2012年04月02日

となりの怪物くん 09巻まで

【となりの怪物くん】 09巻まで  /ろびこ

「となりの席の吉田くんは、入学初日に流血事件を起こして以来、一度も学校に来ていない」
ガリ勉優等生の水谷雫には夢がある。将来は年収1千万超えのキャリアウーマンになるべく、勉学以外の興味がないクールな性格。
幻の新入生で話題の男、吉田春に、担任教師から賄賂を貰ってプリントを届けに行くが、妙に気に入られ友だち認定されてしまう。ハルは他者との距離感を計るのが下手で、学校や仲間に憧れる、実はまっすぐな青年だった。
そんなハルに、初めて感情を揺さぶられる想いをする雫。勉強さえしていれば満たされた。今は不安で胸が苦しい。
「シズクがいるんなら、学校に行ってみてもいい」
中学時代も登校拒否児、しかも成績は学年トップ、奇行青年ハルと、面倒事は嫌いでかたくななシズクのぶきっちょなすれ違いラブストーリー&不器用な仲間たちの青春物語。

デザート。
正直、新しいと感じた。
特に、最初の一コマ。インパクト大で、カミュの「異邦人」の出だし、「きょう、ママンが死んだ」の名文を想い出したよ。

なんというか、不思議な感覚をたくさん持った作品。どうやらこれはこの作家さんの個性らしく、「当たりだったなー」と感慨深い。
感想書くにあたって、ブログを拝見したら、中高時代にクラスにたまーに存在する、飛び抜けて面白い(よしもと系の意味ではなく、存在そのものが)感覚がちょっと変わった子を思いだした。私は昔から、こういう人に憧れてならなかった。文章も詩のようで歌のようで、ほっこりする。
無機質のようで血が通っている感覚と、デジタル絵がしっくりきて本当に楽しい。絵や漫画を描くことがとっても好きで楽しい気持ち、随所から伝わってくる。

絵も可愛いし、男子カッコイイ! 群像画がとくにステキ。
一気にファン。

シズクがくねくね甘えた系女子でなく、空気の読める男前でスカッとする。でも話全体がういういで、ホント共感できるのだ。
そして特筆すべきは恋愛関係が相手におもねらず対等なコト。「男女って対等だよね」とか、存在や生き方や在り方をぐねぐね検証したり確認したりするわけでなく、当然のように対等。苦もなくするっとそんなふうにキャラが存在していて、それが前提になっている。
嬉しいことで、作家さんにトラウマがないのだ、そういった時代の。
当たり前の話なのだが、90年代まではこれがなかなか手に入らず、そういった部分がテーマになってきた。そんなことさっさと乗り越えて次に行っちゃってる、2010年代の作品と思った。もはや戦後ではないんだなー。感動。そこが「新しい」のだ。差別は教育しちゃあかん、ということ、初めて実感した気すらした。

ストーリー展開も、なんというか「その発想はなかった」みたいな。ぶっ飛びっぱなしなんだけど、計算じゃないんだよね。そこがなんともすごい。
今までの多くの作品は、本音の一言が言えなくて、ぐるぐると逡巡し、それが挙げ句は周囲を巻き込む事件に発展してしまう。そのあれこれの中で主役たちは手探りでお互いの気持ちを探して恋愛成就するのが王道パターン。
しかし、この作品のキャラクターは、ためらいなく思ったことを口にする。その言葉に傷つくことさえ言葉に代え、相手の個性も受け入れる。違いを容認する。
その中で、好きという気持ちが重なるところを模索していく。恋愛は、自分ひとりが正解でもダメだということに重きを置いている。お互い好きでも噛み合わない、そんな恋愛のズレたところからスタートさせる。大人だー。
もしかして、今の子たちはうんとスタートが大人なのではと、考えさせられた。

ここに出てくる感覚は今のティーンエイジャーの抱えている悩みや気持ちなのかも。欲しいものは何でも手に入って、取り立てて口に出すまでの悩みはない。でも空虚に冷えている胸の内。ホントに欲しいのは何なのか、わからない拠り所のない気持ち。

出てくるキャラがどの子も立っていて面白おかしい。
可愛すぎてモテまくることにうんざりしている夏目あさ子、野球部で明るい人気者で唯一常識的でまともなササヤン佐々原宗平、隣のクラスの委員長の大島千づる、海明学院に通う方向音痴でプライドの高い優等生ヤマケンこと山口賢二らが、ふたりに関わっていく。

お約束のイベントだって満載なのに、方向が違っているだけで新しく感じる。とにかく楽しい。

目次下が特に好き。途中で入る四コマやおまけ漫画がなんともラブ。
ササヤンのハルに借りってなんだろう? ちらっと出たけど、これでスルーになるのかな?
大島さんの「どうせ死ぬなら前のめり」に共感。

2010年代作品、登場しましたね、と言いたい。この作品はファンとして向かいたい。
                         2012/1/30、UPは9巻と一緒。

9巻/
高二の夏休み。キャンプ。そこに優山の姿が。雫は付き合うということについて考える。祭り。ハルの事情。

この巻の夏目が割と良い。ササヤンが良いのはいつものコト。
だんだん家の問題が表面化してくる。そしてハルの特殊さも。
                         2012/3/30、4/02UP

《こんなふうにおススメ》
本文にも書きましたが、ようやく、「2010年代作品」がこういうのですね、と言えるもの。
時代が浮き出て面白い。注目。

【コミックセット】


【コミックス】

タグ:ろびこ
posted by zakuro at 00:12| Comment(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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