2008年10月10日

テニスの王子様(完) 全42巻

【テニスの王子様】 全42巻  /許斐 剛

中学一年の天才テニス少年、越前リョーマを中心とした、中学テニス界の話。スポーツもの。
サムライ南次郎と呼ばれた天才の父に仕込まれたリョーマが、名門青春学園テニス部に入部、チームでレギュラーを獲得するまでと、各校の強豪たちと戦う姿を描く。

通称、テニプリ。週刊少年ジャンプの看板にもなる人気を博す。
その人気ぶりはアニメから、ミュージカルまで広がりをみせることになる。

1〜34/
シーンの切れが良い。線もキレイだし、話運びのタイミングも良く読ませる。
面白いんだけど、出てくる人たちが天才すぎて……。キリキリと展開を引っ張る感覚は、すごい! の一言に尽きるんだけど、それを打破していく手法が、キャラの潜在的な天才能力っていうのは……それってあり?マジシャンプレイも、超常現象も見てて楽しいけど。
こんなに大人な中学生、いないよ! っていう。大学生でもいないくらいな、大人ぶり。同じ展開の繰り返しで、読者に飽きられないもんかなあ?
作者は、個人の内面を描くのは得意じゃなさそう。
                         2008/1/2

35〜39/
まずやはり絵がうまいし、レイアウトやカットがよく出来ている。その繊細だけど力強さが、引き込んでくるポイントだと思う。
ご都合主義は相変わらず。内容よりも美男子を愛でる漫画になってしまうのはそこなのかも。
同じ展開だとさすがに飽きる。技のネーミングも最初の頃はそれなりに面白かったんだけどなあ。突っ込みどころ満載。
球を受けて客席まで何度もぶっ飛ばされても良いんですけどね、内容もコメディでも良いんだけど、下らなすぎるくらいになってきたなー。そうか!少林テニスと名打てば良いのか。
焼き肉で熱くなる話は好き。キャラは試合中によく喋り倒すし、大昔のスポーツ漫画をまんま踏襲している。その点では、『おお振り』などはもっと未来に向かっている。
                         2008/4/23

40/
手塚と真田の勝負から。リョーマは軽井沢で特訓の後、記憶喪失に。なんともはや、いろんな設定を思いつくな(褒めてない)。サブタイトルはテニスを忘れた王子様だが、本編には設定のみ。
ファンは「方向性を見失っている」と離れ気味だが、ほんとにいいのか、このままで。
                         2008/5/19

《こんな人におススメ》美少年を愛でたい。破天荒なスーパープレイを楽しみたい。
《こんなふうにおススメ》まとめて一気読みが良いです。

                         2008/7/17UP

41〜42巻/
ラスト。42巻で完結。
41巻は不二の試合。イリュージョンな手塚との試合は見せ場のひとつ。記憶喪失のリョーマに桃城の涙の特訓。そしてライバルたちがリョーマの記憶を取り戻させる。菊丸と大石のダブルス。
42巻は記憶を取り戻したリョーマと、神の子、幸村精一の試合。戦った相手の技を身につけたリョーマはどう戦うのか。
読者が一番見たかったであろう手塚VSリョーマの話は、ラストの後の小説に少し。

いろんな漫画を読んで来て、つくづく思う。なんて繊細な絵のうまい作者だろう。
奇想天外なものでなく、この絵でストーリーものが読みたい。

この作品に関しては想定内のラストだったなー。
作品として全体的には面白かったので感謝です。
                         2008/10/09

続編は「新テニスの王子様

絵を並べると圧巻ですね。やっぱり線がキレイだし、かっこいい。女子が騒ぐのはわかる。

タグ:許斐剛
posted by zakuro at 15:07| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月13日

