代初期頃のものに似ている。西の岬は神奈川の朝比奈あたりらしい。とすると、逗子あたりは海の中だ。

個性的な登場人物。
アルファはとても人間らしく、食事もするし、風呂にも入る。動物性たんぱく質以外は食べられるらしい。
先生って、おじさんの先輩なのか。5巻で気づいた。
果物、でかすぎ。縄文的だ。

漆原友紀の世界を考えずに読める感じ。この気楽さは貴重。Twitterとは対極の世界。
とはいえ、どんどん哲学的になってくる。
「人というのは、根っこのところが光か音で出来ているんじゃないか」に共感。同じように考えていたから。

急にぼうっと旅に出たくなった。
11巻100話のカラー、葉祥明の絵本のようで美しい。
最後の巻はちょっとうるっときた。それはこの巻が情緒的というより、読んできた14巻の重みとして。
寂しさと温かさって隣あわせなんだな。
                         2010/2/05

《こんなふうにおススメ》
取り立てて大声で勧めるわけではないけれど、気づけばあなたもファン、みたいな、そんな作品。

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ラベル:芦奈野ひとし
posted by zakuro at 00:00| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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