2012年04月30日

潔く柔く (完) 全13巻

【潔く柔く】 全13巻  /いくえみ 綾

瀬戸カンナと春田一恵(ハルタ)は、同じ団地に住む幼馴染み。カンナは誰もが振り向く美少女で、ハルタもイケメン男子で女子からの人気も高かった。同じ東高校に入学、同じクラスになる。ハルタはカンナに「離れられない運命」と告げる。
カンナにうっかりぶつかったボールが縁で、ふたりは、真山稔邦(としくに)と川口朝美の幼馴染みと仲良くなる。4人で連む日々が続き、マヤはカンナに、朝美はハルタに恋をする。
ハルタはずっとカンナに想いを寄せていて、祭りの夜、カンナに「行く」とメールした時に事故に遭う。カンナはマヤと会っていた。ハルタの死を境に皆が変わっていく。
赤沢禄(ろく)は、小学生の遠足で、つきまとっていた柿之内希実(のぞみ)とともに車に跳ねられ、希実は亡くなる。
失った人への想いをそれぞれが抱え、そこに関わる人々との関係をゆるやかに描くオムニバス作品。

13巻番外編は、「誰かが私にキスをした」。
原作は、ガブリエル・ゼヴィン。映画のコミカライズ。
インターナショナルスクールに通う宿世直美(すくせ)は、学校の階段から落ちて過去4年分の記憶を失くす。目が覚めて最初に会ったのは三輪佑司。

集英社、Cookie。

メインはカンナと禄。
大事な人を失った、残された人々の苦しみ、それが物語を繋いでる。リンクしている人物たちが入れ替わり主役になって話が進む。

うわー、やられた!
途中まで、よくわからなくて「すっごい評判良いのに、なんだかなー。私にはわからない面白さなのかな」と疑念を持ちながら読み進めていた。止めないで良かった。
まるで、ヴィム・ヴェンダースの映画のようだよ。アート過ぎて最初は眠くて、それでも頑張って観ていると、後半30分で面白い展開に畳みかけてきて、一気に伏線回収、最初と全部繋がって、納得して大感激し、もう一度観直したくなる、あんな感じですよ。
時系列に沿っていないのと、最初は人物相関図を頭に入れて整理するのに手一杯なのだ。

一言で言えないけど、敢えて言ってしまうと「人に歴史有り」。
神様とまではいかなくても、例えば仏教では如来とか、菩薩まではいかなくても、天部あたりで俯瞰な眼で私たちの世界を観てくれると、こんなふうに人々は細く緩やかに繋がっていて、まるで触手のように浸食したり、色が溶け合うように影響し合っているんだろうなと感じる。そんな人々の人生の一遍を、絶妙な織り成し方でタペストリーのように繋げていく。「生きている」って、こういうことなんだろうと感じる。

ジグソーパズルの断片を、遠いところから埋めていって、少し絵が見えてくると、恋愛が軸になっていると気づく。
しかしそういう感じがほとんどしないのだ。生き方というか、存在そのもの。掘り下げるというより、奥深くが吐露される感覚。読後、かなり自分を持て余してしまう、そんなふうにじわじわとくる。うまく感想が書けない。

飾りがない素のままの女子たちが描かれる。なんか女子校みたい。
4巻で、笹塚一恵の「人を救うことなんてできやしないけど、自分くらいなら救える。あたしはせめて、あたしのことを救おう」に、すとんと落ちた。9巻、朝美が家庭教師をしている小学生の瑠璃がかなり大人で、可愛い。

たゆたゆと繋がっていた話が、カンナと禄が出逢ってから、一気に面白くなる。ここがヴェンダース的残りの30分になる。
カンナと禄のその後も是非に読んでみたい。

生きるって想像力だ。心の、潔く柔い人になりたい。
ノック終わってから、またしみじみ読みたい。さすがの大御所。ベテランならではの秀逸な作品と思う。こんなのが読みたかった。
                         2012/4/08、4/30UP

《こんなふうにおススメ》
小説的なんです。
これを漫画、しかも連載で綴る技量に感服。さすがとしか言いようがない。

【コミックセット】


【コミックス】

ラベル:いくえみ綾
posted by zakuro at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画-少女レディース系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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