診療再開!小さく弱い人たちへ

【診療再開!小さく弱い人たちへ】 全01巻  /松山 花子

静かな田園地帯にある浜崎医院。医師浜崎ヒロシと、助手の藤木忍、そして変わった患者たちとのおかしな診療風景をを四コマで描く。

診療項目はどうみたって心療内科なのに、実は外科医の浜崎先生。
とにかくおかしい。絵と内容のギャップもいい。
こんなに癒し系の絵なのに、台詞がシュール。
こんなに変わった人たちなんて……と笑いながらも、自分の中にも近くの人にもそんな要素はどこかある。そこがまた頷けておかしい。
笑いながらも蘊蓄のコネタがあるので、ところどころ頷いたり考えたりしちゃう。
九州男児と腐女子の患者は爆笑した。ちなみにこの作者、九州男児という名でBL作家でもある。
猫の肉球をまぶたに乗せるって……(笑)わかるような、わかっちゃいけないような。

一番の特徴は、作者自身がツッコミを入れながらもどこか冷めているところかもしれない。それがかって笑いを誘う。
でも、最後のオチは怖かった……。

短篇で
・「靴はき猫」。粉引きの末息子が亡き父より受け継いだ猫。何もできない息子のために猫が働く。しかし童話の話と少々違ってシュールに終わるのがこの作者らしさ。
・「隊士は見た! 裏事情新撰組」 芹沢鴨の暗殺裏事情が松山花子流に描かれる。
                         2008/8/02

《こんなふうにおススメ》
もともとは、九州男児さん名義の作品で、腹筋が痛む程笑って、調べたら普通にギャグ漫画を描いてらっしゃることを知り……笑えます。独特な笑い。おススメ。



タグ:松山花子
posted by zakuro at 19:27| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月11日

ほしのこえ

【ほしのこえ】 全01巻  /佐原 ミズ(原作/新海誠)

宇宙戦士として選ばれた中学生の長峰ミカコと、クラスメイトの寺尾ノボルとの、宇宙と地球でやり取りする携帯メールでの遠距離純愛。
離れて行く物質的距離で、メールが届くのがどんどん時間がかかり何年もを隔てる。僅かな想い出をよすがに、二人の大人になるまでの切ない物語。

アニメ素人だった新海誠の作品で、コンテストでグランプリに。その原作の漫画化を佐原ミズが描いた。少年系にして良いのか迷ったけど、アフタヌーンで連載だったのでこちらに。
大好きな佐原ミズが、伝説の短編アニメを漫画化している。
新海誠のアニメは景色が悶えるくらいに素敵なんだけど、佐原ミズの描くヒトコマヒトコマもいつも映画のようで、漫画化されたこの作品も、新海監督の世界観に色付けして、これまた唸ってしまうのだ。
ハイスピードのような演出はたまに泣けてきたりする。泣かせる漫画はこの作家! って感じ。
繊細で儚くて、掌の上でふっと消えゆく雪の結晶のような表現なのだ。
特別に表情が動くわけではないのに、感情が伝わってくる。
好きな作家ベスト10に入る人だと思うので、これからも楽しみにしていきたい。
しかもこの作品、原作者がいるせいか、いつもの作品の気合いの入れ方とはまた違う。素晴らしかった。

オリジナルエピソードも多く含まれていて、アニメよりも深く入り込めて良い。
ラストは原作と違っている。それも嬉しかった。

原作に関しては、セカイ系の代表作と言われている。
舞台は宇宙戦争だけど、物語はすべてノボルとミカコの二人のセカイだけで回っている。
セカイ系自体はそもそも梶井基次郎だってそうだったのだ。新しいわけではないけれど、デジタルな手法で、独特なアナログ感覚で切り取ったことがすごい。

『秒速5センチメートル』にもみられるけど、新海誠のテーマは離れている物理的空間と、精神的距離から生まれる日々の拘泥。これって文通なのだ。かつては「待つ時間」の中にもドラマがあった。時間と距離が物語を育んでくれていたのだ。
現代においても根本は変わらない。それを憶いださせてくれて、そこがやはり秀逸。
そして視聴者は「現在」の心の空虚感、空白感に共鳴するのかもしれない。
欲を言えば、別なテーマも見てみたい。
                         2008/9/10

