2009年10月14日

ジャンキー・フィクション(完) 全03巻

【ジャンキー・フィクション】  全03巻  /明治 ていか(原作/為我井 徹)

不可思議な魔法薬を扱う「薬屋」の少年の容姿をしたタクと、少女に変身する看板猫、黒猫のくすり。ともにいる魔法医学のガスパールは、医師であったタクの母の寧子が召還した悪魔で、タクに手を貸している。
迷い悩み、複雑かつ難解な問題を抱えた依頼を、解決していく小学生の姿のタクと助手のくすり。消えた母とタクの過去とリンクして、語られるファンタジー。女子高生姿の佐々木基子も加わって。

コミックガム。
表紙に惹かれて読み。最初に言ってしまう。面白かった。出会えてラッキーだったと言いたい。

まるでドラえもんの四次元ポケットのような薬の数々。それを手品のように操り、事件を解決していくタク。
物語が進行していく方がぐっと良くなる。

タクが小学生の姿なのは、母と別れた時の姿だから。そのまま時間が止められている。
設定上、もっと大人なら、話の展開も増えたかもしれないが、母との葛藤は浮き彫りにならない。姿が高校生くらいで葛藤していると、精神的な歪みにスポットが当たってしまう。そこは原作者の潔さだなー。

面白いし、楽しかった。
シリアスで暗い部分もあるが、人を愛する故の愚かさは理解できる。承認はできないけど。
タイトルに捻りがあればもっと人気が出たと思う。続いても良かったのに。もったいない。
かなりオススメなのに。とはいえ、3冊でまとめたのも良かったかもしれない。

ポピーとケシの見分け方。葉を抱いているのがケシなのか。なるほど。
                         2009/10/08

《こんなふうにおススメ》
世界観の温かさは、「環状白馬線 車掌の英さん」に通じるものがあった。かなり好きです。

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:明治ていか
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2009年10月12日

MOTHER KEEPER 03巻まで

【MOTHER KEEPER -マザーキーパー】 03巻まで  /空廼 カイリ

世界を焼き尽くした終焉戦争で人口が1/6になってしまった世界。またその1/3の人間だけが、EDENと呼ばれる豊かな守られたドームに住む。それ以外の人々は過酷な生活を強いられていた。
リカルナ=フォルドーは妹のレナ(レナード)とともにスラムに住む。リカルナが身を置くテロ組織は、彼が父と仰ぐグレアム=グレッグソン率いるレジスタンス軍COSMOS(コスモス)で、才能ある孤児を教育し結成されていた。
グレアムは、EDENの中枢であるマザーコンピュータを破壊するミッションの要にリカルナを据える。しかしリカルナの部隊は全滅、リカルナも殺される。
そのリカルナをサイボーグとして蘇生させたジム=クリーズから、EDENを守りレジスタンスと戦うマザーキーパーとして蘇らせたと聞かされて。
リカルナを殺したシャル=ファインデッド、リント=カイゼルら他にもサイボーグたちがそこにいた。リカルナは必死に抵抗するが。

月刊コミックブレイド。
面白ーい! 作家さん、映画をたくさん観て育った人の視線だ。
そして、すごい、バトルや小道具に迫力があるのは、マニアックというか作家さん自身にかなりフェチが入っているからだ。萌えなんて言葉では吹き飛ぶ、ディープな視点が溢れていて、熱狂的なファンが多いのもわかる。
でも感心するのは、それが自己満足のマスタべーションに陥ってしまうのでなく、外に向けたわかりやすいエンタテイメントに昇華し表現されていること。それは感嘆すべき技術だ。
ツボな部分も決して読者におもねっているワケじゃない。すごく学ぶ。うーむ。

これからどんどん面白くなっていく予感。
トルキス=ベラフォルトとの関係も楽しみ。
まだまだ導入部分。手持ちは3巻までで残念。隔月連載なのも残念。
                         2009/10/08

《こんなふうにおススメ》
「モノクローム・ファクター」も気になったまま読めてないんですけど。
スピード感あって面白いです。女性作家さんだそうな。
あえて洋画好きにオススメ。


タグ:空廼カイリ
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2009年10月06日

今日からヒットマン 08巻まで

【今日からヒットマン】 08巻まで  /むとう ひろし

稲葉十吉(とうきち)34歳、妻美沙子と新婚半年のサラリーマン。
営業マンとしては優秀で、その日後輩の尻ぬぐいで接待の帰り、山の中の旧道で、殺し屋たちの乱闘に巻き込まれる。
成り行きで、二丁と呼ばれる伝説の殺し屋の代わりに、殺人を犯さねば家族を皆殺しと脅される。二丁の恋人ちなつの救出も含まれ、死んだ二丁を乗せて現場に向かい、ちなつの協力を得て目的をやり遂げるが。二丁のマネージャーは十吉に渡すはずの二丁の全財産を持って逃げた後だった。
借金となってしまった二丁の“遺産”を返すため、十吉はコンビニと呼ばれる裏組織、暗黒の世界に身を投じ、抜けられなくなっていく。

週刊漫画ゴラク。
映画化されてその会見のニュースから興味を持つ。

いきなりこんな世界に投じられたら、普通ならすぐに死んじゃいそう。
二足草鞋はわりと多くあるパターン、しかも美人付きも。でもぐいぐい読めて面白い。
ありがちなのは、普段はヘタレでいざとなると強くてすごい、みたいなのがあるけどこれは違う。十吉の恐怖と戸惑いは通常人間なら誰でも持つ当たり前の感情だ。
サラリーマンとしてもしっかり仕事をしていて、それが役立っているのは面白い。
でも素人の十吉が凄腕になりすぎ。それもすぐに。元々運動神経やコントロールが良いのかもしれないけど、もっと葛藤を描いても良かった。
最近巨乳ものにはウンザリしていたので、この作品の支持率はUP。

後書きで作者さんをいきなり支持。漫画家さんて大変なんだなー。いつまで連載が続くかわかんないから、早めに無茶でも面白くしていくんだろうな。
巻数が進むにつれてマンネリ化が否めない。手持ちは8巻まで。続きを読むかどうかが微妙。
                         2009/9/28

《こんなふうにおススメ》
男性向けファンタジーって、こういうのを言うんだと思う。
スリルに身をおけて、美女に囲まれて。楽しく読める。



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2009年10月04日

あずまんが大王(完) 全04巻

【あずまんが大王】  全04巻  /あずま きよひこ

負けず嫌いの1年3組担任谷崎ゆかり、やる気と元気の暴走少女滝野智(とも)、10歳で飛び級の天才美浜ちよ、一見漢前しかしラブリーに弱い榊、大阪からの転校生のんびりな春日歩、優等生だが音痴な水原暦、1年5組の担任でゆかりとは同級生の黒沢みなも。
彼女たちの三年間の高校生活を描く学園4コマ。

1999年から2002年まで、月刊コミック電撃大王にて連載。
連載終了後も何かと話題の人気作品。アニメにもなり、海外でも人気。

テンポは緩くないんだけど、とにかく和む。
みなみけ」は、これ系だったのか……。

ちよのマウス使いやパソコンは、後の長門ネタ?
読んでいると、いろんな作品に影響を与えた、多く愛されてきたのだと気付く。
でもなんでこんなに人気があるのかわからない、と思っていたら、2巻後半くらいからキタ。これ、じわじわ来るんですね。

3巻表紙の、セーターの編みの描きこみに驚く。
イリオモテヤマネコに好かれた榊さんを応援した。猫がね、とってもアニメチックな絵で、これがまた笑う。
この作品が、その後の4コマブームを作ったのかもしれないなー。
                         2009/9/30

《こんなふうにおススメ》
個人的には「よつばと!」がずっと好きですが、笑いながら和めて楽しいです。



【新装版】


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2009年09月27日

深川澪通り木戸番小屋(完) 全02巻

【深川澪通り木戸番小屋】  全02巻  /あおき てつお(原作/北原亞衣子)

江戸下町は深川中島町。
町をささやかに守る木戸番の仕事を営む夫婦、笑兵衛とお捨。どこか品のあるふたりの出自を町内では勝手に噂するが、その人柄で信頼されている。
夫婦と、彼らに訪れる人々の人情物語。

漫画時代劇ファン。そういう雑誌があったんですね。集英社。
コミックスは、ジャンプコミックスデラックスから。

一話読み切りで進む。
原作があるのと、絵に安定感があり、安心して読める。

しっとりとした熟年夫婦が、周囲の人たちをさり気なく思い遣る。それに癒される作品。
続いても良かった。

深川資料館が時代考証を協力。
原作も気になった。
                         2009/9/22

《こんなふうにおススメ》
大人が読める漫画作品。
漫画を読み慣れていなくても楽しめる。



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2009年09月24日

びんちょうタン(完) 全04巻

【びんちょうタン】  全04巻  /江草 天仁

擬人化もの。
びんちょうタンは、山の中の古い家にひとりで暮らす女の子。おっとり優しく健気な子。
薬屋の孫娘、おじいちゃん思いで元気なちくタンと、妹のしっかり者ちくリン。お嬢様のクヌギたん。ちゃっかり者のお寺の娘れんタン。水がないと生きていけないあろえ、彼女らの日常の和み4コマ。

メガミマガジンから、月刊コミックブレイド。
だいぶ前に(調べたら2006年2月)、仕事で疲れて帰宅するとこれを深夜アニメでやっていたのをよく記憶している。帰宅してすぐに着替える気力も無い忙しい頃で、ソファに倒れたままリモコンをONにすると、なごなご始まるのだ。
テレビを観る習慣がないので、どの番組が何曜日かなんてわかってない。でもなぜか点けた時にはいつもこの番組で、その曜日だけ午前様だったんだろうな。
その時期は会社がアキバ系に参入する傾向はちっともなくて、ぼんやり観ながら、「なんでこういう作品がアニメになるんだろう? それで成立するのか?」と不思議だった。擬人化ものの意味すらわかっていなかった。
その翌年から、漫画を読み出すとは……。人生とはわからないもの。

読みながら、急にほかほかご飯が食べたくなってきた。
夜中におにぎりを握ってしまった。

炭の効用も収録。炭って便利だよね。ご飯炊く時も下駄箱にも花瓶にも、うち使っています。
その炭にもいろんな種類があり、その特性がキャラの性格付けになっている。

内容は昭和30年代初期の田舎のイメージ。
貧しいびんちょうタンの頑張りに切なくなり、可愛さに和む作品だったのか。
そーいえば、10分もすると頭が痛くなる騒がしいテレビも、これをだらだら観ていたということは、癒されていたのか……。なるほど。
でも全体に可哀相ぶりな話なのが残念。だんだん癒されず、最後は苦痛だった。
                         2009/9/22

《こんなふうにおススメ》
和みたい時に。
全巻は辛いので勧めません。



タグ:江草天仁
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2009年09月21日

おこしやす 01巻まで

【おこしやす】 01巻まで  /久保田 順子

呉服屋のひとり娘、天然なお嬢様の紺野ゆいな。
同級生でゆいなの幼馴染みのあこと、大学が京都になった矢野銀二が加わった、京都を楽しむ和み系4コマ漫画。

まんがタイムファミリー。
京都に生まれ育った作者の、ゆったりほのぼの漫画。

京ことばを調べていたので、すごく勉強になった。嬉しい。
でも、もろ京都言葉は理解不能だった。
銀二を応援したくなる。

等身大の京都の風俗や習慣がわかるし、とくに地元ならでは「京都見て歩記」が参考になった。
ガイドブックとしてもオススメ。ひと味違った京都を堪能できる。
おばあちゃんの知恵のような小ネタも楽しい。

京都って、確かにバス、多いよねー。
他所から来ると、町屋作りの店などは大感激だけど、地元の「自分の家で食べているみたい」は、そうなんだろうな。羨ましい。
いつかは住みたい、京都(たぶんすごい大変だろうけど)。

単巻作品かとうっかり。続いています。
読みたい。
                         2009/9/20

《こんなふうにおススメ》
京都勉強中ってのもあるんですが、期待より満足。
この古都に興味のある方に。



タグ:久保田順子
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2009年09月19日

歌姫

【歌姫】  全01巻  /あき

国王と歌姫に護られる国。男の国王は中心から大地を治め、女の歌姫は子守歌で周囲から支えるのが習わしの、対の存在。
しかしその伝統を揺るがす秘密がその村にはあって…。
国王が亡くなり、絶対その家系には生まれるはずのない娘が後を継ぐことになる。
一方、一子相伝の歌姫は男のカインがそうであるのを村長のトーマスしか知らず、“歌姫”を護る村人はそれは姉のマリアだと信じていた。
カインとトーマス、マリアの物語。

短編は「ダリカ」
エリート校に入学したロイは将来の地位の約束と引き替えに、国家機密に携わる。
それは神の子の実験段階、ダリカを監視することだった。

ゼロサム。
絵に関して、アニメ的でしかもゴシック色が強い。それが私のゼロサムイメージで、これもそう。
それがちょっと“こなれ”ると、Gファンタジー系になる。

作者の初コミックスであるのと、単巻なので期待しないで読み始めたが、面白くてびっくり。
特に設定が良い。
ファンタジーらしい空気は常にまとっていて、そして切なかった。
この長さだから良かったんだと思える。

好みかといえば、そんなにでもないけど。でも上手くまとまっている。

短編の方が好きだけど、終わり方が残念。
作者の甘さが出た感じ。もったいない。
                         2009/9/18

《こんなふうにおススメ》
絵が美しいです。今後も期待の作家さん。



タグ:あき
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2009年09月12日

さよなら絶望先生 15集まで

【さよなら絶望先生】 15集まで  /久米田 康治

なにかと絶望する「癖」を持ち、物事をなんでもネガティブに捉える、自殺願望が高い高校教師、その名も糸色望(いとしきのぞむ)。
漢字で横に続けて書くと“絶望”になる。
なんでもポジティブに考える赤毛のアン的な風浦可符香(ふうらかふか)、携帯メールでしかコミュニケーションを取れない音無芽留(おとなしめる)、なんでもきっちり完璧主義の木津千里(きつちり)、帰国子女で文化の分裂から人格も分裂してしまった木村カエレ、DV被害疑惑がもたれている小節あびるら、彼を取り巻く個性溢れる生徒たちとの、時事漫画的コメディ。

アニメから入った作品。このアニメ、POPでシュールで大爆笑だった。
もちろん原作があってこそ。

原作も、絵がカッコよく、線がとても綺麗。
お約束である、はじめページのキャラぶち抜き構図も楽しみになる。
とくに和装は嬉しい。

乙女も喜びそうなイラストチックで美しく可愛らしい絵柄に、気楽に読めて笑えるエンタテイメントでありながら、ブラックな笑いがある。
この作者の目線は貴重、すごい。
ここまでやって良いのかとひやりとするものもあるが、クドくなく絶妙なバランスでくすっと笑える。

コネタの多さは漫画界の「薔薇の名前」(言い過ぎ、でも本気)。
現代の宮武外骨のような雰囲気もある。
糸色先生はもちろん、存在が太宰治のパロディ。

生徒たちはマニアックを越えてフェチに近い。すべてがこんな調子。
あれこれと元ネタを探す面白さもあるけど、斜に構えながら世の中を見てみると、不可思議なおかしさがあることを改めて教えてくれて小気味良い。

オタクがわからないとそこまで面白くないかもしれないネタもある。
物語導入部分の絶望先生のコネタ、大好き。
作品全体に言えるが知識欲が増してきて、これまた二度美味しい。
またいろんなパロがありこの作品から知ったものも多い。「いちご100%」とか「ガンダムSEED」の人気ぶりとか。
表紙の返りのあらすじもデタラメ。

木村カエレの存在などは、基本的な自国文化がまだ身の内に確立していない幼児期に英語教育を詰め込むオトナのエゴを揶揄していたり、じっくり読むと寒気がしてくる。
久米田さんの目にはセカイってどう映っているのだろう? 読者はただ笑って楽しんでいるけど、これらのネームの下敷には、作者の幅広い観察力があって感嘆する。

個人的には、実際に絶望先生みたいなタイプの人がそばにいたら大変だろうなー。
画面の向こうくらいにいてほしい。
ここまで弾けたら粋だと思う。太宰や芥川龍之介、有島武郎に読ませたいよ。←これは本気。

ちなみに「レンジに猫」は都市伝説。
8巻の義務感の話は、身に沁みた。このブログ自体がそうだったりして?
小森ちゃんのグラマーっぷりっ!
お行儀の良くない商売って……わかります。
千里ちゃん、ますますヤバいキャラに。

読者のオトナ度が高い程笑える。
キモチがうーんと落ちているときは読めない、そのブラックが身に近過ぎて、しんどいのかもしれない。

話が最初に戻るけど、アニメの糸色望は神谷浩史さんでほんとに良かったと思う。
                    2008/1(感想は2008/8/20にまとめて追加)

