2012年04月07日

月の夜星の朝 35ans 05巻まで

【月の夜星の朝 35ans】 05巻まで  /本田 恵子

りぼんで絶大なる人気を誇った少女漫画「月の夜 星の朝」の25年ぶりの続編。

幼い頃に出逢って結婚の約束を交わした梁川りおと坂本遼太郎は、年頃になって再会し試練を越えて結ばれる。
22歳で結婚し、遼太郎はNBAで活躍するバスケットボール選手に。ふたりはアメリカに渡るが遼太郎は怪我で引退。流産をきっかけに写真にのめり込んだりおは、世界的フォトグラファーの九頭竜正彦に見初められアシスタントとして単身渡伊。
5年後、りおの元に遼太郎から離婚届が届く。慌てて帰国するりお。
35歳になったふたり。物語はそこから始まる。

遼太郎は埼玉県小花野高校の教師でバスケ部顧問に。
森村靖彦は泰西商事の人事課長でエリートコース。
製薬会社OLの浜田麻衣とは腐れ縁の恋人同士。
未亡人の小鹿まゆみはプロダクション会社を経営。
杉田聖子は人気歌手。
義妹の伊吹はバイク好きの夫と息子に囲まれ幸せに暮らしている。

離婚後の傷心のりおに小鹿が、日本バスケ界の期待の星、青木周平の写真集の仕事を依頼する。
青木の指名で、遼太郎が彼のトレーナーに。
もう顔を合わせたくなかったりおだったが。青木、遼太郎の同僚教師の山口詩文、アメリカから日本に長期取材でやってきた新聞記者のミランダらを巻き込んでの恋の行方。

創美社発行、集英社発売、office YOU。

まず、作品を取り巻く概要について。
賛否両論(否ばかりとも……)のこの作品。個人的には、どの作品の続編が作られようがそれぞれで有りではの意見だけど、この作品に関してはどうなんだろうかと感じた。
元々、砂糖菓子のように甘くコーティングされた恋に恋する物語。80年代の王道。
遼太郎が当時ちょっと悪っぽく見せていても範囲内の可愛らしいもんで、とにかく女の子のあこがれの夢を満載した少女漫画だったのだ。それを懐かしい甘い想い出として持っている読者もいると思う。
それを敢えて、読者の層がその年代になったといえ、残酷に侵してしまって良いのだろうか? むちゃくちゃ非現実だった世界観を、こちら側のリアルに置き換えて良いのだろうか?
この作品の特別なファンでなかったとはいえ(親友が夢中になっていたけど)、その疑問が根強い。
火曜とか木曜の22時台にやるような、しかも安っぽいドラマのようなお話になっている。違うキャラでやったら成立したのだろうか?
読中、独立した作品なら割り切れてそれなりに面白かったのにと感じた。

今が90年代だったらまだ有りだと思う設定で、団塊ジュニア世代のふたりはこう考えるだろうか? と考え込むこともしばしば。
2,000年を越えて、ますます価値観が変化している。今の30代はけっこう保守的、お金にもきっちり厳しいです。ここでの設定は40代後半以降の人たちがしていたスタイル。それってバブル経験してきた作家さんの年代なんだろうな。マーケティングって大事だ。

つい、「この作品のファンって、こういうのを読みたいのかなぁ?」と疑問がよぎる。元々はファンタジーなのに、リアルに描こうと考える作者自身がそれに没頭しすぎて、読者がすっかり冷めてしまうのだ。
最近の槇村さとるさんにもそういう傾向がある。いろいろと経験してきた大人の上目線で、読者を諭そうとか、教えようとかするからなのかな。

大人な話なのに、キャラクターが相手の気持ちを考えず強引に周囲を巻き込んで話を進める。それに萎えた。これも作家さんの性格なのかも。
これって子どもの世界にのみ許される手法。10代が主役の、社会に馴染まない子どもがメインの、少女漫画だから笑って許してもらえる設定なのだ。それが大人な世界にも描かれていて、げんなりした。
配慮だらけでにっちもさっちもいかなくなるのが、大人の不器用さで面白みになる。臆病さはどのキャラにもあるけど、肝心なところが強引みたいな。
愛すべきキャラたちが、空気の読めない大人たちになっていて、悲しかった。

この作品が漫画読みしててもまったく話題にならないのは、「読者も成長しているんだ。バカにするな」ってことなのかな。

内容について。
パターンは前作と一緒。波乱から安定、またトラブル。

りおに感情移入できない。まず、こんなに苦しむくらい好きな夫なのに、流産のトラウマだとかいろんな理由があるにせよ、師が厳しすぎるにしても、
「なぜりおは5年間一度も日本に帰らなかったのか。もしくは遼太郎に会いに来てもらうよう頼まなかったのか」。
何度も約束反故にされてそりゃ遼太郎もぶち切れるよね。離婚の覚悟しても仕事したかったと考えに普通に至ってしまう。

「自分は人を愛せない欠陥人間」と自虐するりおも、元々の作品に対して失礼な気がする。
りおの、自分は良い子でありたい性格は、真面目とは違う。相手への愛情を、身勝手に相手へのプレッシャーとして押しつける感情。それなのに、自分は愛し方を知らないと劣等感に酔うのはうんざりだった。(相手を高みに上げすぎて、それに酔いながら自分を成長させる「失恋ショコラティエ」の爽太の性格も似ているけど、自分のキモさを自覚し、客観的に観ているところで「たしなみ」がある。今の作品だよなと、あちらは感心)
そんなあれこれを放置のまま、また恋愛モード。
ぶれぶれな遼太郎にも共感できない。矛盾が多く、こんなに子どもっぽく執着する性格ならば、離婚時に揉めるはず。遼太郎は浮気する人じゃないと設定させるため、離婚させたのかなと穿って読んでしまう。
別な作品にして分けたらホント良かったのに。
そして35歳らしからぬ、りおの子どもっぽい行動。キャラたちが20代半ば設定ならまだ共感できそう。
海外生活長いと誰でもわりとさばさばしていくんだけどな。ロンドンとNYに長年住む妹を日頃見ていてそう感じた。
35歳からの遅い自立。主婦が自分の足で立ち上がることを自覚して頑張る姿としてなら、納得。でも、読者は、空回りの悪循環を読み続けたいわけじゃない。

火サス的にドキドキするのが、結婚決まった森村と麻衣ちゃんに絡む北岡瑞季。猟奇的で怖い。見どころ。でも、尻つぼみ。
周平のアメリカ行きと怪我の違和感は、もうファンタジー。

15話の扉絵の帯の結び、この夏の浴衣で着たい。

いろいろ書いたけど一番気になったこと。
絵って描かないと下手になっていくんだなととても怖いことに気づく。絵がとても上手い作家さんと、感心した記憶がある。巻を重ねていくとまとまってきて落ち着いた。ベテラン作家さんでもなんだ、びっくり。
いや、何事も日々こなしてないとそうなのかも。我が身を振り返らせた。大きな学び。
手書き文字の美しさには感動。
                         2012/3/20、4/07UP

《こんなふうにおススメ》
「残念な、やっちゃったパターン」として、周囲に勧めている最近。いいのか?


タグ:本田恵子
posted by zakuro at 02:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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