《こんなふうにおススメ》
新海誠の世界観を壊したくないという理由で未読であれば、是非、おススメ。
設定は一緒ですが、また違う作品になっています。「希望」があって嬉しい。
でも、それがこんなに良いとは思わなかった。新海監督が絶賛したのも理解。
泣けます。



posted by zakuro at 13:07| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月30日

神の雫 15巻まで

【神の雫】 15巻まで  /オキモト・シュウ(原作/亜樹直)

フランス料理店に勤めるソムリエーヌの卵、紫野原みやびは、知ったかぶりの客にDRCのワイン「リシュブール」を注ぐが、ぱっとせずに客を怒らせてしまう。そこで同席のビール会社の下っ端営業マンが見事なさばきでデキャンタに移し替え、ワインが花開く。
彼の名は神咲雫(かんざきしずく)。世界的なワイン評論家の神咲豊多香(ゆたか)の息子だった。でも彼は、ワインをまったく飲んだことのない“素人”だったのだ。
ちょうどその頃、神咲豊多香が世を去る。その莫大なワインコレクションと遺産を継ぐには、亡くなる一週間前に養子になった世界的に知られるワイン評論家の遠峰一青(とおみねいっせい)と、12本のワインと“神の雫”を選び出す勝負をしなくてはならない。雫を、みやびやその師匠のソムリエ藤枝らが支えていく。

ワインのことがよくわかる作品。
韓国に駐在の友だちから聞く、この作品が原作のドラマが大ヒットして国レベルでワインブームがすごいこと、最近読む日本の省庁の資料は漫画の代表作としてこの作品が上がっていることで、ずっと気になっていた。
最初はワイン版の『美味しんぼ』かと思っていたけどそうではなかった。

面白い、とてもドラマチックに出来ている作品。
蘊蓄がつきものの題材だけど、何より雫を素人にしたのが面白い(英才教育は受けていて才能たっぷりなんだけど)。
楽しくワインを飲もうとメッセージが入っている。

漫画ってすごいなー。表現を一枚で現せる。この作品は漫画にぴったりだと思った。
いろんなイメージが伝わってきて、香りも音も感じ取れそうな気がする、わくわくしてくる。ワインひとつでここまで感じ取れたら、人生楽しいだろうなぁ。

ホイチョイで知られいたような、「知っているからすごいでしょ」みたいなバブル時のような話ではなく、そこに人がいて更に芸術が感じられた。奥深いセカイだー。

私はここまで何かにのめり込めないかもしれない。漫画だからね、ということではなく、こういう人たちっているんだと思う。すごい。
そして自分がいかにワインを知らなかったかわかる。

個人的には6巻が面白かった。どんなに「天」や「地」に恵まれても、「人」の努力がなければ美味しいワインにはならないということ。ワインを飲むとは、まさに宝石をいただくのと同じことなのかも。
12巻〜13巻は韓国料理、とくにキムチに合わせるワインの話。
14巻から一青の過去にも迫りだしてくる。この巻ではすでに雫も一青も両方を応援してしまっている。どちらも頑張って欲しい。
                         2008/8/29

《こんなふうにおススメ》
ワインの蘊蓄を延々と聞かされるのでは、と思い込んでいたらソン。
ドラマがあって、ほんと面白いです。
これで、ワインの価値が左右されていると聞くと、それはそれで振り回され過ぎだと思うけど……。


posted by zakuro at 00:01| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月21日

MONSTER(完) 全18巻

【MONSTER】 全18巻  /浦沢 直樹

ベルリンの壁が崩壊した後のドイツとチェコが舞台。
1986年、西独、デュッセルドルフのアイスラー記念病院に運ばれてきた頭部を撃たれた子ども。天才外科医として知られている日本人医師、天馬賢三が助けたその子どもが成長し、実は連続殺人犯になったと知る。
知らずうちにテンマは大きな謎を孕んだ事件に巻き込まれていく。あの時、助けて良かったのか? 倫理と良心の狭間で、犯人を追い続ける話。
テンマの生い立ちや過去、信念を交えてじっくり描かれた大作。