※ 続けての新刊までは、まだ感想をまとめていない。現在16巻まで刊行。

《こんなふうにおススメ》
特に、オトナにおススメしたい作品。この発想はなかった、と思えた。
                         2009/3/31UP

14〜15/
14巻。改めてですが、二次元の平面的な絵だからこそ着物スタイル合いますね。この作品の着物姿、すごく好きです。読んでてテンション上がるし。
できれば元ネタwikiとともに読んでみると数倍楽しいのだが、残念ながらその時間はない。
1/3の愛の言葉集、笑いました。
小学館ネタはどきどきしちゃいました。
過程訪問の景色、キレイ。

15巻。6月の花嫁、ライスシャワーは梅雨で雑炊になる。日本発じゃないから、ねー。
って地陥没する、あるよねー。
祝日は粛日は、ますますそうなってきた。
あー、自分もMac起動前に祈ってたクチだなー、懐かしい。
                         2009/9/08

【コミックセット】


【コミックス】


このコミックを読んで憶いだしたのがこちら。


タグ:久米田康治
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2009年09月05日

伝染コンプレックス

【伝染コンプレックス】  全01巻  /きづき あきら

・「氷が溶けて血に変わるまで」
カラオケ屋にオールでひとりでいる女子高生。バイトの身だが日に日に理由が気になる。

・「sucide note」
ミチとリナは14歳の二卵性姉妹。継父に弄ばれる日々に絶望して死ぬことにする。

・「WHITE」
ひな子は何もわからなかった子どもの頃に遊びで兄とセックスをする。しかし、年頃になって自分だけそれにこだわっているのが悔しい。

・「YELLOW」
弟なのに、春樹が好きでたまらない。

・「BLUE」
両親が離婚して、兄妹だけでたまに会う。妹の真琴の視線が強くなっているのに気づいていた。

・「Prohibition」
姉に強引にキスする弟。

・「MOON RIVER」
松田瑞樹は土手でお嬢様学校の羽田真依子に声をかけられる。義足をなくしてしまった少女。

・「BITTER CAKES」
みほは、友人のなつきの新婚家庭にお邪魔する。彼女は盲目だった。

・「LOVE HORIZON」
ユキは松野にすれ違い、声をかける。高校の頃好きだったその人は、すっかり女性の姿になっていた。性同一性障害だと聞かされる。

・「ふってくる日」自分とそっくりの人形が降ってくる。

・「ノーカウント」兄妹のキス話。

前半は近親相姦を中心にした短編集。
ここに描かれているテーマは、不本意に被害に遭う近親の性暴力が多い。絵が可愛らしい分、胸に響く。
そして許されない恋に悩む葛藤も。読んでてけっこうきつかった。

「Prohibition」は台詞がなくて、絵だけでは普通のポエトリーな恋愛シーンに見える。
最後の台詞でぞっとする。

後半は、心身的不自由さをもっている人の話になる。
健常者の“優しい自分”に酔う話じゃなく、そこにエゴが透けて見えてそれを誤魔化さないのが秀逸。
対等ってことを考えさせられる。その分、読後感はきつい。

「MOON RIVER」は和んだ。自分の言動も見直した。

ケーキって見えてないと確かに気持ち悪いモノ。
そういうこと、考えたことなかった。

「ふってくる日」の発想、すごい。

描き下ろしと絵が違ってて驚いた。
絶版モノを新装。
                         2009/9/04

《こんなふうにおススメ》
どう薦めていいのかわからないけど、読んで良かった。知って良かったと、私は思った。



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2009年09月03日

ブッダ(完) 全14巻

【ブッダ】  全14巻  /手塚 治虫

ブッダの生涯を中心に周辺の人物も交えて手塚治虫流に描く。
3500年前、ヒマラヤ山脈の麓から始まったインド。身分制度が厳しく、バラモン(僧)を頂点にクシャトリヤ(武士)やバイシャ(市民、商人)、奴隷に至るまで生まれた時から立場が決められていた。

アシタ聖者の弟子ナラダッタは、師の示す方角にこの世の全ての王になる人が現れる、彼の人を迎えにいく任を授かる。
スードラ(奴隷)のチャプラは、バリア(否人)の不思議な少年タッタと知り合い、兄弟の契りを交わす。
チャプラは身分と貧しさ、そして世の不条理を儚み、出世を決心して旅立つ。コーサラ国のブダイ将軍の命を助け、養子となる。
ナラダッタは、タッタとチャプラの母と旅を続け、タッタの無心の放下から、アシタの師のゴシャラ聖者が開いた悟りへと行き着く。

カピラバストウ城を治めるシャカ一族の王の息子としてシッタルダは祝福とともに生まれたが、生まれつき身体は弱く、人生に常に疑問を持ち悩む。
やがて、出家へと決心を固めていくが。時は経ち、シッタルダの運命と、彼らが関わっていく。

1972年から83年まで連載。希望の友、少年ワールド、コミックトム。

絵の躍動感は見事。
構成も大きく、すぐに物語に引きずり込まれる。
ひとりひとりのキャラの立ち位置、存在がシンプルながらも力強く魅力的。
フィクションも多いが、決して釈迦の伝記の魅力を打ち消さない。
動物たちも愛おしい。
さすが巨匠だ。

「シッタルダ」が「目的を遂げる」という意味で「ブッダ」が「目覚めた人」だとは知らなかった。

ヤタラとタッタの戦いは悲しくて仕方なかった。

この作品について感想を言う、その言葉を知らない。名作。
7巻は震えた。
何度も読み返したい。

それにしても壮絶な生き方がいくつもある。人生の苦しさを肌身で感じた大人に勧めたい。
偉人や聖人の話には迫害がつきもの。同時期に生きていれば疑う気持ちは常に出てくるものかもしれない。切ない。
                         2009/8/19

《こんなふうにおススメ》
聖☆おにいさん」を読んでから、めちゃくちゃ気になっていた。
あのブッダがこの作品のファンだったのは、手塚流のフィクションだからなのかも。

【コミックセット文庫版】


【コミック文庫版】
大人にお勧めしたいので文庫を。


タグ:手塚治虫
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2009年08月31日

DRAGON BALL(完) 全42巻

【DRAGON BALL ドラゴンボール】  全42巻  /鳥山 明

人里離れたところに棲む子どもの孫悟空は、おじいさんの形見とともにひとりで暮らしていた。
そこにやってきた少女ブルマは、龍球(ドラゴンボール)を探していると言う。それは7つあり、全部揃うと神龍が現れ、ひとつだけ願いを叶えてくれるのだ。
悟空が日々語りかけ大事にしていた形見こそ、そのドラゴンボールのひとつだった。
それを譲れない悟空はブルマとともにドラゴンボールを探す旅に出ることになる。

道中で亀を助けて、亀仙人(武天老師:ぶてんろうし)から筋斗雲を貰ったり、豚のウーロン、泥棒稼業をしていたヤムチャ、猫のプーアルら仲間も増えて…。
ピラフ大王の陰謀から地球を救った後、孫悟空はクリリンとともに亀仙人の元で修行を積み、やがて地球を救うべく、大きな戦いの中に巻き込まれていく。

週刊少年ジャンプ。1985年から11年の連載。
日本で二番売れたコミックス(※)で、累計約1億5000万部。世界では3億5000万部の人気コミック。アニメに映画も大ヒット。
これを読んで育った子どもが、今を支える漫画家に育っている。
 ※ 現在のトップは「ワンピース」で1億7500万部。それまでは、この作品が1位。

昔、アラレちゃんが好きで読んでたなー。
絵の上手さはすごい。特にメカ。そしてキャラクター。わくわくしてくる。
図柄もポップで読みやすく80年代に流行ったポスターみたい。アニメ化しやすい絵ですよね。
特に驚いた顔が特徴的でユーモラス。
さすがにトーンを使わない絵というものに驚いた。ペンが自由に動いている感じ。

コンテもどんどん良くなっていくし、スピード感もたまらない。
3巻のランチ登場のカーチェィスにわくわくし、戦いも11巻の悟空と天津飯との決勝から面白さが加速していく。
後半のバトルの絵は、動画を観ているよう。
28巻でトランクスが登場あたりから、映画の「ターミネーター」っぽくなってきた。
セルはゴキブリの羽根みたいで気持ち悪かった。
後半はすっかりゲーム脚本になってしまう。

戦いの場面は、そこに状況を見渡す第三者がいて、戦う主体と客体が入れ替わりながら進み、わかりやすいのも特徴。
テンションの高い戦いでは、モノローグすらなくひたすら絵で魅せていく。

感動した台詞。
亀仙人の武道を学ぶ意味。「武道を学ぶことによって心身ともに健康となり、それによって生まれた余裕で、人生をおもしろおかしく、はりきって過ごしてしまおうというものじゃ!」
これだけで亀仙人の凄さがわかる。
「神の目にも見えない」には爆笑した。

面白いけど、これ以降に秀逸な作品が増えてそちらのパワーがすでに大きく、話自体はそんなにすごいと感じなかった。
とはいえこんな変わった話、ふつーに思いつくとも思えない。
天才肌が考えつくような構成。
既視感がなぜか「星の王子様」なのだ。
カリン様から神の宮殿に行くところ、そして界王の住む場所の設定は、考えつきにくい。

ご都合主義の綱渡りなのだが、それが一貫しているので素直に楽しめる。
この作品があってこそ、後進が育ったのでしょうね。

気になったのは、作者の「暗い話にしたくない」
気持ちはわかるのだが、生死が曖昧なこと。
辛いのは読者だってイヤだけと、死を重く受け止めた方がいいのでは?
死んでもいろんな方法で会えたり、すぐに生き返るのも死に対して希薄な感じがする。
やはり、多くの子どもが読むものだから。

それから、困ったときにはすぐにドラゴンボールなのも気になる。
まぁ、「ドラえもん」に通じるものがあるのかもしれない。

一見、真似できそうな絵に見えるけど(誰もが真似して見本にするそうですが)なかなか奥の深い絵で、描けば描くほどそれに気づかされそう。
この作品から、今の漫画業界が出来上がってくるまでの試行錯誤がわかる。

現在ハリウッドで映画化進行中。
しかし…これをどうやって実写化するのか? 内容はだいぶ変わるらしいんだけど。
                         2009/8/16

《こんなふうにおススメ》
漫画界をいまだ代表する作品。読むべし。

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:鳥山明
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2009年08月28日

異国迷路のクロワーゼ 02巻まで

【異国迷路のクロワーゼ】 02巻まで  /武田 日向

19世紀後半。
日本に買い付けに行った祖父オスカー・クローデルが連れて来た、長崎出身の湯音(ゆね)。
パリの「ロアの歩廊(ギャルリ・ド・ロア)」の鉄工芸店「ロアの看板店(アンセーニュ・ド・ロア)」に“奉公”に来たというのだ。
店は親子三代で守って来た、ガラス屋根のアーケード商店街の顔。
主人のクロードは驚き、反対するが。

ドラゴンエイジPure。

最初に若干の違和感を感じて入れなかったのだが、2巻目くらいからは楽しかった。
その違和感とは…奉公に出される娘がこんな豪華な着物は持てないし、振り袖も一部の富裕層のもので、しかも働き者である湯音がそんな姿で仕事はおかしいだろう? と、まずはツッコんだが、どうも湯音はお嬢で留学的な奉公らしき匂い。それも変だけど。
他に、帯揚げと帯締めもわりと近代の晴れ着用で、この時代の普段着にはまだなかった…と、ツッコミどころは満載なのだが、たぶん「レトロなパリで、ロリ系日本人形のコスプレ」を楽しむための作品だと思えるので、このあたりで文句は止しておく。

絵はキレイ。コマの流れも読みやすくて、溶け込みやすい。
まだ、設定とキャラ構成に、全体が振り回されている気もする。そこが今一歩で惜しい。

とはいえ、2巻のラストはちょっと泣けた。

クローデル家と、日本趣味のブルジョア少女の姉の名前がカミーユなのも、店の仕事が彫刻に近い看板業も、作者の趣味なんだろう。

着物は好きだからコスプレは楽しいです。
今後に期待。
                         2009/8/18

《こんなふうにおススメ》
今どきの萌え絵です。お好きな方にはとくに。



タグ:武田日向
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2009年08月12日

タッチ(完) 全26巻

【タッチ】  全26巻  /あだち 充

上杉達也と和也の一卵性の双児と、お隣の浅倉家の南は同じ歳で一緒に育つ。
やんちゃな三人のために良家の敷地の間に立てられた子どもたちの家。遊び場だったそこは、大きくなるにつれて勉強部屋になる。
達也と和也は、性格がまったく違い……、和也は成績優秀の品行方正、将来は甲子園を期待されているスポーツマンで人気者。一方、達也はなんの取り柄もなく、女好きの出がらし扱い。南は成績も優秀、可愛く男子の人気を集めている。
南の夢は、甲子園のスタンドで応援すること。その夢を叶えるのは?
南がほんとに好きなのは?
明青学園の中等部三年生から高等部三年の秋まで。

週刊サンデー。80年代を一世風靡したラブコメ野球漫画。
アニメになり、映画では実写にもなり、ドラマにも……どれもがヒット。
しかもこの当時は「うる星やつら」も連載していて、サンデーの黄金期でもある。
時を超えての人気振りで、今でも「心に残る野球漫画」の第一位(2009年夏、オリコン調べ)。

一見何でも出来る弟は、実はひたすら努力の人で、ちゃらんぽらんの兄は天才肌だが、弟思いで何でも譲っていく。一番大事なものさえも…。
ここは、作者と、実兄のあだち勉との関係そのものなのだろう。
尊敬する兄の背中を見て漫画家を目指すも、兄は弟の才能を見て裏方に徹して弟を支える決意をする。
だからこそ、作中では兄に花を持たせたかったのかもしれない。
子どもの頃は、こういったモノの見方はできなかった。
この作品の主人公からつけられた名を持つ子たちが、今の甲子園で活躍している。

この作品の初見は、かなり辛くて泣き暮らしたものだった。
だからか、全巻持っていて読んだにもかかわらず、最初の頃しか覚えていない。
多くの読者のトラウマになったんじゃなかろうか? 思春期には辛い仕打ちだった。
主人公たちが背負ったものは、大人になった今、考えても大きすぎると感じる。

やっぱり野球漫画家だ、すごい。
特に野球の実況が面白い。さすがだ。
改めて感じたのは、これは視点がスタンドで応援している側。試合運びが、南の視点なのだ。「おお振り」はゲーム中の選手視点で、また面白さが違う。どちらも楽しい。

この作家さんの魅力のもうひとつは女子。
いろいろ考えてみたけど、グラビアアイドルっぽいのだ。グラドルの二次元化の萌えだったんだなー。
南が新体操にいったのは、そのあたりの読者サービスだったのか……。子ども過ぎて気づかなかった。

ゴジラの重ね撮りには、大爆笑した。

中盤からはかなりもたついている感がある。それでも上手いけど。
後半はかなり詰めが甘い。急にサイドストーリーが入ってしまったり……それまでにもそういう寄り道があったならともかくも。
もちろん物語には原田のような潤滑油は必要で、そのキャラにサービスがあったとしても、だ。売れっ子アイドル歌手はいらない。印象に残ってなかったのはそのせいだったか。
最後にエンジンがかかる。
男同士の勝負などと重みをつけなかったのは素晴らしいし、和也との自己同一化を悩ませるような説明入りの展開にもっていかなかったのは秀逸。
試合会場に足を運べなくなった両親の心の痛みも泣ける。

作品には、読者のいろんな解釈があって良いし、それだから成立するのだということを、この作品で初めて実感出来たかも知れない。

やっぱり泣いた。特に、マウンドに向かう達也の背中に。

うん、名作です。
もちろん私に言うべき資格はないが、あだち充ってすごい。
この齢にもう一度読めて良かった。ノックを始めて良かった。
                         2009/8/03

《こんなふうにおススメ》
誰もが読んだ作品だと思いますが、大人になってからの再読、特におススメです。
改めて気づくこと、多いです。

【コミックセット:完全版】


【完全版】

タグ:あだち充
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2009年08月07日

都立水商!(完) 全22巻

【都立水商!】  全22巻  /猪熊 しのぶ(原作/室積 光)

文科省のキャリアの滝川が遊んでいる席で、風俗豊かな日本にモラルとプライドを築くべく構想した、水商売を学ぶ公立の高校。
紆余曲折を経て、歌舞伎町の一角に設立に至った、都立水商。
ホステス科、フーゾク科、ホスト科、ゲイバー科、マネージャー科に分かれ、その道のプロになるべく教育される。問題児ばかりが集められた一年目。
教師と生徒が、地域の人々に支えられながら学んでいく姿を描く。

ヤングサンデー。

一見、言っていることがうっかり正論に聴こえてしまうのだが、いやいや待てよ?
そもそも性産業に従事する学校を、税金で作る必要はないし、個人資産で専門学校でも作ってください。入学は成人してから、ね。
萌え系のおバカなネタとして楽しいだけの笑える話にするなら、こんなふうにツッコミを入れないのに、世に問うようなヒューマンドラマに仕立てて、まるで落ちこぼれた(と、される)子どもたち、しかも学校に行かない生徒は、性的産業しか道がないようなレッテルがすでにヤだ。
なんか、子どもの味方のフリして、子どもたちを性産業に従事させるレール教育に、偉そうに大義名分つけてるとこが、気持ち悪いんです。
描かれていることは法律違反ばかりで、そこにさも道を説いているふうで、矛盾だらけだという……。違反しててもネタとして笑かしてほしい。

それに学校側が危機管理に甘すぎるのも気分悪い。
どうせなら、秘密結社並みに用意周到なら楽しかったのに。
やたらと言い訳のように頻繁に出てくる「我々は正しいことをしている」って……「正しさ」って何?

