2012年04月12日

坂道のアポロン 08巻まで

【坂道のアポロン】 08巻まで  /小玉 ユキ

船乗りで家を空けることの多い父を持つ西見薫。1966年、初夏。高校一年の始めに、横須賀から親戚のいる長崎に身を寄せることになり、長い坂道の上にある東高に転校する。薫は転校ばかりでそのたびにストレスを抱えていた。
後ろの席の川渕千太郎は喧嘩っ早く、クラスはおろか他校生徒からも恐れられている硬派だった。薫は初日にパニックを起こしそうになり屋上に向かうが、そこに先客、サボっていた千太郎がいた。千太郎と幼馴染みのクラス委員をしている迎律子(むかえ りつこ)は面倒見が良く、薫は一目惚れする。
縁が出来て、誘われて寄った律子の家はレコード屋で、秘密の地下室はジャズの練習場になっていた。薫がピアノを弾くと知り、律子は地下室に連れて行く。そこには学校をサボってドラムを叩く千太郎がいた。魅せられ、薫もジャズにのめり込んでいく。
三人で海で遊んだ時に知り合ったひとつ年上のお嬢様、深堀百合香に千太郎は恋をする。
千とボン、リッコを巡る青春と恋に友情、そしてジャズの物語。

短編。
第1巻「種男」
仕事に追われ乾いた女、志田。いつもの店で飲んで仕事の愚痴でくだを巻き、帰りに売れ残りの妙な植物をもらい、翌朝、その植物の奇妙な実から男が出てくる。
第2巻「インターチェンジ」
高速道路の出口を10回ループすると、忘れたい想い出をキレイさっぱり忘れられるという。
第3巻「バグズコンチェルト」
羽虫が恋をした相手は野球部のエース。
第4巻「エレベーター・チャイルド」
エレガの仕事中に一人乗った老人。やがてエレベーターは空を突き抜け宇宙に飛び出す。老人はどんどん若くなり、どこかで見たことのある子どもになっていた。
第5巻「天井娘」
床から音がする日々。文句を言いに言ったら、天井に張り付いている娘がいた。
第6巻「夜警」
ショッピングモールの夜警、柳瀬。仕事中に女性に出逢う。さっきあったマネキンはすでになく。

小学館「月刊flowers」。
「このマンガがすごい! 2009」オンナ編で1位になっていたので知っていたけど、はっきりいって表紙買い。1巻の線の細めのメガネ男子が好みだっただけという。それがこんなにも当たりだったなんて……感激して泣けた。
男性にも読みやすいと思う。オススメ。
この春からアニメにもなる。

66年という年は、ビートルズが来日して、武道館で6月30日より3日間公演をしている。そして68年からは学生運動が盛んになって、70年安保闘争に入っていく。
桂木淳一が東京の生活で挫折する背景と、雑踏から切り離されたような地方でジャズにのめり込む千とボンがいて、それを百合香が結んでいる。
そしてオイルショックと高度成長期を迎える、そんな時代。

繊細な薫、大胆でバンカラな千太郎、面倒見の良い律子、それぞれに個性的で、仲良し三人に共通しているのは誠実で正直で優しいところ。
出てくる人物の胸の痛み、迷い、悩みが直に伝わってくるようで、切なく苦しく、そして優しい。がっつり感情移入できて共感できる。

昨年夏には、YouTubeで音を探してBGMにして、何度も繰り返して読んでいた。

絵の構成は見事。映画のワンシーンのようだったり、何気ないシーンでも気になるところが多くて、ここぞというところで感激させてもくれる。
行間という言葉を感じる漫画作品はなかなか出逢えない。次のコマへの移行が、絶妙にフェイドインしていったり、よく漫画に見られる、一拍、景色のコマを入れて場面転換とかのお約束なんか超えちゃって、雰囲気を壊さない丁寧さがあって、ホントにホッとする。
小雨降る休みの日に、ミルクティーで身体を温めながら、隣家の庭に咲く早咲きの木蓮を眺めている、そんな揺蕩う幸せな午後を想い出した。

短編はflowers増刊の「凜花」。これら短編の不思議な世界観も面白い。
どの短編にも外れなしってスゴくないですか? シュールでどれも傑作なのは特筆すべき。

「波の上のアポロン」は私も見たいです……。
8巻は区切りの巻。9巻は大学生編に入り、そして完結、最終巻。
                         2012/1/30、4/12UP

《こんなふうにおススメ》
どなたにでもオススメできる青春物語。ドラマや映画にもなりそう。

【コミックセット】


【コミックス】

タグ:小玉ユキ
posted by zakuro at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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