これだけの話が書けて、しかも絵も良い。もうどうにでもしてくれって思う。
人の心が丁寧に描かれている。浦沢作品は“良い人”のようなカテゴライズをしない。プリズムのように変化する、人の立ち位置や心情を上手く捉えて紙に落としている。そこが感嘆させられる。言うことなし、です。
話が重いし考えさせられるので、読み終わった後の充実感、および消耗は激しい。
まだうまく感想は書けない。いろんな思いが錯綜してくる。
ノック後にまたじっくり向き合いたい。とにかく秀逸な作品、読めて良かった、出逢えて良かったと思う。
ラストは震えた。
                         2007/10

《こんなふうにおススメ》
重いしオトナの話なのだけど、中学生にも勧められる。そこがすごい。
このような作家と同じ時代を生きていることがありがたい。

【コミックスセット】
  

【完全版】


【コミックス版】


タグ:浦沢直樹
posted by zakuro at 00:00| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月12日

ドラゴン桜(完) 全21巻

【ドラゴン桜】 全21巻  /三田 紀房

元暴走族の弁護士、桜木建二は野心の男。経営破綻した三流の龍山高校から東大合格者を出し、己の名をあげようと考える。
そこで落ちこぼれの三年生、矢島勇介と水野直美を説得し、二人の特進クラスがスタートする。いかにしたら東大に受かるのか? そのノウハウを教える漫画。
ドラマ化され、そちらもヒットした。

受験テクニックをとことん教えるマニュアルブックといえる。
受験する生徒たちが読むよりも指導者が読んだ方が良い。社会経験がない分、子どもたちにはわかりにくい箇所もあるし、コーチが理解してマンツーマンで受験指導にあたった方が効率がいいだろう。かなり有益な情報が含まれている。
問題はこれらをやり遂げる持続力。できれば少し早めにスタートして、しっかり実力をつけられるところまで落とし込めたら、受験だけでなくその後の学問習得にも役立つと思った。
まず親が読んだら良いよね。各教科のHowToやテクニックだけでなく、発想方法や思考の組み立てなどの日常において役立つものや、コーチングなど心理面まで踏み込んでいる。
知識を詰め込むだけが勉強じゃない。

今は国立や有名私立の小学校で、マインドマップを教える授業があるらしい。ロジカルシンキングなどの思考方法をしっかり身につけたその子らが将来社会に出る時には、仕事のシステムもがらりと変わっていくだろう。
個人レベルで真剣に考えてスキルやキャリアのアップを図らないと、今の30代から40代半ばはきついと思う。
また子どもたちも、そういう教育を受けられる環境にあるかどうか。格差社会は広がっていくのかもしれない。

時間があれば読み直したい。仕事のやり方にプラスになる、実戦できるものも多くある。
矢島と水野の受けている授業スタイルは理想。あのようにほぼマンツーマンで、しかも会話しながら問題点をその場でクリアしていければ、学力も知恵もつく。なかなかそんな環境は作れない。
それに受験テクニックも優秀。納得できるものが多いし、今でも私が実戦しているものもあった。

漫画作品としてはそんな情報中心なので、面白いとはいえないかも。でも、ラストは正直、泣けてきた。
場面転換でお茶の水の風景が差し込まれるが、さしたる意味はない。
                         2008/8/10

《こんな人におススメ》
子どもを教育する立場にある人。親、教師、コーチ。
キャリアアップをはかりたい人。
ライフプランを整理したい人。
英語のやり直しや、集中力を上げたい時に、実戦できるネタは豊富です。

UP追記>
実戦できれば有益な情報ばかりなのだけど、なかなか難しいと思う。
資格試験にも役立つと思うんだけど。
受験勉強できるチャンスの時に、一気に身につけられれば、一生の宝になるんでしょうね。