BLに、似たような内容のはちゃめちゃ作品があるが、そちらは完全にそのシチュエーションをネタとして楽しんでて、あまりにぶっ飛んでいるので、もはや清々しいし楽しめる。
そんなふうにこの設定でふつーに、エンタテイメント作品じゃダメなんですか?
原作があるそうですが、それもこんなに説教臭いの?
まあ、「そういう部分もネタなんです」って返されそう。
帯のコメントがすでにネタじゃなくなっている。

それと、サービス業にマニュアルはない。こういうのは、学校システムで教わるもんじゃなく、徒弟ですよね。
ノックやってなかったら、途中で投げてた。
エンタテイメントとはなんぞや、勉強になったことは感謝です。
                         2009/7/29

《こんなふうにおススメ》
ネタとして笑えないのが、おススメしにくい。

【コミックセット】


【コミックス】

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2009年08月05日

シャーリー

【シャーリー】 全01巻  /森 薫

短篇集。
・表題作。
カフェーの女主人ベネット・クランリーは28歳。良家の家柄だが、店は繁盛していて充実した日々を送っていた。
しかし忙しすぎて、メイドを雇うことにする。応募を見てやってきたのはシャーリー・メディスン。天涯孤独な、まだ13歳の子どもだった。
モナ・リザと街の人々に噂される美しいベネットと、表情に乏しいが真面目なシャーリーとのほのぼのした生活。

・「僕とネリーとある日の午後」
ご当主5歳のレスター家。坊ちゃまは、とくに若いメイドのネリーに懐いていた。

・「メアリ・バンクス」
いたずら好きの大旦那様に仕えるメアリと、執事のエリック。
貴族の称号を持つ家柄なのだが、主人は変わった人物でメアリたちはいつも振り回されていた。

エマ」のスピンオフ扱いされることが多い作品だが、話も人物もつながっていない。
「エマ」連載前に同人誌で発表されたものから再録の一冊。

この作家さんが描く人物って、なんでこんなに魅力的なのだろう。きっと人が好きなんだと思う。
そして、ほんのかすかな心の動き、心情の描き方が素晴らしいのだ。
だから、読後感が幸せなキモチでいっぱいになる。

後書きはいつも面白い。
                         2009/8/01

《こんなふうにおススメ》
幸せなキモチになれます。
どなたにもおススメできるのが、嬉しい。


タグ:森薫
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2009年07月30日

じんべえ

【じんべえ】 全01巻  /あだち 充

かつては伝説のゴールキーパーとしてならした高梨陣平は、今は水族館に勤めている。あだ名は、じんべえ。
妻の理加子が亡くなって三年、17歳になった妻の連れ子の美久(みく)とふたりで暮らしている。
元々は好きあっていた同士だったが、理加子はじんべえと大学時代に同じチームの先輩だった宮下と結婚、美久が生まれる。じんべえと再婚して、暮らした時間は1年2ヶ月14日だった。
じんべえの夢は、きれいな海の傍でのんびりと暮らすこと。美久は、大好きな相手と結婚して、かわいい子どもと幸せに暮らすこと。そのお相手は?

ドラマ化されたのが印象に残ってる。
とびとびしか観られなかったのだが、じんべえが田村正和さんで、美久が松たか子さんだった。

みゆき」が気楽に読めたので、他の作品にも手を出す。

あだち作品が支持されるのは、隠れた男の欲望を、美しいオブラートに見事に包んで、甘ずっぱい青春仕様にデコレーションして魅せてくれるところだろう。
「みゆき」の可愛い妹との恋愛。
この作品の、美しく成長した娘と、父との恋。
一歩間違うとやば〜い方向に行ってしまう設定なのだ。
それを、ういういレモン味にしてしまうのは、この作家さんの絵柄が大きいと感じる。

この作家さんの作品って、あまり勉強のシーンがでてこない……と、いうか、80年代から90年始めまでの漫画作品、勉強シーンがほとんど描かれてないですね。
漫画を読む子は勉強はしないという認識だったのか?
                         2009/7/12

《こんなふうにおススメ》
まったりしたい読書のお供に。


タグ:あだち充
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2009年07月15日

エマ(完) 全10巻

【エマ】  全10巻  /森 薫

19世紀末、英国ロンドン。階級社会もまだ根強い時代。
ケリー・ストウナーの元でメイドとして働くエマ。
ケリーは夫亡き後、長年家庭教師として生きてきて、貿易商の名家の跡取りウィリアム・ジョーンズは教え子のひとり。十数年振りにウィリアムは、引退して隠居の師のケリーを訪ね、そのままエマに一目惚れする。
エマは天涯孤独の孤児であったが、ケリーの愛情でしっかりと教育を施された娘だった。
美しく控えめで働き者のエマの人気は高く、多く求愛を受けていたがエマの心は動かない。そんなエマをケリーは心配するが、同時にウィリアムへの好意も見抜いていた。
身分違いの恋、波瀾万丈の物語。
8巻からは番外編。
若き日のケリーとダグ。療養中のエレノアの新しい出逢いなど、周辺のサイドストーリー。

月刊コミックブーム。
掲載誌の関係で少年系にカテゴライズしたが、もはやそういったカテゴライズに意味があると思えなくなってきた。

王道メイド漫画として人気を博したが、中味はいたって真面目なヴィクトリアン調恋愛物語。
いやー、噂にはいつも聞いていたんですが、こんなに面白いとはっ!
アニメにもなる。

話の軸は、身分違いの恋。
子どもの頃、「大草原の小さな家」や「若草物語」にはまった方にはおススメ。
イギリス映画の「眺めのいい部屋」や「ハワーズ・エンド」あたりがお好きなら、きっと大好物に違いない。
作者がイギリスに造詣が深く、その世界観にあっという間に惹き込まれてしまった。

とにかく良く出来ている名作。
小説の佳作を読み切ったような読後感がある。「風と共に去りぬ」みたいな、ね。

特筆すべきはエマの芯の強さ。
そして、ヘタレだったお坊ちゃんのウィリアムが、愛に目覚めて大きく成長していくところが、大河小説的なのだ。

絵は、背景、景色も素晴らしい。
なんとも丁寧で細かくて、眺めているだけで幸せな気持ちになる。
調度品の描き込みなんて、まるで珍しい舶来土産を楽しんでいるよう。万博の水晶宮は感心した。

キャラも個性があって、みな作者に愛されているのが伝わってくる。
しかも、大人がね、ちゃんと大人として描かれているんです。ここ、大事。
周辺の番外編も秀逸。
ヴィルヘルムとドロテアは良いなあ。

大人が読んでも楽しめる作品。
萌え要素もたっぷり。上手い!
もっと早く読めば良かった。

ハキムの付き人のねーちゃんたち、めちゃ可愛い。
動物たちも愛おしい。

この作家さんの作品は、きっと面白いはず。
次も楽しみにしています。
                         2009/7/12

《こんなふうにおススメ》
めちゃくちゃ楽しかった。
シャーリー」も近々UPします。

【コミックス】

タグ:森薫
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2009年07月12日

みゆき(完) 全12巻

【みゆき】  全12巻  /あだち 充

若松真人(まさと)16歳。
クラスメイトの鹿島みゆきに好意があったが、一緒に海の家でバイト中、こっそり忍んで手にしていた水着を盗んだ疑いで速攻振られてしまう。
しかしめげずにその夏の終わり、海でナンパした子はとびきり輝いていて……。
バイトが終わって、真人はその土地にある別荘に向かう。海外に仕事で行っていた父と妹が帰国、6年振りの再会なのだ。
真人を出迎えたのは、ナンパした子で、それは妹のみゆきだった。
そのまま日本に残った血の繋がらない妹と、クラスメイトと、ふたりの魅力的なみゆきの間で揺れる青春物語。
間崎竜一、村木ら、真人の友人も絡んで、高校生から浪人時代を挟んで、大学生まで。

少年ビックコミック。1980年から4年間の連載。アニメ、実写映画にもなった。
そうですか、もう直、30年なんですか。
すっごく懐かしい。このコミックスは私でさえも持っていた。
○十年ぶりに読んでみて、絵も台詞も記憶にある。読書の経年って大事なんだよね、こればかりは努力じゃ埋められないのだ。

元祖妹設定の名作。テンポが緩くてほっとする。時代なのかな。
こういうかつての作品を読むと、最近のものは詰め込み過ぎなんじゃないかと思う。

改めて気づきましたが、これも充分にパンツ漫画ですよね(某とらぶる漫画ばかり、なぜ叩かれる?)。
作者も作中で、変態漫画を自認している。だけど、青春爽やか系にカテゴライズされているんですよね。
画質のせいなのかな?
女性の身体を描くペン先の強弱が絶妙なんですよね。痩せ過ぎでもなく、巨乳系でもない、わりとむっちりめなのに健康的で、やらしさというより女性が見ても容認できる色っぽさが人気の秘密だったのか。

それにしてもだ、出てくる男はみんなスケベだし、しかも教師と警察官はセクハラだし。
平和な時代だったんだなー、盗撮ネタとか普通にあるのがすごい。

10巻の見開きベタにはほんと驚いた。
ジョークでもどんなに作者、チャレンジャー。

おしとやかで女らしく優しい美女の同級生みゆきと、明るく元気でチャーミングな妹みゆき。
両方に好かれて思い悩むのは、男子の究極の夢なんだろう。
どっちのみゆきも可愛いのは、素直に認められる。

お兄ちゃんのパンツ好きを容認しているみゆきは出来た妹。
つい殴ってしまう同級生のみゆきが敗因したのは、そのあたりのキャパシティーの差の気がしてきた。
                         2009/7/11

《こんなふうにおススメ》
読んでいて、とにかく楽。
そういうのも大事ですねー。

【コミックセット】


【コミックス(新装版)】

タグ:あだち充
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2009年07月01日

東京家族(完) 全05巻

【東京家族】 全05巻  /山崎 さやか

原田壮はベストセラー作家。テレビでもインタビューを受ける程の売れっ子で、それを観た過去の女たちが訪ねてくる。
皆、子どもを連れて。彼らは壮の子どもだというのだ。
彼女たちに、若い時は貧乏で辛い思いをさせたと、壮は母親がみな違う子どもたちを引き取ることに。
しっかり者でまとめ役の長男で大学生の力。ルーズでだらしない長女の栄子、高校に入学した神経質の城太、肌の色の違うおっとり者で中学生になった勇、小学生で双子ののぞみとのぞむ。
6人の子どもたちと、38歳まで独身だった男との生活が始まる。

漫画アクション。
一巻途中まで、「NANASE」を描いた作家さんだと気づかなかった。

壮が子どもを引き取る時に、もう少し葛藤やら必然性やらあると良かった。
それがなく、行き当たりばったりのなんとなくだったので、子どもたちにも感情移入しにくい。
リアリティをイマイチ感じられなくて辛かったのだが、だんだん巻を追うごとに、家族それぞれに焦点があってきて面白くなってきた。

こんな大家族で上手くいっているのは、壮がやたら売れっ子人気作家で、年収が二億近い(小説家なのにそれって、どんなに売れっ子なんだろうか)からなんだろう。
一度はみんながバラバラになってしまうのではないかと心配したが、いろいろあっても家族になってきてホッとした。

でも、最後までつきまとった違和感。なぜだか考えてみた。
いきなり母親に“捨てられた”子どもたち。あなたに父親はいるのよ、と連れてこられて、しかも兄弟姉妹がたくさん居て。それですんなり納得してしまえるものだろうか?
皆がみな、あんなに良い子でいられるのか?
いくら漫画だからと言っても、大人向けの作品なのにそこはすっ飛ばしちゃうのか?
家族を描きたかったのだとしても、それはやはり有耶無耶にしちゃいけない気がした。
                         2009/6/28

《こんなふうにおススメ》
新感覚家族、のように煽られていたが、それってどうなの? と、思う。
あえて家族を考える今、大事なとこは飛ばせない。
それでも、家族って良いよね、とは思う。



タグ:山崎さやか
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2009年06月29日

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- (完) 全28巻

【るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】 全28巻  /和月 伸宏

明治11年、東京下町。神谷活心流の師範代である神谷薫と、人斬り抜刀斎騒ぎで知り合った、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)を継承する流浪人(るろうに)の緋村剣心(ひむらけんしん)。
剣心は維新時に活躍した志士だが、その後わけあって流浪人になる。薫に乞われ、そのまま神谷家に居候することに。
その実、剣心とは、緋村抜刀斎としてかつての維新時に名を轟かせた男であった。しかし人を活かす道にと殺人剣を捨て、刃が逆にある逆刃刀を帯刀し、目の前にいる守るべき人たちのため、挑んでくる相手を倒していく。
士族の身分があったが両親が亡くなりヤクザに拾われていた少年、明神弥彦(みょうじんやひこ)も剣心に救われて神谷活心流の門下生になり、赤報隊で尊敬する人を失い喧嘩屋に成り果てていた相楽佐之助らも加わる。
史実も入れて創作された壮大なファンタジー。

6巻には作者の読切デビュー作、「戦国の三日月」
北方の国の剣術指南役でめっぽう強い比古清十郎、南雲国の戦いの中で弱虫な百姓の一心太を助ける。ふたりには同じ名を持つ想い人がいた。

最終巻に短篇「メテオ・ストライク」
正義感はやたら強いがからきし弱い中学生の信矢(しんや)。ある日、登校中に隕石が頭に当たって、脳までのめり込んでしまう。
幼馴染みの智歩(ちほ)は、それにより超人的な力を持った信矢に複雑な感情を持つ。

完全版には、コミックス版に収録されなかった後日談が二作。
「弥彦の逆刃刀」
剣心から逆刃刀を継承した弥彦。神谷道場から依頼され越後まで一ヶ月の出稽古に出たが、そこで逆賊が道場の娘を人質に立て篭っていた。

「春に桜」
明治16年。剣心と薫の親子を中心に、花見の同窓会。

週刊少年ジャンプ。
ドラゴンボール」が終了して、ジャンプ暗黒時代と呼ばれた、週刊少年マガジンに売上げを越された時期に、ジャンプの看板を背負っていた作品。
90年代半ばから、5年間の連載。
かつて漫画には一切触れたことのなかった私でさえも、この作品名は知っていた。

めちゃくちゃ面白すぎる。面白すぎて、途中他の作品に手が出せない程だった。
仕事していても、続きが気になって仕方なかったのは、漫画では初めて。
読書量2100冊を越えて、やっとかつての名作たちに手を伸ばし出したところという感じか。
もしかして、その後の「NARUTO -ナルト-」や「銀魂」「BLEACH」など、帯刀モノがヒットしたのは、この作品があったお陰なのでしょうか?

