2012年03月25日

秘密 -トップ・シークレット- 10巻まで

【秘密 -トップ・シークレット-】 10巻まで  /清水 玲子

歴代の中でもっとも清廉潔白で人気を博した第57代アメリカ大統領が突然逝去する。暗殺か、それとも事故か。
脳内に埋め込まれたチップから生前の視覚を余すことなく覗くMRIスキャナ捜査が取り入れられ、真実が暴かれる。
2060年。その後捜査は進化を遂げ、脳に損傷がなければチップが埋め込まれていなくてもスキャニングできるようになる。
科学警察研究所法医第九研究室室長の薪剛警視正。第九研究室に赴任してきた新人の青木一行(いっこう)は、憧れていた有能な薪があまりにも童顔で可愛らしいのに驚く。薪から「向かないから移動願いを出せ」と詰め寄られ、同僚から薪が抱えている過去を知る。
第九研究室が追う事件の数々。

月刊メロディ。アニメにもなる。
「目で見ること、心で想うことは、誰にも止められない秘密の領域」それを扱う警察サスペンス。

繊細な絵とは裏腹に、なんとまぁ骨太なだろう。
冤罪や法についても考えていた時だったので、尚更感じ入った。
時系列は未来だが、現代社会の問題を浮き彫りにして、人の脆さ、危うさを深く描き胸に迫る。

もともとはそんなに連載が続かないと予測されたのかも。最初の巻でそれなりのまとまりをみせている。
続いて良かった、面白すぎるもの。
連載自体もゆっくりで、すでに10年かけて続いているらしい。

プロットは細密。唸ったり、感心したり。
一巻で1エピソード読み切り。
積み重ねた部分もあるので最初から順番に読んだ方が面白い。

百鬼夜行抄」のミステリー版みたいなイメージかも。
まとめ読みより、キリの良い話でじわじわ読んだら面白そう。

少女漫画カテゴリには当てはまらないよね、恋愛中心はないし、多少入ってくるのは青年誌的(青木の今後は楽しみ)。
女王系の薪がインパクトあるので、ちょっと腐の匂いもついていて、現代ニーズにも合っている。
内容はかなりエグいし、グロい絵のオンパレードなので、苦手な人は要注意。気の弱い人はアシスタントさんできないだろうな。大変だと思う。

でも、話の内容は全体的に「せつない」。人間が最後に抱える感情は、この切なさ、無常観なのかもしれない。
切なさは、苦しみや悲しみ、歓びさえもすべての感情を統合させた複雑な感覚だ。
抱える秘密の重さに皆、生き苦しくなっている。真っ当じゃない方が幸せに生きられる時もある。人はそんなに強くない。
それを加害者と被害者の区別なく、捜査員も含めて同等に扱っている。

話が進むにつれて、設定からの当初のフェチシズム的偏向は薄まり、深部が取り上げられ人物像にも焦点があたってくる。
人のエゴが次から次へと、けっこうきつい。目を逸らしちゃいけないよね。
青木の存在は私たちの良心だ。
読中「もっと想像しろ、まだ考えられることはあるはずだ」ずっとそう問いかけられている気がする。

雪子の歳…薪は同級生だと思うので、ちょっとショック。

もっと広く読まれていい作品。
小説、映画でじっくり描く方が向いているのでは。
                         2010/7/04、7/06UP

《こんなふうにおススメ》
こういう作品に出逢えると、漫画読んできて良かったと感じます。オススメ。
男性にも人気の作品。

8巻/
青木の婚約飲み会。薪から聞かされる第九の構想。
神奈川に起きた巨大地震。小学校での三件の事件。新人の36歳山本賢司。

情報が漏れていったのはなぜなのか、次巻で回収される伏線なのかな? いくつもの断片の連なり重なりと、ディープな人間心理がリンクしているのがこの物語の醍醐味なのだけど、それがこの巻は薄い感じがした。話作りはホント大変と思う。
                         2010/8/25、8/26UP

9〜10巻/
9巻。漏洩した情報の犯人を追う。薪の命の狙われ方がエスカレートしてくる。貝沼事件の生き残りで精神病院に拘束されている滝沢幹生。青木の姉夫婦が殺害される。手口は青木が担当した模倣犯に似ていた。
10巻。恵比寿夫婦惨殺事件。青木の憔悴。薪しか知らない秘密。事件は薪に叩きつけられた警告なのか。滝沢の正体。青木は三好雪子と婚約を解消する。薪の決心。機密レベル5の紛失、そして薪の失踪。

BAKUMAN バクマン。」で伏線を作り出すやり方が描かれて感心した。この作品はそんなのが網羅されていて、終わったと思っていた事件に伏線が張られていて、もう一度最初から読まざるを得なかった。細部にわたり見落とせず、内容も密度が濃いので時間かかった。
描写の細かさに改めて感銘。見事、参った。良く出来ている作品と思う。
なんだか全部が薪を陥れようとしている事件にさえ思えてくる。

所作のひとつひとつが美しくて、絵が上手いという以上に品があることにも気づかされる。
人の感情を察する作者の奥行が深くて、息が詰まりそうになった。
この作品が単なる格好いいサスペンスでなく、うわべの近未来SFでもなく感じるのは、人をしっかり描き、苦しみや葛藤、人との繋がりの愛しさに溢れているからだ。
ノック終わったら、何度も読み直したい作品。
関係ないけど、「ゴルゴ13」読みたくなってきた。
                         2012/3/10、3/25UP

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:清水玲子
posted by zakuro at 02:35| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。