タグ:三田紀房
posted by zakuro at 00:01| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月01日

ナムジ-大國主-(完) 全05巻

【ナムジ-大國主-】 全05巻  /安彦 良和

2世紀。三国志時代。
ナムジがオオナムジになり、大国主として生きていく半生を追った物語。
ひとりの幼子が骨だらけの難破船に乗って稲佐の浜に座礁する。その村で子ナムジを育てるが、気性が荒く暴れ者で手が付けられない。斐伊の鉱山に連れられ鉱夫となる。そこへ於投馬(いずも)の国のスサノオの娘で後継ぎのスセリ姫が鉱山見物に来る。ナムジは権力を憎み成り上がるため、スセリに自分を売り込む。

古事記を元にした作者の創作物語。よく出来ている。
とくに、スセリを娶るためのスサノオの難題に取り組む話が、イザナミの霊を鎮める「鬼魅(おに)払い(祓い、が良かったのに)」の儀式になっているところなど唸った。
私は勝手にスセリは子どものない正妻だと思い込んでいたのだが(なぜ記述がないのかまったく謎だ)、確かに子がいてもおかしくない。そう記録に書かれていないだけで。
ここでは建御名方がスセリの子で描かれる。
それとヤガミヒメは大国主の妻にはなってはいない。この作品で、大国主の妻になったのは他にはタギリ姫だけ。タギリは、スサノオと卑弥呼の娘として描かれる。
クシナダ姫は若くして亡くなった事になっており出てこない。

スサノオがカグツチと習合しているのはなるほど。そう考えれば、花の窟神社が熊野にあるのも自然になるのか。ここは今後探求していきたい。
もし仮にその説に力があるのなら、明治天皇の継母、英照皇后はそれを知っていたはずだ。すると火産霊神として火伏なんかじゃない、これは結界を張る意味でそれを現在の秋葉原の地に置いたのかもしれなくなる。それは徳川の結界陣に対してかもしれない。
ちなみに英照皇后の母方は上賀茂神社の神職筋である。秋葉原の北側そばに神田明神、オオナムチ(大国主)とスクナヒコナが祭られている。
とすると、荒俣さんが筑波エキスプレスを「マサカドライン」と呼んでいるが、それはそもそも「スサノオライン」の上書きということになるのだ。
うーん、面白い。ずいぶんと遊べる。

安彦氏は、スサノオの三男のオオドシをニギハヤヒ(※)であり大物主とし、大国主と同化させていない。ここは賛成。天火明命も違うと私は思っている(習合されているけど)。このニギハヤヒに、鳥見を統べらせ、後の三輪の王と書いている。これが「先代旧事本紀」にも書かれている神武統世になっていくのだけど、この話と国譲りは続きの『神武』になっている。
国譲りといえば事代主だが、これはタギリの子としてある。
また、少名彦名はなんと! ヒルコに見立てているのだ。大胆だなぁ。(古書の「秀真伝(ホツマツタエ)」だとワカヒメがヒルコ)
そして助けたウサギは、霊力をもつ女性に描かれる。

スサノオ治める於投馬は、布都(ふつ)の国としてある。あの石上神宮の、だ。
これだと上記のニギハヤヒを考えれば、後を継いだのはスセリでなく、オオドシということになるのだが、これも『神武』に描かれていくのだろうか?

途中から人質となった大国主は、卑弥呼の邪馬台国につかざるを得ない。ここでスセリ、タケミナカタと敵対していく。
ニニギが死んで、大国主はタギリと共に沖の島に隠る。つまり邪馬台国と於投馬、両方から距離を取るわけだ。この先は別の作品、『神武』になる。
大国主とタギリの長男が賀茂建角身命(八咫烏でもあるらしい)、次作はその人が主役らしいのだが……。どう収めるのか楽しみ。

ツッコミはいろいろとあるけど、充分に楽しめる仮説で楽しい。
大いなる不満は、出雲は母系であると考えるので、父系的な妻のありようはどうなんだろう? オオナムチってもっとふらふらしてたんだと思うんだよね。