当初剣心のモデルは幕末四大人斬りのひとり、河上彦斎(かわかみげんさい)だったという。佐久間象山を暗殺した人物で知られる。
小柄(150cmほど)で色白で女性的だったらしい。剣心の身長は158cm。

個人的な話をすれば、この時代のことは大筋しか知識がない。幕末から明治維新まで、なるほどなと気づかされることが多かった。
「もしも」の仮定がいくつか作中にあって考えることもあった。
私の友人たちに、作中にも登場する維新志士の子孫が何人かいるので、彼らに出会えている今、ありがたいと思うとともに、歴史の動きひとつで出会えなかった人物もいるのだなと感じる。140年くらい前だとまだまだ近しいのだ。それもあってあえて今までこの時代に触れてこなかったのだが、今はこの時代に魅せられる人たちが多いのもわかる気がする。
この国をどうしていったら良いのか、皆が本気で考えた最後の時代なのかもしれない。今はこんな熱い想いを持っていても、活かせる場所はないからだ。

面白すぎて、わくわくする。
まず、この作品の読みどころとしては、作者がとにかく勉強されていること。歴史はもちろん、人物、または風俗や民俗学的なこと、神話などが絶妙に盛り込まれていて、勉強したというよりも、今までの好きなことが大成したというべきなのかも。
それらが雑学的にところどころ登場して面白い。
“ひょっとこ”が火男で、出雲の製鉄と関係があった説は初めて知ったし(作中では、「火男をひょっとこと読む」との表記のみだが、火を吹く敵方が登場する)、赤空の最後の刀が奉納されていたのは白山神社で、そのご祭神は菊理姫なのは知られているところ。菊理姫は調停、調和の神。上手い。
登場人物は作家さんの故郷の神社などから名前を貰っているのも多いのだそう。
ちなみにまったくの余談だが弥彦神社の狛犬は、建築家の伊東忠太のデザインで知られている。本殿の再建もそうらしいのだが、狛犬が有名。明治神宮、築地本願寺や神田明神の本殿もこの方。
全部を書ききれないが、そういった部分も楽しみに華を添えた。

着物の描き方がわりかしキレイなのが嬉しい。女性の胸元あたりは萎えるけど、でも少年誌だし仕方ないのかも(これも次第に改善されて、美しい着付けになっていく)。

京都編は読み応えもあったが、内容が重量すぎて読書しててもパワーが要る。描く方も大変だったと思う。一言で言うと壮絶。
泣けたところは、鯨波兵庫との闘いでひとりでも向かう弥彦の勇気。子どもが未来を夢見るのって、やっぱ良いですね。
剣心、どれだけ薫を好きすぎる……。
剣路はよつばに似ててかわいすぎ。

そして絵、上手い。楽しい。
絵も手抜き感は一切なく、話も最後の方の佐之助の家族の話で一瞬テンションが落ちるが、これも伏線になり、盛り上がったまま進む。
絵はどんどん線がキレイになっていく。元々上手かったのが益々ってホントにすごい。

なんで女子に人気があったのか、だんだんとわかってくる自分がイヤ。
そういう見方もできるようになっちゃったんだなー、自分。
優男の主人公って大事なんですね。でも、妄想はしていない。
中性的な剣心が、どんなに強くても遠い存在に見せない、それも大きな人気のひとつだったのだろう。

コミックス版を読んでから、念のため、完全版も読む。
コミックス版は作者のキャラへの想い、その設定や生まれた理由などのコネタが面白く必見。
また完全版はカラーが生きているのが嬉しい。

その後の番外編が収められているのは、完全版のみ。
両方を観られた方が楽しいが、一気に世界観を読みたいなら完全版、ディープにその背景や物語にのめり込みたいならコミックス版をオススメします。

最後に一言、この作品に出会えて良かったです。
ありがとうございます。
                         2009/6/28

《こんなふうにおススメ》
アニメにもなり、映画にもなり。
90年代を代表する作品。
読むべし。

【コミックセット】


【コミックス】


【完全版】
後日談も収録。

タグ:和月伸宏
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2009年06月24日

となりの801ちゃん 01巻まで

【となりの801ちゃん】 01巻まで  /小島 アジコ

オタクなサラリーマンの青年が、好きになった可愛い女の子。つき合ってみて、彼女もオタクと知る。それなら話が合って楽しいと思ったのが大きな過ち?
実は彼女は、腐女子だったのだ。オタクなふたりのラブリーな日々。

腐女子ってディープなオタク女子のことだと一般には思われ、そう使われてもいるけど、もちろん、BL(ボーイズラブ/男同士の恋愛のこと)を好む女子たちのこと。
元々は、(自分が参加出来ない、異性同士の恋愛に萌えるなんて)「それって女として終わっているんじゃないか?」という差別用語から。
その腐女子に市民権を与えたのが、このブログから始まった「となりの801ちゃん」だと思う。

まだアキバ系に入っていなかった私でさえ、タイトルは知っていた。
でも、BLマーケットを研究しだした時に、これを読んでみて、実は書かれていることが「さっぱりわからない!」状態だったのだ。
今、読み直してみて、大爆笑できる自分が怖い。
ご自身のオタク度を測る為にも、おススメの作品。

これは実話に基づいている。
自分の彼女が腐女子だった驚きと発見を、絶妙なセンスで描いている。
この作者の目線がとにかく秀逸。笑わせながら、大事なポイントは外さない。その観察力とセンスの良さに脱帽。

コミケで、チベくんが、中学生がホモ同人を買っていて、日本の将来を憂いているけど、よくわかる。
中に入れば入る程、このセカイの異様さを感じる部分ってあるよね。

京都アニメーションでアニメも決まっていたのだが、発表から一週間で放映中止になったのが残念。大人の事情なのでしょうか?

おふたりはその後、ご結婚。オタク夫婦として邁進されている様子。
どうかお幸せに。

コミケでサインをいただいたことがある。
チベくん(作者)は、さっぱりとした好青年で、線が細めの格好良さ。801ちゃんは、元気いっぱい系のアイドルのような美女でかなり驚きました。
カミングアウトしなければ、どーみてもオタクには見えない。
今、こういう人たち、多いんだろうなー。
801ちゃんの逆襲の同人誌、「チベくん総受本」……もちろん、買いました。
                         2009/6/03

《こんなふうにおススメ》
自分のオタク度がわかるおススメの本。
センスの良さが抜群。
↓ おススメは、3冊目の限定バージョン。おふたりのご結婚に合わせて、大御所作家さんたちがお祝いに描き下ろした豪華競演の小冊子がついている。
(ちなみに作者を含め、そちらを“本編”と呼んでいるのに笑わせていただきました)



タグ:小島アジコ
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2009年06月15日

神様家族(完) 全05巻

【神様家族】 全05巻  /たぱり(原作/桑島 由一)

父は神様、母は女神様。次期神様候補の神山佐間太郎(かみやま さまたろう)は、ただ今、人間として、女神候補の姉の美佐、妹のメメたちと、人間界で修行中。現在高校一年生。
天使のテンコが“幼馴染みとして”お目付役している。
何不自由ない生活。しかし佐間太郎は拗ねていた。
過保護の両親は、たびたび佐間太郎が考えることに対して先に手を出し、簡単に奇跡を起こしてしまうのだ。佐間太郎はそれが気に入らない。
佐間太郎だって、悩んでみたり、バイトもして汗水流してみたい。年相応の努力はしたいのだ。
ところが何をやろうとしても「あんたは神様の息子なんだから」と言われてしまう。
ある日、小森久美子という美少女が転校してくる。一瞬にして恋に落ちた佐間太郎。
「生まれてはじめて、心というものを感じられた」
この恋を自分の力で成就させたいと初めて思う。はたして上手くいくのか。
ラブコメ。

ライトノベル原作。
のっけから、神ごととしての願い事がブルマ。
これ、文字だけで絵にはしない方が良かったんじゃないだろうか? アニメにもなっている。
他にも裸エプロンやお色気のお約束も満載なので、まっとうな期待はしないで望んだ。
ラブコメだけとしてみればいいのだ。

最初は「そうだよね、そう考えちゃうよね!」みたいな共感が出来ないのが苦痛だった。
キャラの言動不一致なのだ。それがないから見せ場のお色気なシーンもテンションが下がりっぱなし。
エロごと大好きな男子にも引かれてしまう「意味のない無駄なパンチラ」と同じではないか?
ラノベは面白いのだろうと思い我慢。原作を読んでいないのでわからない。文字なら許せるのかもしれない。
漫画には伏線がまったくないので唐突に感じる箇所も多い。

3巻目くらいからだいぶまとまってきてホッとする。
ノックをやってなかったら挫折して、暴言を吐いて終わりだったかもしれない。すみません。

佐間太郎とテンコの思いがわかるようになってから、だいぶ面白くなってきた。
ブタの貯金箱の大天使には大爆笑した。

ここでも「しゃらんら〜」が。「MR.MORNING」でも笑ったんだけど、「頭がお花畑状態」ってことらしい。
これって漫画界ではデフォルトなんだなー。
どうやら「けいおん!」や「ハレグゥ」などでも使われている。
「魔女っ子メグちゃん」は国民のアイドルだもの。
いつの間にかの「セヴァスチャン=執事」図式なのかもしれない。
                         2009/6/09

《こんなふうにおススメ》
絵は可愛いです。可愛すぎて、主人公たちが高校生に見えない。
最初は表紙で、小学生の話かと思いました。



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2009年06月13日

成城紅茶館の事情

【成城紅茶館の事情】 全01巻  /スエカネ クミコ

男子高校生の士乃は丸山が好きで、親友の彬に仲立ちを頼んだのに、そのふたりは結局つき合うことになってしまう。
士乃は自棄喰いのつもりで入った紅茶館でケーキを暴食している時、出された紅茶を飲んで美少女に変身してしまう。
そこに運悪く丸山と彬が入ってきて、美少女になってしまっていた士乃は勢いで丸山に告白する。なんと丸山はOK、彼女はレズだったのだ。
その日から、どんな紅茶を飲んでも美少女になってしまう士乃の体質が戻るまで、その成城紅茶館でアルバイトすることになるが。
マスターの修次は怪しげで、パティシエの啓介に懐く士乃だったが、その紅茶館には秘密があって……。

ヤングキング。

紅茶を飲むと、それぞれに変化するという話。
啓介は温厚な人格と、ドSな性格とのふたりに分かれてしまい、修次は全身感じやすくなってしまうというもの。
修次の兄の一臣がその紅茶を持ってくる犯人(?)だった。

タイトルに騙されたぜ。残念。紅茶の漫画では一切ない。
まあ、紅茶が元凶ではあるんだけど。
紅茶に釣られてうっかり読んでしまったけど、内容にはちょっと驚き……なんでもあり??
多くの人の感想を検索してしまった。案の定「変態漫画」。

意味なくレズでホモ疑惑で、なんのオチもなく終わってしまった。
でも、続いてもどーにもならなかったかもしれない。楽しかったのは楽しかったけど。

作者の自覚アリの「いったい、誰向けの漫画かわからない」に爆笑した。
可笑しかったので、それだけで良しとした。
                         2009/5/19

《こんなふうにおススメ》
こんな作品もあるんだな、と面白かったです。
!!今、リンクを貼ったら↓ 一巻とある……。続くの??



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2009年06月12日

夕凪の街 桜の国

【夕凪の街 桜の国】 全01巻  /こうの 史代

「夕凪の街」
広島の原爆投下から10年。
被爆した平野皆実(みなみ)は多くの家族を亡くす。それでも懸命に生きながら、幸せな気分に浸ることには罪悪感をおぼえていた。

「桜の国」
小学5年生の石川七波(ななみ)は、野球が好きな闊達な少女。
弟の凪生(なぎお)の見舞いに、お向かいで仲良しの利根東子(とうこ)と出かける。その日の出来事。

二部は、彼らが大人になって。
凪生は研修医。東子は看護師になって、同じ病院で働いている。
偶然にも七波と東子は17年ぶりに再会、ボケた兆候を感じていた七波の父を尾行し、ふたりで広島に向かう。

泣いた。
日本に住む人なら読むべき作品。広島出身の作者。
Weekly漫画アクション。

Yahoo!で漫画特集をやるのはよくあるのだが、そこで「衝撃の作品」とあった。
手持ちにもあったし、表紙だけでは衝撃的に見えないホノボノ系。気になり読み出す。
そしてこの作品は、2007年に実写で映画化もされている。

シンプルな言葉で心を抉ってくる。
街の人たちは過去を言葉にしない。
「いまだにわけがわからないのだ。わかっているのは『死ねばいい』と誰かに思われたこと。思われたのに、生き延びているということ。そして一番怖いのは、あれ以来、本当にそう思われても仕方のない人間に、自分がなってしまったことに、自分で時々気づいてしまうことだ」

死体だらけ、呻く人々だらけの中で、家族を捜しながら、多くの人々を見殺しにしなくてはならなかった罪悪感。
自分が死なずに残された意味を考え続ける皆実。
そして、心の奥底から「忘れてしまえば済む」と囁きが聴こえる。
死に際に皆実は思う。
「嬉しい? 十年経ったけど、原爆を落とした人は私を見て、『やった! またひとり殺せた』と、ちゃんと思うてくれとる?」

この目線は、広島で育った人しか描けないのではないか。描く権利がないのではないか。
そんなことを言えば、作者に怒られるかもしれないが。
もちろんこの作家さんが繊細で誠実な目を持っているのが一番だが、やはりその土地について書けるのはその土地の者が最適なのだ。

「桜の国」は、読んでいる途中で気づいた。
七波の父が旭で、石川家に養子に行った皆実の弟だ。

そして現代に至っても、まだ戦争は終わってないのだと気づかされる。

胸がいっぱい。
この作品を作って世に送ってくださって、ありがとうございます。
                         2009/6/01

UP追記>
昨日、「MR.MORNING ミスターモーニング」をUPして、原爆繋がりでこれを上げたくなりました。
戦争を知らない世代だけど、感じられることはまだまだある。

《こんなふうにおススメ》
この一冊に詰まっているものは、かなり重い。
でも、とても大事な宝物。



タグ:こうの史代
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2009年06月11日

MR.MORNING ミスターモーニング(完) 全02巻

【MR.MORNING ミスターモーニング】 全02巻  /高山 しのぶ

美しい虹の煙の軌跡を描き、大陸を横断する虹石機関車と、それに憧れた少年トーキィ・トーイ。
乗務客室員に仮配属になり、室長助手のミゲール・ワイズマンが直属の上司になる。
機関車は第一車両のモーニング、第二車両のアフタヌーン、第三車両のイブニングに分かれていて、後部座席のイブニング程、サービスと価格のレベルが上がる。
やんちゃで天然のトーキィが、乗務客室員の上司でもある叔母やミゲール、同僚のギル、軍人でミゲールの兄ら周囲の力を借りて成長していく物語。

ゼロサムなので少年系に。「あまつき」は今レディース系に入れているんだけど、少年系(?)だよね。わからない。
この分類に意味があるのか、最近では計りかねている。いつか整理したい。

1巻の最後から話が大きく進む。本気はそこから。
読んでいる途中から、ネイティブアメリカンのホピ族の話を憶いだした。
平和を願うホピ族は、イヤシロチ(パワーのあるスピリチュアルな場所)と古来からの予言を守って暮らしている。
しかし、その土地のエネルギーは地下深く眠っているウラニウムが、その鉱物の内在するパワーと地表との距離的バランスを絶妙に保ち、そのため地上にもたらす均衡によって、だったのだ。毒も、バランスが取られていれば、良薬であるということ。
アメリカ軍がこれに目をつけ、経済を持ち込み安く労働力を買い上げ、そのウラニウムを掘り出させる。多くのネイティブアメリカンが被爆する。
そしてその原料で水爆が作られ、それが長崎と広島に落ちたのだ。
この歴史を映画で見たことがある。(映画タイトルは「ホピの予言」)
それと話が被った。
自然のままであれば、地球そのものさえ癒せるバランスを、人間の傲慢さで破壊の道具に使う愚かさ。
この話も、虹石という虹の煙で走らせる夢の石を、人を殺める道具にしようとする人間のエゴと傲慢を描く。

この作家さんの面白さは話のあちこちに余韻があって、読みながら手が止まっていろいろと思い馳せてしまうところ。
読後に暖かいものが身体に広がる。

デザインをしっかりやってきた人の平面構成。色調も計算されている。
これは「あまつき」でも感じていたこと。
設定も話も構成もすごく興味が持てるのに、なんでこんなに読みにくいんでしょうね。
これも「あまつき」でも感じていたこと。
テンポが悪いのかも。なまじ面白いだけに残念。何がいったい悪いんだろう? 好きな作家だけに気になる。

設定やキャラは良く出来ていて、もっと整理されると「テガミバチ」のような話になると思った。
この作品も、ファンタジーとしては秀逸なのだ。伝えたいことがいっぱいあるのはわかる。読者もそれをもっと読みたい、期待している。でも、それが上手に漫画という媒体に変換されないのだ。
あのテガミバチも絵がゴテゴテと描き込まれているのに、読みやすい。この差が私にはわからない。いつか解けるのだろうか?

