2010年09月08日

長屋王残照記 (完) 全03巻

【長屋王残照記】 (完) 全03巻  /里中 満智子

主人公の長屋王は歴史上では悲劇の人として知られる。
天武天皇の息子高市皇子を父に持ち、母の御名部皇女は、持統天皇とは母方では従妹であり、父は同じ天智天皇になる。
現天皇の文武天皇が若く急逝。母の阿閉皇太妃が中継ぎに入り元明天皇が誕生する。不比等の影響に疑惑を持った元明は、娘の氷高に譲位して元正天皇となる。元正天皇ともに政治し、後の聖武天皇を支えながらも、その潔癖ゆえに藤原四兄弟の策略に嵌められていく長屋の運命を描く。

描き下ろし。
読もうと思いつつ、手元に放って置いてしまった。
手元にあるのは徳間の単行本。およそ20年前に描かれている。装丁が美しい。

「天上の虹」と並んで描かれた歴史作品。話は持統天皇の生涯を描いた「天上の虹」の後の話。
現イトーヨーカドー奈良店が長屋王邸跡地になるが、そこから発掘された木簡に親王の表記があったことは、現在の歴史で知られている以上に地位が高かったのではと噂されているのもよく知られた話。その辺りも踏まえて描かれている。
この木簡、もう判読されたのだろうか?

作品としてはさすが大御所、安定していて読みやすい。漫画という形をとった歴史に沿ったドラマとして秀逸。この時代の背景がよくわかる。創作もあるが教科書的意味合いでオススメ。
絵に関しては、都建造の背景が手が抜かれ過ぎなところもあって、ちょっとびっくり。
絵を魅せて自身の世界に惹き込みたいというより、伝えたいのは物語で、絵はわかればいいくらいの感覚なんだと思った。イラスト的に絵はあって漫画ならではのダイナミックさはない。

日本書紀についての創作の真偽にも踏み込んでいて共感。
藤原四兄弟の、長屋への嫉妬が本来の動機として書かれているのも面白かった。

貨幣というモノがどう認識されていったのか興味深い。
後書きにもあるが、「社会のシステムの変動期で好き」に共感。当時のトップは今よりもっと孤独だったに違いない。今の天皇もそうとは言えるけど、孤独の理解ができるイメージングは今の国民にもある。当時は治世する民が今より少ないとはいえ、それも大変だっただろう(現代に於いては、別な苦難があるだろう)。

里中作品を読んでいると藤原氏嫌いになるのは多くの歴史漫画ファンに言われていること。
バランスって難しい。
                         2010/9/06

《こんなふうにおススメ》
古代史ファンにオススメ。

【文庫版】

ラベル:里中満智子
posted by zakuro at 20:06| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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