徳間書店から刊行されたものを読めた、幸せ。これはハードカバーのもの。
日比野克彦さんが装丁。良い仕事をされている。
                         2008/7/31

※ニギハヤヒ(饒速日)も特別に謎な人。物部氏のご祭神であり祖で知られる。そして80年代から90年代初期に大国主の人気が高かったとしたら、その後のスーパーヒーローがこの人になっている気がする。名前もやたらと多いし、長いしね。
かつていろいろと調べている時に、2ちゃんねるの民俗掲示板に書かれたひとこと。
「困ったら、なんでもニギハヤヒとアラハバキにまとめるな」 笑った、大賛同。
ちなみに「千と千尋の神隠し」で、ハクが本名を憶いだすシーン。その真名は「ニギハヤミコハクヌシ(饒速水琥珀主)」。映画館でつい「おいおい」って呟いたのを覚えてる。

《こんなふうにおススメ》ある程度、この時代の話を知っておいた方が良いかもしれません。もちろんあくまで安彦氏の見方のひとつとして理解しながらも、何が作者の創作で、どこが新しい見方なのか、わかっていた方が何倍も面白いです。もちろん作品としては、何も知らなくてもめちゃくちゃ面白く良く出来ています。
この時代って作者が後書きに書いているように、仮説だらけではっきりとしない。しかもオカルティックに行き過ぎたり、トンデモ本になったりする。そのあたりも踏まえていて、よく出来た作品です、おススメ。

【コミックセット】


【文庫版】


タグ:安彦良和
posted by zakuro at 00:49| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月27日

天使な小生意気(完) 全20巻+外伝

【天使な小生意気】 全20巻+外伝  /西森 博之

短気でけんかっ早い少年、天使(あまつか)恵は、知らない怪しげな男からもらった魔本で魔法使いを召還してしまい、女に変えられてしまう。
女の中の女、とびっきりの美少女になり6年経ち、女に変えられた時に一緒にいた親友の美木(みき)とともに、高校に入学する。
その学校には腕力だけでモノをいわせてきた源造、思い込みの激しい藤木や、オタクな安田、武士の小林ら奇妙な連中がいて。

天使恵が誰かに似ていると思ったら!そうだ、ひばりくんだ(※注『ストップ!! ひばりくん! 』)。男女であることもルックスも話し方も一緒。
恵の周りの男どもがみんな変。そして気のいいヤツら。
源造がうざい。もううざくて辛い。うざすぎて感情移入できない。
途中で飽きてきたのが……。自分を叱咤激励して最後までいけるかどうか、勝負だった。
核心の部分、魔本が絡むと面白かったりするんだけど。
1ヶ月放置して、13巻から読んだら慣れてきた。そして少し面白くなる。
制服がかわいい。参考になる台詞が多い。
最後の方は面白かった。だんだん源造を応援しても良い気になった。
外伝の2は少し泣けた。きっとハッピーエンドなのだろう。
                         2008/4/28

《こんな人におススメ》
漫画、読み慣れている人にはおススメなのかもしれません。
感想は賛否両論みたいですね。読書時に超初心者の私には難しかったです。
ただ、自分のアイディンティティの構築をしていく天使恵を、彼女のモノローグ無しで描いたことは、瞠目に値するところだと感じます。

「外伝」のネタバレは、下記「続きを読む」から。

UP追記>
私のコミックスや声優、アニメの先生である、スタッフのTCがおススメだったので読みました。
「まあまあ」と言ったら、「西森博之は、最初と最後の漫画家なんです」
おおおお!!
いろんな読み方があることを知った貴重な作品でした。

読んでいる時って源造がうざくってイヤだったんですけど、しばらく経った今はそうでもない。ああいうキャラって、離れていると面白いキャラなんでしょうね。別な場所から眺めていたい、みたいな。巻き込まれたくはないぞ、みたいな。