ふたつ感じることがある。
まずひとつめ。
作者の頭の中に最初に「見せたい絵」が浮かばないのかもしれない。お話が先で、それに絵をあてはめていっているのかも。
だから、その作家さんの脳内と読者がリンクしないと、話にのめりにくいのだ。
もしかして、「隠の王」の最初の読みにくさも、それかなー?
だから、絵の印象が薄いのだ。あのシーン! と絵が切り取られて記憶に残らない。
これは映画の監督のイメージと似ているんでしょうね。

もうひとつは、設定の尺と、お話の容量が合わないのだ。
詳細設定が多いのは良い。奥行きが出る。
でも、ストーリーの許容量に全部入り切らないのに、どうにか押し込めたい作者の欲が見えて、それが読者を混乱させる。
そこは苦しいけど、切るところは切らねばならないんだと思う。

とにかく勉強になる。
台詞だって、萌え要素だって、もちろんキャラクターも愛すべきで、上手いのだ。だからこそ、惜しい。

トーキィは天然で可愛いが、最初はバカでムカつく。バカと天然を描き分けるって難しいんですねー。「ナルト」でも感じた。

「しゃらんら〜♪」に笑った。

いろいろと言っても、好きな作家さん。
期待を込めて、まだまだ追っていきたいと思います。
                         2009/5/31

《こんなふうにおススメ》
いろいろと言っていますが、高山しのぶワールドは全開です。



タグ:高山しのぶ
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2009年06月06日

藍より青し(完) 全17巻

【藍より青し】 全17巻  /文月 晃

花菱薫は名立大学法学部三年生。
大学入学時に花菱家と縁を切る。薫は内縁の妻の子どもで、花菱家の父が死んだ後に引き取られるが、当主になるべく虐待に近い教育で育てられたのだった。
それで幼いときから決められた許嫁である名家のお嬢様、桜庭葵とも婚約解消になったのだが、葵は薫を諦められず家出してくる。花菱に戻ることはないと言い切る薫。でも、純粋なまま思い続けてくれた葵の気持ちには揺らぐ。
葵は家出がバレて、連れ戻されるが、また薫のところに戻ってきてしまう。すべてを捨てても薫の傍にいると宣言する葵に葵の母は折れ……桜庭家の別荘のひとつをふたりに貸し出す。
しかし、そこでふたりの生活が始まるわけではなく、葵の教育係の神楽崎雅(かぐらざきみやび)の監視のもと、葵が大家、薫が店子という関係が始まる。
そして、薫の大学の写真部の仲間のティナ・フォスターや水無月妙子が次々と店子で入居してきて。葵のライバル、美幸繭(みさきまゆ)も現れて。
ふたりは結ばれることができるのか。

ふたりを中心になごなごしたお話。
アニメにもなる。ヤングアニマルで連載。

青年系には稀にみる純愛モノと聞いて、どーしても読みたくなった。
最近、うっかり読んだのがお色気ばかりで辛かったからだ。でも読み出して、けっこう色っぽいシーンが多くて、ばしばしヌードも出てくるので要注意。うーむ。巨乳キャラばかりだし。
純愛ではあるけど、寸止め漫画だったのか。
主人公の優しい男子が、可愛い女の子に囲まれて暮らすのはお約束。
作品自体は、とても読みやすい。

葵は、三越のような200年続いた呉服屋で、大きくデパート経営もしている桜庭家のひとり娘。
その設定なのに、着物の描き方が洋服仕様なのがすごく気になる。ちゃんと着付けたらそんなふうにはならないぞ、と気になって仕方ない。
紬と書かれているのだけど、絵はどう見てみてもそうは見えない。これは作品終了までには改善されるのだろうか?(残念ながら改善されませんでした)

薫が皆にモテモテ(死語)だけど、ヘタレってわけでもない。葵に対する気持ちは一途だし、周囲に邪魔が入り過ぎなだけ。
なんで薫は葵との写真まで飾っているのに、薫の部屋は皆が自由に出入りしているのに、ふたりの関係がバレないんだろう?
葵みたいな嫁なら私も欲しいぞ。

ネタバレになっちゃうけど、ティナは自己完結して欲しくなかったな。当たって砕けてそこから新しい自分になって欲しかった。
ちゃんと振られた方が女の子は前に進む。これは男性目線だと思った。中途半端なままで動けるのは男性の方。

なぜ、薫の義弟も、「薫」である必要があったのか、そこまで明かされていたら良かったのに。そこの葛藤が描かれなかったのが残念。

タイトルは筍子の言葉から。
それぞれの話のタイトルにも日本の言葉が充てられていてストーリーとリンクしている。
表題の意味は最終巻で葵が薫に語る。

楽しく読める、良く出来ている作品。
                         2009/6/01

《こんなふうにおススメ》
シリアスなシーンも出てきますが、深く掘り下げすぎることもなく、主人公ふたりの純愛ペースで進みます。
楽しく読めて読者を選ばないので、多くの方におススメできます。

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:文月晃
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2009年06月05日

蟲師(完) 全10巻

【蟲師】 全10巻  /漆原 友紀

蟲師と呼ばれる、蟲(むし)に魅入られ、それを生業としている男、ギンコ。蟲に取り付かれ、かどわかされている人々に関わり、蟲とともに生きていく。
読み切りスタイルで進んでいく。
蟲といっても虫じゃなく、生命の根源、スピリットのようなもの。

見事としか言いようがない。全身に震えがきた。
そんな作品にこれからまた出会うことができるだろうか。話の構成も、絵も、色使いも何もかもが素晴らしい。一編の詩や絵を鑑賞しているようで、切ない。
カラーなどは震えてくる。ちょっとした小咄までうまい。
そこには、人がいて、生きている。命が切なく愛おしく感じる。山や里、そして海。人が生かされていることを実感させてくれる。

こういう人が諦めないで作品を描き続けてくれてほんとに良かったと思える。これが受賞しなかったら、諦めるつもりだったとある。デビュー作だとは思えない力作。当時、24歳でこんなのが描けるのか。
この作家の繊細な情緒感が胸に沁みてくる。また、この作者の文字が人を癒す力を持っている。
ゆっくり時間をかけて丁寧に読んだ。余韻が大きすぎる。行間が深すぎて、一気に消費するのはもったいないからだ。こういう作品が増えてほしい。

なんでギンコだけ現代の服なんだ? そのため、時空に落ちた旅人のようで、一緒に異世界を覗いている気分になれる。
3巻の、ギンコの子どもの頃の物語のトコヤミは、今の現代人の心の闇を感じさせた。
8巻の「冬の底」は、当然ながら、ギンコすらも自然の一部でしかないことを感じさせてくれて、深い。
                         2008/3/16

《こんな人におススメ》
すべての人にお勧めしたい。たぶん私のベスト10に入ります。
《こんなふうにおススメ》
癒されるけど同時に考えさせられる。オトナの昔話かもしれない。
その切ない感じは、一見柳田國男よりも折口信夫のようにも感じるけど、いやいやなかなかちゃんと計算されていて、ともかくも唸ります。民俗学っぽいけど作者のオリジナルファンタジー。この作家の脳内で組み立てられたものでしょう。だからすごい。
作者のおばあさんの話も出てきますが、私たち日本人のDNAって侮れないなと思うわけです。

UP追記>
今は、9巻まで刊行されていますが、なかなか読まない。
読みたくない、もったいなくて。次に出るまでじりじり待つより、この表紙を眺めながらいつまでもニヤニヤしていたい。

9巻/
・「残り紅」 うっかり影を踏んでしまい、本体が入れ替わってしまう話。
・「風巻立つ」 風を操る少年。
・「壷天(こてん)の星」 次元の隙間に落ちて記憶を亡くした少女。
・「水碧む」 水と同化してしまった少年の話。
・「草の茵」 ギンコの子どもの時の話。ここでいう茵(しとね)は、座布団のこと。

読み切ってしまうのが惜しくて大事に読んでいたら、10巻も発売されてしかも終幕。
うーん、なんだか残念。
この作家さんのデビューの頃の作品集も大事に読んでいて、目の黒いうちに終わって欲しくない貴重な作品だと改めて実感。
数年に一冊でも良いから、また描いて欲しいなあ。

この巻も、切なく胸に沁み入る話ばかり。なんでこんなの描けるんですかね。
初期作品集の『フィラメント』を読んでいると、ずっと長い間いろんな断片を温めてきていたことが感じられる。
そしてそれらについて繊細に細部まで丁寧に感じ尽くされていること……。人はどこまで“感じられる”ものなのだろうか。
その想いを世に出してくださったこと、感謝したい。
                         2008/12/19

10巻/
いよいよこれでラストの巻。
終わってしまうのが寂しくて、自分へのご褒美用に目の前に積んでおいた。でも、そろそろ自分の中でも一回終わらせなければと思い、読む。
私の心のベスト10に入る作品。

・「光の緒」 妖気の光の糸で衣を紡ぐ。
・「常(とこしえ)の樹」 人々に与え続ける千年生きた大杉の話。
・「香る闇」繰り返し人生を送る男の話。
・「鈴の雫」ヒトがヌシに迎えられた山。カヤを救うべく、ギンコは理に話をつけに行く。

大杉の話は泣けた。無条件の愛と、よく言うが、人間の身ではなかなか出来るものではない。
最後の話は、これで最後なのだと思うと読む前から、心に沁みてくる気がした。
鈴の音は、神の声。なるほど。

ギンコはまだ旅をしている気がする。きっとそうなのだろう。
この作品に出会ったお陰で、漫画好きに拍車がかかった。感謝しています。
ありがとうございます。
                         2009/6/01

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:漆原友紀
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2009年06月03日

現代都市妖鬼考 霊媒師いずな 02巻まで

【現代都市妖鬼考 霊媒師いずな】 02巻まで  /岡野 剛(原作/真倉 翔)

イタコの家系に生まれた霊媒師の“いずな”。本来の姿は女子高生。
人の心の弱みに入り込んだ負のエネルギーである憑き物を落としていくのが仕事。
クダ狐が案内してきた不幸な人々を助けていく。一話読み切り。

スーパージャンプ増刊オースーパージャンプ。
キャリアの長い作家さんの新作。

正式タイトルには「現代都市妖鬼考」とついている。
どうやらこういうジャンル、お色気系と言うらしい。最近知った。

いずなの料金、高い。最初に感じたところはそこかっ! と、自分にツッコミ。

ツッコミどころは満載。
いずなが除霊するやり方は仏教的に近いけど、ところどころ嘘っぽく、いくらなんでも設定が甘すぎると思う。表面的すぎ。原作者の指示なのかな。
南無阿弥陀仏と不動明王を一緒にしている時点でアウトでしょう。不動明王を神霊と言っちゃっているし。いずなの後ろに金比羅大神と書かれていたり、系脈がバラバラなのだ。
それぞれの神仏の役割だけ調べて、設定に使っているんじゃないかな、たぶん。

せめて霊能者くらい何人か取材したら良かったのに。もちろん作中にもあったけど、霊能詐欺師も多いので注意かも。
妖怪事典くらい?
いずなが使っている眷属はクダ狐だけど、これは飯綱狐。

アイドルの火祭ゆきえの顔は、スキップ・ビート! のキョーコにそっくりで、びっくり。
しかも、実際にあった事件、グラドルのマネをしていた放火魔の話を模倣していて、気分が悪くなる。

毎回エッチなシーンも楽しめる、霊能系を主題にした萌え漫画、いやただのエロ漫画?
「色気のある女子高生のエロ漫画で良いよね、内容なんて」って思っているのかな。

今後は読むか不明。たぶん無理。少し期待してた分、残念。
ノックをしてなかったら、たぶん2冊も読めなかった。いろんな意味で勉強になった作品。
                         2009/5/21

《こんな人におススメ》
萌え系お色気系、お好きな方に。



タグ:岡野剛
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2009年05月21日

けいおん! 02巻まで

【けいおん!】02巻まで  /kakifly

平沢唯は部活で何をやろうか迷っているところ、勘違いから軽音楽部に入部、いきなりまったく弾いたことのないギター担当になる。
廃部寸前だった部は、どうしてもバンドをやりたかったドラマーの田井中律が仕切って、ベース担当で繊細な性格の秋山澪を引き込み、合唱部のつもりで覗いて入部に至ったムギちゃんことお嬢様な琴吹紬はキーボードをやることになる。

二巻は二年生に進級。
ギターの新入生、中野梓が入部。

amazonでベスト10に二冊とも入っていて気になったので読んでみる。
あーなるほどー。帯で気づく。
アニメが始まって(2009年4月期より)しかも、制作が京都アニメーションなのだ。これはコアなファンがつくのは確実。売れているのはそのためか。
そのくらいの情報、知っておけよと自分にツッコムが、最近アニメ関係の話があまりないのだ、仕事で。

構成は4コマ。まったり系漫画。
頑張って「バンドやろうねっ」っていうのではなく、お茶飲みながら、だべっているノリでバンドやりましょうか、的な話。
コスプレしたり、ケーキ食べたり、そんな話ばかり。
男子が一切出てこない。女子高? らしい。

らき☆すたの路線。ちょっと百合系。
読者を選ぶ類いの、万民向けの漫画ではない。

最初の印象は、「デジタル絵だなー」

はじめてギターを弾いて、チャルメラできたらすごいんじゃないだろうか?
練習のシーンも、演奏のシーンもほとんど、いや、まったくないと言っても良いくらい。
二巻に数コマくらい?

今後も読み続けられるかは、かなり微妙。
                         2009/5/18

UP追記>
今日は他の作品をUPしようと思ってたんですよ。
でも、今日のオリコンのデイリーランキングで、このアニメの主題歌が初登場4位になっていて(1位は福山雅治)、驚きのあまり、UPしちゃいました。
らき☆すた並みに盛り上がっているんだろうなー。
記号的萌え、もういいやって気分はある。アニメ、観てないんだけどね。

《こんなふうにおススメ》
京アニが絡む作品は、メディアミックスで楽しむものなので、単品だと取り残された感があります。読むなら、アニメも観て、しかもニコニコ動画で祭りも一緒に参加しないと楽しめませんん。
これらは一種の社会現象なので、「なんで面白いのかわからない」と言った時点で、負け。
最近は、簡単に負けてもいい気がしてる。


タグ:kakifly
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2009年05月16日

NANASE(完) 全04巻

【NANASE】 全04巻  /山崎 さやか(原作/筒井 康隆)

筒井康隆原作の「七瀬ふたたび」(1975年)。
生まれつき高度な精神感能力者(テレパス)である火田七瀬(ひだななせ)。両親を16歳で事故で亡くし、そのまま働き出す。
その能力をひた隠しに生きてきたが、同じ能力を持つ4歳の子どものノリオ、黒人で念動力(サイコキネス)があるヘンリー、時間遡行者(タイムトラベラー)の藤子、予知能力者の岩渕恒夫らと知り合い、ひっそりと暮らしたいと思っていたが大きな闇の組織に狙われていく。

一部オリジナルもあるが、ほぼ原作通り。
最終巻には「家族八景」(1972年)も一部収録。
約35年近く前の作品だが、このコミックスは現代風にアレンジされている。
ヤングマガジン。

中学生の頃に原作を、夢中で何度も繰り返し読んでいた。
絵になるとすごいけど文章の方がエロくもあるので、よく子どもの頃こんなの読んでいたよな、ませるわけだ。

このコミックスも原作に負けず劣らずの出来。素晴らしい。
画力がある作家なだけに、七瀬が追い詰める心理描写はとくに怖い。
精神感能力者(テレパス)である七瀬がクラブ務めは辛いだろうな、改めて感じた。
当時、ヘニーデ姫以降の話は辛くて、原作もじっくり読めなかったのは覚えている。この作品も4巻がとても辛かった。
でも、子どもの時のように受け入れられないわけじゃない。大人になったということなのか。
藤子はファンだったので、もう少し可愛らしく描いて欲しかった。

先日、劇団四季の「春のめざめ」を観て感じたことでもあるが(この原作は、ドイツで約100年近く前の作品)数十年、百数十年経っても、なんら変わりない精神構造、社会構造はこれで良いのだろうか? 改めて疑問に思う。
                         2009/4/13

《こんなふうにおススメ》
秀逸な作品で、映画にもドラマにもなっています。
コミックも良かった。



【七瀬三部作】
原作の三部作はこちら。



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2009年05月14日

砂漠の民

【砂漠の民】 全01巻  /秋津 三朗

11世紀頃の中央アジア。
キッタール族という巨大化した遊牧民族が暴れ回っている頃、同じ種族の手負いを助けたソクート人の羊飼い、シッキムと息子のテム。
しかし、助けたクジルを追ってきたキッタール族にシッキムは殺されてしまう。クジルは戦うが、自然の猛威が近づき、砂嵐で追っ手は全滅してしまう。
羊たちのお陰で助かったテムは、クジルと共に旅に出る決意をする。
目指す先はペジテ。

宮崎駿の別名。
風の谷のナウシカの前身となった作品。
『少年少女新聞』に1969年9月12日から1970年3月15日まで26回連載されていた。
これは書籍化されていないんですね。コピーしたものを友人から見せてもらいました。

イラストとともに、文章で綴られているが、宮沢賢治のような深い味わいのある文章。
20回目からは漫画のみになる。

すでに神話だ。
自尊心が強いと相手を見くびり過ぎ、足元を掬われる。そういった教訓が、物語の中にしっとりと潜んでいる。
こういった神話を書ける日本人、今は他に誰がいるのだろうか?

