2012年04月29日

コスプレ刑事 (完) 全06巻

【コスプレ刑事(デカ)】 全06巻  /堂本 奈央

桜谷署交通課の婦人警官、東立夏(あずまりっか)は、無鉄砲に自身の正義感基準で何にでも首をツッコみ突進していく、まだまだ子供な19歳。ダサい制服をカスタマイズしミニスカにして、真っ直ぐ気質の男勝りな美女。
先輩同僚の東大出セレブで妹系な森宮愛とパトロール中に、「警官のコスプレ」と間違えられ通報されて。駆けつけたのは、同じ署の刑事課の、熱血男で正義漢な高屋大輔と、理性と知性派の樹英嗣(いつきえいじ)。
二人に呆れられ、気を取り直し入ったトイレで立夏は、強姦され茫然自失状態の女子高生長谷川真由を保護する。被害届は出されていないが、立夏は悔しくて、ルームメイトで同僚、警務課の藤民子のセクシー服を借り、単独おとり捜査に出かけてしまう。
元甲子園球児で情熱的な大輔と、東大エリート頭脳明晰でクールに落ち着いた英嗣、大輔と知り合いで立夏を通報したインテリアデザイナーの小西悠貴(ゆき)も交え、勢い一直線の立夏をハラハラ見守る、立夏のハーレム状態の恋の行く末……。

小学館のCheese!
さすがのCheese! エロい。
グラマラスな立夏のきわどいコスプレを楽しむ作品。

話の回し方は、この作品がこの作家さんとの初の出会いなら苦手だったかも。
BL作品でよく知られている作家さん。
前にもどこかで書いたけど、初期設定の縛りがこの作品にも影響してしまった。BLはそもそも障害が多い恋なので、割合に早めに主人公たちは恋人になる。そこから先の難関を手に手を取って乗り越えるのだ。少女漫画は、カップルになるまでがキモ。
つまりBL設定だと「君に届け」は単巻終了作品だよ。
だからBL作家さんが一般に入ってくると、そのあたりのじれじれ感情がうまくまとまらず読者の感情移入まで引き出せないのかも。
大輔も英嗣も自覚早すぎなんだよ、気持ち育ててー! とツッコミをなんども入れる。
しかし、受(BLでの女役)の心情描写で定評のあるこの作家さん。ウブな立夏のじれじれは上手い。
でも読者としては、三人のイケメン気分で立夏を見ちゃう。立夏として彼らのカッコ良さに感情移入できないのが悲しい。
一般漫画の構成力って、難しいんだなー。

そして話もただいま若干迷走中。本来のこの作家さんの持ち味に戻っただけ?


先日、遡って、えのもと椿さんの初めての単行本を読んで、「高校生でこれだけ描けて、なんで少女漫画でなくBLだったんだろう?」と素朴な疑問から調べたら、別名の堂本奈央さんとして今や一般漫画家としても活躍していることを知った。おっそ(←と、自分にツッコミ入れたい)。

両ジャンルにわたる方々は三つに分かれる気がする。

アニメ化された「おとめ妖怪ざくろ」の星野リリィさんや、かなりの注目度で売れっ子作家の水城せとなさんに今市子さん、実写映画化された「大奥」のよしながふみさんのように、BLと一般の別け隔てなく活躍中(BLジャンルで修行や実験を繰り返して一般で花開かせる、みたいな)の方々。
確信犯的にその道から進んで売れた中村明日美子さんやヤマシタトモコさん、びっけさん、山中ヒコさんらはますます注目どころ。
BL作品の内容も良いのでこれは言い過ぎですが、BLジャンルを踏み台的にも使って成功した気もする。

そして第二のパターンは、ドラマ化された「マイガール」「ほしのこえ」の佐原ミズさん(BLは夢花李)、「リストランテ・パラディーゾ」(フジテレビ系でアニメ化)のオノ・ナツメさん(BLはbasso)、「セキレイ」(アニメ化)の極楽院櫻子子さん(BLではさくらあしか、一部極楽院名義もあり)や坂井久仁江さん(BLは国枝彩香)、松山花子さん(BLは九州男児)、つだみきよさん(BLは蔵王大志)のように「別名使い分けの方々」もいる。
絵を見れば一目瞭然だけど、あえて別名にしてそれぞれに侵食させていない。

また、三つめのタイプがいる。
できるだけBLも描いているのを隠したいように見受けられる人で、積極的に公表しない、例えば「サマーウォーズ」の杉基イクラさん(BLはくおん摩緒)、榎本ナリコさん(BLは野火ノビタ)、佐々倉コウさん(BLはヤマダサクラコ)らだ。
プロフすら隠していて、この堂本奈央さんも実はえのもと椿としてかなり売れっ子作家さんだとは、wikipediaには載っていない。

こんなふうにそれぞれの立ち位置で、どう漫画家としてあるか、彼女たちの思いが透けて見えて面白い。

両ジャンルで活躍は他にもたくさんいらっしゃいますが、多すぎて割愛。
もしかしてここらへんの事情も知らないと、すでに少女漫画を語るには社会現象的にも偏ってしまうのかも。男子もBLを読んでみたらいいと思う。


それで、この作品について。
えのもと作品は、王道の丁寧な作りの作風から始まって、マーケットに沿った萌え系の作風に変わっていった。えぐいほどそこが巧みだったので、「自分の持ち味と強みをよく理解している、頭の良い作家さんなんだろうなー」との印象が強かった。
なので、少女漫画家として、に興味があった。

タイトルからしていかにも。
場所は渋谷設定だけど、あんまり活かされていない。
少女漫画好みの読者にはどうかなと感じる絵だけど、萌えツボ押す手腕は健在。
根っからのBLファンは、大輔と英嗣、悠貴の絡みのほうが楽しいかも。テンポも良くなるし、主役の立夏周辺よりもスムーズに話が進む。ここらへんは作家さんの計算な気が。ってか、そっちのほうが安心して読んでいられるのが怖いよ。

でも、本編の合間にあるおまけ漫画のほうが面白いってどうよ。
キャンディーポリスの話みたいなのが一番面白いのもどうなのよ。

立夏の空気読まないバカ素直さは、かつての自分と重なって痛かった。こういう揶揄できないほどの正義って、実はもっともタチが悪いんだよね。正しいことには人は文句つけられないから。
そのテーマに、正反対の性格の悠貴のモノローグが興味深かった。
水城せとなさんがこういう描写、巧いよね。

1巻後書きに知り合いが出てきてすごいビビった。
                         2011/1/20

《こんなふうにおススメ》
少女漫画しか読んでいない人には読みにくいかも。これからの展開に期待。

6巻/
人助けから、知らずに賭けプロレスに出る羽目になった立夏は、試合の途中、衆人環視の中で脱がされそうになる。樹が駆けつけコトを納め、叱られながらも気持ちを確認、付き合うことになって。いよいよ処女喪失? まだまだお子様な立夏は、刑事になる夢を咎められ、駄々をこねたまま樹の元を飛び出してしまう。
樹が誘った温泉旅行で、痴漢事件を見事に解決した立夏を樹が見直し、結ばれるが、まだまだ波瀾万丈なふたり、という完結。

最後は駆け足。
まあ、好きな作家さんだから、読者目線も甘々な感想。立夏が可愛くて良かったねという。
ラストの巻はもうエッチなシーンのてんこ盛りで、最近のティーンズラブコミックスの過激さを思う……しかし、ストーリーは心に残りそうにない。
                         2012/3/20、4/29UP

【コミックス】

ラベル:堂本奈央
posted by zakuro at 03:46| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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