※注……江口 寿史さんの作品『ストップ!! ひばりくん! 』の方です、念のため。あれ、好きだったなあ。クラフトワークのパロなんて、秀逸でした。
ひばりくんは、性別が男で(女性の姿形で、周囲は美少女と思っている)心が女なのだけど。





☆外伝のネタバレは、この「続きを読む」から……。↓

続きを読む
タグ:西森博之
posted by zakuro at 18:28| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月21日

ヤサシイワタシ(完) 全02巻

【ヤサシイワタシ】 全02巻  /ひぐち アサ

写真部の弥恵は相手によって言動が変わったり、常識的なことを忘れたりする。それは故意ではなくバランスが悪く、自己モラルの枠組みが壊れているのだ。
テニスを怪我で挫折した後輩の芹生と、なんとなくつき合うようになるが。
苦い青春の時期の、超えなきゃならない自己の壁と向き合った作品。

この弥恵の存在は賛否両論だったというけど、こういう人はいる。ムカつきながらでも学習しておいた方が良い。
同族嫌悪で語られるのもわかる、私もそういうところあったかもと思うし。
だけど、うまい。気持ちがコロコロ変わって安定しないところ、どこか被害者意識があって突っかかって自分を持て余すところなど、それらの内面を客観的に捉えている。奥が深い。
そばにそういう不安定な人がいたんだろうか。一度、巻き込まれてみて、それを憎んで、また捉え直して考えて、赦さないと、これは描けないと思えた。
その人を客観的に見て、なおかつ、その人の思考の基準を捉えないと、このタイトルは思いつかないよね(正直、良く理解しているすごい題だと思うもの。苦笑)。
DVの本質も見えているし。まあ、DVについてはまだまだあるけど、そこを掘り下げたら横道に逸れたのかもしれない。

ひぐちさん、絵もまだ拙い頃なのに、下着の描き方がやたらと凝っていて笑った。なんかわかる。他が丁寧なのに、下着がすごく古い感覚で描かれていたりすると、なんか萎えるんだよね、この作者は世の中の流れをわかっていない、というような。
絵はどんどんうまくなっていく。描いていく、見られるって大事だとわかる。

2巻後半の弓為の台詞はかなりきた、考えさせられた。その行動力と思い込みの強さに嫉妬する人間はいるんだな。力もないのに、偉そうにしてるなってところなんだろう。
最初から諦めがつくような才能を持っている相手なのなら、別物に考えられるのだけど。
弥恵が痛いめにあうことは、自分は行動しなくて良かった言い訳にできる。弥恵のような存在は、8割がたの人間にとっては一番成功されたくない人間なのかもしれない。

夢を見るのは、責任が伴う。時にはとても焦るけど、その吐け口として他者を妬んだり、一人でささくれたりすることは違う。真っ直ぐに夢を見て、ちゃんと努力して粘っていけば、開けることは、今の私にはわかっている。それに気づいただけでも嬉しいと思えた。
きつい物語だったけど、何度か読み直したい。この作品あっての『おお振り』なのかと思うと、考えさせられる。
                         2008/3/16

《こんな時におススメ》生きていくこと、自分のことについてめちゃくちゃ考えたい時に。


タグ:ひぐちアサ
posted by zakuro at 23:39| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月19日

ヤマタイカ(完) 全06巻

【ヤマタイカ】 全06巻  /星野 之宣

沖縄の御嶽(グスク)から古代の舟がみつかる。久高島のノロたちを中心に、アマミキヨの伝説からはじまる世直しの話。

80年代後半に描かれた、ハルマゲドン思想の話。現代にも通じるところがある。
たくさんの漫画作品に触れた後でこの本を読むと、この作者の力量のすごさを知る。
4巻の1部までは本当に面白い。歴史的なことはかなり調べてあるし、仮説も秀逸。特に、奈良と九州の地名のリンク、火山と神の関係などは読ませる。
益田勝実氏の「火山列島の思想」などからも影響を受けていると思う。