この構想があってこそのナウシカであり、宮崎さんの中に今を彷彿させる宮崎ワールドがすでに構築されていたことに感嘆をおぼえる。
                         2009/5/13

《こんなふうにおススメ》
全然古くない。40年前の作品ですよ?
正しい日本語と表現で感激、中勘助と夏目漱石が読みたくなった。

※ 書籍化されないんですかね?
オタク友、感謝。

タグ:秋津三朗
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2009年05月13日

神社のススメ(完) 全04巻

【神社のススメ】 全04巻  /田中 ユキ

里見信二郎は神道系の大学を出て、そのまま舞の指導や剣道を教えていたりしていた。
実家の神社は兄が継ぐものと思っていたが、兄は行方不明に。
信二郎は神職に奉職することにして、神下(かみしも)神社に出仕として就職する。その神社には、奥村宮司、菅野禰宜、新田権宮司、巫女長の秋本、巫女の美園、巫女で権宮司の娘の了子、俵権禰宜、そしてバイトで高校生の真鍋千穂がいた。
千穂か了子か。里見を巡るラブコメの要素も。
出戻りの権禰宜の気仙沼らも増えて、神社の仕事がよくわかる物語。

神社がよくわかる本。
いや、まじでこれ、少女漫画だと思ってました。勘違いしてました。
月刊アフタヌーン掲載。帯におお振りの宣伝があって気づいた。

神田明神監修の巫女さん入門にもこの作家さんで挿絵が。
かつて少しだけ読んだことがあった気がしていたけど、読み出したら別の作品だった。

すごい、めちゃ勉強になる。面白い。巻が進むにつれて面白さが増す。
神社の日常を、まったりと読みながら楽しめる。
3巻には神社見取り図もあって細かい。神下神社は海の傍でもあるらしい。設定秀逸。
一年の行事がとてもよくわかる。神社入門書に最適。
そういう意味だったのかと、絵で見せられる説得力がある。

どんな仕事もほんとに大変ですね。
神職と僧侶と神父の会合にも爆笑した。跡取り問題はどの宗教でも切実。
また氏子や檀家、外野がいろいろ口煩いのも多くて、大変な仕事だと思う。

漫画としても読みやすく、作者のコンテの工夫もあって好感。
例えば何気ないところなのだが、了子が千穂とレストランで向き合っている時、水を飲んだ後、そっとグラスの汚れを指でなぞるシーンがある。千穂と向き合って落ち着かないが、マナーも忘れない了子らしさを感じさせる。
それを建前と本音の使い分けにリンクさせてて上手い。

さて、神社もビジネス……確かにそうだけど、私の知っている神職さん方は、まず神道(かんながら)の心をとても大切にしていらっしゃる方々ばかりだった。そうでなければ結果、お金だって集まってこない。
とはいえ、内部事情に詳しすぎると思った……神社に勤めていたことのある作家さんらしい。
だとしたら、内と外はだいぶ違うってことなんだろうな。ありえる。
特に面白いのは聖俗併せ持って、神社に奉仕する方々も人だということに気づくのだ。そりゃそうだよね、今は昔と違って知識もあまねく皆持っている。

権禰宜の俵さん、美園の四コマも楽しかった。美園、面白すぎ。
里見の成長も良かった。
最後の舞は、もっと描いて欲しかったと思うのは欲として。
                         2009/5/12

《こんなふうにおススメ》
最近、歴女なるブームや、カミゴトもそうですが。
基本を学べます、面白い。

【コミックセット】


【コミックス】


【ここにも挿絵が……】


タグ:田中ユキ
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2009年05月12日

ヤマトタケルの冒険

【ヤマトタケルの冒険】 全01巻  /ゆうき まさみ

四世紀に活躍したとされる日本武尊の物語を、ゆうきまさみ風にアレンジした作品。
ヲウスノミコトの兄殺しから始まり、熊襲征伐に出立し成敗、東国に征伐に行く途中、ヤマトヒメにアメノムラクモ剣を授かる。

「インモラルな話なので、親の前では読まないように」とあるが、多くの神話はそんなもの。ギリシャやエジプトもしかり。
今更だけど、キリスト教圏の方々はきっとお怒りになるに違いない。

内容は史実になぞってあるが、かなりふざけ過ぎ。
それも飲み込めて、勇者伝説の流れを追いたい人には気軽に読めるのかも。

母違いの弟ワカタラシヒコが飼っていた犬の名前がタケミカヅチ。
タケルは、キジメ、サルヒコの供と一緒に犬も連れて行く。

オトタチバナ媛が現れたあたりからテンションがいきなり下がる。
なぜかキリシタンの頭の悪い子になっていて、いくらなんでもふざけ過ぎ。
それが祟ったのか、宮簀媛も出てこない。弟橘媛の身投げの後、すぐに白鳥が飛んでしまうのだ。弟橘媛の歌もなし。
パロディは良いとしても、この作品、私にはナシだったな。
                         2009/5/12

《こんなふうにおススメ》
この作家さんは、他の作品が名作なので、それらで挽回したいです。

※ amazonもさすがに絶版でした……。

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2009年05月08日

さらい屋 五葉 02巻まで

【さらい屋 五葉】 02巻まで  /オノ・ナツメ

江戸時代。秋津政之助は職のない浪人もの。用心棒の口を探しているが、内気な性格がいつも邪魔をして、頼りないとすぐにクビになってしまう。
腹を空かせてその日も出歩くが、団子に釣られて弥一の用心棒に雇われる。
しかし、弥一は賊の頭だった。五葉と呼ばれる一味には、居酒屋をやっている梅造、おたけ、かざり職人の松吉らがいた。そして、彼らを助けるご隠居の宗次。
内気ながらも侍の志を捨てきれない政之助だが、悠々とした弥一の存在に惹かれていく。

月刊IKKI連載。
すでに6巻まで刊行しているが、手元には現在2巻のみ。非常に残念。

しっとり、じんわり来る作品。読後にじわじわくる。
木版画のような画風が、この作品と合う。

一巻は、政之助が優柔不断な態度でありながら、弥一たちから離れられない。
二巻は、政之助が“江戸わずらい”を患って。脚気のことかな? と調べたら、そうだった。

五葉は、おたけが命名の楓の葉から。

この作家もBLも描いているからなのか、男たちの関わりの会話が、しっくり心の奥行感を滲み出してくる。
人というものを、しっかりと見つめている人なのだと思う。

「信用はしちゃいねえが、信頼はある」と言う梅造の台詞は理解出来る。

政之助のような、野暮なことを自覚していないところが私にもある、そう感じた。
政之助のポジションは、ストーリーにメリハリを与えている。
彼の言動があってこそ、五葉の人々の粋さ加減が透けて視える。この対比、まさに茶の湯のようだ。

是非に、男性に読んでいただきたい。
続き、早く読破したいです。
                         2009/5/07

《こんなふうにおススメ》
大好きな作家さん。この作品、ほんと、じわじわきます。
現在、「リストランテ・パラディーゾ」がフジテレビ系でアニメ放映中。

【コミックセット】


【コミックス】


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2009年05月04日

荒魂トライブ

【荒魂(アラタマ)トライブ】 全01巻  /ゴツボ×リュウジ

帝都の街に、鬱屈した澱みが異層異界の門を開き、魑魅跋扈する鬼となっていく。
帝都主護警察、陰陽鬼道、陰陽課には、その鬼を狩る方術士がいる。彼らの仕事は闇に堕ちた魂を介抱すること。
暗部(あんべ)ヒロジロウの所属する陰陽二課に、新人陰陽師がやってくる。一足先に街での鬼退治で出会った、圧倒的なチカラを持つ少女、鬼御門(おにみかど)ヨミだった。
一課のイケメンエースで名門の出の加茂シュウゾウは、かつてのライバル伊達と戦う。

この漢字は神道でいうと「アラミタマ」となる。
和魂(ニギミタマ)、幸魂(サチミタマ)、奇魂(クシミタマ)で四魂(しこん)。
神々の魂はこの4つの側面で出来ているという解釈だが、神職さんに説明を受けても難しいのだ。
犬夜叉の「四魂の玉」もここから来ているはず(2009年春まだ未読)。

トライブは、tribuでフランス語。意味は種族。

絵はポップ。でも慣れるまでは読みにくい。慣れてくると、はまる。

やはりここでも、悪霊退治はニギハヤヒなんだなー。
もしかして……ゲーム世界のことはわからないのですが、十種神宝って強力アイテムなのですか?

たまゆらを集めてチカラに使う……なるほどなー、その手があったか。

いじめられ、その憎むキモチから鬼になった子たちがやられるのは、かなり同情した。
確かに世の中は不条理なものだけど。

言葉は呪である、それもわかっていたことだけど、改めて描かれると考えさせられる。

ヨミにつくイヌは、隼人族。
設定だけでも面白すぎる。

未完。なんでこれ、続かなかったんだろう。
ここまで凝るとわかりにくいものなのだろうか?
もったいない。
ヨミが、傷ついてあのぶれない覚悟を持ったのか、その理由。どんな運命を背負っていくのか。それだけでも知りたい。
続編、いたく希望。
                         2009/5/01

《こんなふうにおススメ》
設定の面白さを活かす前に終わってしまったのが残念。
まったく序章の部分だけ。続編、読みたいです。



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2009年05月02日

ストップ!! ひばりくん! (完) 全04巻

【ストップ!! ひばりくん!】 全04巻  /江口 寿史

坂本耕作は、母春江の臨終の言葉を守り上京、大空家に居候の身となる。
着いて知った、そこは「関東極道連盟 大空組」だったのだ。逃げるのを考え始めた耕作だが、美少女の姿を見かけて思いとどまる。
夕食時、紹介された美人姉妹たち。長女のつぐみ、次女で高校三年生のつばめ、まだ幼いすずめ。
そこに現れた、耕作が一目惚れした相手は……ひばり。女の子より美女ぶりの、れっきとした男子で耕作と同級生だった。
しかも“彼”は、学校では女子で通していて……。
闊達で自由奔放なひばりを中心に、耕作は騒動に巻き込まれていく。ギャグコメディ。

連載スタートは1981年。掲載誌は週刊少年ジャンプ。
話の内容的には未完。
これ、約30年前の作品ですよ。今でも充分に通じる。当時は早かったんじゃないかなー。
いわゆるBLギャグってことでしょ。恐るべし、江口寿史。

やっぱり上手い。大ファンでしたよ。ほんとに好きだったなー。
ファッションもオシャレだったんですよ、当時はね。多くの女の子のバイブルだったと思う。
音楽も空気もここにあって、時代を表現していたサブカルだったのだ。
人物のちょっとしたポーズにも惹かれてた。
このひばりの性格が、もうちょっと過激になれば、涼宮ハルヒになる気がする。

かなりぶりに読んだのに、ページのヒトコマひとこま、ほとんど覚えていたのには驚いた。
懐かしすぎる。

担任の岩咲ひろみ先生の持ち出したナタは、今だったら「ひぐらし」ネタ。
まあ、今だと規制が入りそうな表現も多い。面倒くさい時代になったとも思う。
今なら少年誌ではNGかも。

熊本弁の応酬、すごい。
可愛理恵ちゃん可愛い。すずめもいけてて可愛い。
畳の上で靴を履く、笑った。
ドン・コルリオーネの使う日本語大好き。

当時、子どもだった私でも、不条理であっても、耕作とひばりが恋愛関係になってほしいというか、男に戻って欲しくないと考えていたことを憶いだした。
友だちもみんな「ふつー」なのに、同意見だった気がする。
日本人は同性愛に寛容だと、世界的にも知られているけど、これはDNAなのだろうか?

そして、ひばりくんが羨ましかった。
考えてみれば、少年のカラダに女の子のココロという、非常にリスキーで悩むべくして存在しているのに、誰よりもキラキラしていて、自由だったからだ。
そして素直に耕作を好きと言う。その自由さは憧れだった。

ストーリーと構成に関しては、最初のテンションを保てないのがこの作家の弱点。
西森さんのことは強く言えない……。
後半部分はイラストレーターとしての本領も発揮してくる。

完全版の方には、後書きもある。
江口氏の言葉、そして解説の大槻ケンヂさんに共感。同じ想いでした。
当時の風俗を知っていて良かった。あの時代に生きて良かった。
この後の話を、30年近くずっとずっと読みたいと思っていたけど、皆の心にひばりくんが生きていれば良いのかもしれない。
                         2009/5/01

《こんなふうにおススメ》
青春でした。これはもう、うまくいえない。

【完全版コミックセット】


【文庫版】
絵が出ているのはこれだけだった……。



タグ:江口寿史
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2009年04月25日

すもももももも〜地上最強のヨメ〜(完) 全12巻

【すもももももも〜地上最強のヨメ〜】 全12巻  /大高 忍

古武道の「代折羅不動心眼流(ばさらふどうしんがんりゅう)」の継承者である犬塚孝士は高校二年生、将来の夢の検事を目指す。
その立場は、十二神将東の次期長になるべく生まれついた犬の一族の跡取りのだが……その実、武闘はからっきしダメ。幼い頃のトラウマで暴力恐怖症なのだ。
和平を望む神将たちにより望まれた、西と東の長の婚姻。
地上最強の子孫を作るべく、西の長である竜一族、孝士の婚約者として「波夷羅一伝無双流(はいらいちでんむそうりゅう)の継承者の九頭竜もも子が、その許嫁の立場から押し掛けてきて……。
今まで平和にやり過ごしてきた孝士の周囲が慌ただしくなっていく。

武闘派ギャグコメディ。
見え隠れしていた孝士の秘密と力は、10巻から本格的になっていく。
本気で面白いのは、きっとこれから。次巻が楽しみ。

里見八犬伝の影響だと思えるキャラ名から、いきなり惹き込まれる。
面白い……がっ!!!! これ、本当に地上波(テレビ朝日系)でアニメ放映していたのですかっ!!??
こんなにエロい漫画だとは思いませんでした。
ずいぶん噂に聞いていたんだけどな。
うーん、私が親だったら、子どもには観せたくない。今の親御さんたちのご苦労、お察しいたしますよ。
もも子が、孝士に子づくりを迫る話らしいとは聞いていたのですが。
委員長のあの衣装、自粛でしょう。すごいなあ。委員長が好きなだけになんか辛い。
でも昔はこのくらいフリーダムだったかもなぁ。
まあ、その驚きはワキに置いておき……。

話は面白い。もも子の小動物な感じはかわいいし、孝士も見た目もカッコいい。もっとヘタレた主人公かと思ってた。
絵も上手いし、画力も素晴らしいし、おバカな設定ばかりかと思えば、戦うシーンもなかなか。
十二神将の設定も上手い。
デフォルメキャラも愛らしい。
いろんな漫画の影響のコネタも多いから、読み手も読みやすく楽しめます。ガッチャマンとか、うる星やつらとか、花より男子だとか……。探せばたくさん。
つまり、あまりにエッチだったので、その予想外にびっくりしただけ。

高校生には見えない幼女体型のもも子が、子づくりを迫るギャップが、ひとつの萌え要素なんだろう。
連載が始まった当時の作品に、この手のキャラが多かった気がする。
個人的には、気の毒キャラの委員長、でもそこが最強の早苗サンを応援したい。

爆笑したのが、渋谷のモアイ像前で、待ち合わせするもも子の姿。その後のデート篇、大いに笑った。

ちなみにこの作者も女性らしい。男性かわからないペンネームで、実は女性の方々、多いですよね。
ハガレン」の荒川弘さん、「D.Gray-man」の星野桂さん(公にはなっていませんが)、「結界師」の田辺イエロウさん……まだまだ大勢。
力量のある、大きく物事を捉え、考えられる女性が増えてきたんですねー。
「金田一少年の事件簿」「探偵学園Q」の、さとうふみやさんも女性。
余談ですが、少女漫画で活躍の、立原あゆみさんが男性だったのは衝撃だった。
それにしても。
女性でこんなエグくてエロいギャグっていうのも……笑った。応援してます。
                         2009/1/30

《こんなふうにおススメ》
いやいやいや。面白いです。
最初の10巻までも楽しいのですが、11巻めからの孝士の本気あたりから、まじで面白い。
そういうのは、リボーンぽい。キャラ構成は、うる星やつらだけどね。
早く、続き読みたい。
                         2009/1/31UP

12巻(完)/
猿藤優介と孝士の決闘。
孝士は婚約解消され、もも子を優介に取られてしまう。失って初めてわかるもも子の存在に、孝士は覚悟を決めていく。

ぎょええええ!!! なんと! これが最終巻!
うっぁー、めっちゃショック。これからますます面白くなるはず、と、書いたばっかりだったのに。もっと読みたかったよぅ。
でも、この潔さが素晴らしいのかも知れない。
感激する程、面白い巻でした。作家さん、ありがとうございます。

委員長、大好きだよ。君には幸せになってもらいたい。
ばあちゃんの泣き顔、うっかり私も泣いてしまいそうだった。

脱魂したもも子に爆笑した。上手いなぁ。
もも子、健気すぎ。可愛過ぎ。
孝士の「むしろ、よろしくお願いします」に笑った。
たぶん、ファンが一番期待していたシーンを、こんなにもあっさり笑わせてしまうとは。

この巻はひたすら孝士の巻。
ヘタレていた孝士が覚悟を決めて、漢でカッコいい。

最後の最後の決闘は、違う漫画になってて、大爆笑した。

絵も上手いなあ。
最後の群衆図には、正直、ほろりときた。漫画が好きで、描くことも好きなんだろう。
ホントにすごい、読者のココロを掴むのが上手い作家さん。
これからもずっと応援して読み続けたいと感じました。
楽しい作品をありがとうございました。
                         2009/4/25

《こんなふうにおススメ-2》
面白かったなぁ。楽しかった。
気楽に読めて、けれど、ほろりときて。
もちろん、風呂敷広げっ放しなところもたくさんあって、放置かよっ!と、突っ込みたいけど、まあ、イイやって思えちゃうのも、なんだかすごい。
押し付けがましさが一切なく、大事なことを教えてくれる作品。
是非ともオススメしたいです。こんな作品に会わせてくれて、漫画の神様ありがとう。

【コミックセット】


【コミックス】

タグ:大高忍
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2009年04月09日

獏-BAKU-(完) 全04巻

【獏-BAKU-】  全04巻  /びっけ

人間の魂まで奪っていく悪夢。その悪夢を食べて、眠れずに衰弱していく人々を救う獏一族。その獏一族の手下を夢人という。
ネオンもセレンも夢人であり、リンに仕えている。夢人は獏である主人に「縛」をかけられ、人間だった時の記憶はそれが解けるまで憶いだせない。
悪夢退治の依頼を受けながら、家族のように暮らす三人だったが、獏と長い歴史を経て戦ってきた、人間を悪夢に貶めて魂を奪う夢魔との大きな決戦が始まる。

手元に1巻しかなかった。残念。
この3月末に発刊予定の4巻で完結。

ZERO-SUM連載って、少女漫画に入れていいのか、そうでないのか、微妙。

絵、好み。上手い。好きだなあ。
思った以上に面白くて惹き込まれた。
ファンタジーの才が秀でている。
続きも借りることになっているので、早く読みたい。
                         2009/02/18
                         2009/02/19UP

《こんなふうにおススメ》
突拍子もない話の得意な作家さん。でも整合性を感じられて、心地良い。
上手いです。

2〜3巻/
2巻は、美味しいカフェを煎れてくれるカフェのギャルソンヌ、ランドラに恋をしたフレート。
高級娼館のエルザの客が不審な死を遂げていって……放浪癖のあるランタナム登場で、侠気のある女性のロデオス、リンとともに、獏三強、揃う。
夢魔の総長、アルセニカとも戦いが始まる。

3巻はツインズの登場で、シオンとアルセニカの過去がわかってくる。
リンの主人の獏だったキセノスの死因。フェルムに殺されたランタナムの夢人のアイリス……核心に迫ってくる巻。

やばい、はまった、面白すぎる。

3巻まで借りてきた。
ありがとう!! 持つべきは友だち!

やっと気づいた。
メインの登場人物の名前は、鉱物やミネラル……つまり、ホメオパシーの基材になるものばかり。
毒をもって毒を制すというわけか。よく考えたなー。
もちろん、それとは関係のない人物もいるけれど。

この作家さんは、物語を語り出す前に、念入りに脳内で世界観を作り上げるタイプだと思う。
行き当たりばったりの部分がない。
妄想力がすごいのだと思う。
だからこそ、キャラクターがそのまま語り出してきてしまうんだろうな。
                         2009/03/01
                         2009/03/02UP

4巻/
シオンは元住んでいた村、今は廃墟にたった独りで住んでいるステラと出会う。フェルムが起こした悪夢で全滅した村だ。
ステラはその事件で夫に殺されそうになり、しかし夫が村人に殺されてしまい独りとなる。
ランタナムは夢駆除をしたサイラスに頼まれ、リンとともにステラの元に向かう。
夢駆除をしている最中、リンはシオンに会う。リンはシオンをアルセニカと勘違いして、夢魔と獏の戦いに突入する。

番外編は、新しくランタナムの夢人になる少女のお話。

これで終了。もっと読みたかったな、でも、キリが良いんだろう。

切なくって泣けたなー。
歪みというものは、哀しいものなのだ。夢魔も獏もその起源は一緒なのかも知れない。
同じモノが歪んでしまって、それで調和が崩れていくのだ。それがセツない。
アイヴィーはリカードが優しい子だったからこそ、総長にしたのかもしれない。

ところで、リンと双子の見分けがつかないんですよ。
表紙は最初リンが3人いるのかと思った、ドッベルゲンガー? 服まで一緒だし。
見分け方は、リンが細めのリボン。シオン(リカード)がふんわりのリボン、アルセニカがネクタイです。
こんなん良いのか? 可愛らしいので、良しとしよう(←何様)。

大人になったリンは絶叫したくなる程かっこいい。

双子とアネモネの絵がキレイ。
                         2009/04/07

《こんなふうにおススメその2》
終わっちゃいましたよ。あああ。
余韻を残すの、ほんとに上手い作家さん。
他の作品、楽しみにしています。



タグ:びっけ
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2009年04月07日

Boy Meets Girl -マウンドの少女-(完) 全02巻

【Boy Meets Girl -マウンドの少女-】  全02巻  /塀内 夏子

森田文武(ふみたけ)、通称モリタケ12歳。富士見リトルでショートを守る。
チームには、サウスポーのエースピッチャー神崎しおりがいて、モリタケは気になっていた。
全国一位になった住吉リトルも、エースは女子の立花アヤコ。そこには4番の古荘勇樹もいる。
その住吉と引き分けた富士見は、住吉リトルのライバルとして切磋琢磨する。

少年マガジン連載。
野球の話でほとんど試合なのだけど、ベースは初恋物語。
モリタケのしおりに対する甘い恋心を描く。

いつの間にか、おお振りの頭脳戦に慣れちゃったんだなー。
この作品もしっかり取材したのだろう、中味のある野球を描いて良く出来ていて面白いんだけど、もの足りない気がするのはそのせい。
漫画だから良いのに(別に消える魔球は出てこないし)多少オーバーな演出があっても、盛り立てる物語があってこそ、それなのにリアリティを求めてしまうおお振り病にかかっている。
もちろんあれだって、リアルじゃないとこもあるのに。

お調子者のモリタケがだんだん強さに執着する意識に目覚め、しおりを励ましていく成長が見物。
                         2009/4/01

《こんなふうにおススメ》
普通に面白いです。上手いし。スポーツものが多い作家さん。
でも、スポーツ漫画って読み応えのあるモノ、多いんですね、それに気づく。だから、どうしても、こういう小粒にキラリは埋もれてしまいます。



タグ:塀内夏子
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2009年03月22日

フィラメント

【フィラメント】 全01巻  /漆原 友紀

蟲師の漆原友紀の、志摩冬青の名前だった初期の頃のも含めた、短篇作品集。

収録は、
・「岬でバスを降りたひと」
岬の端、バスの終点地の、小さな店を営む祖母の家で育った実津子。
祖母が亡くなって、店を畳に来る。
実津子は今は、未亡人でひとりで息子の唯を育てている。
幼馴染みの沢谷はバスの運転手になっていて、自殺の名所でもある岬にやってくる、女性の霊の話を実津子にする。唯にもその女性が見えていた。

以下は、ショート。14篇。
・「迷宮猫」 巨大な迷宮のような団地。そこで、新参者が迷わないように案内する猫。
詩編のような「サンゴの子」
「黒い指」と「誰そ彼」は、神隠しにあった靖成の話。
「銀河の眸」 宮沢賢治のようなショート。
「バイオ・ルミネッセンス」 光は実は、虫で。蟲師の原点のような話。
「うたかた」 三途の川の渡し守。
「花咲く家路」 お盆の話。
「海と優しい日」 故郷に帰る日。
「夏の宇宙」 夏の断片。
「海の底 川の底」 “海の栓”の話。
「白髪ヶ原」 蚕づくりをしている祖父の、哀しい戦火の物語。
「化石の家」地質学者の愛人に恋する少年。
「雪の冠」 自分だけの王国のたったひとりだけの王様だった子どもは、その足で自ら大人への世界に踏み出す。

「Mar・man」
ヴィオナは漁師のオウルと二人、海のそばで生活を営む。それぞれに恋人もいて……。

蟲師の基になった「虫師」も収録。
「虫師<青い音楽>」 ギンコではなく子どもの蟲師キク。
「虫師<屋根の上の宴>」 虫師たちの集まり、守庚申の話。

彼岸と此岸の境界があいまいなのだ、それがこの作品の魅力だし、作者が取り憑かれている部分なのだと思う。
境を取らないソコには、たくさんの何かが詰まっていて、そしてまた降り積もっていく。
それをそぉっと取り出して、紙面に落とし込むのが上手いのだ。
一編の詩を詠むようだし、交響曲ではない小品を楽しむ気分。

あっと言う間に読めてしまうのだけど、もったいなかった。
いつまでもたゆたっていたい気分になる。

「Mar・man」の話は、深い愛情を感じさせる。

「虫師」は、絵も若くて今とは違うが楽しい。
この頃と比べると、今の作品はよく構築されている。でも、この頃の儚げな、感覚的な物語の良さも捨て難い。
作者曰く、同一時系列ではなく、パラレルの話だそう。

長繊維をフィラメントと呼ぶが、ここでは電球の発熱線条や、電子管の直熱陰極の方のフィラメントだと思う。
                         2008/12/30

《こんなふうにおススメ》
ほんと、素晴らしい作家さんだと思う。
期待を裏切りません。



タグ:漆原友紀
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2009年03月14日

うる星やつら(完) 全34巻

【うる星やつら】  全34巻  /高橋 留美子

諸星あたるは、能天気でずぼらでスケベ。この世の災厄のすべて負い、本能で生きている男。
ある日、地球侵略を目論む異星人の鬼族が、地球人に対して、地球を賭けた鬼ごっこを提案。それに、無差別に選手として選ばれたのがあたる。
汚い手を使って勝利したのは良いが、勝負相手の鬼っ娘ラムに誤解からプロポーズしたと思い込まれてしまう。
あたるの家に居候し出したラムと、幼馴染みのガールフレンドしのぶ、ラムの不思議でおかしな友人たちや、一癖も二癖もあるキャラクターの巻き起こすドタバタSFコメディ。

1978年(昭和53年)連載開始。今より30年前である。
懐かしい。子どもの頃を憶いだす。
これはコミックス全巻持っていて、繰り返し読んだ作品。
漫画好きじゃなくても、高橋留美子は日常のキホンだった。
アニメも観に行ったなー。

オトナになって、ノックも波に乗ってきた時に読んでみて、どんな感想を持つのかそれに興味があった。
まず子どもの頃に読んでいた印象では、そんなに最初の頃は絵が上手くないイメージだったのに、いやいやすごい上手いじゃないですか!
味がある。最初からすごい人だったんですね。
構図も独特だし、ほんとに上手い。構成も良く出来ているし、名作。コメディの教科書のよう。
キャラクターも個性たっぷりで、それぞれに魅力的で、よくこんなに思いつく。しかもこれ、毎週毎週週刊誌で……。
漫画というものを読み慣れてきたからこそわかる、このすごさ。
高橋留美子さんって天才的な作家さんなんだと、改めて実感。
彼女が漫画界に登場した時、同業者の方々、焦っただろう。
そしてこんなに面白い作品だったとはー。感動。

ラムちゃんの初登場がなんともキュート。永遠のアイドルだよね、ラムちゃん。
萌えキャラ元祖なのではないか。

もしかして、あたるってえらい強運の持ち主じゃなかろうか?
この元祖ヘタレ男は、こんなにいろんなことがあっても普通の生活をしていられている。ありえん。

子どもの時には気づかなかった。サクラは巫女(神道)で、チェリーは坊主(仏教)なんだ。
こんなに八百万が仲良くやっているのも、この作家さんの魅力。
衣装や小道具もちゃんと調べてあって、元ネタを上手に活かしている。
民俗学や文化風俗の歴史も絶妙に取り入れてあって、知識が増えたオトナだから面白い。
サクラの婚約者がオヅノだったり。ほんとに良く出来てるよなぁ。
こういうのを読んで育ってきた日本人だったんだと改めて実感です。幸せなことだよね。

2巻の10年後(昭和64年。ちなみに今年2009年は、昭和換算すると84年にあたるので、すでにそれも20年前になる)の日本の物価が、アイスクリーム1,000円になっていて、物価というものは上がり続けるイメージだったのだ。
時事ネタや当時の風俗、お笑いネタなども入っているので、リアルタイムに読んでないとその辺りのネタはわかりにくいが、それを差し引いても面白い。

しかし、ちょっとちょっとオトナなんですよ、内容は。
今だと物言いがつきそうな。少年漫画で。
今は大人が子ども化しているんだろうな。だから物言いがつく。

面堂家の海の別荘は私も行ってみたいぞ。

昨年の夏に、銀座で行われた高橋留美子展
漫画オタの友だちと見に行きました。
すごいでしたよ。圧巻。
なにより影響を受けた漫画家さん多数。私の大好きな荒川 弘さんも、最初に買ったコミックスがこれなんですって。感動しました。

こういう作家さんと同世代に生きていて嬉しい。
高橋留美子さん、本当にありがとうございます。
                         2009/3/03

《こんなふうにおススメ》
漫画脳が多少育ってから読み直すと、この作家さんのすごさがわかる。
ほんとに……。

【コミックセット】


【新装板をUP!】

タグ:高橋留美子
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2009年03月01日

カテゴリ:フリークス 03巻まで

【カテゴリ:フリークス】 03巻まで  /極楽院 櫻子

那波超常事件調査事務所の所長、那波浅葱(ななみあさぎ)は、一見中学生の子どものような容貌だが、その実力は様々な人々、多くの機関にも頼りにされている。
その実体は、リミッターとして泉水(いずみ)を内在し、フリークスと呼ばれる闇に蠢くものに立ち向かう“スタンド”だった。
大学生の天野尚貴(なおき)、フリークスのやひろを身の内に秘める吉野まひめ、ウサギに変化できフリークスを食料とする兎姫古(トキコ)らと、事件を解決していく。
元ネタになった短篇も、1巻めに収録。中学生の天野と、浅葱の出逢い。

作者曰く、オカルトホラー。
この作家さん、萌え系記号を入れまくるのは上手い。というより、それだけで話を作っている。絵も構成も変わらず上手い。一般漫画の方がBLより面白いと思ってしまう。

この作品、3巻からぐっと面白くなってくる。
昭和の初め篇、めちゃくちゃ面白い。こっちの設定で話を進めたら良かったのに。

トキコのウサ耳は仕事的にはいかがなものか、と初登場時に思ってしまった私は常識人。

難を言えば、着服時の巨乳の描き方がキライ。それで「セキレイ」になかなか手が出せないっていう……。ヌードのは良いんですよ、綺麗で。服着ている時です。ブラジャーしてくださいっ。
                         2009/3/01

《こんなふうにおススメ》
萌え系も好きな方に……。かなり面白いです。


タグ:極楽院櫻子
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2009年02月26日

奥さまはアイドル 02巻まで

【奥さまはアイドル】 02巻まで  /師走 冬子

トップアイドルの桜井まゆりは、サラリーマン28歳課長、竹内博嗣(ひろつぐ)と密かに結婚している。実は主婦感覚が抜けない天然アイドルだったのだ。
フォローしながらアイドルの座を守る敏腕マネージャーら、周囲を描いたほのぼの4コマ漫画。

男子が好きそう。
思った以上に面白くて和めて、ついのめり込む。
旦那がむっつり眼鏡なのが新しいのかな。

中盤まで読み進めて謎だったまゆりの年齢だけど、高校生でしたかっ! まじか。
忙しいアイドルで主婦で、16歳の高校生……まさにファンタジー。

どんだけアイドルなんだっていう、設定の数々。
こんな国民的大アイドル、今の日本にはいないです。かつてのピンクレディー並み。

単純に楽しめる作品。
「奥様は魔女」風に毎回始まるのだが、「普通に出会って」はないのが笑える。

なんかめちゃめちゃ良い夫婦なんですよ。ラブラブでさー。
可愛いよなー(明後日の方向に目をやる……)。
アホの子最高。
                         2009/2/26