87年頃に描かれた作品なら仕方のないことなのかもしれないが、どうしてもハルマゲドンのネガティブな世紀末にひっぱられてしまうのが残念。
これを読んで思うのは、個人の信念を貫くのではなく、多くの人々の幸せが優先だということ。どんな大義があっても、いくら“正しく”ても、個人(民族を含む)の動機からのものは欲でしかない。決して暴動を起こすものではないのだ。
このあたりが、なぜか一神教的な発想。この矛盾はいかがなものだろう? 神道的なもの、アミニズムを謳っているのに。
                         2008/2/28


UP追記>
沖縄の御嶽は、地理的にいって、斎場御嶽(セーファウタキ)だと思う。久高も臨めるし、絵柄もそれを意識していた。
でも実はもっと調査していて、あれが玉城(タマグスク)だったらすごいよなと、ニヤニヤしながら読んでいました。
描かれてから20年。でも、あんまり調査って進んでないよね。このあたりはもっと学びたいです。
                         2008/7/19

【コミックセット】


【文庫版】

タグ:星野之宣
posted by zakuro at 11:42| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月18日

ローゼンメイデン(完) 全08巻

【ローゼンメイデン】 全08巻  /PEACH-PIT

※未完。この続きが、「週刊ヤングジャンプ」で2008年4月より連載がはじまる。

引きこもりの中学生、桜田ジュンの元にダイレクトメールが届く。そこには、不思議な問いかけ「まきますか? まきませんか?」
”まいた”ジュンの元に届いたトランクに、ローゼンメイデンのひとつ真紅がいた。ローゼンメイデンは、父と呼ばれる伝説の人形師に作られたドールたち。
ジュンは真紅の“下僕”として、アリスゲームに参加することを余儀なくされ、たったひとつの生き残りをかけて戦う。

新規連載は、「まかなかった」大学生になったジュンに、「まいた」中学生のジュンからメールが届く。

まだ連載がはじまることが決まっていない頃の感想>
未完なのが残念。絵もかわいらしいし。
ただ、シリアスとコメディのバランスは悪かった。そのあたりは、鋼の錬金術師は秀逸だと思う。まだまだやっと世界観が見えてきたところだったのに。面白くなりかけてたのに。続きは期待。
雪華綺晶は顔を出しただけっていう……。重ねて残念。
                         2007/11


UP追記>
いや、もう、こんなに早く(?)連載が始まるとは思わなかったです。
良かった、気になって仕方なかった。やっと面白くなってきたところだったですもんね。
それにしても、新連載の気合いの入り方、違いますね。まったく他の作品かと思っちゃった。ぞくぞくきました。
上手いなあ、こうくるとは思わなかったぜ>< 正直、やられた。

《こんなふうにおススメ》
なにかと話題になる作品。コスプレイヤーも多いです。



タグ:PEACH-PIT
posted by zakuro at 02:14| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月17日

SLAM DUNK(完) 全31巻+それから10日後

【SLAM DUNK】 全31巻+それから10日後  /井上 雄彦

まったくモテない不良、桜木花道が、高校に入学。好きになったバスケ部主将の妹、赤木晴子にモテたいために始めたバスケットボールに、どんどん夢中になっていき、才能を開花させていく。

漫画界で単巻平均発行部数の一番多い漫画といわれている。
「何が面白い?」と聞いて、まず勧められたコミックス。

普通に面白い。試合にはちゃんとのめり込めるし、一気に読み進められる。
スポーツものは完結しているのを読まないとジレジレしますね。
高校生がみな超人的すぎるのがどうも。という感はあり。
流川って名前が珍しすぎてずっと気になった。

                         2007/10

《こんな人におススメ》スポーツ系が好きな人はまずどうぞ。
《こんな時におススメ》何か頑張りたい時、元気になれます。

【完全版コミックセット】


【完全版】


【コミックス版】


タグ:井上雄彦
posted by zakuro at 01:20| Comment(0) | 漫画-少年青年系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。