《こんな人におススメ》
めっちゃ、和めます。
掲載誌が、一応メンズなので、こっちのカテで。


タグ:師走冬子
posted by zakuro at 03:19| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月23日

妖怪のお医者さん 02巻まで

【妖怪のお医者さん】 02巻まで  /佐藤 友生

春日琴子の家は代々、祓えを生業としていた。その血筋のために琴子にも妖怪の類いが視えていた。それも一因で幼い頃からいじめられていた琴子。編入先の学校で友だち作りに必死になり、出来もしないお祓いが出来ると嘘をついてしまう。
クラスメイトの護国寺黒郎(くろ)に助けられ、しかもクロは、妖怪たちを癒し、助ける彼らの医者だった。

絵が可愛らしくて(妖怪はおどろおどろだけど)手を出してみた。
少年マガジン連載。
刊行はすでに9巻まで。手元には2巻のみ。

だんだん、妖怪を通して人助け、妖怪助けになっていったので、このまま人情漫画になるのかと思いきや、良いところで終わってしまった2巻目。
続き、早く読みたいです。
クロにはまだまだ謎が多そう。
伏線もこの巻くらいまでじゃ、まったく回収されてないし。

絵もキレイだし、女の子も可愛いし、楽しい。
作者はたぶん女性。
                         2009/2/23

UP追記>
最近、手元にない作品が多い!! やばい。

《こんな人におススメ》
楽しく、萌え系も大事な方に。

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:佐藤友生
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2009年02月02日

コドモのコドモ(完) 全03巻

【コドモのコドモ】 全03巻  /さそう あきら

小学校5年生、11歳の春菜。
公園デビューからの近所の仲良しヒロユキと、性の知識がまったくないまま、遊びで「くっつけっこ」をして妊娠してしまう。
幼いままの春菜と対称に、身体はどんどん出産に向かっていく。
担任の八木は学級崩壊に悩み、家族はボケの始まった祖父を抱え日常で精一杯。
小学生の妊娠があり得ないという思い込みで、大人たちはまったくそれに気づかない。
春菜の妊娠を知ったクラスメイトたちが力を合わせ、出産に臨む。

実際にはあり得るだろうな、あっただろうなというストーリー。

でも、子どもが生まれたから、すべてが良い方向に向かい出すのは、安易な気もする。
子は宝だよね、かすがいだね、というのはその通りだけど、もちろんゴタゴタする「オトナの事情」ってやつは、ヒロユキの両親に代表されてチラっと書いただけだというのも理解出来るし、ここでの作者の視点は「観察者」であるのも承知だけど、やっぱりそのまま「良かったね、みんな幸せだね」とは思えないかな。
その後味の悪さは残る。

話としては面白かった。

まあ、よくよく考えてみれば、イマドキの若い親なら、その子どもを殺してしまうかもしれない。
あまりな春菜の幼さが、そのまま母性に変わるとは思えない。
やはり、それは受け入れる器の成長というのがあるのだ。

そんなことも踏まえた上で、大人の思い込み、実は独りよがりだったり、子どもの勝手さ、幼さなどは、とても共感出来たし、上手いと感じた。
                         2009/2/01

《こんなふうにおススメ》
子どものリアルな日常を巧みに描いている部分は、特筆すべき。
子どもを取り巻く社会に対しての問題意識も、です。



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2009年01月30日

二十面相の娘(完) 全08巻

【二十面相の娘】 全08巻  /小原 愼司

チコ(美甘千津子/みかもちずこ)は、叔父叔母に毒を盛られている日々を送っていたが、巨大な紅玉、アナスタシアを盗み出される時に二十面相と呼ばれる男に救われ、仲間に迎えられる。
彼らを新しい家族とし、それから二年の歳月を経る。
13歳も間近になったチコと、サーカスの一団として旅をしながら、泥棒をしてまわる仲間たち。
街を出る際の列車の中で襲われ、バラバラになってしまう。警察に保護されたチコは、日本に戻されるが……しかしチコは、二十面相と呼ばれる男を自ら探し出すことを決意する。

アニメ化した時に、知人から「面白いよ!」と勧められた作品。
冷静に考えればツッコミどころは満載。でも、面白かった、噂に違わなかった。

おススメは一気読み。ちょこちょこ読んでいると、たぶん入り組んだ部分に飽きると思う。
読み出した時に完結していてほんとに良かった。

テンポで見せているところがあって、思想観が出てくるとちょっとうざくなってしまうのだ。
うーん、何が良くないのだろう?  テーマはナウシカと似ているのに。
……たぶん、キャラクターに心底感情移入出来ないのだ。
かなり心情的に理解出来るのが、トメ。次にはケンとチコ。
人物とは、それぞれの立場や信念や都合があって動いているのだけど、狂った思想も良しとしても、なんだか「わかるよな」と思えないのだ。人の言動に奥行きが視えてこない。
理想的な言葉を言わせているだけの部分も見えてくる。
ハガレン』読んだ後だからかなあ?
でも考えないで、そのまま、純粋に楽しめばとても面白いエンタテイメント作品だと思う。

続編に、『二十面相の娘 うつしよの夜』がある。
                         2009/1/28

《こんなふうにおススメ》
素直に楽しめます。最近、こういうタイプの作品、あまり読んでいなかった気がする。
どうも、「どんなふうに面白いの?」という質問に、答えが返ってこなかったわけだ。

【コミックセット】


【コミックス】


タグ:小原愼司
posted by zakuro at 00:11| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月14日

銀魂 18巻まで

【銀魂(ぎんたま)】 18巻まで  /空知 英秋

江戸の街。鎖国が解禁になって20年。宇宙人がはびこり、科学技術の進化などの恩恵はあったが、侍は剣を捨て、浪人ものとなっていった。
新八は姉と、父の残した道場をバイトで必死に存続させていた。
銀さんこと、坂田銀時。甘いものに目がなく、万事(よろずごと)を引き受けて、のらりくらりと暮らしている。
新八はバイト先のトラブルで銀時と出会い、父の遺言の侍魂を感じる。
そこに、バイオレンス娘、神楽もチームに入ってきて。

1巻にはデビュー作「だんでらいおん」も。
風呂場でうっかり死んでしまったおじいさんが、妻に対して想う愛情。

2巻読み切り「しろくろ」 
呪い屋の坂田とみ子と、説教妖怪。銀さんの原点がここにある。

これが初連載だと思えない。構成もキャラも絵も良い。上手すぎる。似顔絵もそっくりで爆笑した。
ひとつのコマに、その台詞をたすける絵があるだけでなく、その絵にちょっとしたお遊びまで入っていて、読者としてはツッコミ甲斐がありすぎるのだ。そこはなんと言っても秀逸。
まだ1,600冊程度しか読んでないけど、それをやっていたのって高橋留美子くらいだったのではないか? 
作中のツッコミの入り方、最高。シモネタ満載なんだけど、気持ち悪くなることはない。作中のまったり感がそれを相殺しているのかな? 
ただ笑ってるんだけど、最後にはちょこっとだけジーンとさせたりする。上手い。

少年漫画にありがちな、女の子は可愛くないけど、周囲が「可愛い!」と言い切って無理矢理脳内設定してしまうこともなく、めちゃくちゃ可愛いいし。
キャラも大量に出てくるんだけど、すべて描き分けている。しかも男性キャラにも色気がある。これは大事。
前はこのあたりの見分け方が私にはできなかった。

うーん、しくった。売れている漫画だから後でもと、そのまま放置してしまってた。しくじったなぁ。友だちの息子(中学生)と、うちのスタッフから長いこと勧められていたのに。
こんなに勢いとテンポがあると思わなかった。面白い。
このまま『こち亀』になって欲しい。

すでにキャラと世界観というプラットフォームが完成しているので、どんなフォーマットでも受け入れられる。

この作品が語られる時には、いつも出てくる定番な話題ではあるけど、毎回の表題が教訓になっていて笑える。

真選組は対テロ用特殊部隊の武装警察。池田屋が立派なホテルで笑った。
定春もかわいいけど、エリザベスかわいすぎ。

そうか、『銀魂』というのは、魂に納めた真っ直ぐな剣(侍魂、志、信念、仁、命みたいなものなのか)を銀さんの中に見つけた新八の、それを追い求める物語、武士道なのか。
元々は白夜叉と畏れられた攘夷志士であった銀時。
表情良いなぁ。銀さん、一話からかっこいい。
勝手なようで、みな大いなるおせっかい焼き。
そして自分で決めた信念からは逃げない。最後までその人を背負っていく。
ところどころ出てくる台詞は、生きる道の深さがあってじんとくる。

溜飲が下がったネタがいくつか。
まず神楽が「酢昆布を一年分上納しろ」と脅したら「一日の摂取量がわかんねー」と入るツッコミ。
ああ、もうもう>< 
ですよねー。子供心に、クイズ番組の商品で「○○を一年分差し上げます!」って聞くと、「それは毎日食べるものなのか? 一日にどのくらい食べるとされているのか?」と悩んだものだった。同じこと考えてたなんて。

振り向き様のエリザベスのキュートさに悶えた。
銀さんそっくりの赤ん坊にも叫んだ。

この作家さんがもう凄く好きになりました。
ちなみにWikipediaにあったジャンル区分は「SF人情なんちゃって時代劇コメディ」。爆笑した。(ちなみに、このジャンルは10巻の中で作者が語っているもの)
15巻の自動車教習所話はツボに入って、しばらく戻ってこれないくらい笑った。
16巻、17巻は泣けた。

唯一不満を言えば、文字が多くて読みづらいこと。一気読みが辛いこと(実は18巻まで読むのに半年という時間がかかった)。
これは作風なんだと思うので仕方ない。そう言うと作者は喜びそうだけど。
これは連載で楽しみ、一巻ごとに新刊を楽しむ作品ですね。
とはいえ矛盾しているけど、もうひとつ困ることは、平行して読んでいる作品がある時は、ちょっとお休みして他も読みたいのに、ちょうど次の巻に引っ張るような終わり方をするので、他の作品になかなかいけないこと……うまいなあ。これは編集のセンスもある?
                         2008/12/30

UP追記>
新刊まで手元にあるのに……。
挫折して、読んだところまでUPします。
だって、半年抱えてるんだもん。ここで一区切り。
                         2009/1/14


タグ:空知英秋
posted by zakuro at 16:50| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月12日

かごめかごめ(完) 全03巻

【かごめかごめ】 全03巻  /唯 登詩樹

竹内正面(まさみ)は父を亡くし、家庭の事情で家を半ば勘当されてしまう。
ガールフレンドの西野かごめに相談、とびきり安いアパートを紹介してもらうがそこは訳ありで。
一方、西野かごめはサークルである超常現象観察部を部に昇格させたいと目論んでいる。親友の森本賢治は部に賛同。巫女の血筋の霊能力者、日下かごめは正面に興味を持って入会してくる。顧問の梶原リカも何かを隠していた。

かんなぎ』後に神様漫画を読みたいなと探して、これを手にしたけどどちらかというとオカルトだった。

正面のアパートで見つけた護符が、ある神社のものをわかりそこの奥宮の井戸に引き込まれてしまうメンバー。
井戸の底に三柱鳥居があり、まるで向島の三囲神社にそっくりだった。
ここは三井家に所縁のある神社である。三柱鳥居は遡れば秦氏に関連してくる。
目次欄の絵は六芒星が描かれていたりするので、どこまで言及してくれるのかと大きな期待をしていたのだが……。

バラバラにして封印するなんてどんな平将門だろうか。
大幣型の剣が出てきたり、鬼が関わったり。

うまくご都合主義にまとめられてしまったのが残念。

竜穴、埋めちゃまずいんじゃないでしょうか?
二人のかごめまで登場したけど、結局はカゴメ唄も肩すかしだったなあ。
                         2008/12/10

《こんな人におススメ》
オカルティックな話が好きだけど、怖いのがダメな人に。

【コミックスセット】


【コミックス】


タグ:唯登詩樹
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2008年12月10日

かんなぎ 06巻まで

【かんなぎ】 06巻まで  /武梨 えり

産土神として産子たちを見守っていた神社のご神木の梛(なぎ)の大木。区画整理で神社が合祀される為、木は切り倒されてしまう。
それを譲ってもらった御厨仁(みくりやじん)は、樹霊の像を彫り上げるが……それは依代として梛の神霊を降ろしてしまう。
ミニスカ少女の神霊は自らをナギと名乗り、仁の家に居着いてしまう。
やたら霊感の強い仁とナギを中心に、幼馴染みのつぐみ、ナギの妹のざんげちゃん(白亜)、仁が所属する美術部のメンバーなどがともに巻き起こす破天荒コメディ。

2巻の短篇は「怪傑妖精プニャタ」怪しいおっさんから妖精をもらったあさみ。好きな人に告白出来ずにいたのだが、プニャタのお陰で……?
4巻短篇「ヒルデガルトの城」魔術アカデミーを主席で卒業したジュド。強力な魔力を持つといわれるヒルデガルトに弟子入りを請うが。
5巻短篇「モーリー」諸葉は幼い頃に事故に会い母を亡くす。その時に魂の契約をしたメメント・モリの名を持つ悪魔(?)と契約する。
ファンタジー好きなんだろうなぁ〜。

星野リリィさんのブログで絶賛されていたので(アニメが)、他に読んでいたものをすっとばしてこれを手に取る……。
読み出して爆笑してしまった、いかにも好きそうな作品ですね。お友だちなのかな? コスプレ三昧。

それにしても男好きする絵を描く作家さんだなあ…が、第一印象。
オタク部分かなり多し。

導入部分の、ナギが木彫りの像から“顕現”する様がなんともチープで昔のロボットアニメのようで大爆笑した(アニメでは感動した)。
きっとそれ、作者は狙っていると思う。

梛って熊野系の神様には付き物の神木、あんなに大木になるのね〜。小さいものしか観たことがない。
梛がこんなアイドル扱いだなんて、熊野の神様もびっくりだな。

「魔法少女★ロリッ子キューティー」にも大ウケ。ナギの「これしかないという気さえしてきた」という展開に笑った。
オオヌサに☆ついてるし。

「懺悔をお望みですか?」のシスターにうっかり萌えた。

神事、ここまではっちゃけるってすごいなぁ。ある意味感動すら覚える。
気楽に何も考えずに楽しめる自由度の高いエンタテイメント作品。
こういうの、好き。
主人公二人の悪食ぶりはたまに気持ち悪くなるけれど……。
3巻目くらいから『うる星☆やつら』の、ナギがラムちゃん、仁があたる、つぐみがしのぶにも被って見えてきた。

こんなはっちゃけているのに仁がナギを疑い出すところとか、押さえるところは押さえてて上手い。
笑いの中にうまく核心を入れている、上手いなあ。やばい、はまりそう。
神の分御霊とネットゲームとの関連の説明は唸った。確かに。

5巻のざんげの言葉はかなり響く。
「悪い因果なんて清浄な心があれば誰だって祓えるのよ!要は清く正しく強い心なの!」
その通り。

4巻のカバーを外した表紙は、『LOVELESS』のパロ?
ガンダムパロとかあれやこれ多くて、それも見どころのひとつ。

頭の良い作家さんなんだろうな。バランスが良い。

かんなぎとは、巫女の別な呼び方をいう。

UP追記>
アニメ観ました、すっっっっっげー! 絵がキレイ! 感動! 原作、超えてる??
コンテもうまいし、はまりそう……声も下野サンだし……。やばい。
アニメ出来過ぎじゃないか? 原作改変すら愛おしいくらいだ。
ナギちゃんかわい過ぎ。
ED曲が大祓詞なのも驚愕した。タイトルも「産巣日の時」。しかもかなり良いのでは!?
思わず、友人でご神事の奉納音楽などをやっているミュージシャンに送って聴いてもらったら、「まさか『六根清浄』ってアニメの主題歌で聴くとは思わなかったよ」……だよねー。
世の中、かなりすごいな。
                         2008/12/09

《こんなふうにおススメ》
いやいや、萌え漫画だと舐めちゃいけない。エンタテイメントしてます。読みやすいし。
面白いです。

6巻/
昨日感想をUPしたら、新刊を貸してくれた。ありがとう、私は友に支えられてます。

仁の自分探し。中学時代の仁の荒れていた頃の回想。仁が公園で会った子どもがナギを探しに来て。

短篇は「Croquis」 サダエと仲良しの水越はやせ。二人はまったくタイプの違う親友。百合もの……らしい。

大東(おずま)が話す“天職スイッチ”。上手い表現。このスイッチが入らない人生も寂しい。決断とジャンプは、直感と感情で良いんだよね、同意する。
うどんにマヨネーズは断固拒否したい。
なんかざんげの行動は低級霊みたいになってきたなぁ。
ちなみに私はつぐみ派。
                         2008/12/10



タグ:武梨えり
posted by zakuro at 18:56| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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